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2011年04月17日

【サバイバル】『見通しが立たない状況下で生き残る法』宗像恒次


見通しが立たない状況下で生き残る法
見通しが立たない状況下で生き残る法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、たまたまリアル書店で平積みされており、気になってゲットした1冊。

今回の震災関連の本として、POP付きでプッシュされていました。

アマゾンの内容紹介から。
イラク湾岸戦争、ペール大使館事件で人質となった人たちを絶望の淵から救った著者のアドバイス、サバイバル5か条とは?
この「サバイバル5か条」は、被災地の方のみならず、私たち皆が読んで備えておきたいものだな、と。


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【所感など】

◆上記でネタを振ってしまったものの、たまたま昨日の本で「ネタバレ禁止」とあった関係上、肝心の「サバイバル5か条」の中身については自重させて頂きます(スイマセン)。

さて、そもそも本書は、読者が海外で危機的な状況に遭遇した場合に備えたものではなく、年間3万人以上の自殺者が出るこの国において、死を選ぶことのないよう「ストレスからの処方箋」として書かれたもの。

確かに2008年のリーマンショック以後、景気が悪化したり、リストラが加速したりと、「先行き不安」によるストレスは増加の傾向にあります。

本書のプロローグに登場するのは、本書の著者である宗像先生のクライアントの男性。

この男性も職場で首切り対象となり、絶望して青木ヶ原樹海にまで踏み入れたものの、家族の声を携帯電話で聞いて、生きる希望を持ち直したのだそう。


◆宗像先生は、過去においてもこの男性のように「見通しが立たない状況」に追い込まれた人たちに接した経験がありました。

それが冒頭にもあった1990年の湾岸戦争です。
NHKから電話があった。メンタルヘルス・ケアを専門とする立場で、国際短波放送を通して人間の盾となっている人質たちに励ましのメッセージを送ってほしい、という要請だった。
 もとより断る理由がない。わたしは、積極的に協力を買って出た。
通常、カウンセリングや心理療法は、目の前にクライアントがいて、チェック項目に照らしてから行いますが、今回はそうしようがありません。

そこで宗像先生が「おおよそ該当するであろう問題のすべてをカバーできる」メッセージとして作り上げたのが「サバイバル5か条」です。


◆本書では、「サバイバル5か条」それぞれについて、内容説明ならびに、「医学的にどういう効果があるか」まで解説。

例えば第1条「決して●●を捨てない」(ネタバレ自重)は、こんな感じです。
 ドーパミンは、いうなれば快感物質であり、●●を持てば、すなわちドーパミンが分泌されれば、かりに見通しが立たないような状況下でも、なんとか日々を生き抜き、そして先行き生きていこうという気力につながる。
国際短波放送では、ここまで説明しているとは思えませんが、メッセージの裏にはキチンとした裏付けがあることがわかります。

第2条でもおなじように
 噛むのと同様、しゃべるのも咀嚼行動の一種である。この咀嚼によって、脳内で緊張物質としてはたらくノルアドレナリンが分泌するのを抑える効果がある。
 ノルアドレナリンは不安や恐怖と密接な関係がある神経伝達物質で、被害妄想やパニックを引き起こしかねない。
との記述が。

なるほど、シンプルなメッセージ(ネタばれ自重してますが)ながらも、医学的な効果があることがわかります。


◆さてこの「サバイバル5か条」ですが、湾岸戦争の際には、のちに無事に帰国した石油会社の社員さんから、「あの励ましのメッセージには助けられました」とお礼を言われたそう。

また、「サバイバル5か条」を英語に訳して紙に書いて壁に張り出しておいたところ、同じ施設にいたイギリス人やフランス人らの励みにもなり、別れのときに大いに感謝されたとか。

さらに、後に1996年から翌1997年にかけてペルーで起きた在ペルー日本大使公邸占拠事件でも依頼を受けて、「サバイバル5か条」を現地に送っています。

宗像先生はこうした経験を踏まえて、通常の生活下で「先行き不安」に悩む私たちに向けて、この本を2009年に出されたのですが、それが期せずして今回の震災による被災者の方にとっても、意義のあるものとなっているという。

また、現時点では直接的な被害を受けていない地域の方でも、一読しておくと、万が一の際に「生きる希望」につながるのではないでしょうか?

第2章以降では、宗像先生のお考えをより深く掘り下げているものの、個人的には第1章部分だけでも読む価値はあると思います。


◆ちなみにワタクシ事で恐縮ですが、まだ会社員だった頃に湾岸戦争があり、実はその人質となった中に、会社で同じ海外グループだった同期がいました。

一方、税理士試験の受験中に在ペルー日本大使公邸占拠事件が起きて、今度は、以前何度か飲みに行ったことのある隣の部の後輩が人質になっていたという。

私はたまたまこういう事情があって、両事件ともに他人事ではなかったのですが、双方ともに関係した宗像先生の、まさにそのテーマである本書に出会えたのも、感慨深いところです。


隠れた良書に、いま改めて脚光が!

見通しが立たない状況下で生き残る法
見通しが立たない状況下で生き残る法
プロローグ

第1章 サバイバル5か条

第2章 自己報酬追求型中心の生き方へ

第3章 愛の見通し


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【ストレス耐性】「凹まない人の秘密」アル・シーバート(著) 林田レジリ浩文(翻訳)(2008年04月24日)

【メモ】「インビクタス〜負けざる者たち」を読みました!(2010年03月01日)


【編集後記】

◆在ペルー日本大使公邸占拠事件では、大使館に招待されていたにもかかわらず、某商社の方々は人質にならなかったのだとか。

その社に諜報機関でもあったのかと思いきや、私の元いた会社の消息筋(?)によると、パーティに豪快に遅刻したため一難を免れたのだそう。

切込隊長が「それ見たことか」と言わんばかりの裏情報ですね……。


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