2011年04月27日
【仕事術】『天才が集まる会社の仕事術〜グーグル10の黄金律』桑原晃弥

グーグル 10の黄金律 (PHP新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、主にグーグルの主要3巨頭(ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、エリック・シュミット)の言葉を集めた仕事術の本。ライバルであるアップル社では、スティーブ・ジョブズの関連本が数多く出ているのに対し、グーグルは会社にフォーカスされることはあっても、ジョブズほど「人」にスポットが当たることはなかった気がします。
そこで、『スティーブ・ジョブズ名語録』の著者である桑原晃弥さんが、過去のグーグル本や雑誌からグーグルらしい象徴的なフレーズを抽出。
それらを、グーグルの10の黄金律ごとに編集しなおしたのが本書です。
メインタイトルでは「10の黄金律」の方が使われていますが、本書はそれ自体を掘り下げたものではないので、私はむしろ、サブタイトルである「天才が集まる会社の仕事術」の方がしっくりくるのではないか、と。

【ポイント】
■1.何かを成し遂げても、さらなる高みを目指せ2003年、ある高校を訪れた二人は「グーグルはあなたのキャリアの頂点だと思いますか」と生徒から聞かれ、サーゲイはこう答えている。「今後20年間に達成したいと思っていることの中では一番低い到達点になるだろうと考えています」(『Google誕生』)。
■2.すべてを賭けてしゃにむに働くべし
ラリー・ペイジもこう振り返っている。「僕たちは本当に本当に一生懸命やってきた。インスピレーションを得るには、たくさんのパースピレーション(汗)が必要である。僕たちにとっては貴重な体験だった。休日も働き通しだったし、一日中、何時間も働いたからね。最終的には実を結んだけれど、まったく大変だった。やはりものすごく努力しなければならなかったからね」(『Google誕生』)。
■3.アイデアに必要なのはフィードバックと心得よ
クリシュナ・バラットは、「グーグルニュース」のアイデアを醸成する上で、食事をしながら話すことが大きかったと、こう話している。「自分がどんなことをして遊んでいるのか、昼食をとりながらみんなで話すんです。さながらそれぞれが小さな会社のCEOといった感じでね」(『Google誕生』)。
■4.シンプルなものを提供せよ
サーゲイは「事業の成否は、シンプルなものをつくり出せるかどうかで決まるんだ」(雑誌「COURRiER Japon」)と断言している。仕組みや技術が複雑になる時代に、複雑なものを複雑なまま届けるようでは支持は得られない。複雑なものをシンプルに使いやすく提供できるかどうかが製品の成否を決める。
■5.経験がないこともプラスにせよ
世間を知らない若者が世界的大企業をつくった。そうした能力を彼らはどう身につけたのだろうか。ラリーはこう分析した。「経験がないのには、プラスとマイナスがある。僕らは予備知識がなかったから、これまでとは違うやり方を試すことに抵抗がなかったんだ」(『グーグル秘録』)。経験は貴重だが、「できる」「できない」をあまりに簡単に見分けられるようになると、挑戦力が鈍ってしまう。二人はその副作用を免れ、無知を大胆さや挑戦力に転化した。
■6.独断で決めるべからず
グーグルはカリスマを嫌う。モットーは「少数よりも多数のほうが賢い」であり、どんな小さな判断でも多くの意見を募る。エリック・シュミットは、ペンシルバニア大学での講演で、こう言っている。「私たちの誰一人として、私たち全員より賢いということはあり得ません」。
■7.自説はデータを持って展開せよ
インターネットの検索結果に広告を添付すべきかどうかを決める会議でのことだ。10人の幹部全員が自説を裏づける膨大なデータをもとに議論を展開し、それは延々2時間に及んだという。結果的に方針は全会一致で可決されたが、何の裏づけもなしに「私はこう思う」といった主観的な発言をする者は一人もなく、全員が「データはこう示している」と客観的なデータを背景に主張を展開していた。
【感想】
◆こうしてポイントとして挙げたものをみても、グーグル首脳陣は社内で変わった存在ではなく、むしろ社員が彼らに同化している印象を受けます。ひとつには、採用する時点で彼らと似たような考え方を持った人材を選んでいる、ということもあるのかもしれませんが、それにしても彼らと社員との間の決定的な違いを見出すのが難しい気が。
発言者名を伏せて、文体を揃えたら、誰が言ってるのか分からないのではないでしょうか?
アップルで、ジョブズが異彩を放っているのとはえらく違います。
◆実は、グーグル関係の本は今まで何冊か読んでいたにも関わらず、今回挙げたポイントには、付箋を貼っていた記憶がありません。
あまりにナチュラルすぎて、読んでいてピンと来なかったというか、ひっかかりがなかったからなのだと思いますが。
もちろん、私が読んだグーグル本のほとんどが、その生い立ちや出来事の描写が中心で、自分自身、そこにばかり気を取られていたのは事実です。
ただ、今回本書を通じて、改めて「仕事術」という視点で俯瞰してみると、シンプルながらも的を射た、「本質的な主張」がなされていたことが分かりました。
なるほど、今の「グーグル帝国」完成の裏側では、全社的にこのような仕事のやり方をしていたのだな、と。
◆ところで、最近グーグルに関しては、ネガティブな話題をよく耳にします。
グーグル株価が6%超急落、目標株価引き下げなどを嫌気 | テクノロジーニュース | Reuters
株式市場はラリー・ペイジのCEOぶりに失望―「-1」を投票
もっとも、首脳陣(特にペイジ&ブリン)はおそらくあまり気にしてない模様。
それが良くも悪くも「グーグルらしさ」であり、一歩間違うと、足元すくわれる可能性があるかもしれないのですが。
それでも、サーゲイ・ブリンにとっては、グーグルも「今後20年間に達成したいと思っていることの中では一番低い到達点」なのだそうですから、また何かやらかしてくれるのかも。
グーグルのエッセンスを手軽にゲットできる1冊!

グーグル 10の黄金律 (PHP新書)
前文 グーグルの「本当の強み」とは
黄金律1 採用は全委員で
黄金律2 あらゆる必要を満たせ
黄金律3 一力所に詰め込め
黄金律4 調整が容易な環境を
黄金律5 自社製品を使わせろ
黄金律6 創造性を奨励せよ
黄金律7 合意の形成に努めろ
黄金律8 邪悪になるな
黄金律9 データが判断をもたらす
黄金律10 効果的なコミュニケーションを
【関連記事】
意外と知られていない「グーグル時代の情報整理術」のテクニック10選(2009年12月26日)「Google誕生」デビッド ヴァイス(著)(2006年08月04日)
「ザ・サーチ」 ジョン・バッテル (著) ・・・続き(2006年01月15日)
【Google】「非公認Googleの入社試験」他、グーグル本について(2008年08月07日)
「グーグルのすごい考え方」二村高史 (著)(2006年09月29日)
【編集後記】
◆今月のPHPビジネス新書のラインナップはかなり充実してます。
35歳からの「脱・頑張(がんば)り」仕事術 (PHPビジネス新書)

コンサルティングとは何か (PHPビジネス新書)

「本物の営業マン」の話をしよう (PHPビジネス新書)

アジアビジネスで成功する25の視点 (PHPビジネス新書)

“捨てる”勉強法 (PHPビジネス新書)
うーん、でも結構読む本、溜まってるんですよねぇ…。

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