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2010年12月05日

【文章心得】『書いて生きていく プロ文章論』に学ぶ7つの心得




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日内藤 忍さんが激賞されていた「文章論」のご本。

著者の上阪 徹さんは、『プロ論。』シリーズというヒット作を手がけながらも、「著者」ではなく「ライター」として、「書くこと」にこだわってらっしゃる方です。

そこで今回は、この本の中から、「文章を書く際に心がけたいポイント」を7つ抽出。

文章を書かないビジネスパーソンはいない以上、多くの方が読むべき1冊かと。



【目次】

はじめに

第1章 その文章は誰が読む?

第2章 伝わる文章はここが違う

第3章 プロ文章家の心得

第4章 「話す」よりも「聞く」のが大事

第5章 プロの取材はこう行う

第6章 「書く仕事」のキャリア作り

第7章 「職業文章家」として生きる

コラム1 ライターという職業
コラム2 雑誌記事を作る
コラム3 書籍を作る

おわりに


【7つの心得】

■1.伝えたい人が目の前にいるつもりで書く
まずは、誰に向けての文章なのかを認識する。役員向けと部長向けと部下向けと顧客向けでは、トーンも意識も大きく変わるでしょう。ですが、ここでもう一歩一踏み込んでみることを私は勧めます。中でも誰にいちぱん伝えたいのか、その人の顔を思い浮かべて書くのです。その人が目の前にいるつもりで書くのです。


■2.文章を書くこと自体を目的にしない
 私は仕事柄、ときどき、文章を見てほしい、と言われることがあるのですが、拝見していてよくあるパターンに、文章を書く目的を失っていることがあります。では、何を目的としているのかといえば、文章を書くことを目的にしてしまっているのです。
 本来の目的を忘れ(本当は忘れていないのかもしれませんが)、文章を書くということが主役になってしまっている、もっといえば、うまい文章をなんとか書こうとして、あるいは文章をなんとかうまく見せようとして、本来の目的を逸脱してしまっているとしか思えない文章を拝見することがよくあるのです。


■3.できるだけ多くの事実や話を入れる
文章であれ、文全体であれ、できるだけ多くの事実や話を盛り込んでいく、ということが大きな意味を持つのです。美しいから、といくら美しい言葉を並べ連ねたところで、そこに読者が共感する事実がなければ、美しさを読み手はイメージしにくいのです。
 となれば、実はこだわるべきは、一つひとつの言葉や形容詞ではなく、事実や数字、具体的な「話」であることがわかります。それを構成するだけで、文全体になるのです。文章はひねり出すのではなく、すでにある事実を組み替えていくもの。それこそが、読み手にとって、よリイメージを持って理解ができる文章だと私は思っています。


■4.書く前に文章の構成を考える
 もし、文章がなかなか書き進められない、というような思いがあるなら、事前に構成をしっかり考えておくことをお勧めします。紙に書くのがぺストですが、できないなら、頭の中で流れを考えてもいい。少なくとも、いきなり書き始めるよりは圧倒的に書きやすくなると思います。今でも、長文になるほど、私はそうしています。


■5.「一気通巻」で読んでもらうために、出だしに気をつける
 私が意識しているのは、とにかく「一気通巻」で読んでもらうためにはどうすればいいか、ということです。最も注意しなければいけないと考えているのは、実は導入です。導入に、最も印象深い内容、気になる内容を盛り込み、出だしに気をつけるのです。想定した読み手が、「おや?」「あれ?」「ん?」「なんだこりや?」と思う内容や表現、「え?」「すごいな?」「ホントかよ?」と思えるような内容(数字や事実)を入れるのです。


■6.順接の接続詞をなるべく使わない
構成を考えるとき、もっといえば、書くときに注意すべきことをひとつだけ挙げておくとすれば、順接の接続詞をなるべく使わない、ということです。とりわけ「また」「さらに」をなるべく使わない。これらは使いやすい接続詞なのですが、これを使うと、どうしても流れが平板で面白くないものになってしまうのです(私はあまり使いません)。逆に「しかし」「でも」などの逆接の接続詞は、特に文章の中で意識して使う。これが展開に変化を作ってくれます。


