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2011年01月25日

【復活!】『挫折力 一流になれる50の思考・行動術』冨山和彦


挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)
挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の気になる本記事でもご紹介した1冊。

産業再生機構COOである冨山和彦さんが、人生や仕事における「挫折」の重要性について熱く語ってらっしゃいます。

アマゾンの内容紹介から。
否定的なイメージの「挫折」だが、それを経験した人間だけが、ビジネスで最も必要な「打たれ強さ」を手に入れられる。そして、何より、「己を知る」ことができ、それこそが成長への近道となるのだ。本書でいう「挫折力」とは、この「挫折を愛し、乗り越え、活かしていく力」なのである。数々の企業を再生させたプロフェッショナルによる、不安定な時代を愉快に生き抜くための希望の書。
挫折は恥じるものではなく、糧としていくものだと、改めて学ばせてもらいました!


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【目次】

第1章 挫折こそが成長への近道
 人をもっとも成長させるのは「挫折」である
 青年よ、荒野をめざせ ほか

第2章 挫折に打ち勝つ力(1) ストレス耐性を高め、挫折と折り合う技
 「禍福は糾える縄の如し」が教える人生の知恵とは?
 世の中のいわゆる「成功哲学」の欺瞞について ほか

第3章 挫折に打ち勝つ力(2) 人間関係の泥沼を楽しみ、糧にする技
 負け組の組織で展開される人間ドラマ
 人生いろいろ、カイシャもいろいろ ほか

第4章 挫折に打ち勝つ力(3) 捨てる覚悟を持つための技
 へたな延命措置は、むしろ会社の寿命を縮める
 本当の危機になる前に動け ほか

第5章 挫折に打ち勝つ力(4) リアルな「権力」を使いこなす技
 リアルな経営現場で展開される権力の現実とは?
 会社の失敗はいつもトップマネジメントから ほか


【ポイント】

■1.挫折から立ち直ると企業は強くなる
 この仕事から得られたことは、一度挫折を経験した企業が立ち直るのは困難ではあるが、それが成功すればその企業は非常に強くなるということだ。倒産という現実を突き付けられたからこそ、無駄は省かれ、人も一致団結する。最悪なのは、どう見ても未来がないのに、その場しのぎの延命策によりズルズルと生き長らえているような企業だろう。


■2.韓国企業に勝てない理由は通用しない経営システムにあり
 日本の電機メーカーが韓国企業に勝てない理由として、よくコストにおける競争力のなさがあげられる。だが根本的理由は、そこではない。日本の電機メーカーが勝てないのは、当該事業領域では通用しなくなった経営システムをいつまでも使い続けているため、スピードと意思決定の大胆さの面においてこうしたライバルに大きく後れを取ってしまっているからである。


■3.挫折経験のあるトップは権力の両方の立場がわかるから強い
 挫折を知るとは、敗者を知ることでもある。彼らも挫折を味わうまでは、小なりといえど権力を持っていたはずだ。だが傍流に行くことで、これらの権力に使われ、虐げられるという体験をする。人間の心の痛みや、そこから生まれる怨念や嫉妬といった、心の闇を我がこととして体験する。
 こうして権力を行使する立場、行使される立場の両方がわかるから、権力の両面や本質が見えてくる。だからこそ権力を上手に使える、すなわち人を上手に使えるリーダーとなりうるのだ。


■4.挫折体験が履歴書の核になる時代が到来する
 挫折は、決して恥ずかしく、抹消すべき体験ではない。それを乗り越えた自分を描けるなら、履歴書の核になる。私は再生機構において、親から継承した旅館が倒産して、自らも自己破産した若者を採用している。彼は再生機構で「挫折力」をフルに発揮して、ホテル、旅館再生のエースとなった。今は自分で起業して日本中のホテル、旅館の再生に奔走している。


■5.本当に役に立つスキルの見分け方は「自分のお金を払う気になるか」
 ちなみに私の経験上、漫然と東大卒です、大企業の管理職ができます、といった話は、いざというときには、ほとんど役に立たないことは忠告しておく。資格もそれだけではお金にならないのは、最近の弁護士の就職難を見ればわかるはずだ。娑婆の冷たい風の中で、「ゼニ」になる、「売れるスキル」、能力というのはなかなか厳しいものなのだ。
 そういうスキルを見分けるための、わかりやすい自己チェックは、自分自身がなけなしの金をそのスキルに払う気になるか否かである。


