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2011年01月16日

【P&Gの秘密!?】P&G社員が優秀と言われる5つの理由


P&G式伝える技術 徹底する力―コミュニケーションが170年の成長を支える (朝日新書)
P&G式伝える技術 徹底する力―コミュニケーションが170年の成長を支える (朝日新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の気になる本記事で登場した、『P&G式伝える技術 徹底する力』

本の内容としては、P&Gに関する会社レベルの話も多いのですが、今回は特に「P&G社員がなぜ優秀と言われているのか」に関係していると思われる部分に注目してみました。

実際、転職市場では「元P&G社員」は人気があると言われている様子。

その秘密の一端でも明らかにできたらな、と。


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【目次】

プロローグ

第1章 「伝える力」で、「考える技術」を学ぶ

第2章 上司ではなく消費者がボス

第3章 全世界13万人の社員に「目的」を浸透させる

第4章 グローバルなコミュニケーションノウハウ

第5章 なぜ170年以上も成長を続けられたのか


【P&G社員が優秀と言われる5つの理由】

■1.伝えたいことは必ず「3つにまとめる」

◆某コンサル会社でも徹底されているという「3つにまとめる」手法。

P&Gでも新入社員の頃から「どんな時でも、話は3つにまとめなさい」と上司に叩き込まれるそう。

その3点の構成は、ケースにより異なるるのですが、押さえるべきはどんな時でも「3つのポイントにまとめる」ということだけ。
3点で、伝えるべきことを伝える。3点に重要な情報を論理的に集約する。この技術を身に付けることが重要なのです。
 こうした思考は、コミュニケーション力をつけるための、とても効果的な訓練になります。言いたいことを端的に、論理的に伝えることができる。このスキルが確実に身に付いていきます。
またP&Gでは、社長がメディア対応をする際には「メッセージトライアングル」という1枚のトークシートを作るそう。

トップから新入社員まで、全社的に徹底されています。


■2.徹底的に「目的」にこだわる

◆これは初めて知りましたが、P&Gでは、「すべての書類は目的を明確にする1行から始まる」のだとか。
 企画書であれば、企画のタイトルのあと、すぐに「目的」があります。この企画は何を達成することを目的としているか、ということが明確に書かれていなければなりません。
 調査であれば、調査の目的です。具体的に、「まったく知らないことを探るのか」「仮説を確認するのか」、などの調査の目的を記述するのです。
なぜそれほど目的にこだわるか、というと、それはP&Gに論理的に仕事を進めようという「考え方」と「文化」があるから。
すべての活動で、その目的を明確にする、そして、何をやるかは目的に基づいて考えるという、非常に「直線的な論理」です。
 この直線的な関係で、すべての活動の意味が明確になり、すべての活動がどのような形でビジネスに貢献するかが明確になります。
実際に目的を的確に定めるのは、かなり大変なそうなのですが、くり返し取り組むことで、スキルが身に付くとのこと。


■3.「イシューシート」で焦点を絞る

◆先日『イシューからはじめよ』という本をご紹介しましたが、P&Gにおいても、「イシュー」とは「論点」「課題」の意味で使われています。

そして問題解決を図る際には、まず「イシューは何か」を問うのだそう。
 読者の皆さんも、ご自身の経験に照らして考えてみてください。ビジネスでは大きな問題が起きたり、思うほどうまくいかなかったり、色々なことが起こります。なんとかしなければいけないのに、何をどうしたらいいかわからない。問題が起こっているのはわかっているのに、何をしたら解決できるかわからない。
 そんな場合は、イシューが明確でないのです。本質的な課題、論点、問題点は何なのか? じっくり考えてみれば、必ず明確になります。そして、それが明確になれば、するべきことは何か、おのずと答えを導き出すことができるのです。
このイシューを明確にし、やるべきことを明らかにする手法としてP&Gで用いられているのが「イシューシート」と呼ばれる方法。

具体的は、トップに「イシュー」を掲げ、その下に「背景」「結論」「理由(または詳細)」「次のステップ」とアイテムが並ぶものなのですが、詳しくは本書にてご確認を。

なお、この「イシューを明確にする」スキルも、やはり繰り返すことによって身に付くのだとか。


■4.仕事は英語で行う

◆P&Gは外資系だけあって、この辺は徹底しているようです。
 すべての社員が、業務上の書類をすべて英語で書きます。それは、社内の情報交換を円滑にするための「ルール」です。私もこれまで、23年以上P&Gで働いていましたので、人生の中で書いた文章は英語のほうが圧倒的に多いはずです。発想も、言い回しも、知らないうちに英語の影響を受けています。
もちろん、読み書きだけではありません。
 また、ほとんどの会議には必ず外国人がいますので、会話においても英語が求められます。英語は使い続けることが大切なため、日本人同士の話し合いも英語で行い、英語力の習得に取り組みます。
もちろん、これは業務上の場合であって、日本人同士の普段の会話は日本語だそうなのですが、それでも「公用語」として英語を用いていると、英語力は身に付きそうですね。


■5.専門的なスキルを習得させている

◆P&Gでは「ジェネラリスト」ではなく、「スペシャリスト」を育成しているのだそう。
P&Gでは部門の専門性を重要視しています。採用の時から部門別の採用で、社内のジェネラリストを養成するような、システムとしてのジョブローテーションはありません。たとえばマーケティング部門を希望して入社すれば、マーケティングの専門的な能力を身に付けます。調査部であれば、消費者理解のためのリサーチエキスパートに、パブリックリレーションズであれば、社外の力をビジネスに活かすエキスパートに、と、それぞれの部門で専門的なスキルを身に付け、経験を積みます。だからこそ、自分の専門分野で自分の価値を高めるということへの意識が非常に高くなるのです。
本書では、結果的にこうした「エキスパートぶり」が、転職市場で人気の原因ではないか、と指摘していますが、確かにそうかもしれません。


