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2010年11月04日

【知的生産】『小宮式 知的アウトプット術』に学ぶ「書く力」を高める7つのポイント


小宮式 知的アウトプット術
小宮式 知的アウトプット術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、お馴染み小宮一慶先生の、知的生産に関する1冊。

先月後半に出たので「最新刊」と書こうとして、実はその直後に2冊も新作が出ていることが判明。

先日の内田 樹先生の出版バブルの話の時には名前が挙がりませんでしたが、小宮先生もかなりの量産作家さんでいらっしゃいます。

本書では、商業出版だけでなく、雑誌等の連載を「月に12本」、ご自身の会社のメルマガで「月に2本」、さらにはブログも毎日更新されている、という小宮先生のアウトプットの秘訣を追求。

帯には「限られた時間で最高の結果を出す!」との一節がありましたので、ブログに毎日3時間かけている私としては、正座して拝読させて頂きましたw


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【目次】

第1章 仕事を早くする 小宮式「書く力」

第2章 書く能力を高める インプット力

第3章 インプットをアウトプットに生かす

第4章 アウトプットを高めるために学ぶこと

第5章 小宮式文章作成術 8つのポイント


【ポイント】

■1.段取りには時間をかける
「段取り」とは、文章を書く前の準備です。
 私が書くのが速いのは、机に座ったらすぐに頭の中にあるものを一気に書き出していくからです。コンピュータにたとえれば、CPUは「書く作業」だけに使われています。
 机の前に座ってから「何を書こうかな」「どんなふうに書こうかな」などと悩んで時間をかけることはありません。事前に考えておいた内容を書いていくだけ。だから速いのです。


■2.「関心」を持ち「仮説」を立てる
「関心」が第1ステップで、加えて普段から基本となる数字や考え方などを勉強していると、それが基準となり、自分なりの「仮説」が立てられます。そうすれば、おのずとインプットの質が格段に上がるのです。(中略)

 若い方は、まず、自分の仕事に関心を持って、自分なりの仮説をつくるのです。仮説を得るには、自己流ではなく、その分野の専門家の本などを読んでその本質を知ることが必要です。本質が基準となり仮説となり、さまざまな現象を見たときに、それが基準に照らしてどうかが見えるようになるからです。


■3.新聞を一面から読む
 新聞は、新聞社(編集者)が重要だと決めた順番に一面から記事が載っているのです。重要なニュースから読んでいくというのが基本ですから、一面から順に読んでいくことが大原則です。
 世の中が重要だと考えていることと、自分が重要だと思うものは違いますから、自分の好きなところばかり読んでいると、世の中の重要さと自分の重要さの感覚が知らず知らずにのうち大きく乖離していってしまいます。
 逆に一面から順に読み続けていれば、世の中が重要だと思っていることと、自分の重要度が次第に合ってくる。いうなれば新聞を一面から読むのは、世の中の感性と自分の感性とを合わせる訓練といってもいいでしょう。


■4.「論理的思考力の高い本」を時間をかけて深く読む
 最近では、インターネット上でちゃちゃっと調べることが知識の源となっている人も多いようです。しかし、ネット上にあるきちんと検証されていない表面的な知識を拾って、それを調べ直すこともせず、自分の知識として蓄積していくことは、とても危険なことだと思いませんか?
 それでは真実を理解することは、到底できません。少々たいへんだと思っても良い本を読み、正しい知識を身につける習慣付けをしてください。


■5.決まりごとは早く勉強しておく
 会計なら貸借対照表を見るときに、左サイドが『資産の部』、右サイドが『負債の部』と『純資産の部』という基本的な枠組みを知っていないと理解できません。これは、決まりですので覚えるしかありません。
 つまり、こうした規則(フレームワーク)は、知っておくべきことであり、遅かれ早かれ必ず必要になるもの。それなら早く勉強しておいたほうが効率的です。
「何でこうなるのだろう」なんて考えたってしかたありません。決まり事ですから、勉強して覚えるしかありません。


■6.まず目の前のことを学習する
 営業マンなら、お客さまのこと、商品のこと、自分の属する業界のこと……。販売業の方なら、扱っている商品の流通や素材や特徴、価格など。自分の専門分野を知ることが最優先です。
 多くの方がそこを間違えて、すぐには必要ではない語学やIT関係、会計など、余計なことまで張り切って取り組んでしまいます。(中略)

 とにかくまずは、自分の仕事の本質を究める勉強に時間をかけてください。
 勉強しなくても、そこそこの仕事はこなせるかもしれません。しかし、自分の仕事を徹底的に突き詰めた人とそうでない人との仕事には、将来的に必ず大きな差が出てきます。


■7.「バリュー」を考え、「インパクト」でひきつける
 文章を書くときに私がまず考えるのは、「何を伝えたいか」ということです。
 これは、自分が何を言いたいかということではなく、読み手にとって面白い内容になっているか、また読んだあとに満足感を得てもらえるか、もしくは何か役立つ情報が入っているか、という読み手にとっての「(バリュー)=(価値)」です。(中略)

