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2011年02月13日

【スゴ本】『ソーシャルネイティブの時代 ネットが生み出した新しい日本人』遠藤 諭


ソーシャルネイティブの時代 ネットが生み出した新しい日本人 (アスキー新書)
ソーシャルネイティブの時代 ネットが生み出した新しい日本人 (アスキー新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、膨大なアンケート結果に基づき、「今の日本人」の本当の姿を描き出した1冊。

実は、そのアンケートについては、下記エントリーをお読みの方なら、存在はご存じのハズ。

僕と月刊ASCIIとiPad または、僕が10,000円のアプリを作った理由 - Keep Crazy;shi3zの日記 僕と月刊ASCIIとiPad または、僕が10,000円のアプリを作った理由 - Keep Crazy;shi3zの日記

ちょっと長くなりますが、アマゾンの内容紹介から一部引用します。
たとえば以前は、飲み会や合コンをやったりファミレスに集まったりしないと、友達関係は維持できないし、異性との出会いもままなりませんでした。ところが、いまならSNSやスマートフォンがあれば、家にいながらにしてそれが可能になっています。ネットを通して人とつながり、そこで得た情報をもとに格安~無料のエンターテインメントを楽しむ――これが「ツイッター」や「mixi」「facebook」などのソーシャルメディアが生み出した、新しい日本人、すなわち“ソーシャルネイティブ世代”のライフスタイルなのです。 本書はネットの中に隠れて見えなくなった日本人のライフスタイルを、コンテンツとデジタルの専門家集団・アスキー総合研究所が行った1万人調査「MCS(メディア&コンテンツ・サーベイ)20012011(追記:アマゾンでは2001になってますが2011の間違いだと思われ)」の結果をもとに、解き明かしたものです。
これはもうマーケティング担当者なら必見!

私も思わず付箋を貼りまくってしまいましたよ!

ソーシャルネイティブの時代









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【目次】

はじめに

第1章 あたらしい日本人

 日本人のデート率は8%
 10代よりも20代がマンガやアニメを消費している
 20代前半は想像を絶するオタク ほか

第2章 ビンボーハッピーな生き方

 お金は天下を回らない
 ビンボーハッピーとは何か?
 2005年に日本人の生活に何が起きた ほか

第3章 日本のソーシャルメディアはこうなっている

 男子20代の半数が「ニコ動」を見ている
 ソーシャルメディアの中心利用層は20代
 日本人はSNS上での友達が少ない ほか

第4章 スマートフォンを持ったサル

 スマートフォンで人類は進化する
 iPhone主婦の登場
 スマートフォン利用者は「リア充」 ほか

第5章 ゼログラム化する世界の中で

 クラウドコンピューティングとソーシャル
 グーグルTVはソーシャルテレビ
 100ドルスマートフォンが世界を変える ほか

終章 日本人とソーシャルネイティブ

 ネット利用者1人1人に質問をなげかけてみた
 ジャパネットたかたはネット的メディア企業
 ソーシャルネイティブの暮らしを考える ほか

あとがき


【ポイント】

■1.独身女性の半数以上が「恋愛はあってもなくても良いもの」と考えている
(電通総研の2011年の調査によると)回答者の独身女性757人中、「彼氏がいない」が69.3%。このうち「3年以上」が34.7%、「これまで付き合ったことがない」が15.2%で、ほぼ半数が3年以上恋人とデートしていない。(中略)

問題は、彼女らの恋愛や結婚に関する意識である。自分の人生に「恋愛が必ず必要である」が41.8%に対して、「恋愛はしてもしなくても良いものである」と答えた女性が58.2%もいるのだ。


■2.車離れの現実
日経産業消費研究所(2007年に改組、日本経済新聞社地域研究所)が2000年6月に首都圏30キロメートル以内に住む若者に「今は持っていないが、ぜひ欲しいと思っているもの」を聞いたところ、当時はまだ「乗用車」がトップだったそうだ。ところが、2007年6月に実施した調査では20代で「乗用車が欲しい」と答えたのは25.3%になったという。これは2000年の調査時の約半分。リーマンショックが来る前に、車離れは十分に進行していたのだ。


■3.20代は「絵」で30以上が「写真」
 20代が、創作指向であるのを象徴するのは、画像共有サイトの「ピクシブ」の人気でもうかがえることだ。同サイトの利用層は、男女とも20代が突出しており13%。30代以上の4~5倍の利用率となっている。それに対して「写真」をいじっているのは30代以上である。パソコンの利用目的で「デジカメ画像の管理・閲覧」と答えた割合は、20代はほかの世代より10%程度低くなるのだ。


■4.フェイスブック成功の最大の理由
 フェイスブックが成功した要因として、いろいろなことが指摘できるだろう。(中略)

しかし、最大の理由は、おそらくそれを使う人たちのライフスタイルを見て、それをひたすら使い勝手のよいサービスに落とし込んでいったことではないかと思うのだ。たとえば、米国人は大人になっても誕生パーティをやる人が多い。その告知をするところから日程調整をして、写真を共有するところまでがカバーできている。(中略)