■7.リズムを意識する
 読みやすい文章にする取り組みとして、私が強く意識していることに、文章のリズムがあります。センテンスをどこで切るか。どこに「、」を入れるか。同じ意味の言葉の中から、どれを選ぶか。「です」と「である」をどう使い分けるか。行替えをどこでするか……。こういう判断をするとき、内容に次いで重視するのは、実はリズムだったりします。(中略)

 誰のリズムがいい、というものはないと思います。ただ、自分にはわかりませんが、私には私の一定のリズムがあるようです。大事なことは、このリズムを作ることです。


【感想】

◆日々、こうしてブログを書いている私にとっては、「心に刺さる」1冊でした。

そもそも、上阪さんは、たくさんのベストセラーに関わってらっしゃり(冒頭の『プロ論。』は累計40万部!)、また、「文章が上手だ」と褒められることも少なくないそう。

ただしご本人は、文章を書くのが「苦手」で、「文章術」「文章の技術」へのこだわりはほとんどないのだとか。

それならば、なぜここまで多くの仕事のオファーがあったのか?


◆上阪さんの達した結論は、「文章を書く上での心得」

つまり、表面的な技術ではなく、上阪さんご自身の「地に足のついた文章との付き合い方」こそが、その秘訣ではないか、と。

本書では、第1章から第3章までを費やして、その「心得」について、掘り下げています。

……私の嗜好もあって、比較的テクニカルなものばかりになってしまいましたがw


◆また、上阪さんのポジションが、著者と編集者の間に位置する「ライター」である分、その「心得」「働き方」については、多くの業界の方に支持されているよう。

冒頭でご紹介したように、著者である内藤 忍さんはベタ褒めですし、編集者であるディスカバー21の千葉さんや、日本実業出版社の滝さんもこのようなツイートを。













なにやら「業界人必読」の印象がw


◆私自身を省みてみると、上記の心得の半分以上を守れていないことに愕然としました。

特に「書く前に文章の構成を考える」なんて、このブログではやったことがないような?

「また」「さらに」も使いまくりでございます。

しいて守っているとするなら、2番目の「文章を書くこと自体を目的にしない」

このブログの目的は、ひとえに「良い本を読者の皆様にご紹介すること」であり、今回の記事がそれを果たしていることを望んでおります。


業界人ならずとも、役に立つ心得集です!

書いて生きていく プロ文章論
書いて生きていく プロ文章論


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【Input&Output】『竹内流の「書く、話す」知的アウトプット術』竹内 薫(2009年05月03日)

【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)


【編集後記】

◆アマゾンで検索して思い出したのですが、上阪 徹さんはこの本も書かれていたのでした。

600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書)
600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書)

これも非常に面白い作品だったな、と。


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ベストセラーとなっている『プロ論。』などを手掛けられた上阪徹さんが、今度はご自身の「プロ論。」として文章論をまとめられたのが本書。 僕自身は今のところ「書いて生きていく」ことを本業にしようとは...
「読み手」を意識した「書き手」になるための5つの心得 - 書評 - 書いて生きていく プロ文章論【知磨き倶楽部〜読書で「知」のトレーニングを!〜】at 2010年12月29日 15:05
                               
この記事へのコメント
               
紹介ありがとうございます。誰のために文章を書いているのか? もっと言えば、誰にどんな行動変容やリフレームを? そのことを明確にして文章を書かねばと、あらためて気付かされました。
Posted by 片木 at 2010年12月05日 21:47
               
>片木さん

私はかれこれ6年弱ブログ書いてますが、まだまだ直すべき点が多々あることに気づかされました。
確かに「誰のために」は意識しておかねばならない点ですよね。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年12月06日 02:15