スポンサーリンク

       

2010年12月14日

【転職】『即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事』樋口弘和


即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事 (角川oneテーマ21)
即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事 (角川oneテーマ21)

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ちょっとショッキングなタイトルの、転職就職採用に関する1冊。

ただし、中身はかなり真っ当で、「なるほど確かに」と思わせられる点が多々ありました。

アマゾンの内容紹介から。
百戦錬磨の人事のプロは、採用面接で何を訊いているのか? 賃金デフレ時代を生き残る人材の新条件とは? 「成長意欲の3類型」や「人材ポートフォリオの描き方」など、採用・人事を成長戦略にするヒントが満載。
転職を考えてらっしゃる方も、いずれそうなりそうな方も要チェックです!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【目次】

第1章 「即戦力」幻想が会社を潰す!
 採用にコスト管理は馴染まない?
 「即戦力」には賞味期限がある ほか

第2章 人材の“見える化”が人事を成長戦略にする
 「人材ポートフォリオ」で人的資源を有効に
 組織に必要な縦軸と横軸をつくる ほか

第3章 「伸びる即戦力」はこうして見抜く
 「未経験者採用」に目をつける
 「他責体質」と「名ばかりリーダー」は要注意 ほか

第4章 組織を強くする「ワーク・ライフ・バランス」
 誤解されたワーク・ライフ・バランス
 ハンディへの理解が自社の文化になる ほか

第5章 人材市場の二〇一〇年代を勝ち抜けるか
 賃金デフレ時代がやってきた
 「賃金は毎年上がる」と信じられた時代 ほか


【ポイント】

■1.まずは最初に就職した会社で頑張ってみる
企業側としては、新卒採用した人材に関しては、数年間は「育てる意識」を持っているものですが、中途採用した人材に対しては「成果を出せるかどうか」という物差しで測るだけになり、教育するという発想を持たなくなります。
 そういうことを考えてみても、安易に現状から逃避しようとはせず、まずは最初に就職した会社で与えられた仕事に本気で取り組んでいくべきです。
 転職によるキャリアアップを考えるのならば、二十代のうちはひとつの会社でできる限り多くのことを吸収したうえで、三十歳を超えた頃からそういう道はないかと模索してみた方がよいというのが私の考えです。


■2.業務経験を重視して中途採用した人材に多くを求めない
「業務経験」を重視して採用した人材に対して、担当する業務をきちんとこなすこと以上の期待をかけることは危険です。つまり、中途採用した社員に対してそれ以上の成長を期待したり、リーダー候補として育成していく考えを持つのはやめるべきだということです。
 この変化の時代、「業務経験」というものには数年で賞味期限がくるからです。


■3.過去の実績を高く評価する人は危険
 私の場合、自分の過去の実績を高く評価する人は、疑うようにしています。なぜなら、伸びる人というのはみな、過去の実績に対する自己評価はむしろ厳しいものだからです。それは「もっと良くできるはず」とどんどん新しいチャレンジをしていく向上心のあらわれなのです。


■4.大企業勤務経験者には分からない中小企業のあり方
 大企業や金融機関にしか勤めた経験のない人たちには、中小企業のあり方がよくわからないものです。それは中小企業というものは、創業者やオーナー経営者の強いDNAが何年もかけて組織の中にしみ込んだ、大企業とはまったく異なる特殊な組織形態だからです。
 ですから、大企業と同じような組織形態の中小企業は、存在しないといった方がよいかもしれません。


■5.「他責体質」を持つ人には要注意
 彼らに共通するのは、自分を客観的に評価できないことです。「こういうところで自分は頑張ってきた」と自分視点で物事を見がちで、自分の長所や短所、とりわけ短所の方を客観的に語ることができないのが特徴です。「評価とはふつう、上司や同僚のような他人がすることだ」という基本が理解できていないといえるでしょう。
 したがって、面接の中で、そういう傾向が見られる人がいたら「他責体質」の持ち主ではないかと疑い、採用はとくに慎重になるべきです。


■6.面接官としての適性は、マネージヤーとしての適性につながる
 見抜きカの低い面接官には「事実の追及」が弱いという共通点があり、第一印象の良い人、声の大きい人、実績のある人を過度に評価する傾向があります。ですから、面接でも一つの事例だけで「この人はできる」あるいは「彼女はだめだな」と早めに評価を決めがちで、その後の会話は「良い/悪い」という評価を検証するためにおこなっているだけとなります。
 また、自分のコンプレックスや志向で面接結果が左右されるのもこの手の人たちです。


