2011年02月18日
いまさら聞けない「『必ず覚える!1分間アウトプット勉強法』」超入門
必ず覚える!1分間アウトプット勉強法 (PHP新書 718)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、いわゆる広義の意味での勉強本の新作。タイトル通り、とにかく「アウトプット中心」のスタイルなのですが、著者である齋藤 孝先生が中学時代から実践されてきただけあって、完成度は高いです。
アマゾンの内容紹介から。
勉強して数年たつと内容を断片的にしか覚えていないことがよくあるが、「声に出す」「人に伝える」というアウトプットを行うと記憶に定着する。著者は学生時代から現在に至るまでこの方法を実践し、あらゆる難問を突破してきた。ただ、やみくもに口に出せばいいわけではない。「まず問いをたてる」「川のフォーマット」などの工夫により、その効果は最大になる。勉強の目的を見すえて行う、最高のメソッド。アウトプットの重要性を頭では理解していても、なかなか行動に移せない方にオススメです!
なお、タイトルはお馴染み「ホッテントリメーカー」にお世話になりましたw
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
はじめに――勉強に「革命」を起こそう
第1章 アウトプットがなければ勉強ではない
第2章 「世界史」をアウトプットする〜基本編
第3章 「法律」をアウトプットする〜図解化編
第4章 「英語」をアウトプットする〜語学編
第5章 「グラフ」をアウトプットする〜数値編
第6章 10秒アウトプット
第7章 アウトプットが意欲を高める
第8章 視点を得るために勉強する
おわりに――「勉強=実践」の回路を身につける
【ポイント】
■1.記憶の定着率が格段に高くなる勉強法例えば、ある教科書の中身を暗記するとしよう。そのとき、1人で何度も読み返すのが一般的だが、もっと短時間で効率的に読みこなす方法がある。その教科書を友人とともに読み、読んだ内容をその場で相互に説明し合うのである。そうすると、自分の言葉に置き換えるため、記憶の定着率が格段に高くなる。これが、「勉強」と「アウトプット」をワンセットにした勉強法だ。
私はこの方法を中学時代に発見し、そのめざましい成果に感嘆して以来、ずっと実践し続けてきた。そこに教科書があるかぎり、あらゆる教科で活用し、高校入試も大学入試も乗り切った自負がある。
■2.「わかった」と「わかったつもり」には雲泥の差がある
例えばテキストの見開き2ぺージを9分で把握して1分でアウトプットすると、30分で3回のアウトプット、つまり6ぺージ分が頭に入ったことになる。
こう述べると、「6ぺージを30分かけて読むこととどう違うのか」と思われるかもしれない。実はここに、一般的な勉強の"落とし穴"がある。テキストを読んだり、あるいはノートに書き記しただけで、「わかったつもり」になることが少なくないのだ。その結果、「できるつもり」で試験に臨み、あえなく散ってしまうのである。
■3.定着率の高い勉強は、まず「問い」を設定することから始まる。
当然ながらふつうの本(テキスト)に「問い」はない。だから自分で設定する必要がある。では、どうやるか。
これにはいくつかの方法がある。もっとも単純なのは、テキストの見出しを疑問型に言い換えるパターンだ。例えば「世界恐慌とその影響」という見出しがあった場合、「世界恐慌とは何だったのか」および「世界恐慌の影響はどのようなものだったのか」と言い換えられる。こういう疑問を頭に入れて本文を読めば、必然的に「解」を求めて集中しやすくなるだろう。
■4.使えるメモの書き方
まず、頭の中でなんとなく「3つ程度の要点」をまとめておく。そしてその要点ごとに、説明の際に欠かせないキーワードをさきほど囲んだ語句から抜き出して、「→」でつないだり「=」で結んだりしてまとめてみよう。そうすることで、ポイントがより明確に絞られていくだろう。
もし、事前にうまくポイントを抽出することができなくても、とりあえずキーワードを抜き出し、それらの関係性を図化してみよう。そうすることで、3つのポイントが何になるのか、整理されてくるはずだ。
■5.「川のフォーマット」で図化しよう
A4またはB5のコピー用紙をタテにして、上部と下部に1本ずつ横線を引く。これが「川」イメージで、手前側の岸に「なぜ?」という「問い」、向こう岸にその答えがあると想定する。川を渡れば疑問が解けるわけだが、このままでは川幅が広くて渡れない。そこで川の中に、3個程度の踏み石を置く。そこを通れば、誰でも難なく渡れるという寸法だ。
これは人に簡潔にものを伝えるためのフォーマットでもある。人に話をするということは、この踏み石を置く作業に等しい。つまり聞き手の関心を引きつつ、無理なく誘導できるよう工夫するわけだ。
■6.目次の有効な活用法
そのテキストを使って一分間アウトプット勉強法を実践し、前述のとおりいくつかのキーワードをピックアップしたとする。その際、目次を拡大コピーして、該当する見出しの部分にそのキーワードを書き込んでおくのである。