■6.逃げの合併は問題の先送りにすぎない
 結局のところ多くの合併は、問題の先送りでしかない。病巣をえぐり、何かを捨てるという決断が怖いから、一見華やかな合併に逃げている。合併効果を出そうとするなら、重複した機能や設備、人員はリストラしなければならない。それも効率性、生産性を尺度に。しかし、実際はそれができずに組織も機能も設備も重複したまま。


■7.機能する中間管理職は、トップリーダーのつもりで考え行動する
 結局、機能する中間管理職になる最大の鍵は、トップリーダーのつもりで考え、行動することにあると思う。自分は「○×○×課」という名前の株式会社の社長。後ろにいる部長、いや社長でさえも自分の部下、手駒として利用する姿勢で仕事に臨めばよい。ますます管理職の孤独は深まるが、あなたの仕事ぶりは、一つ上の次元にシフトするはずだ。そして幸か不幸かさらに出世していっても、何も困ることはない。自然にトップリーダーへの道が開けてくる。


【感想】

◆本書を読む上で、そもそも冨山さんの経歴をご存じでないと意味合いが変わってくるので、本書のアマゾンの著者プロフィールに若干の補足を。

・東大法学部卒
・在学中に旧司法試験に合格
・BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)に入社
CDI立ち上げに参画(以前神田昌典さんもいましたね)
・スタンフォード大学に留学、MBA取得

……この経歴のどこに挫折があるのかと思いきや、この後、スタンフォード留学からCDIに戻ってきた時点でバブルが崩壊しており、大阪出向という形で携帯電話会社を立ち上げた辺りがそう。

「立ち上げ」と言うと聞こえはいいですが、実際には慣れない土地でドブ板営業もこなすことになり、BCGに残った同期に比べて給料も激減。

さらにはCDI自身のリストラ策も遂行せねばならず、大変な苦労をされたそうです。


◆こうした経験や、さらには産業再生機構での再建事例から導き出されたのが、本書に収録された、50の「思考・行動術」

冨山さんの経歴上、経営レベルの話も多いのですが、上記ポイントにも挙げたように、中間管理職や、履歴書を書いてこれから就職しようとする学生さんにも得るところはアリ。

特に「挫折体験が履歴書の核になる」というのは、「大変でした」「つらかったです」という次元に留まらず、そこから何を得たのか、という部分にまで導き出せるのであれば、十分にありうる話だと思います。

もっとも冨山さん曰く、海外のビジネススクールへの留学の際に書くエッセイに「挫折を乗り越えた経験を書けば個性がアピールできる」とのことなので、そういう戦略的な側面(?)もあるのかも。


◆私自身、本試験での「何回かの挫折」の結果、何とか税理士になれましたが、その受験過程において、色々と得たり考えたりすることはありました。

やはり試験での不合格というのは、分かりやすい挫折と言うか、何度味わっても(味わいたくないですがw)嫌なものです。

実は中学受験でも私は失敗しているのですが、当時は本気で勉強していなかったせいもあり、特につらいとも思いませんでした。

一方、自分が本気で勉強して、コケた税理士試験は、ツラさや悲しさも倍増。

あの時の自分の心境を思えば、大抵のことは乗り越えられる、とその後の人生においても糧としてきた分、本書には感じ入るところがあった次第。


◆また、今現在の境遇がつらい方にとっても、本書での冨山さんの「思考・行動術」は、参考になると思います。

何たって目次をご覧頂ければお分かりのように、2章から5章まで、と本書のほとんどの内容が「挫折に打ち勝つ力」ですから。

帯にある「"打たれ強さ"の鍛え方」というフレーズは、言いえて妙。


こういう時代だからこそ、将来に備えて読んでおきたい1冊

挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)
挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)


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【編集後記】

◆今日のご本を読んで思い出したのがこちら。

エースをねらえ! 全10巻セット (ホーム社漫画文庫)
エースをねらえ! 全10巻セット (ホーム社漫画文庫)

今でもたまに読み返したりしています。


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この記事へのコメント
               
自分に挫折する許可を与える、自分に失敗する許可を与える。ことかなって思いました。失敗も挫折もきっと学習のためのプロセスなのでしょうね。
Posted by 片木 at 2011年01月25日 22:08
               
>片木さん

やはり失敗や挫折経験って、その人に「深み」を与えると思うんですよ。
シリコンバレーだと、起業を失敗しても、また次のチャンスとか与えてますし、日本もそうならないかな、と。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年01月26日 07:39