2011年04月12日
【ライティング】『入門 考える技術・書く技術』山崎康司
入門 考える技術・書く技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の未読本関係の記事で取り上げた、ライティングに関する1冊。出たばかりなのに重版確実で、都内某大型書店でも出足好調のよう。
アマゾンの内容紹介から。
著者の20年にわたる指導経験を生かし、主語や接続詞など、日本語ならではのポイントをきめ細かくフォロー。 ビジネス文書、eメールの書き方まで、すぐに使えるノウハウ満載。 1995年以来売れ続けるバーバラ・ミントの定番書 『考える技術・書く技術』の副読本としてもGOOD。合言葉は「感謝の言葉にPDF」ですよ?!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.書くことを決めるのは書き手ではなく読み手ビジネス文書では、何について書くのかを決めるのは、あなたではありません。それは読み手です。あなたは読み手の知りたいことを、読み手の関心に向かって書くのです。読み手は忙しいのですから、自分に関係のないあなたの関心事や思いつきに付き合っている暇はありません。
■2.読み手が複数でもターゲットを絞る
読み手を絞らないまま漠然と書いても、誰一人説得することはできません。複数の読み手が存在する場合には、漠然と書くのではなく、ターゲットとする読み手を具体的に設定してください。
では、誰をターゲットとすればよいのでしょうか。たとえば、最も役職の高い人か、役職とは関係なく実質的な影響力を持っているキーパーソンか、平均的な知識を持っている人か、最も知識が浅い人か、などです。大切なのは「読み手が誰か」を考えることです。
■3.読み手の疑問を明らかにする「OPQ分析」
●O: Objective (望ましい状況)
「O」とは、読み手が目指している望ましい状況(Objective)です。
●P: Problem (問題、すなわち現状とObjectiveとのギャップ)
「P」とは、現状と「O」(望ましい状況)のギャップ、すなわち解決すべき問題(Problem)のことです。いわゆる「困った状況」のみを指しているのではありません。
●Q: Question (読み手の疑問)
「Q」とは、問題「P」に直面した読み手が、その解決に向けて自然に抱くだろう疑問(Question)のことです。
●A: Answer (答え/文書の主メッセージ)
読み手の疑問「Q」に対する答え(A:Answer)が、そのまま文書の主メッセージとなります。大切なのは、「Q」に忠実に答えることです。ここでいきなり、OPQの流れを無視するような答えを提示しないよう注意してください。
■4.関係性が不明瞭な「しりてが接続詞」は使用を控える
私はこれら論理的な関係が明快でない接続詞をすべてひっくるめて、「しりてが」接続詞と称しています。たとえば、このようなものです。
「……し、……」
「……であり、……」
「……して、……」(中略)
しりてが接続詞はあまりにも日本語の一部として溶け込んでいるので、一切使用しないというのはほぽ不可能に近いでしょう。ただ、少なくとも考えを表現したり、考えを組み立てたりする作業においては使わないでください。
■5.論理的な関係を明らかにする「ロジカル接続詞」を使う
例:「この部署は若者がおらず、元気がない」(原文)(中略)
もし因果関係を意識して2つの文を接続するのであれば、たとえばこうすべきです。
例:「この部署は若者がいないために、元気がない」(中略)
このように論理関係を明確にしてくれる接続詞が「ロジカル接続詞」です。因果関係だけでなく、時間の流れを明らかにするもの(「……する前に」など)、対照・対比をはっきりさせるもの(「……である一方」など)、目的を表すもの(「……するために」など)など、「ロジカル接続詞にはいろいろあります。詳しくは118ページの表にまとめましたので、状況に応じて使い分けてください。
■6.メールが見違えるように変わる「感謝の言葉にPDF」
(メールは)いつもよりもさらに「簡潔にわかりやすく」を心がけるということです。では、具体的にどうするか。メールが見違えるように向上する秘策が「感謝の言葉にPDF」という合言葉です。本章の最後に実践者の声を紹介しますが、すぐに効果が出る非常に実践的なフォーマットです。(中略)