そうすると、仮に1つの章に10の見出しがあり、そのすべてにキーワードを書き込めたとしたら、コピーを見るだけでその章について10分も話せることになる。ここまでくれば、章全体をほぽ完全に理解したと考えて間違いないだろう。
■7.小説を読んでコメントや書評をする際のコツ
私が学生に指導する際には、「まず自分で気に入った場面を3力所挙げてみて」と課題を与える。その上で「なぜその3力所なのか、皆の前で1分で説明して」と促すと、だいたい立派なコメントや書評になるのである。
挙げた3力所の方向性がバラバラになることは、あまりない。たいていは何らかの共通点がある。それが本人の嗜好性であり、視点になる。それをキーワードでうまく表現できれば、聞き手を納得させることができるのである。
【感想】
◆「アウトプット中心の勉強」と言った場合、普通は紙に書いたり、口でブツブツ言ったり、ということを想定すると思います。しかし齋藤先生の場合、ポイントの初っ端にもあるように、「相手」を引っ張り出してきて、「相互に説明し合う」とのこと(しかも中学生時代からw)。
これはもはや、「アウトプット」と言うより、「フィードバック」に近いような。
もちろん、相手は何も言わないこともあるかもしれませんが、何も指摘されないことも、立派な「フィードバック」です。
実際に、「誰かに説明する」という勉強法の効果は広く知られており、クレアール会計士アカデミーの石井和人さんのメソッドでは、「グループでスピーチし合う」のだそう。
新 公認会計士試験 非常識合格法
参考記事:【公認会計士】「新 公認会計士試験 非常識合格法」石井和人(2008年01月07日)
◆また、「テキストの見出しを疑問型に言い換える」というやり方も秀逸。
本やブログ等のタイトルにも疑問形が多いように、やはり「問い」があると、答えを求めてしまうのが、人の本性です。
なお、問いの表現の中でも、特に興味をそそられるのが「なぜ、○○は○○なのか」というパターンだそう。
そして、良い問いができれば、人に話したくなるわけで、それこそが齋藤先生の目指す、アウトプット中心の勉強法の本質なのだと思います。
◆加えて言うなら、アウトプットを前提としてインプットを行うと、その質も高くなるのも当然のこと。
齋藤先生の大学の授業でも、あらかじめ発表させることを前提として教える場合と、そうでない場合とでは、学生の聞く姿勢が全く違うのだそう。
これは何も授業に限った話ではなく、私たちも初めから、人に感想を話す前提で映画を見たり、本を読む場合、吸収の度合いが異なってきます。
もちろん私も、基本的に本を読む場合には、ブログに記事を書く前提でおりますし、きっと多くのブロガーの方も(書評系に限らず)そうではないか、と。
そういう意味では、Twitterのように、気軽にアウトプットできるツールが広まったことは、私たちのインプットのスタンスをも変えているのかもしれませんね。
◆なお本書では、上記目次をご覧頂ければお分かりのように、「世界史」「法律」「英語」「グラフ」と言ったテーマごとに、アウトプットの仕方を指南。
資格試験に使えないこともないですが、むしろ一般的なビジネスパーソンが、業務遂行上行うアウトプットのヒントになるのではないでしょうか?
例えば「英語」については、実際に齋藤先生の友人が、取引先の外国人に聞かれた「歌舞伎と能はどう違う?」という問いについて検討しています。
キチンと調べたうえで、細かく説明するやり方もあるでしょうが、ここではポイントを絞って「1分間スピーチ」を作成。
なるほど日頃から、本書で提唱されている「アウトプット勉強法」を実践していると、こういう回答ができるのかと、深く納得した次第です。
より質の高いインプットを行うためにも読んでおきたい1冊!
必ず覚える!1分間アウトプット勉強法 (PHP新書 718)
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【公認会計士】「新 公認会計士試験 非常識合格法」石井和人(2008年01月07日)
【編集後記】
◆石田 淳さんの新刊は、久々に本業よりのガチなテーマ。組織行動セーフティマネジメント―「仕組み」でリスクを回避せよ
いや、私も子供連れてホントによく行ってた、東京ドームシティのおもちゃ王国が、なくなってしまったんですよね。
これからは、こういったマネジメントも重要だと思います……。
ご声援ありがとうございました!
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この記事へのコメント
同じサイトウでも、すごい差だなと
思ってしまうほど、すごいです!
思ってしまうほど、すごいです!
Posted by マグロ船 齊藤 at 2011年02月18日 22:59
>マグロ船 齊藤さん
いや、さすがに齋藤 孝先生は別格でしょうw
それはさておき、いつのまにアメブロを!?
いや、さすがに齋藤 孝先生は別格でしょうw
それはさておき、いつのまにアメブロを!?
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年02月19日 07:14
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