 そして次に大切なのは、そのバリューに対して、いかにインパクトのある書き方で読み手をひきつけられるか、ということです。
 せっかく価値ある情報を見つけ、それをレポートにまとめたとしても、最後まで読んでもらえなければ、なんの意味もありません。


【感想】

◆本書を読む前は、もうちょっと小手先(?)のテクが列挙されているのかと思いましたが、あにはからんや

アウトプットと言うより、それに先立つ本質的な部分への言及が多い1冊でした。

もちろん、「難しい言葉を使わない」「文章を短くする」と言った「お約束」も掲載されているのですが、上記ポイントではあえて小宮さんらしい部分を抜き出した次第。

逆に、そういう部分こそが、本書の「バリュー」だと思ったので。


◆また本書は、個別の論点について、小宮さんが各種媒体で実際にアウトプットした文章がいくつも掲載されているのが特徴のひとつ。

アウトプットの例が「書籍」ですと、中身をまるごと載せることは無理ですが、「メルマガや会報等」の600字〜1500字程度の文章なら論点の具体例として紹介することも可能です。

このやり方は、類書でもあまり見た記憶が無いような?

私は小宮さんのメルマガを購読しているのですが、あの号の内容は、こういう手順を踏んで書かれたものなのか、と改めて舞台裏を覗き見した気分です。

それにしても、あの文章がそんなに短時間(15〜30分)でサクサク書かれていたとは、まったく思っていませんでした。


◆さて、他の類書と同じく、アウトプットの前提として、小宮さんもインプットの重要性を挙げてらっしゃいます。

同意されない方もいらっしゃるとは思いますが、上記で挙げたように新聞は一面から読みましょうよ、とw

小宮さんの場合、新聞は『読売新聞』『日経新聞』『日経産業新聞』の3紙を読まれているよう。

そして、小宮さん独特のインプットが「定点観測」で、本書では「グアムでの定点観測」から導き出された世界情勢の予想が紹介されています。

私はメルマガの時点で読んでいて「なるほど」と思ったのですが、この辺の「観察力」は是非見習いたいところ。


◆一方で、世間的に必要と言われる語学ITより、自分の専門分野を学習せよ、と言われているのは、私を含め、自己啓発書好きにとっては、耳痛いかもしれません。

同様に「論理的思考力の高い本」を読むことを薦められているわけで、本書では一貫して『目先の「要領のよさ」を追求しない』というメッセージを出されてらっしゃるような。

ただ、若いうちはともかく、ゆくゆくはこういった基礎能力の部分が大きな差に繋がってくる気がします。

今回挙げた「7つのポイント」も、今すぐには効果が出なくとも、将来的には大きなリターンとなってかえってくるハズ。


私にとっては「良薬口に苦し」な1冊でした!

小宮式 知的アウトプット術
小宮式 知的アウトプット術


【関連記事】

【知恵】『ビジネスマンのための「勉強力」養成講座』小宮一慶(2010年05月26日)

【文章術】『【決定版】成川式 文章の書き方 』に学ぶ文章術の7つのポイント(2010年08月22日)

【知的生産】『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』齋藤 孝(2009年09月02日)

【Input&Output】『竹内流の「書く、話す」知的アウトプット術』竹内 薫(2009年05月03日)

【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)


【編集後記】

◆それはさておき、このムックは買いますw

ノート&ダイアリースタイルブック Vol.5
ノート&ダイアリースタイルブック Vol.5

見ているだけでニヤニヤしちゃいそうな予感w


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この記事へのコメント
               
昨日久々に書店に行き、久々に衝動買いしたのがこの本でした。
そして、「そういえばsmoothfoxxxさんまだ紹介してないな」と思った矢先でしたw
ポイント4番目の「論理的思考力の高い本」とありますが、具体例を紹介してなかったと思うのですがsmoothfoxxxでしたらどの本をおススメしますか?(無茶ぶり大変申し訳ありません。)
Posted by kimi at 2010年11月04日 22:34
               
>kimiさん

コメントありがとうございます。
おっと!衝動買いされましたかw
確かにスキルアップ系が好きな方にはツボですよね?!

「論理的思考力の高い本」ですかー。
ぶっちゃけ当ブログでは、私の趣味もあって、そういうハードルが高い本はほとんど紹介してないのですが、学者さんの書いた学者チックな本という意味では、先日ご紹介した『ストーリーとしての競争戦略』あたりを挙げたいです。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年11月05日 00:47
               
smoothさん、ご返事とオススメ本の紹介ありがとございました。(また、二つ目のお名前のところに「さん」がついておらず大変申し訳ありません。。)

会社に入社して半年がたったのですが、文章を書くスキルがもっともった必要だと感じいるところでした。(作業時間に対して、文章を書く、まとめるという作業はかなりの割合です。)


これからも応援しています‼

Posted by kimi at 2010年11月05日 12:52
               
>kimiさん

文章を書くのに時間がかかっているのは、いい年こいた私でさえそうなんですから、お互いスキルアップしていきましょう!

…と思いながら、日夜色々とビジネス書を漁っている私でございますw

応援ありがとうございます&今後ともよろしくお願いします。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年11月06日 04:03