2011年04月13日
もしものときのための『ウォールストリート・ジャーナル式図解表現のルール』6選
ウォールストリート・ジャーナル式図解表現のルール
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、個人的には大好物の「図解」に関する1冊。著者のドナ・M・ウォン女史は、20年以上にわたってインフォメーション・グラフィックの分野の第一線で活躍してきた方で、2001年からはウォールストリート・ジャーナルのグラフィック・デザイナーを務めてきたのだそう。
アマゾンの内容紹介から。
図表をうまく使いこなせるようになると、忙しい経営者や顧客にポイントを効率よく伝えられ、各段に説得力が上がるが、たいていの人は図表について体系的に学ぶ機会はない。本書は、ウォールストリート・ジャーナルの図表表現のディレクターとして活躍した著者が、世界標準の図表の技術を余すところなく紹介。図表づくりのノウハウ満載。私も今まで、知らず知らずにルールを破っていたものもありました(マジで)。
なお、今回のタイトルも「ホッテントリメーカー」作でございます。
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.背景情報なしで数字を提示してもあまり意味がないたとえば、「社員を200人採用する」といっても、ある会社では全社員にあたる1%を採用することかもしれませんし、ほかの会社では10%に相当する人数を採用することかもしれません。
つまり、背景情報なしで数字を提示しても、あまり意味がありません。たとえば、「10%の増加」といっても、どの数字からどの数字へ変化したのかがわからないと、意味がないのです。
■2.図表で使う文字の読みやすさのルール(抜粋)
・行間は、フォントサイズよりも約2ポイント大きいものを使うと読みやすくなります。たとえば、10ボイントの文字のときは、12ボイントの行間が適正です。
・セリフ体やサンセリフ体など、フォントはシンプルなものを使いましょう。
・太字やイタリックは強調したいときにだけ使い、これら2つを同時に使うことは避けましょう。
・英語はすべて大文字にすると読みにくくなるので避けましょう。
■3.文字の色は黒を使う
黒はー番コントラストが強い色です。薄く明るい色の背景に、黒を使うのが一番読みやすく、効果的です。色のついた文字は読みにくいので、できるだけ使わないようにしましょう。デザイン上の理由で濃い色の背景を使う場合は、色のついた文字ではなく、白い文宇を使います。
■4.線グラフの折れ線部分は2/3に
線グラフの中で「折れ線」が占める範囲は、グラフ全体のだいたい3分の2くらいに設定しましょう。
また、線グラフの「目盛」は、折れ線が動く範囲だけでなく、比較できるように参照値も含むように設定します。それによって、適切な範囲になり、グラフの妥当性もチェックできるようになります。
たとえば、株価を示す線グラフであれば、52週間(1年間)の高値と安値が入るように「目盛」を設定するのが適正といえます。
■5.線グラフの折れ線は4つ以下
1つの線グラフでは、折れ線の数は3つか、多くても4つまでにとどめましょう。
3つか4つのデータであれぱ、それぞれの違いがはっきりとわかる線グラフになります。
線グラフの目的は、異なるデータを比較・対照することです。そのため、たくさんの折れ線が交差してそれぞれの線が読みにくい線グラフは、全体像をつかみづらいうえ、本来の目的からそれたものになってしまいます。
■6.縦棒グラフは3次元にしない
3次元の縦棒グラフは、もっとも悪い例です。縦棒グラフの柱が示す最上部がどこかはっきりわからないので、読み手を混乱させてしまうからです。
また、3次元にしてもわかりにくくなるだけで、なんの付加情報もありません。
■7.円グラフは大きなセグメントを上に並べる
円グラフの読み方は、時計の読み方に似ています。私たちは通常、12時の位置からスタートして、右から左へと時計回りに読んでいきます。
そのため、一番大きなセグメントを12時の線の右側に配置し、その重要性を強調すると、もっとも効果的です。
