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2011年03月29日

【思考停止?】『売りたかったら客に考えさせるな! 思考停止ビジネス』坂口孝則


売りたかったら客に考えさせるな! 思考停止ビジネス
売りたかったら客に考えさせるな! 思考停止ビジネス


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ちょっぴりブラックな(?)ビジネスのからくりについて明かしている一冊。

自分がビジネスをやらなくとも、多くのヒット商品の裏に、こうした仕組みがあると分かるのは、防御の意味でも有難いところです。

アマゾンの内容紹介から。
ネット販売からテレビ通販、ショップ、訪問販売…モノが売れない時代だからこそいたるところで「思考停止ビジネス」が溢れている。客に「比較」「分析」「変更」「断る」をさせないためのキラーワード、心理戦術、広告宣伝、仕掛けを完全詳解。
「自分だけは」と思っていても、意外なビジネスもそうだったり……!?

追記:記事を書いた時点では知らなかったのですが、本日からアマゾンキャンペーンが行なわれてました!!

売りたかったら客に考えさせるな!『思考停止ビジネス』発売記念Amazonキャンペーン!


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【ポイント】

■1.とある経営者から聞いた話
 いいかい。多くの人たちは、お金がほしいって言うけどね、ほんとうにお金だけほしいんじゃない。やりたいことでお金を稼ごうって思う。汚くても、お金だけ稼ぐっていうことに、ほとんどの人は慣れていない。やりたいこととか、社会的に意味があるとか、そんなことを考えていたら、さほどお金は稼げない。
 ほんとうに稼ぎたかったらね、強い人たちや頭のいい人たちを相手にするんじゃない。弱い人たち、お金をあまり持っていない人たちを相手にするんだ。弱い人たちから、もっとお金をひっぱるのが一番だ。弱い人たちを、より弱くすることにコツがある。


■2.「コミットメントと一貫性」を用いた思考停止ビジネス
 たとえば、相手に対して「老後の暮らしにご関心がありますか?」「健康にご関心ありますよね?」というような、相手が「YES」と言ってしまいがちな、万人向けのハードルの低い質問をする。
 そこで「興味はあります」と答えたら、詳しい説明のパンフレットを取り出して説明を始めたり、あるいは「今度お宅にお伺いしていいですか?」と具体的なアポイントにつなげていく。
 一度、「はい」と答えてしまった手前、これをなかなか断ることができなくなってしまうからだ。「さっきは興味があったんですけど、やっぱり今の時点になって考えてみると興味がありません」と言える人がどれだけいるだろうか。おそらくほとんどいないだろう、と私は思う。


■3.「返報性」を用いた思考停止ビジネス
車の試乗をさせてもらう、営業マンからいろいろな解説をしてもらううと、「ここまでやってくれた人には、何かちょっとお返しをしないといけないな」と感じてしまう。(中略)

 ここで重要なのは、「お返しをしたくなる」といっても相手のことだけを考えているわけではないことだ。むしろ、この返報性とは、自分自身の心理的葛藤を解消するためにある。「一方的に便益を受けるのは気持ち悪い」――。できれば、その心理的なもやもやを解消するために、「買ってあげようかな」という気持ちになってしまう。ここに返報性の本質がある。


■4.セールスマンが長時間説明してくれるワケ
 先ほど、人は、セールスマンとやり取りした時間を無駄にしたくない意識が働くことについて述べた。逆に、セールスマンは相手が自分と触れ合う時間を、なるべく長くしようとする。家を買うときも、1時間や2時間の説明を受けることはザラだ。車の場合も数時間かけて説得される。この時間こそが、重要だからだ。
 そうすれば、それに付き合った消費者、あるいは潜在的購入者が、そのときに要した時間が長ければ長いほど、自分の行動を無駄にしたくない意思が必然的に生み出されてしまうからだ。


■5.客の「誤読」を誘う宣伝広告の手法
 たとえば、コラーゲンを摂取すると肌の老化を防ぐ、美肌効果があるという巷間に広まっている俗説がある。しかし、科学的にはこれは否定されており、分子の大きいコラーゲンは体内から摂取されにくい。
 そこで、コラーゲン配合ドリンクの広告では、「肌の老化を防ぐ」というストレートな表現は使えないため、「体が潤う」「肌もいきいき」といった、微妙な表現を使って、暗に消費者に対して「肌の老化を防ぐ効果がある」と誤読させる。水分だから「体が潤う」に間違いはない。肌がいきいきするかどうかは、本人の主観だし、そう感じる人もいるだろう。(中略)
しかし、意図的に誤解させているとすれば、やはりこれはレトリックと言わざるをえない。


■6.人は流行に乗っている人たちとのつながりを求めている
 商品そのものが欲しいというよりも、水嶋ヒロの小説を読むことで、なんらかの人たちがコミュニティとして動いている。このコミュニティに参加できるのではないかという願望抜きには語ることはできない。
 実際、インターネット上ではこの「KAGEROU」問題について、ものすごくたくさんのエントリーができた。そのエントリーに入るには、この本を読まねばならない。大騒ぎの渦のなかに入るには、この本の購入が必要になってくる。


■7.レーティングがますます重要になってくる
アマゾンであれ、楽天であれ、多くのネットショップで重要なのは他の購入者がどう考えたかというレビューやレーティングだと言われている。価格が最終決定要因ではない。他者がどう考えているかが決定要因なのである。(中略)

