2010年12月29日
【旅&読書】『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』出口治明
ライフネット生命社長の常識破りの思考法 ビジネスマンは「旅」と「読書」で学びなさい!
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ライフネット生命社長、出口治明さんの最新刊。サブタイトルに『ビジネスマンは「旅」と「読書」で学びなさい!』とあるように、本書では、出口流の「旅行術」「読書術」が指南されています。
アマゾンの内容紹介から。
本物の常識にこだわったら「非常識な会社」ができた!世間一般の「社会常識」に引っ張られて、答えに行き詰まっている方々へ。あなたの考えは、「ファクト」と「数字」と「ロジック」に基づいていますか?私たちが「生明保険の常識」のおかしなところに気づいたように、『常識』は本当にそうなのか、もう一度考えるクセをつけましょう。「旅」と「読書」をもっともっと楽しめば、その発想は鍛えられるのです。個人的には、出口さんのオススメ書籍を知りえただけでも価値のある1冊でした!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
PART1 常識破りの仕事脳は「旅」と「読書」でつくれ!
第1章 なぜ「旅」と「読書」で思考が鍛えられるのか?
第2章 再確認・日本の「常識」は本当に正しいのか?
第3章 「タテヨコ」思考を鍛える”出口流”旅行術&読書術
第4章 「旅」と「読書」プラスαで磨く仕事の思考パターン
PART2 脳に効く、「旅」と「読書」おすすめガイド
【ポイント】
■1.「社会常識」が幅を利かせている分、日本人は自分の頭で考えなくなっている日本ほど「社会常識」が幅を利かしている国も少ないでしょう。多くの数字や事実から論理的に積み上けた考えではなく、「みんなの常識的にはこうだ」という発想です。そこには数字もファクトも、ロジックもありません。しかもけっこう短期間でころころ変化しますから、哲学や道徳や宗教とも違います。いわば即席の常識です。短期的という意味では、「空気を読む」の「空気」に近いのかもしれません。
■2.正しく素早い判断はインプットの量で決まる
個々の判断を正確で素早いものにする一番簡単な方法は、判断材料となるデータをできるだけ多く蓄積することです。経験豊かな職人さんは、いつもと勝手の違う状況に直面しても、頭にあるデータべースから過去の最適な事例を瞬時に引き出して対応しています。それが経験則というものです。
このデータべースが大きければ大きいほど、適切な答えが素早く出てきます。つまり、判断力はインプットの量で決まるのです。反対にこれがなければ、「社会常識」に流されます。
■3.旅で「ヨコ」、読書で「タテ」の思考力を鍛える
私は人類の長い歴史に照らし合わせて考えることを「タテ思考」、世界の国々に住む人々の状況と照らし合わせて考えることを「ヨコ思考」と呼んでいます。
目の前に何か解決すべき問題が生じたとき、「人類の歴史ではどうなっていただろうか」「世界の国々ではどうだろうか」と視点を大きく変えてみます。そこから導き出される答えは、ころころと変わる社会常識に流されることなく、長い目、広い目で判断した正しい答えになることが多いのです。それは世界的にも通用する考え、歴史的にも通用する考えとなることが多いのではないでしょうか。
■4."出口流"「旅」術・まとめ(抜粋)
・ガイドには、私の場合はミシュラン(グリーン・レッド)を活用する。地図の縮小や位置が正確でよい。
・ホテルやレストランを選ぷときは、たとえば10日のうち2日は豪華なホテル、残りは駅前の安いホテル、というように、メリハリをつけて選ぷ
・あらかじめ休みをスケジューリングしておこう。まとまった休みをとることは罪悪ではない。
・団体ツアーと個人旅行は、併用してその長所を生かそう。
■5.新聞書評で見た本の最初の5ぺージを真剣に読む
新聞の書評欄を読んで興味をもてば書店や図書館で手に取りますが、すぐには買いません。本文の最初の5ぺージほどを真剣に読みます。この本を読むかどうかはそこで決まります。最初の5ぺージが面白けれぱ、間違いなく最後まで読み通せます。これはハズレだったと、途中で投げ出したことは一度もありません。
■6.良書は読み終わると毒が残る
優れた本は、読み終わったあとに必ず毒のようなものが残ります。何かが頭のなかにひっかかっているのです。ああ面白かったとすっきりして、すぐにその内客を忘れるのではなく、いつまでも自分のなかに残っている毒です。
塩野七生さんはイタリアを舞台に優れた歴史小説を書く当代の人気作家ですが、塩野さんの著書で私が好きなのは、初期に書かれた『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』と『神の代理人』です。この二冊は読後に強い毒が残って、いまだに忘れられない場面がいくつもあります。チェーザレの墓もボルジア家の発祥の地であるガンデェアも訪ねたほどです。
チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)
神の代理人 (塩野七生ルネサンス著作集)
■7.本は傍線を引いたり付箋を貼ったりしないで、頭に刻みつけるように読む
たとえば生命保険の本を自分で書くために資料に目を通すとき等は、たまにはノートに要点をメモしたりすることもありますが、通常の読書ではメモも一切とりません。ただひたすら読み込み、書いた人と真剣に対話をするだけです。
哲学者の木田元さんが「キチンと書かれたテキストを最初の1ぺージから最後の1ぺージまで1行1行作者の思考を追思考しながら読み込むことによってしか、人間の思考力を鍛えることはできない」と言われていますが、まったくその通りだと思います。
■8.『ロード・オブ・ザ・リング』に学ぶリーダーの3つのカ
世界を滅ぼす指輪を地の果ての火山に捨てるという明確な目的。
旅の仲間を集め、困難な旅を共にしようと思わせる共感力。
そして、みんなで困難を乗り切る統率力、ルートを定める計画力などを含めたロジスティクスの力。
この3つが優れていることがリーダーの条件です。人間力がどうのこうのと言われるより、リーダーの役割がシンプルではっきりとわかります。一人のリーダーにこの3要素がなければ、チームで補えば良いのです。
ロード・オブ・ザ・リング ― コレクターズ・エディション [DVD]
【感想】
◆結構なボリュームを引用してしまいましたが、実はこれでも割愛しまくり。特に第2章の『再確認・日本の「常識」は本当に正しいのか?』は丸ごとカットしております。
ここでは「いかに日本の"常識"は世界的・歴史的に見て"非常識"なのか」が描かれているのですが、どの項目も「おしなべて納得」。
いかに皆が(当然私を含めて)「思考停止」しているかがよく分かります。
たとえば、「株主総会がなぜ平日に開催されるのか」なんて、私は考えたことがなかったですし。
◆同様にカットしたのが、PART2の『脳に効く、「旅」と「読書」おすすめガイド』。
「旅」の方は、一箇所を除いて「ひと味違う」セレクトですし、「本」の方も、当ブログでは普通選ばないタイプのものばかりです。
そんな中、ひと足お先にアマゾンアタックさせて頂いたのがこの2冊。
現代の金融入門 [新版] (ちくま新書)
単純な脳、複雑な「私」
特に前者に対する評価の高さは尋常ではなく、付けられた小見出しが「この先10年は誰も超えられない金融の入門書」ですからねーw
後者も『「本の毒」が非常に強い本』とのことなので、読むのが楽しみです。
また、巻末の参考資料の『「いろいろな気づきを与えてくれる」歴史の10都市』『「人間の旅を楽しむ」10冊』『人間とその社会を深く知るための毒をもった古典10冊』の方も見逃せないところかと。
◆ただし、上記ポイントでも触れているように、出口さんの選ばれる本や、その読書スタイルは、当ブログとは異なっています。
そもそも、本選びの情報源が「新聞の書評欄」だそうですし、「ビジネス書の類はほとんど読まない」との記述もありました。
それでも私にとって「ピン」と来たのが「良書は読み終わると毒が残る」という主張。
単に「面白かった」というだけではなく、「ひっかかり」のある本、というのを今後は意識してみたいな、と。
◆一方、「旅」の方は、今現在子育てが忙しい私にとっては、実践がかなり難しいのですが、観光地しか海外旅行をなさったことのない方には、行けるうちに、変わった場所に足を伸ばしてみることを私もオススメしたいです。
自分の中でも、仕事でとはいえ数週間滞在した中近東の国々では、かなりのカルチャーショックを受けましたし、少なくとも「日本の常識」が絶対ではないことを思い知らされましたし。
こうした「旅」や「読書」によって、人間としての「器」を広げておくことが、ビジネスパーソンとしてのスケールアップにつながるのではないでしょうか?
出口さんも、還暦を迎えてからライフネット生命を立ち上げられたワケですし、まだまだ間に合います!
2011年に向けて年末に読んでおきたい1冊!
ライフネット生命社長の常識破りの思考法 ビジネスマンは「旅」と「読書」で学びなさい!
【関連記事】
【自分軸の大切さ】『「思考軸」をつくれ』出口治明(2010年06月27日)【必見?】はあちゅうの世界旅行記が半端ない件(2009年08月26日)
【ハイパーノマド】今さらですが「サバイバル時代の海外旅行術 」が面白かった件(2009年09月21日)
【オススメ】『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ 』成毛 眞(2010年07月10日)
【結構スゴ本】『「空気」と「世間」』鴻上尚史(2010年09月07日)
【編集後記】
◆昨日のアマゾンアタック。松下幸之助 成功の金言365
正座して読みたい1冊です。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
当ブログの一番人気!
11月21日まで
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです