2011年04月08日
【勉強法】『実力大競争時代の「超」勉強法』野口悠紀雄
実力大競争時代の「超」勉強法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、御大・野口悠紀雄先生による、これからの時代に向けての勉強本。帯に「日本人が何もしなくても生きていける時代は終わった!」とあるように、現在私たちが置かれた危機的な状態について、ページを割いて丹念に解説されています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
日本の少なからぬ企業が外国人を幹部候補生に採用し始め、会社の公用語を英語にし、日本人従業員にも英語力を求めるようになった。日本企業はようやく、日本人の質に問題があることに気づき、それに対処する方法を見出したようだ。野口先生が勉強することを推奨するのは、英語と「あの科目」でした!
この傾向は、これから加速する。あと何年かすれば、2011年は日本企業が採用戦略を日本人から外国人に大転換した年だったと記憶されるだろう。
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.英語が必須の道具になるたとえば、「日本語は話せるが、英語は話せない中国人」と、「日本語は話せないが、英語は話せる中国人」を比べれば、後者のほうが圧倒的に数が多い。したがって、能力の高い人間の数も多い。だから、優秀な人間をとれる。そして、会社は発展する。これは、英語が共通語になっている現代の世界では、当然の結果である。「外資系に行くつもりはないから、英語は自分には関係ない」と思っている人がいるとすれば、とんでもない思い違いだ。
■2.勉強で獲得すべきは、伝達力と問題の発見・解決力
抽象象的に言えば、勉強によって獲得すべきは、つぎの二つだ。
第一は、伝達能力の習得だ。最低限、日本語と英語が必要になる。しかし、それだけでは不十分で、数学も必要だ。たとえばファイナンス理論は、数学抜きでは、理解することもできないし、現実の問題に応用することもできない。
第二は、問題の発見と解決の能力である。
「問題の発見」自体が重要であることを強調したい。学校の勉強との最大の違いは、「問題は何か」を捉えることなのである。「指示待ち人間」ではだめで、「何が問題か」を把握し、「どの方向に進むか。何をやればよいのか」を明確にすることが必要なのだ。
■3.ビジネス英語が1500語でできない理由
確かに、自分の意思を一方的に伝えるだけなら、1500語だけでも不可能ではない。しかし、ビジネスで英語を使う場合、こちらから一方的に伝えるだけでは完結しない。まず、質問や反論が返ってくるだろう。その場合、相手に「1500語以内で話してください」と頼むことはできない。
■4.英語を電車の中で2年間聞く
まず、英語のリスニング訓練は、自分1人でできる。教材も自分で作れる。英会話学校に通ったり、個人教師について勉強する必要はない。また、市販の高価な教材を買う必要もない。というより、自分用の教材を作り、1人で勉強するほうがはるかに効率的なのだ。(中略)
では、何を教材とすればよいか? 興味がある分野のニュース解説をiPhoneを使って聞くのが、一番よい。私はFEN(アメリカ軍極東放送)のニュース解説を録音して電車のなかで聞いたが、いまではインターネット上に良質で無料の音源をいくらでも見出すことができる。最近の映画なら、DVDに英語の字幕があるから、それで日常会話を勉強するのもよい。
■5.数学は武器になる
数学は実は武器なのだ。それをマスターしていれば、他人より有利な立場に立てる。たとえば、あなたが法律や経済の訓練を受けており、そのうえに数学も使えるのであれば、非常に有利な立場に立てる。それならば、なぜ勉強しないのか?
「これまで数学を勉強しなくとも、問題は起きなかった」とあなたは言う。確かにそうかもしれない。しかし、数学は武器であり、それをマスターすることであなたがより強くなるのなら、勉強しなければ損なのではないか?
