2011年04月18日
【成功者のヒミツ】『敗者の錯覚―あなたの努力が実らない40の理由』鈴木信行
敗者の錯覚―あなたの努力が実らない40の理由
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、成功するための「経営のエッセンス」が詰まった1冊。著者の鈴木信行さんは、現在『日経ビジネス』の副編集長であり、本書は前職の『日経トップリーダー』で連載していたものを大幅に加筆・修正し、再構成したものになります。
仕事で数多くの成功者の話を聞いた鈴木さんは、「成功者の多くは、仕事から日常生活まで、私たちとは異なる思考で行動している」という事が分かったのだそう。
本書ではその「違い」を40にまとめて、コンパクトに列挙。
経営者のみならず、ビジネスパーソンでも当てはまる「成功法則」が知りたい方なら必読です!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.「ギリギリまで考える」と「ギリギリになって考える」とは違う平凡な経営者の正解率が低いのは、往々にして、考え始めるのが遅いからだ。期限ギリギリになって検討を開始し、期限ギリギリになって結論を出す。
短い時間では、頭の中で十分なシミュレーションができないから、自信を持って判断が下せない。思考の深みが少ないから、問違える確率も高い。
一方、伸びる会社の経営者は、課題を見つけた時点から、すぐに考え始める。
そのうえ、早い段階で考えをまとめて、期限が先の案件でもどんどん決断を下して行く。
■2.現場に行くだけでは「現場主義」にはならない
成果を上げる経営者は、現場で見つけた問題に対して直ちに対策を打ち出すが、成果を上げられない経営者は、現場に行くだけで満足し、問題の発見どころか、「現場に通う数を増やせば、自然と会社が良くなる」と安心している。(中略)
仕事とは、何かを調べたうえで実行することである。対策および決断の伴わない現場視察や会議は、仕事ではなく、趣味に過ぎない。
現場に行くことが目的化するくらいなら、経営者には他にもやるべきことがあるはずだ。
■3.「悩んでも仕方がないこと」は悩まない
名経営者は、「起きる可能性が高く、なおかつ対策が可能な問題」については悩むが、「起きる可能性が低い問題」や「対策が不可能な問題」にはあまり悩まない。「めったに起こらないこと」に気をもんでも杞憂に終わるし、「対策のしようがないこと」を考えても無駄だからだ。
一方、平凡な経営者は、「悩んでも仕方がないこと」ほど心配し、眠れぬ夜を過ごす。
■4.「大体できた」を積み重ねてもゴールにはたどり着けない
最大限の努力をしても結果が出るとは限らないが、ほんのわずかでも妥協をすれば確実に目標が遠ざかるのが競争の世界なのだ。
名経営者は、この"妥協の怖さ"をよく知っている。だから、彼らの多くはどんなことでも「最後までやり切ること」「取りこぼしをしないこと」にこだわるのだ。
■5.すぐ「検討」するのではなく、すぐ「検証」する
検討とは「あれこれ調べ考えること」。それに対して、検証とは「行動を起こし事実を確認すること」だ。経営者は「すぐ検討」ではなく「すぐ検証」しなければならない。
相手より早く動く。それが、企業の大小を問わず、グローバル経済で生き残るための数少ない「勝利の鉄則」なのだ。
■6.正しい決断は、結論を導き出す論理がシンプル
自分が下した判断が正解だったかどうかは、当然のことながら、後になってからでないと分からない。
ただ、最初から的を射ている決断には、往々にして、1つの共通点がある。結論を導き出す論理が極めてシンプルであることだ。(中略)
ある経営者は、次のように言った。
「重要な決断を下すときは、結論に至るまでの理屈が、小学生でも理解できるくらい単純化できるか、口に出して確認してみるといい。それができないなら、事態の本質をとらえていない証拠。そういう判断は見送ったほうがいい」
■7.上司は嫌われてもいいが、がっかりされたらおしまい
上司にとって致命的なのは、部下から「嫌われること」ではなく、「がっかりされること」だ。
人間は、ちよっとしたことで一度嫌った人間を再び好きになるが、一度がっかりさせられた相手を簡単に見直すことはできない。
本田宗一郎氏も、松下幸之助氏も、多くの部下をしかり、時には嫌われた。しかし、部下から「がっかりされたこと」は一度もない。
【感想】
◆経営者以外の方が書かれた経営本というのは、通常の経営本とちょっと違ったりします。その特徴としては、まず事例にできる会社の対象が多いということ。
これは自社に限る必要がないため、当たり前と言えば当たり前。
鈴木さんの場合は『日経トップリーダー』という、読者層が一般の雑誌とちょっと違う(オーナー経営者向け)雑誌出身のため、おそらくかなり多くの経営者の方に話を聞かれていると思います。
だいたい、『日経トップリーダー』って、雑誌なのに1冊1200円とかなんですよ!?
