2011年03月27日
【コミュ力up!】『損しない人のほめ方の法則』澤村直樹

損しない人のほめ方の法則 (角川oneテーマ21)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、前作『"聞き上手"の法則』が当ブログでも人気だった澤村直樹さんの最新作。タイトルには「損しない人の」なんてありますが、損得関係なく普通に使える「ほめテク」が満載でした。
アマゾンの内容紹介から。
本来、「ほめる」「ほめられる」は楽しくて気持ちの良いコミュニケーション。単なる「ほめ言葉」だけでは相手も警戒してしまうもの。さまざまなシチュエーションごとに相手の心を思いやる具体的な「ほめ方」を紹介。まさに私のような、「ほめ下手」のための1冊かも!?

【ポイント】
■1.「ほめるフリ」は逆効果真実味のない「ほめ言葉」を使っても、真実味のない「感謝」しか返ってきません。「ほめるフリ」には、「ほめられたフリ」が返ってくるというわけです。こうした「フリ」の部分は、後述する言葉以外の雰囲気「メタメッセージ」として相手に伝わってしまいます。顔に書いてある、という表現が教えてくれるように、ほめる以外の気持ちが顔に書いてあれば、相手はきちんとそれも受け取り、それに見合ったこだまを返してくるのです。
■2.相手を悪く言う「ひきさげ」にも寛容に
引き下げを行っている人の心の中には、相手をほめたいという気持ちがないわけではありません。ただ、ほめてしまうと自分の負けを認めてしまうような気がして、ほめたくてもほめられないのです。
そんな苦しみから話し手を救うのが、聞き手の思いやりある受け答えです。引き下げを行う人の心のひだは、大きな気持ちで包んであげましょう。そのためにも、あなたの中にあるねたみやひがみに、あなた自身が寛容である必要があります。
■3.良いことを1つだけでいいからやってみる
電車で席を譲ったり、道に迷っている様子の人を見かけたとちきに、案内役を買って出るのもいいでしょう。乗り物の中でふと目があった赤ちゃんに、笑いかけてあげるような小さなことだってかまいません。どんなことでも、自分自身が「これは良いことだ」と思えることをやってみるのが大切なのです。
そうすると自分の中に「私は良いことをしている」というポイントのようなものがたまって、気が付いたら気持ちが明るくなっていたり、物事を柔軟に考えられる自分に変わってくるのです。
■4.セールスポイントでもほめる意味
本人が自信に感じている部分をほめることを、カウンセリングでは「自己確認」と言っています。セールスポイントというのは、すでに本人が気づいている長所。それを改めて人からほめてもらえると、「やっぱりこれは私の良い所なんだ」と再確認できるのです。
「本人が気づいているところを改めてほめたって、あまり意味がないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、それは違います。なぜなら、セールスポイントのなかには、その人がもともと持っているものだけでなく、努力して手に入れているものもあるからです。
■5.「話し手が、その話における主人公」と意識して会話をする
人は誰もが「自分の事を認めて欲しい」「相手より優位に立ちたい」という気持ちを持っています。そのため、対話をしている際、無意識に相手の話を遮って自分の話をしようとしたり、自分の価値観を押し付けようとしたりすることがあります。それ自体はごく自然な感情なのですが、あまりに度が過ぎると、話し手はリラックスして自分の話をすることができさません。(中略)
しかし、会話の中で、相手がいろんなことを語る際、その人自身が会話の主人公なんだという意識を、聞き手の側が持っていたらどうでしょう? 主人公より優位に立とうとか、ストーリーの進行の邪魔をしようという気持ちにならないのではないでしょうか?
人生は、その人その人が主人公のドラマのようなものです。そしてそれと同じように、会話の中では、話し手がその話の主人公。そういった気持ちを持って会話をすると、自然と良い聞き手になれるものです。
■6.人の気持ちを聴く時には、「したいか」「したくないか」が判断基準
私たちはものごとの判断基準を「できるか」「できないか」に置いてしまいがちです。
「そんなこと本当にできると思ってるの?」
「それができたら苦労しないよ」
もちろん、「できる」「できない」を判断することが大切な時もあります。しかし、傾聴は「したいか」「したくないか」という相手の気持ちを聴く作業なのです。(中略)
現実には頼まなくても、どこからか聴こえてきます。だからこそ、ちょっとだけ現実から離れさせてくれる、気持ちを聴いてくれる「ほめ上手」が求められるのです。
【感想】
タイトルにある「ほめ方の法則」と言うのを見て、ついつい用語集的なものを想像していたのですが、全く違いました。前作もそうだったように、本書もうわべだけの技術論ではなく、内面的な部分まで踏み込んでおります。
その分、こうして記事にまとめるのはちょっぴり難しいというか、引用だけで引っ張ってくると分かりにくかったり(今さらですが)。
ホントなら、むしろもっとポイントを絞って、じっくり書きたかったのですが。
◆例えば、2番目に出てくる「ひきさげ」の項目ですと、本書では事例として、「あなた」と「同僚のAさん」が居酒屋で飲んでいて、「エリート街道を走るBさん」について会話するシーンが出てきます。
成績優秀なBさんをほめるあなたに対して、AさんはBさんの悪いところばかりを挙げ連ね、あなたはそんなAさんの言葉に否定的な態度で対抗。
ただこれは結局、「BさんをひきさげるAさん」と「そのAさんを引き下げるあなた」という構図に過ぎません。
一方、改善例の方では、あなたはAさんを肯定的に受け止めて、さらにAさんをほめることにより、Aさんに余裕が生まれて、素直な態度(「やっぱりBはすごいよな」)になるという。
……理屈は分かりますが、これはそう簡単にマスターできるものでもないようなw
◆また、ほめることとは直接関係ないですが、3番目の「良いことを1つだけでいいからやってみる」というのを読んで、このCMを思い出した人も多いのでは?
私もバスで通勤している関係上、ベビーカーを下すのを手伝ったり(今はノンステップバスが多いので、乗る方は比較的ラク)しております。
もちろん、義援金や物資を送ったり、節電したり、という「今だからできる良いこと」も、積極的にしたいもの。
◆本書は、今回の震災より前に書かれたものではありますが、ギスギスした環境や人間関係を良好にさせる、という意味で、読んでおいて損はないと思います。
特に、上記でも触れた「ひきさげ」については、相手だけでなく、自分自身の中にもあることを認めて、それを受容するべきかと。
そして、ほめる前に、まず相手を観察し、相手の話を聞く(傾聴する)こと。
上記ポイントを見ても、一方的に相手をほめるようなものはありませんし、それこそ「ほめるフリ」に他なりませんから。
より良い人間関係を築くために!

