2010年11月03日
新入社員が選ぶ超イカした『人気講師のすごい教え方』10選

誰でもまねできる 人気講師のすごい教え方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、『資格試験の合格技術』の評判も高かった、資格専門学校の人気講師、多田健次さんの最新作。本書では、過去3000人もの生徒を指導した多田さんの「講義テクニック」が惜しみなく披露されています。
出版社の内容紹介から。
セミナー講師・学校の先生・塾の講師・スポーツインストラクターなど、人に何かを教える機会のある人必見!大学と専門学校で3000人以上を指導したカリスマ講師の著者が、人に教える時の心構えから事前準備、事後の反省など全てのポイントを余すところ無く伝えます。私の人生で唯一の人前で話した経験が新入社員教育の講師だったので、納得できる点が多々ありました。
なお、タイトルはまたもやホッテントリメーカー作でございます。

【目次】
序 章 講師として必要な心構え
第1章 講義は事前準備で9割決まる
第2章 どんな人でも引き付ける話し方
第3章 理解を200%深める方法
第4章 講義中ずっと集中させる方法
第5章 ありがちなピンチを切り抜ける方法
【ポイント】
■1.全体の20%を味方につける最初から全員に満足してもらおうと考えるのではなく、少なくてもいいので絶対的支持者を集めることが先決です。
そのためには、無難な講義をするのではなく、自分らしい表現であなたの気持ちを直球で伝えること、歯切れの悪い表現ではなく言い切ることが重要です。
これができれば、コアなファンが中立層を巻き込みながらあなたのことを応援してくれるようになります。
■2.原稿は話し言葉で
とにかく短い言葉で、話す順序なども関係なくドンドンと書き出す。そして必要なこと・不必要なことを峻別、残ったリストを並び替えて話す順序を決定。話す骨組みが決まったあと、1つ1つのリストに具体的な文章を肉づけしていきました。
いったん完成した原稿を見ながら声を出して読んでみると、書き言葉と話し言葉でかなりの違違いを感じます。このときに、違和感がある部分をすべて話し言葉に修正します。
■3.最初と最後を徹底的に練習する
やはり最初が一番緊張します。出だしでつまずいてしまうと印象も悪くなりますし、うまく波に乗れません。よって、まずは「最初の1分」をとことん練習してください。練習の大半はこの最初の1分に使うといっても過言ではありません。
そして、次に練習しなければいけないのは、最後の締めくくりになります。
■4.リズムをつけて情報供給量を増やすために話すスピードを上げる
そしてたどり着いた答えは、「簡単な内容についてはスピードを上げること」と「テキストや資料の文章を読む場合はスピードを上げること」でした。
簡単な内容までゆっくりと説明する必要はありません。
専門的分野の難しい内容を説明しているときでも、小学校や中学校レべルのことや分かりやすい事例を使いながら説明することもあります。
そのときは、思い切ってスピードを上げても聴衆の理解力は落ちません。
■5.行動させることで場を引き締める
「はい、いいですか。いまから私の指示するとおりにしてくださいね。まずAテキストを机の右側に置いてください。で、次にBテキストを机の左側に置いてください。はいOKです! では、講義を進めていきますね」
この指示により、だらけた雰囲気から短時間で講義を聞く姿勢へと導くことができました。
場を引き締めるときのポイントは、的確な指示を出し、行動させることです。
■6.テンパってしまったら両足の親指に力を入れる
ちなみに私は落ち着きを取り戻せるように、息をゆっくり吐きながら両足の親指にぎゅっとチカラを入れて「大丈夫! 大丈夫!」と自分に暗示をかけるようにしています。
足の親指は頭に関係しているツボがあるといわれ、この部分に刺激を与えると脳の疲れを取り去ることができるそうです。
■7.参加者の視線が気になったら、目を合わせず5方向に顔を動かす
この方法は、意識的に決めた方向に向かって、一定の周期で顔を動かすだけです。一人ずつつ見るのではなく、その方向を向いて、ぼんやりとひとかたまりの参加者を見るという感じです。
見る方向は、左後ろ、右後ろ、真んなか、右前、左前の5つになります。(中略)
これだけで、参加者は自分を見てもらっているという錯覚を起こします。
【感想】
◆冒頭でも書いたように、本書は多田さんが実際に専門学校で講義をしながら身につけたテクニックが満載でした。上記の抜き出し方だと、横断的なので分かりにくいのですが、実は各章のそれぞれのテーマごとにポイントが列挙されているという。
例えば、上記ポイントの3番めの「最初と最後を徹底的に練習する」というのは、「細心の実践形式練習法」の「本番で成果を出すための6つのポイント」から抜粋したもの。
他にも「ボキャブラリー4段階増幅法」ですとか、「休憩時間に実践したい5つの心得」「抑揚をつけるための5つの方法」と言った具合に、ホントなら、個々のテーマごとに記事にしてもいいくらいの充実振りです。
◆その「抑揚」に関しては、上記ポイントの4番目に1つだけ挙げましたが、私自身が新入社員教育の講師をする際には、最も意識したことでした。
私の場合は、単純に「話すスピード」だけを意識していたため、話の内容に関係なくスピードを変えていたんですが、なるほど上げていいところとそうでないところがあるんですね(今さら)w
この抑揚をコントロールすると、「受講者の居眠りを防ぐ」効果があるので、特に「退屈な内容」を話す機会のある方はご留意頂きたいところ。
本書には、それ以外に4つの方法が掲載されていますので、合わせてご確認を。
◆なお、今回は当ブログの読者さんの傾向から、「人前で話す」場合に有益なポイントを選んで挙げましたが、本書ではさらに1対1で個別に質問や相談があった場合の応対方法についても言及されています。
特に質問者が「知性優位型」なのか、「感情優位型」なのか、「行動優位型」なのかによって、「コーチング的応対」「カウンセラー的応対」「ティーチング的応対」を使い分ける、というのは目からウロコ。
タイプの見分け方や具体的な応対方法については、本書をご覧頂くとして、やはり通り一遍の応対じゃいけないんですね(当たり前w)。
この辺はさすが「3000人の指導実績」を誇るだけのことはあるな、と。
◆本書に関しては、実際に人前に立つことの多い某著者さんからも「役に立つと思う」とのお墨付きアリ。
純粋なプレゼン本とは違いますが、「人にモノを伝えるためのテクニック集」としては、なかなかのクオリティだと私も思います。
フツウに「黒板やホワイトボードを見やすく効果的に使う方法」なんてのは、会議でも使えますしねw
プレゼンスキルを高めるためにも読んでおきたい1冊

