2011年01月11日
【超戦術】『人気企業を目指す人のためのハイレベル面接術』伊東 明

人気企業を目指す人のためのハイレベル面接術―面接官の心の裏を知り尽くした心理学者が書いた!「100人中の1人」になる極意
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、面接対策の技術論について深堀りしまくった1冊。先日、渡邉正裕さんの「ソリティア社員」ツイートが盛り上がっているのを目にしていたせいか、リアル書店で思わず手に取ってしまいました。
基本的には、新卒の学生が就活のために読むべき本なのですが、転職の際の面接でも使えるネタがわんさか収録されていますし、上司や人事での面談にも応用可能。
最近の面接は、ここまでテクニカルに攻略するのだとは……。

【目次】
第1章 まずは意識改革で「10分の1」になる!
第2章 面接官の心理を研究せよ!
第3章 「コンピタンス×ライカビリティ」をマスターせよ!
第4章 「何を言うか?」の7大スキル バーバル編
第5章 「どう言うか?」の7大スキル ノンバーバル編
第6章 「圧迫面接」「グループ面接」でのポイントの稼ぎ方 Q&A編
【ポイント】
■1.自己PRはどんな人材が求められているかを常に想定して行う「この話はウケるはずだ。なぜなら、オレがおもしろいと思うから」
「この実績は評価されるはず。なぜなら、もし友達がこの実績を持っていたら、私だって相手を『すごい人だ』と思うだろうから」
この独りよがりな考え方には、本当に考えるべき視点がごっそり抜け落ちています。
その話を聞く相手が、社会人だったら? 40代のおじさんだったら? 50代後半の役員レべルの人だったら? 彼らは興味を持って聞いてくれるでしようか?
■2.面接官に与える印象=コンピタンス+ライカピリティ
コンピタンスの軸は、簡単に言えば「この人しっかりしてそう」と感じるレぺルを表わします。面接官が「この学生はすごくしっかりしてるな」という印象を受けたとき、その人はコンピタンスの高い人と認識されています。(中略)
一方、ライカビリティの軸は、「この人はすごく感じがいいな」と感じるレべルを表わします。"かわいらしさ"や"人なつっこさ"を感じるということです。
■3.志望する会社や業種に合わせて、コンピタンスとライカビリティをコントロールする
例えば、眼鏡をかけると、それだけでコンピタンスが上がります。(中略)
また女性であれば、さすがに採用面接に茶髪で行く人はいないでしょうが、髪の色を明るくしている人はたくさんいますよね。髪を明るくすると、ライカビリティは上がるのですが、同時にコンピタンスは下がります。コンピタンスを上げたいのなら、黒い髪のほうがいいのです。(中略)
一方、男性はというと、前髪を下ろすとライカビリティが上がります。逆に短く刈り上げれば、コンピタンスがアップ。
それから、ネクタイの色にもポイントがあります。柔らかいピンク色のネクタイを締めれば、ライカビリテイは上がり、濃い紺色のストライプのネクタイなら、コンピタンスが上がるのです。
これらを踏まえれば、自己アピールの戦略を練ることができます。
■4.面接で勝ち残るコミュニケーションスキル=バーバル+ノンバーバル
面接では、面接官の「理性」と「感情」の両方を揺さぶることが重要です。
「バーバル」とは、基本的に「理性」を満たす方法であり、「ノンバーバル」とは、感情を満たす方法です。もっと言うと、人間の本能的な部分に訴えかけるのがノンバーバルで、人間の脳の高等な部分――詳しく言えば、情報などを司る大脳新皮質の部分に訴えかけるのがバーバルです。
理想的なのは、もちろん理性も感情も両方が満たされること。つまり、バーバルもノンバーバルも完璧な人は、最強です。こういう人なら、人気企業から内定をもらうのも、決して難しいことではありません。
■5.話を具体的にするには、詳細まで語る
ライダー大学の学者ヒースの研究では、詳細を語ることによって、話の信憑性はもちろんのこと、それを語っている人も「正直な人物である」という評価が高まっていくことがわかったそうです。
なぜかというと、抽象的な言葉を使えば、いくらでも嘘がつけるからです。「私は明るい性格です」といくら言っても、本当かどうかわかりません。
けれど、具体的に語るためには、真実でないといけない。よほどの嘘の天才でない限りは、経験もしていないことを詳細に語るのはとても難しいのです。だから、話が具体的であればあるほど、正直さ、誠実さを相手に印象づけることができます。
■6.説得カアップ=「統計情報」十「具体的事例」
「統計情報」は、理性を満足させます。一方、「具体的事例」は、感情を満足させるものです。この両輪が、2つひと組になってくるくる回ることで説得力が増すのです。
その理由は、本章の冒頭で行った「バーバル×ノンバーバル」の説明と共通しています。統計情報だけだと、頭ではわかるけど心に迫るものがなく、逆に具体的事例だけだと、客観性が希薄なため、疑り深い人だと「それはあなただけでは?」「例外もあるでしよう?」などと勘繰って、説得されにくくなります。
だから、「統計情報」と「具体的事例」は、必す2つで1セット扱いにしてください。
■7.「過去」「現在」「未来」のタイムラインを意識して話をする
覚えておいてほしいのは、面接官が次のような視点で学生を見ているということ。
今日の面接に至るまでに、どんな人生経験をしてきたのか。その経験から、この人は何を学んだのか。学んだことを、心と体に定着させて、自分のものにできているのか。それを、この会社の仕事に生かせるのか。
■8.面接でよい印象を与える「微笑み方」
方法はいろいろとありますが、一番簡単なのは、しゃべり始めや、話の中に登場するキーワードを言う瞬間に、目をいつもより10パーセントくらい大きく見開く方法。それだけで少し微笑んでいるように見えます。(中略)
特に重要なのは、面接官が質問を終えて、自分か答え始めるその瞬間。その瞬間に目を軽く見開くと、「よくぞ聞いてくれました」という気持ちが面接官に伝わります。面接官も人間ですから、質問したとき相手に嫌な顔をされたら、すごくショックを受けるのです。だからこそ、特に厳しい質問のときなど、喜んで受け入れてもらえるとほっとします。
【感想】
◆私はリアル書店で本を手にすると、著者経歴や目次とともに「はじめに」や「おわりに」をチェックするのですが、本書はその「はじめに」を読んで購入を決意しました。と言うのも、本書は人気企業への就職を目指す人のための「ハイレベル」な就活本であり、著者の伊東先生は、自分自身がそれを語るにふさわしい理由を3つ挙げてらっしゃったから。
まず、伊東先生は「企業研修のプロフェッショナル」であるため、毎年新人研修で数百人の合格者を見ており、さらには「数百社の企業とお付き合いがある」のだそう。
しかも、「採用で面接官をする人たちに、面接のやり方を教えている」のですから、本書に書かれているテクニックは「インサイダー情報」のようなものです。
◆そして、本書では上記ポイントのように「ノンバーバル」のお話が出てきますが、伊東先生は「心理学のプロフェッショナル」でもあります。
面接官は意識していなくても、○×の判断は「心理学的な要素」に左右されているのは明らかですし、伊東先生は単なる経験ではなく、「実験統計データ」に基づいて本書を執筆されているとのこと。
私は、そもそも伊東先生は心理学畑の方だと思ってましたし、当ブログではこの本を多くの方にお買い上げ頂きました。