損しない人のほめ方の法則 (角川oneテーマ21)
第1章 ほめることの本来の目的とは
「できる人」が育つ
「できる人」は関係性の中で育つ ほか
第2章 ほめることで変わる、相手とあなた自身のあり方
行いは巡る
優しさを循環させる ほか
第3章 言葉の意味でなく、その気持ちに心を傾ける
言葉の意味より使い方
「なぜその話をするのか」に少しだけ思いを巡らせる ほか
第4章 「ほめる」と「甘やかす」を取り違えない
「ほめる」と「甘やかす」は別物
偽解決から抜け出す ほか
第5章 ほめるための準備
物事は視点の位置で見え方が大きく異なる
相手と同じものを見る ほか
【関連記事】
【これは使える!】「“聞き上手”の法則―人間関係を良くする15のコツ」澤村直樹(2010年01月23日)【これは使える!】「キラークエスチョン」山田玲司(2009年08月19日)
【ホメ】「ほめ言葉ワークブック」祐川 京子,本間 正人(2008年02月21日)
【ほめ言葉】「ほめ言葉ハンドブック」本間 正人,祐川京子(2007年10月01日)
【編集後記】
◆ちょっと気になる本。
まずは靴をそろえなさい かたづけ上手になるための世界一簡単な方法
かたづけ士の小松易さんの新刊です。
我が家でも、子どもたちには靴を揃えることだけは厳しく言い聞かせております。

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