誰でもまねできる 人気講師のすごい教え方
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【編集後記】
◆小宮一慶さんのご本は、最近ちょっと大量に出ているので、スルーしがちなのですが、この本は非常に気になります。
小宮式 知的アウトプット術
アマゾンではすぐに入手できないし、かといって、リアル書店でもまだ見当たらない、という……。

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この記事へのコメント
著者の多田です。
このたびは素晴らしいご紹介
をありがとうございました。
人前で話す機会のあるひと
人にわかりやすく伝える機会のあるひと
・・・多くの人に読んでいただき
何かしらお役に立てましたら
著者としてこれほど嬉しいことは
ありません。
あらためてメディアの
重要性を認識いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。
このたびは素晴らしいご紹介
をありがとうございました。
人前で話す機会のあるひと
人にわかりやすく伝える機会のあるひと
・・・多くの人に読んでいただき
何かしらお役に立てましたら
著者としてこれほど嬉しいことは
ありません。
あらためてメディアの
重要性を認識いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by 多田健次 at 2010年11月04日 11:05
人前に立つことの多い某著者です。
学生時代から講師をしていたのですごく納得のいく内容でした。
人前で話す目的には、聴衆に何らかの感情を持ってもらう事とコンテンツを確実に持ち帰ってもらう事に大きく分けられます。
後者の目的を果たすための具体的な方法が細かく書かれているので、研修の講師などをなさる方にはオススメの一冊です。
学生時代から講師をしていたのですごく納得のいく内容でした。
人前で話す目的には、聴衆に何らかの感情を持ってもらう事とコンテンツを確実に持ち帰ってもらう事に大きく分けられます。
後者の目的を果たすための具体的な方法が細かく書かれているので、研修の講師などをなさる方にはオススメの一冊です。
Posted by ヨシザワ at 2010年11月04日 17:27
>多田健次さん
著者様直々のコメントありがとうございます。
当ブログ好みの(笑)、テクニック連発型で大変楽しめました。
惜しむらくは、私が人前で話す機会がまずないことですかw
実践できなくて申し訳ございません(汗)。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
>ヨシザワさん
ヨシザワさんにそう言ってもらえると、私も安心してプッシュできますw
自分自身、新入社員教育の講師をする際に、この本があればどんだけ助かったか、と思いました。
ところで、ヨシザワさんも、いずれ話し方の本とか出されそうですよねw
著者様直々のコメントありがとうございます。
当ブログ好みの(笑)、テクニック連発型で大変楽しめました。
惜しむらくは、私が人前で話す機会がまずないことですかw
実践できなくて申し訳ございません(汗)。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
>ヨシザワさん
ヨシザワさんにそう言ってもらえると、私も安心してプッシュできますw
自分自身、新入社員教育の講師をする際に、この本があればどんだけ助かったか、と思いました。
ところで、ヨシザワさんも、いずれ話し方の本とか出されそうですよねw
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年11月05日 00:28
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