その分、普通のビジネス雑誌では目にしないようなレアな会社も取材しているようですが。
◆ただし、その割には本書に収録されている「40の理由」自体は、意外とオーソドックス。
上記ポイントのほか、下記目次にも一部収録しましたが(アマゾンの目次ページにはすべて収録)、「それは初耳」とか「それは違うでしょう」といった感じのものはほとんどありませんでした。
これは、それぞれの論点について、フォーマットの関係上で見開きの2ページでまとめ上げる必要があるため、変化球的なモノはカットされたのではないか、と想像しているのですが、果たしてどうなのか。
もしくは、大量に抽出してから、重要なものを上から40並べたら、結果的に「王道的なもの」が多く残ったのかもしれません。
いずれにせよ、私は経営する会社もないのに、付箋をペタペタ貼りまくってしまったという……。
◆なお、本書は基本的には「経営本」なのですが、冒頭で触れたように、経営者ではない私たちにとっても、使えるネタは多々あります。
と言うか、上記に挙げた7つのポイントのうち、「経営者でないと関係ない」と言えるものはひとつもありません。
もちろん、本書には直接的に「会社運営」に関するものもあり、それらは確かに経営者専用かもしれませんが、それ以外の大部分は、「ビジネスパーソン」と読み替えても通用するもの。
その意味でも、本書が「経営書棚」に置かれてしまい、経営に興味のない方の目に触れないのだとしたら、ちょっと残念です。
◆一方、雑誌向けとはいえ、キチンと取材等をした過程において作られた本であるにもかかわらず、本書の事例には、具体的な社名や商品名、人名等は一切出てきません(上記の本田&松下両氏は例外)。
雑誌連載時からそうだったのかもしれないのですが、一般論として語る結果、余計な情報としてそぎ落とされたような感じです。
また、幅広い層に向けてなのか、各「理由」全部に「図解」が付されているのも、好き嫌いが分かれるところかも(私は「全部」はどうかと思ってます)。
もっとも、その分テキスト部分は濃縮されているので、短時間で多くの「気づき」は得られそうですが。
一般ビジネスパーソンでも使える「経営本」です!
敗者の錯覚―あなたの努力が実らない40の理由
●「なるべくやれ」という指示では結局、誰も動かない
●「ギリギリまで考える」と「ギリギリになって考える」は違う
●失敗の報告を聞いて「怒るだけ」は最悪
●「時代の先」が読める経営者などいない
●現場に行くだけでは「現場主義」にはならない
●心配している時間ほど無駄な時間はない
●顧客は囲い込めない顧客は引き寄せるしかない
●「自分の分身」ばかり育てると組織は弱くなる
●あれもこれもやると何一つ達成できない
●独創性より、まずは上手にまねできるようになる ほか
【関連記事】
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【編集後記】
◆今日の本の関連して「錯覚」つながりで。錯覚の科学
詳しくは成毛眞さんの解説をどうぞ。
ご声援ありがとうございました!
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