ある外資系医療機器企業ではこんな声が聞かれました。
「ある日を境に、突然部下のメールが変わったんです。ダラダラ・メールが見違えるようにわかりやすくなりました。不思議に思って尋ねたところ、「感謝の言葉にPDF」を教えてもらったという説明でした」(詳細は本書を)
【感想】
◆一番最後の「感謝の言葉にPDF」については、当初具体的に書きかけたのですが、これをズバリ書いてしまったら、完全なネタバレではないかと思い、結局自重。ググってみても誰も書いていないようですし、今回はご勘弁を。
念のためにちょっとだけお教えしておくと後半の「PDF」というのは、一般的な意味での「PDF」(Adobeのフォーマットの)ではなく、何かの頭文字です。
想像して当てられるであろう「D=Detail」はいいんですが、多分前後の「P」「F」は普通は無理のような(かなりのこじつけ?)。
いずれにせよ、1日最低数通は書くであろうメールで、この「感謝の言葉にPDF」を実践すれば、1週間も経たずに周囲の人がびっくりするほど簡潔で分かりやすいメールが身につくとのことです。
◆さて、本書の元となっているのは、もちろんあのバーバラ・ミント女史の『考える技術・書く技術』です。
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
そして本書の著者の山崎康司さんは、この本の翻訳を担当し、初版からほぼ四半世紀にわたって「ピラミッド原則」の普及に取り組んでこられた方。
しかし、日本語の約8割には主語がなかったり、上記の「しりてが接続詞」 のような問題があるため、「日本人による日本人のための実践ガイド」として書かれたのが本書です。
もちろん本書でも、豊富な具体例と図解で「ピラミッド原則」について詳しく解説しているのですが、図解部分をテキスト化してもかえって分かりにくいため、上記では割愛。
これは、帰納法と演繹法がミックスしたパターンです(相変わらず見ずらくてスイマセン)。
◆また、上記ポイントでも指摘されていた「しりてが接続詞」には、日頃からできるだけ気をつけたいもの。
自分の過去のエントリを見ても、結構「しりてが接続詞」で文章を繋げまくっており、ブロガーとして非常に恥ずかしい限りです。
……って、この「おり」も「しりてが」ですね(「繋げまくっているため」とすべきか)。
実際の文章で「しりてが接続詞」を全く使用しない、というのはほぼ不可能なものの、少なくとも考えを組み立てる作業においては、私も「原則禁止」で頑張ってみたいな、と。
◆実は私は、ミント女子バージョンの『考える技術・書く技術』は、買ったきり積読状態でおりました(現在行方不明)。
しかし、今回の『入門 考える技術・書く技術』は、非常に読みやすく、内容的にも深く納得。
とりあえずは、メールで「感謝の言葉にPDF」を実践してみる所存です。
今まで私のメールは、ダラダラ長文(ってブログと同じだ)で知られていたのですが、知人の皆様におかれましては、今後にご期待を。
期待にたがわぬ良書でした!
入門 考える技術・書く技術
◆序章 誤解だらけのライティング――日本人がロジカル表現を苦手とする本当の理由
◆1章 読み手の関心を呼び起こす――OPQ分析で読み手の疑問を明らかにする
◆2章 考えを形にする――メッセージを絞り、グループ化する「ピラミッドの基本」
◆3章 ピラミッドを作る――ロジックを展開する、チェックする
◆4章 文書で表現する――導入から結びまで、気をつけるべきポイント
◆終章 メール劇的向上術――毎日のメールでピラミッドが身につく一石二鳥作戦
◆巻末付録 ピラミッドの基本パターン
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【文章術】『【決定版】成川式 文章の書き方 』に学ぶ文章術の7つのポイント(2010年08月22日)
【編集後記】
◆ちょっと気になる本。すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術
「どんな分野の情報も紙1枚にまとめてしまうための7つのフォーマット」とはいかなるものなのか??
ご声援ありがとうございました!
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