そして、2番目に大きいセグメントを12時の線の左側に、それ以外のセグメントは大きい順に反時計回りに配置していくのが、もっともよい方法です。
そのように配置すれば、ー番小さいセグメントは、円グラフでもっとも目立たない下のほうの位置にくるからです。
【感想】
◆本書は図解の解説本だけあって、基本的に個々の内容ごとにほとんどすべてと言ってといいほど図やグラフ、表が添付されています。それを上記のように、すべてテキストで抜き出して、どれくらいご理解頂けたことか。
例えば6番目の「3次元の縦棒グラフ」とはこういうものを言います。
確かにそれぞれの棒グラフの高低の比較はできますが、言われてみれば具体的な最上部が分かりにくいですね。
今まで何の疑問もなく3次元にしていた漏れ涙目の巻……。
◆同様に、7番目の円グラフのお話のセグメントの並べ方も、こういう風になります。
まずは、一番大きいセグメントで右からスタートさせて、2番目に大きいセグメントは、その次でなく、順番的には一番最後である左端(と言うのか?)に設置。
以降、左から時計と逆回りに3番目、4番目と並べます。
普通に大きい順に並べると、(このグラフで言う)3番目、4番目という小さなセグメントが真上付近に位置してしまうので、良くないという。
いえ、今まで何も考えずに大きい順に並べてたんですが!
ちなみに、すべてのセグメントの値が近い場合にはそうする必要はなく、通常の大きい順で良いとのこと。
◆また、本書は基本的には二色刷りなものの、色の使い方の部分では、しっかりフルカラーになっていますので、ご安心を。
もっとも、出来上がった資料をコピーして配布することを考えると、むしろ、白黒にしても区別がつく「色の濃淡」を組み合わせることも考えたいもの。
また、色の濃淡があれば、色覚障害の方でも見分けがつく、という利点もあるのだそう。
さすがウォールストリート・ジャーナル式!(違う?)
◆今回は、私たちにとってなじみの深いグラフ関係を中心にご紹介しましたが、本書の第3章では、統計や図表作成に役立つ計算のについての解説もあります。
「10%と14%の平均は12%である」と思った方はご一読を(元の数値に戻らなければならないので、これだけでは平均は分かりません)。
私自身は、今現在図表を駆使して作る資料はないのですが、実際にお仕事でこういった図表やグラフを活用されている方は、一通り目を通しておくと良いと思われるコンテンツが多々。
会議やプレゼンで、ひと味違う資料を作りたいなら要チェックです。
『マッキンゼー流 図解の技術』の著者・ジーン・ゼラズニー氏も絶賛!
ウォールストリート・ジャーナル式図解表現のルール
訳者まえがき
Prologue ~はじめに~
Chapter1 読み手にとってわかりやすい図表とは
Chapter2 データを正しく表現する図表のつくり方
Chapter3 図表に必要な統計とマーケットの知識
Chapter4 図表作成で発生する問題の解決方法
Chapter5 プロジェクト管理に役立つ図表
Epilogue ~まとめ~
著者あとがき
【関連記事】
【図】「図で考えるとすべてまとまる」村井瑞枝(2009年09月13日)【88のワザ】「図解力の基本 ちょっとしたコツだけど、だれも教えてくれない88のテクニック」山田雅夫(2010年07月12日)
【図解化】『「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力』板橋 悟(2009年05月31日)
【オススメ】「超ビジュアルシンキング」ダン・ローム(2009年05月25日)
【仕事術】『「見える化」仕事術』石川和幸(2008年12月23日)
【編集後記】
◆伊・インテルで活躍中の長友佑都選手の本がいよいよ登場!日本男児
なお、この本も長谷部誠選手の本同様、印税は全額寄付とのことです。
長友、自叙伝「日本男児」…被災者支援へ印税全額寄付:その他:サッカー:スポーツ報知
これも買わねば。
ご声援ありがとうございました!
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