■7.本当に優秀な人材を見極める3つの資質
 面接で私は、本当に優秀な人材かどうかを判断するポイントとして、とくに三つの資質を見極めることに注力しています。
 その三点とは、「性格の素直さ」「思考のやわらかさ」「情熱(ハート)」です。
 何をもって優秀であると定義するのかは、時代や社会環境によって変わるものですが、これまでに出会ってきた多くの方々のなかから、とくに優秀であり、今の時代に非常にマッチしたご活躍をされている方たちに共通するポイントを抽出し、そこから導き出されたものがこの三点です。(詳細は本書を)


■8.評価シートでの評価方法は、四段階式で
 細かいことですが、評価シートでの評価方法は、四段階式に分けることをおすすめしています。五段階式で採点をおこなうようにすると、真ん中の評価となる三を選ぶ人が増える傾向がどうしてもあるからです。しかし、五段階式では三を選んでいた面接官にしても、四段階式では二か四を選ばざるを得なくなります。そのため、評価が平均より上か下かに分かれるのでいいのです。


【感想】

◆本書を読んで、まず「なるほど」と思ったのは、初っ端にあげた、『中途採用した人材に対しては「成果を出せるかどうか」という物差しで測るだけになり、教育するという発想を持たなくなります』というクダリ。

全部が全部、教育しないとは思いませんが、確かに必要があって中途で採る以上、基本的に「教育」というファクターはなくても不思議ではないのかもしれません。

本書には、新卒採用にかかるコストが試算されており、それによると、入社後3年の給料が約1000万円、それに法定福利費その他費用の300万円や、採用自体にかかる費用を加算すれば、新入社員が一人前になるまでに、約1500万円ほどかかっているそう。

そう考えると、新卒時に入った会社で、まずは本気で仕事に取り組むべし、というのも腑に落ちます。


◆一方、当ブログの読者さんには、人事担当の方はそれほど多くはないと思いますが、採用の際に注意したいのが、「他責体質」の人。

上記では詳しく述べませんでしたが、何か問題が起きたとき、それを上司や環境、お客様などのせいにしてしまう人のことをそう呼びます。

本書によると、こういう人はたとえ転職したとしても、新しい職場で同じように「再発」してしまうのだとか。

結果的に、また新たな職場を求め…となってしまうくらいなら、採用の時点で、未然に防ぎたいものです。


◆逆に、私たちが押さえておきたいのが「優秀な人材の3つの資質」

ただし、この3点は「それまでの生き方を通じて形成されたもの」であるため、短期間に変えるのは難しいそう。

なお、本書ではこれらの資質の「見抜き方」も指導されていますので、転職(&就職)志望者は、事前にスタディしておくと良いかもしれませんw

ちなみに、「素直さ」を見抜く質問の切り出し方はこうです。

「あなたのことをいちばんよく知っているのは誰だと思いますか?」

もっとも、その後の質問が「キモ」なんですが、それは一応「ネタバレ自重」ということで。


◆実は今回の記事は、「採用」ネタを中心にしたかったので、付箋を数多く貼った中から、第3章までの範囲で抜き出してみました。

ただ、「人事」全般に携わる方なら、第4章のテーマである「ワーク・ライフ・バランス」部分もぜひチェックして頂きたく。

そして続く第5章では、デフレ時代の最初のボーダーである「年収400万円」を超えるためのスキルを指導。

私自身もちょっとアヤシイので、心しておきたいな、とw


いずれ来るかもしれぬ、転職の機会に備えて!

即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事 (角川oneテーマ21)
即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事 (角川oneテーマ21)


【関連記事】

【仕事術】『仕事のアマ 仕事のプロ──頭ひとつ抜け出す人の思考法』長谷川和廣(2010年12月03日)

【オススメ】『35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書』渡邉正裕(2010年10月14日)

【オススメ】「キャリア・ショック」高橋俊介(2009年04月11日)

【選ばれる人】「プロ・ヘッドハンターが教える仕事ができる人のひとつ上の働き方」兼本尚昌(2009年07月17日)

【キャリア育成】「本田式サバイバル・キャリア術」本田直之(2009年03月21日)


【編集後記】

◆時間管理コンサルタントの水口和彦さんの新刊が出ていました。

情報整理達人7箇条 (SANNO仕事術シリーズ)
情報整理達人7箇条 (SANNO仕事術シリーズ)

今回は時間だけでなく、情報の整理も行われているようなので、整理術好き要チェックで!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

この記事のカテゴリー:「ブランディング」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
                               
この記事へのコメント
               
マインドマップさん、お元気ですか?

今の時代キャリアを積むのも大変ですよね。
Posted by イヴォンヌ at 2010年12月14日 19:35
               
>イヴォンヌさん

今朝、寝落ちしてしまい、レス遅れてスイマセン(汗)。
おかげさまで、キツキツでブログ運営しております。
お互い、よくここまでブログ続きますよねw
これからもよろしくお願いします。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年12月15日 09:44