【感想】

◆今回は理由を5つだけ挙げてみましたが、それ以外にも「P&G社員」の優秀ぶりを裏付けるお話が本書にはちらほら。

例えば、上記にも何度か出てきている「スキルを身に付ける」という点において、P&G社員の意識の強さは他に比べて突出しているのではないか、とのこと。

とにかく「何かを学ぼう」「身に付けよう」という姿勢が半端ではありません。

同様に、業務報告書において「結果」を報告するだけでなく、「何を学んだか」(P&G社内では「Learnings」と呼ばれている)まで問われるのだとか。

たとえ失敗したとしても、そこから「Learnings」を導き出せれば、成功するのと同じ位価値があるとされてるみたいですから、それは社員も伸びます罠。


◆英語に関しては、メリットとデメリットについても指摘されていました。

デメリットは、個人のスキルの問題や、意思の疎通に余計なエネルギーがかかることは当然として、「確かに!」と思ったのが、部門によっては「二重の作業」が生じてしまうこと。

たとえば、消費者にアンケートをとるにしても、微妙なズレが生じてしまいます。

ただこれは、逆にメリットにもなることで、曖昧である日本語に「翻訳」という作業過程が入ることにより、より意図が明確になることもあるのだそう。


◆また今回は記事の性質ゆえ、見事にスルーしている第2章と第3章も、P&Gという企業に注目するのなら必読のパートです。

特に「Consumer is Boss(消費者がボス)」「Do The Right Thing(正しいことをする)」という2つの考え方は、P&Gを理解する上ではマスト。

さらには、「Improving Consumers' Lives(暮らしをより良いものにすること)」というP&Gの「目的」(理念にあらず!)も同様です。

一見地味ですが、こうした「こだわり」がP&Gの強さの秘訣なのだな、と。


P&Gブランドを深く知りたい方へ!

P&G式伝える技術 徹底する力―コミュニケーションが170年の成長を支える (朝日新書)
P&G式伝える技術 徹底する力―コミュニケーションが170年の成長を支える (朝日新書)


【関連記事】

【外資系仕事術】「P&G式 世界が欲しがる人材の育て方」和田浩子(2008年10月25日)

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)

【転職】『即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事』樋口弘和(2010年12月14日)

【選ばれる人】「プロ・ヘッドハンターが教える仕事ができる人のひとつ上の働き方」兼本尚昌(2009年07月17日)

【出世のヒミツ】「外資系キャリアの出世術」シンシア・シャピロ(2008年03月21日)


【編集後記】

◆冒頭でご紹介した「気になる本」記事で取り上げ損ねた1冊。

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法
ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法

人気ブログ、「Chikirinの日記」のちきりんさんのデビュー作です。

これまた楽しみ!


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外は既に氷点下。 明日の最低気温は氷点下5℃とか・・・寒いです。
今年の大河【気ままな雑記帳】at 2011年01月16日 22:27
                               
この記事へのコメント
               
とっても、勉強になりました!

ありがとうございます。 (^^)
Posted by マグロ船 齊藤正明 at 2011年01月16日 11:12
               
人をバカにして、人を殺してナンボの商売している戦争企業の肩もってんじゃねぇよボケ。

目的=金儲け だけだろ。

http://swinglike.ojaru.jp/
Posted by abc at 2011年01月16日 16:35
               
イシューを明確にする。って一番大切なポイントですよね。特に日本人は苦手です。学校教育から見直す必要を痛感します。
Posted by 片木 at 2011年01月16日 21:25
               
>マグロ船 齊藤正明さん

ご無沙汰しております。
お役に立てば幸いです。
齊藤さんの今年のご活躍を期待しております。

>abcさん

はじめまして、コメントありがとうございます。
ご意見、真摯に受け止めたいと思います。
ところで、サイトなんですが、リンク切れが多いものの、いい曲ありますね。
ありがとうございました。

>片木さん

イシューが苦手なのは、日本人というか、日本語自体が「あうん」で通じてしまうことに原因があるのかもしれませんね。
私も気を付けたいと思います。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年01月17日 05:33
               
営業職で長い間ずっとみてますが
いつも大変勉強になってまよ!
Posted by ツール at 2011年01月17日 13:05
               
「P&G社員に学ぶ!ウェブサービスの作り方」
http://invizi.net/subject:37

レス記事してみました。
Posted by kyooyan at 2011年01月17日 13:15
               
>ツールさん

ありがとうございます!
営業職の方にもお役にたてて光栄です!
自分自身は、営業経験がないのが非常に残念なんですが…。

>kyooyanさん

コメント並びにレス記事ありがとうございます。
なるほど、ウェブサービス作りでも応用できますね。
英語に関しては、おっしゃるようにインプットスキルとしては必要ですが、サイト自体が英語でない限りはそれほどいらないかもしれませんが。

今後ともよろしくお願いします!


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年01月18日 02:23
               
Procter & Gamble
すごい!
Posted by 合法 大好き at 2011年01月18日 17:06
               
>合法 大好きさん

コメントありがとうございます。
いや、ほんとこの会社すごいです(汗)。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年01月19日 05:08