絶対に影響力のある言葉 (PHP新書)
参考記事:もしものときのための『絶対に影響力のある言葉』8選 (2010年11月18日)
さらに伊東先生は「人事・採用の裏事情に精通している」ので、本書に書かれていることは「すべて人事の方に検証済み」なのだとか。
落ちても「なぜ落ちたか」は普通教えてもらえませんが、本書に収録されているNG例は、裏取りがされてるわけですね。
◆問題は、「レベル的に就活生にはちょっと高度すぎるのではないか」、ということで、普通の面接本に書かれている「お辞儀のしかた」等の内容は一切ありません。
ですから、もしこのエントリーをお読みになった就活生の方は、いきなり本書を読んだりせずに、まずは基本的な部分を別の本で押さえておいて下さい。
ただ逆に、第二新卒の方や、これから転職されようとする方なら、自分が既に社会人であることを踏まえた上で本書を活用するにはピッタリではないか、と。
実際、伊東先生は、企業研修で本書と同じスキルを社会人に教えてらっしゃるそう。
確かに私も「バーバルの7つのスキル」とか「ノンバーバルの7つのスキル」なんて知りませんでしたし、これらは就活面接以外にも活用できるものだと思います。
◆今にして思えば、私は新卒時にはかなり「ノンバーバル」にウエイトをかけて勝負するタイプで、話の論理性などまるでありませんでした。
実際、某メーカーの最終面接では、役員を前に「その会社と勘違いして他社のことを持ち上げた」のに、内定が出たことも。
あのときニコニコして私の顔を見ていた役員さんは「こっちの話なんぞ聞いてなかった」と思われw
もっとも、あの頃の私に本書に書かれているような「バーバルのスキル」さえあれば、意中の企業に就職できたのかもしれませんがw
ハイレベルな面接技術を身につけたいならオススメ!

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【編集後記】
◆速読でおなじみの園 善博さんが、ついに勉強本をお出しになったようです。
すぐに頭がよくなる!「超速」勉強法 (講談社BIZ)
ノーマークでしたが、本日までのアマゾンキャンペーンもありました。
園善博の新刊 「すぐに頭がよくなる『超速』勉強法」 出版記念キャンペーン
これはちょっと気になりますね……。

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この記事へのコメント
面接官の判断の最後の拠り所は直観的な好き嫌いが出ますから、心理面からのアプローチは大切ですね。あとその会社がどんな人材を求めているのかって極めて大事なポイントですね。
Posted by 片木 at 2011年01月11日 23:15
>片木さん
その「直観」も面接官本人は「キチンと考えて」やってると思ってるわけですからねーw
ノンバーバルは、ほんとテクニックを知っていた方が良いと思います。
人材についてもまさにその通りで、今にして思えば、内定出たところや勤めたところは、私に水があってるように感じました。
その「直観」も面接官本人は「キチンと考えて」やってると思ってるわけですからねーw
ノンバーバルは、ほんとテクニックを知っていた方が良いと思います。
人材についてもまさにその通りで、今にして思えば、内定出たところや勤めたところは、私に水があってるように感じました。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年01月12日 01:50
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