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2011年04月24日

これは凄い!『上達の技術』を便利にする7つのツール


上達の技術 一直線にうまくなるための極意 (サイエンス・アイ新書)
上達の技術 一直線にうまくなるための極意 (サイエンス・アイ新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、イチロー選手他、成功したスポーツ選手の分析本等で知られる児玉光雄先生の最新作。

私は日頃、ビジネス書の棚しか見ないので知らなかったのですが、児玉先生「脳ドリル」みたいな本も出されていたんですね。

本書もスポーツだけでなく、勉強や仕事の「上達」にも関係する内容。

ご自分の努力を無駄に終わらせたくない方なら、一読の価値アリ!

なお、タイトルは久しぶりに「ホッテントリメーカー」作でございます(ポイントが7つあるので紛らわしいのですが)。


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【ポイント】

■1.高度な技の維持には反復練習が欠かせない
イチロー選手でも、毎日バットを握って練習を反復しなければ精度は落ちてしまいます。最近の理化学研究所の実験では、大まかなスイングの記憶は大脳皮質に分散して記憶される「長期記憶」に残りますが、細かい技は長期記憶に定着しにくく、日々鍛練しないと定着しないことがわかっています。「極限までバットコントロールを高める」というイチロー選手の意欲と毎日の練習が、超精密なバットコントロールを支えているのです。


■2.「力」「空間」「時間」をどこまでも高度に調整する
身体のコントロールには、おもに3つの要素があります。それらは、

(1)力の調整(力をどこでどれくらい発揮すればよいか)
(2)空間の調整(身体のどの部分の筋肉を使えばよいか)
(3)時間の調整(どのタイミングでどの技を発揮すればよいか)

の3つです。この3つの要素がうまく噛み合わさって初めて、すまらしいパフォーマンスを発揮できるのです。


■3.初心者は「分習法」で、上級者は「全習法」で練習する
 上達速度は、練習形態で変化します。まず「練習密度」です。連続して練習する「集中練習」か、休憩を挟んで練習する「分散練習」かです。一般的には、「集中練習と分散練習を比較した場合、練習中は集中練習に比べて分散練習のほうが成績はよくなる(これを分散効果という)」といわれます。(中略)

 練習形態にはもう1つあります。「全習法」「分習法」です。たとえば、ある運動課題を3つの部分(1)(2)(3)に分け、まず(1)だけ、次に(2)だけ、最後に(3)だけを個別にするのが分習法です。そして、それぞれがある水準にまで高まったあと、(1)(2)(3)を統合して行う練習が全習法です。(中略)

前述の荒木氏は、「初心者には分習法がよく、学習者の技能水準が高いほど全習法が効果的である」と結論づけています。そして、「集中練習のときは分習法が、分散練習のときには全習法が効果的」とも述べています。(詳細は本書を)


■4.スポーツビジョンを高める方法
 具体的なトレーニング方法としては、目の前に人差し指を立てて、遠くの対象物(たとえば雲や山など)と人差し指に、1秒間隔で視線を移動させるだけです。これで、この能力を簡単に鍛えられるのです。これらのトレーニングは、特に球技をしているアスリートに不可欠です。なぜなら、常にボールに焦点を合わせる能力が目に求められるからです。


■5.目標は「行動目標」+「具体的な数字」で
目標には大きく分けて「結果目標」「行動目標」があります。たとえば「全国大会出場」というのは、典型的な結果目標です。(中略)

自己最高記録の更新という他者に左右されず、自分の能力を向上させる行動目標のほうが、順位は納得できなくても、モチベーションを上げやすいのです。さらにいえば、目標とする記録は、具体的な数字がいいでしょう。水泳の選手なら「できるだけ速く泳ぐ」という漠然とした目標ではなく、「今月末までにlOOm平泳ぎを1分3秒以内で泳ぐ」というような感じです。


■6.目標レベルは「+10%」か「達成率6割」に
 小学生の「立ち幅跳び」の実験を紹介します。この実験では小学生に立ち幅跳びを2回行わせました。(中略)

 もっとも記録を伸ばしたのは、1回目よりも10%だけ高い目標を設定したCグループでした。「10%記録を伸ばす」という目標は、けっこう使えるのです。(中略)

 もう1つ紹介しましょう。
 ハーバード大学のデビッド・マクルランド博士は、「輪投げ」で実験しました。(中略)