日本のソーシャルメディアは、やはり日本人のライフスタイルを見ることが重要で、それに加えてひたすらサイトを強力にしていく技術力が必須となる。


■5.iPhoneの利用割合は、若年層の方が高い
 携帯電話・モバイル利用端末の利用層を見ると、いまやiPhone利用比率が高い世代は、男女とも20代であることがわかる。実際には、世代によって人口も異なるので、ユーザー数では30代が多くなるが、iPhoneを使っている人の割合では、20代、30代、40代、50代の順と若年層が多いのだ。


■6.20代iPhone利用者は「リア充」?
「休日の楽しみ方」についても、スマートフォン利用者には特徴が見られる。これも、世代差が大きいと思うので20代に絞って集計すると、図4-2のような結果となった。まず、「恋人とのデート」と答えた人が26.3%で、携帯やAndroid利用者よりかなり高い。また、iPhone利用者についていえば、「学習、資格取得」と答えた人が23.7%もいる。


■7.影響力を増すフェイスブック
海外ネット通販をしている人はご存じだと思うが、ネット通販でモノを買った後に届くメールで、その店のホームページよりもフェイスブックのファンページに誘われることが増えている。理由はとても簡単で、無人のホームページより、客のいるファンページのほうがお店としてもよいからだ。また、いままではホームページにリンクを埋め込んでいたが、フェイスブックでは、「いいね」(Like)ボタンによってリンクされるようになっている。
 ネット上の情報から情報へのハイパーリンクの方法さえ変えてしまったのがフェイスブックなのだ。


【感想】

◆冒頭にも挙げたように、本書はアスキー総合研究所がまとめたMCS(メディア&コンテンツ・サーベイ)を元にしています。



そして、同じくこのデータを元に、清水亮さん率いるUEIの作ったiPad用アプリも大人気。

Togetter - 「MCS Elementsについてのまとめ」

何やらTL上に見覚えのある方がちらほらw

やはり、ある程度マーケティングに携わる方なら、このアプリは必携かと。


◆なお、厳密には、本書の元となったのは、そのMCSの最新版、「MCS 2011」(調査実施時期 2010年11月下旬~12月中旬)。

まだデータ集もアプリもこの最新版は出ていないようですが、そもそも2010年版が出たのが昨年9月くらいですから当たり前ですか。

本書も、清水さんにブログで紹介されてしまうと瞬殺されてしまうので、こそっと紹介してみた次第w

なお、「データ」だけでなく、この調査を企画した張本人である遠藤 諭さんが、そのデータから読み取られたことをまとめている点でも、本書の付加価値は十二分にあると思われ。

ただ、本の帯には「"ソーシャル化"で日本人はこう変わった」「見えなくなった日本人のライフスタイルを、「アスキー総研」による1万人調査をもとに解き明かす!!」とあるのですが、データ集が30万円もの価値があることとか、iPadアプリが1万円でも人気であることをうたった方が売れるのに、と思うわたしはアサマシイんですね、分かりますw


◆ちなみに、上記ポイントでは触れてないのですが、このMCSでは、各種コンテンツやキャラクターについても、男女別、世代別に調査がされており、例えば、「『崖の上のポニョ』を劇場で鑑賞した人は、20代女性が他の世代より多い」「『ポニョ』を見た20代女性は、見てない20代に比べて「ケータイ電子書籍」の閲覧率が2.5倍」なんて話も出てきます。

これは、ある広告代理店からファン層を知る目的で分析を依頼されたそうで、まさに「ターゲットマーケティング」を行うにはかなり有益ではないか、と。

他にも、iPhoneを初めとして、スマートフォンについては、第4章を丸ごと割いて利用者層を分析しており、ここも読みどころの1つ。

特に今年は、Android搭載機が普及しそうですし、これからの日本人のライフスタイルを読み解く上でも必読だと思います。


◆本書はタイトルからして、ネット系のお話のようですが、実際にフォーカスされているのは、あくまで「人」「ライフスタイル」

ただし、その「人」、特に若年層ほど「ネット」なくして生活が楽しめないようになっているワケで、そういう意味では、副題にある「ネットが生み出した新しい日本人」というのは、言いえて妙だと思います。

自分自身や、その周りしか見ていないと、知らない世代や知らないコミュニティがどんなものに興味があったり、どんな風に暮らしているかは分かりにくいもの。

本書は、「リアルな今の日本人」を知りうることができる、と言う点で、貴重な作品ではないでしょうか?


30万円のデータ集のエッセンスを新書でお試しアレ!

ソーシャルネイティブの時代 ネットが生み出した新しい日本人 (アスキー新書)
ソーシャルネイティブの時代 ネットが生み出した新しい日本人 (アスキー新書)


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【編集後記】

◆今日ご紹介した本で登場する米国テレビドラマのDVD。

ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル シーズン1 コンプリートDVD-BOX (4枚組)
ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル シーズン1 コンプリートDVD-BOX (4枚組)

主人公が理系オタクらしく、アチラでは大人気のようです。

うーん、子供たちのDVDの代わりに観られないものか。


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