■6.敵と考えるのか、味方と考えるのかで大きな違いとなる
「先端金融、PC、英語、数学は、敵なのか味方なのか?」「私はその側にいるのか、それとも反対側にいるのか?」という認識の違いは、きわめて重要である。「味方だ」と考えて勉強すれば、ますます強い味方になってくれる。しかし、「敵だ」と考えて排斥しようとすれば、どんどん離れていく。そしてこれは、勉強に関するすべての事項について言えることである。
■7.重要なのは比較優位であり、それに特化する
仮にあなたが子供の世話に相対優位を持っているなら、それを専門にする。そして、キャリアウーマンに対して、「ご自分でお子さんの世話をするより、私に任せ、あなたはご自分のお仕事に専念するほうがよいですよ」と売り込む。あるいは、掃除に相対優位があるなら、それを専門にする、等々だ。(中略)
また、「徒競走ではビリでも工作は誰よりもうまい。だから、工作を専門にすべきた」という「適材適所」の考えも、(一見もっともらしく思えるが)間違いだ。重要なのは、「走ることと工作のうまさの相対的な優位性」なのである。
【感想】
◆まず確認しておきたいのが、本書は社会人向けの「広義の意味での勉強本」である、ということ。具体的な資格を取るための勉強本ではないですし、英語について多くを述べてはいるものの、特にTOEIC等の試験をを推奨しているわけでもありません。
その代り、これからの時代においての英語の重要性については、かなり強調されています。
当ブログのように、今まで何冊か「英語公用語化」関連の本を紹介している身にすれば、ちょっとクドイくらいなんですが、野口先生もそれくらい大事なのだとお考えのよう。
◆さて、その英語の勉強法については、同じ野口先生の『「超」英語法』で、詳しく書かれているとのこと。
「超」英語法
ただ、この本自体が2004年3月発売のものであり、当時と今とでは、教材やサイト等が大きく変わっているハズ。
その補完の意味もあってか、本書の第4章では、いくつかのお薦めサイトや動画が紹介されています。
こちらは、その中の1つである、カリフォルニア大学バークレイ校での統計学の講義の模様。
「英語を」勉強するだけでなく「英語で」勉強すると、相乗効果もありそうです。
◆また、第5章ではリカードの比較優位のお話が。
本書では、表やグラフを用いて、分かりやすく解説されています。
「自分にはとりえがない」「何をやってもダメだ」とお考えになりがちな方には、この部分を是非お読み頂きたく。
その一方で、「絶対優位が重要」という観点から、スキルアップや努力を促す「世の啓発書」に対して、野口先生は批判的なスタンスです。
世の啓発書は、自分の本を売り込むために、「可能領域の拡大が容易でない」という事実を無視している。そして、拡大のための具体的な方法を示さずに、ただ「頑張れ」と言っているのである。いずれにせよ英語は頑張らねばいけないようですが。
◆結局のところ、本書は「戦術本」ではなくて「戦略本」なのだと思います
ゆえに、ネットを活用した英語の「戦術本」を併せて読めば、なお一層効果的ではないか、と。
Google英語勉強法 お金をかけずにネイティブから学べる
なお巻末には、まだ構想段階ではあるものの、「塾」を開くおつもりであることが明らかにされています。
こちらも、今後の展開が楽しみですね。
これからの時代を生き抜くために!
実力大競争時代の「超」勉強法
第1章 就職大競争時代が始まった
第2章 かつて勉強は学歴獲得の手段だった
第3章 シグナルから武器へ
第4章 英語と数学は、どんな仕事にも必要
第5章 求められるのは、ソルーション
第6章 勉強は楽しく、面白い
第7章 勉強社会が未来を開く
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【編集後記】
◆さっそく、その「ネットを活用した英語勉強」の本を。129円のマンツーマン英会話 スカイプ英語勉強法
レアジョブ代表取締役の加藤智久さんが出された英語勉強本です。
これも要チェックですね!
ご声援ありがとうございました!
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この記事へのコメント
レアジョブで勉強していますが、
この本は知りませんでした。
語学学習に効率を求めるのは間違っているかもしれませんが、なるべく良い方法で学んでいきたいですよね。
参考にさせていただきます。
ありがとうございました。
この本は知りませんでした。
語学学習に効率を求めるのは間違っているかもしれませんが、なるべく良い方法で学んでいきたいですよね。
参考にさせていただきます。
ありがとうございました。
Posted by http://myfl.net/ at 2013年11月08日 10:22
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