 その結果、もっとも真剣に輪投げに取り組んだのは、5回の輪投げのうち3回的に入るような距離に的を置いたグループだったのです。「達成確率6割」という目標は、私たちを真剣にさせてくれるのです。


■7.「楽観的」は「能天気」とは違う
 同じ努力をしても、「悲観的な人」は成功できません。逆に、少々才能に恵まれなくても「楽観的な人」はどんどん進歩していけます。
 しかし、多くの人々が「楽観的」の本当の意味を見誤っています。(中略)

 私がいう「楽観的」とは、「よくない状況をありのままにとらえ、そこから見事に脱出する具体策を考えること」です。逆境でも冷静に状況を判断して打開策を考えることこそ、楽観的な考え方なのです。


【感想】

◆冒頭で「勉強や仕事にも関係ある内容」と書いておきながら、ポイントではゴソっと割愛してしまいスイマセン。

下記目次にある「第5章 記憶の達人になる技術」あたりは、「ワーキングメモリ」ですとか「手続き記憶」ですとか、普通に勉強本のご紹介だったらサクっと取り上げているであろう内容なのですが、なまじ私が勉強本を読み漁っていて「目からウロコ」というほどでもないので後回しに。

「覚えたいことは、10分後、6時間後、24時間後の3回反復する」なんて、結構使えそうなテクニックなんですけどね。

同様に、「第4章 集中力を高める技術」も割愛してしまったのですが、そもそもこのページ数で扱うには、範囲が広すぎるような。

結果、今まであまり取り上げたことのない内容を上記で挙げた次第です。


◆もっとも範囲が広い分、捨てネタがほとんどないのが本書の特徴。

各章とも、かなり濃い内容が手際よくまとめられています。

また、概念的な話だけでなく、具体的なチェック方法やトレーニング方法等のハック系のコンテンツが多いのはポイント高し!

さらに言うなら、図解本としても単なるポンチ図が少なく、理解を促すのに必要な図や、グラフ・表が中心なのもありがたいです。

とは言え、相変わらず「サイエンス・アイ新書」のフルカラーは、オーバースペックだと思いますがw


◆実は、最初に本書を見た時、タイトルが似ているこの本の図解本なのかと思いました。

上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)
上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)

参考記事:「上達の法則」岡本浩一(2006年10月02日)

この本は、「上達」という抽象的な概念を、うまく「言語化」している点で、かなり良かったです。

一方、今回ご紹介した児玉先生の作品は、厳密には「上達」だけではありませんが、その周辺情報を含めて、「数値化」している、という感じ。

すぐに実践できる、という意味での「テクニカルな落とし込み」としては、むしろ本書の方が上だと思います。


◆さて、自分自身はめっきり運動していない私ですが、二人の子どもはそういうわけには参りません。

本書には、子どもがスポーツ好きになるための秘訣が書かれていました。

サックリご紹介しておくと、「スポーツがうまくなったと実感できたり、ほめられたりするとスポーツが好きになる」のだそう。

そしてこれは大人の「仕事」でも同じで、「能力が身に付いていく実感」が得られれば、仕事にのめり込めるのだとか。

「よ〜し、パパ、頑張っちゃうぞ〜!」←今さら


広い意味での「スキルアップ」が望める1冊!

上達の技術 一直線にうまくなるための極意 (サイエンス・アイ新書)
上達の技術 一直線にうまくなるための極意 (サイエンス・アイ新書)
第1章 最高の実力をだす技術

第2章 結果をだせる練習の技術

第3章 勝負強くなる技術

第4章 集中力を高める技術

第5章 記憶の達人になる技術

第6章 高いやる気を発揮する技術

第7章 打たれ強くなる技術

第8章 創造力を発揮する技術


【関連記事】

「上達の法則」岡本浩一(2006年10月02日)

「プロ脳」児玉 光雄 (著)(2006年05月06日)

★「ガーフィールド博士の最高の自分を引き出す方法」 児玉光雄 (著)(2005年11月17日)

【平常心】「平常心の鍛え方」6つのヒント(2009年11月02日)

【スゴ本】「最強の集中術」はキテます!(2008年04月02日)


【編集後記】

◆こちらは、金曜日の話題を独占したあのアニメをサクっと理解できる1冊。

オトナアニメVol.20 (洋泉社MOOK)
オトナアニメVol.20 (洋泉社MOOK)

私も木曜深夜の放送に備えて読んでおりました。


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