 先日、ネットショップを経営している人から聞いたところでは、他者の評価を表示できるようなシステムにしないと、売れるショッピングモールができないという。これは中国でも同じようで、たくさんの人が買いに来るところは、他者の評価が掲載されているところだという。


【感想】

◆お気づきの方も多いと思いますが、本書は、名著『影響力の武器』で紹介されているいくつかの法則が、そのまま登場しています。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

参考記事:【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)

そもそも、この『影響力の武器』に出てくる「カチッ・サー」というキーワード(テープレコーダーのスイッチを「カチッ」と押すと「サー」と音が出る)自体が、「思考停止」に他ならないワケで。

もっとも、事例が現在の日本でありがちなものになっている分、本書の方が分かりやすいかも。

少なくとも『影響力の武器』をまだお読みでない方にとっては、かなり「目からウロコ」な部分だと思います。


◆また、本書はそれだけではおさまらずに、第4章において「新しい形」の思考停止ビジネスを指摘。

その根底にあるのは「人とつながりたい」という欲望である、と。

詳細は本書を読んで頂くとして、"無料"携帯ゲームでのSNS機能や、共同購入クーポンは、分かりやすい例だと思います。

ただし、個人的には、上記ポイントにもある『KAGEROU』のヒットまでもが、「つながりを求める思考停止ビジネス」によるものか否かは判断できず。

私はてっきり、「芸能界引退後、即、処女小説で大賞受賞」という「話題性」や、影響力の武器で言うところの「権威」がヒットの要因かと思っていました。

……って、『KAGEROU』自体読んでないので、エラそうなことは言えないのですが。


◆ただ、ポイントの最後の「レーティングの重要性」については、私も日々感じています。

アマゾンのレビューの内容をそのまま鵜呑みにする方は、さすがに当ブログの読者さんには少ないと思いますが、それでも例えば、当ブログでご紹介した本のリンクをクリックして、アマゾンのページに飛んで、そこに★1つのレビューが1つあった場合、その本を買うことができるか、と言ったら結構難しいのではないでしょうか?

逆に、★が5つのレビューがいくつも並んでいたら、その本を買うことに対するハードルは、潜在意識的には低くなるハズです。

以前、こんな記事を書きましたが、そこまでレビューを掘り下げないとヤラセが分からないのなら、「良く分からないけどいいや」と思考停止っぽくなってしまうのも致し方ないかな、と。

参考記事:【amazon】私がアマゾンレビューを読む際に気をつけているいくつかのこと(2007年08月16日)


◆なお、本書のコンテンツとは直接関係ないものの、著者の坂口さん曰く「本書は、私のこれまでの本と同じく、感傷的で情緒的な文章となってしまった」とのこと。

確かに言われてみると、坂口さんの回想シーン等で、ビジネス書としては結構多めの心理描写等がありました。

橘玲さんの文体が好きな私としてはそれほど気になりませんでしたが、その部分だけを見ると「ロジカルな文章」とは違ったアプローチですので、気になる方もいらっしゃるかも。

そういう文体ゆえの分かりにくい部分があったとしても、それが読者の「思考停止」を防ぐためであったなら、坂口さんはなかなかの策士だと思いますがw


「思考停止ビジネス」にカモられないために!

売りたかったら客に考えさせるな! 思考停止ビジネス
売りたかったら客に考えさせるな! 思考停止ビジネス
第1章 客を思いのまま操る思考停止ビジネスの実態
 私たちの周りにある「思考停止ビジネス」
 思考停止という罠にはまった私 ほか

第2章 思考停止ビジネスが利用する心理テクニック
 弱い人たちをいかにもっと弱くするか
 モノとコトによって異なる思考停止ビジネスのかたち ほか

第3章 思考停止ビジネスに喜んでハマる人びと
 「ほんとうの自分」を探したい
 「自分が特別であるという思い込み」を利用する ほか

第4章 これからの新しい思考停止ビジネスの形
 つながりを追い求める現代人
 つながるために商品を買う人たち ほか


【関連記事】

【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)

【スゴ本】「影響力の武器 実践編」がやっぱりスゴかった件(2009年06月10日 )

【スゴ本】『また、売れちゃった! 一瞬で顧客の心をツカむ! 売上5倍を達成する凄ワザ88 』河瀬和幸(2010年11月11日)

【Amazonキャンペーン有】「人にはぜったい教えたくない「儲け」の裏知恵」岩波貴士(2010年01月17日)

【節約!】「会社の電気はいちいち消すな」坂口孝則(2009年03月31日)


【編集後記】

◆コンビニで見かけてつい買ってしまったDVD。

チップとデール DVD BOX (DVD付)
チップとデール DVD BOX (DVD付)

なるほど、安いと思ったら、パブリックドメインなんですね。

関連商品に、他のディズニーのキャラクターの分もたくさんあったので、また違うのを買ってみるつもりです。


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この記事へのコメント
               
面白い本ですね。
思考停止ビジネス仕事に役立ちそうです。
Posted by モテる男は美白 at 2011年03月29日 16:47
               
>モテる男は美白さん

コメントありがとうございます。
ご自身のビジネスで活用できそうでしたら、参考にしてみてくださいませ。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年03月30日 04:03