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2010年10月05日

【記憶術】『記憶力世界チャンピオンカールステン博士の頭がよくなる勉強法』グンター・カールステン


記憶力世界チャンピオンカールステン博士の頭がよくなる勉強法―単語・歴史・公式・数字がすばやく覚えられる驚異のテクニック
記憶力世界チャンピオンカールステン博士の頭がよくなる勉強法―単語・歴史・公式・数字がすばやく覚えられる驚異のテクニック


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、勉強本の中でも、特に「記憶法」にフォーカスした1冊。

著者であるグンター・カールステン博士は、2007年の記憶力世界選手権大会の優勝者です。

本書では、そのカールステン博士が、自身の記憶術や、勉強法についてレクチャー。

意外なモノが脳の活性化に関係していると知り、ちょっとビックリしました!


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【目次】

第1章 記憶力アップのための7つのテクニック

第2章 勉強のために必要な11のヒント

第3章 誰も知らないおもしろ勉強テクニック

第4章 ジャグリングのススメ

第5章 学校ではこうやって勉強する 実例

第6章 語学・あなたはどの学習タイプ?

第7章 学習心理と動機付け

第8章 脳のフィットネス

第9章 情報をそのまま信じるべからず

第10章 記憶力最終テスト

付録


【ポイント】

■1.記憶における映像の威力
 私たちの映像に対する記憶力がいかに素晴らしいかについては、1973年にカナダのL.スタンディング教授が次のびっくりするような実験をおこなっています。まず被験者に合計1000種類の具体的なものが描かれた画像を5秒おきに見せ、次に、すでに見せられた画像1枚と、まったく初めての画像1枚を被験者に2枚ずつ並べて見せて、そのうちどの絵を前に見たのかを言い当てるのが実験課題でした。結果はなんと、被験検者は平均で1000枚のうち992枚もの画像を当てることができたのです。同じ実験を次に単語を使ってやってみましたが、たった70%しか記憶できませんでした。


■2.記憶力や学習効果が上がる、脳の「準備運動」
以下に脳の準備運動のポイントをあげます。
 1.そのテーマに関して、すでに記憶に入っている知識を思い出しておく
 2.これから勉強する教材に出てきそうな内容を前もって予想する。
 3.その勉強をする理由、目的、動機などを確認する。
 4.その勉強の中で解決したい疑問点、自分にとって大切な点などを書き起こしておく。
 学習範囲が大きい場合にはこのような点に留意すると、勉強がより簡単に、効率よく、楽しくなります。


■3.勉強を妨げる「干渉」
 いくつかの情報が似通っていて覚えにくいと、それぞれがお互いを「干渉する」現象が起き、勉強の妨げになります。英語の先生が深く考えずによく似た発音の英単語{whole, hole, haul}を同時に教えようとし、生徒たちはわけがわからなくなってしまうことがあります。先生に悪気はないのでしょうか、これが干渉となり、勉強が難しくなってしまいます。(中略)

 勉強の際には必ず、似ている情報は一度にたくさんではなく、できるだけひとつひとつ順番に覚えるようにしましょう。消化するのに時間を必要とするのは胃だけではありません。脳もそうなのです。


■4.気分転換も勉強とは異なる性質のものを
集中して何かを勉強したあとは、何かまったく別のことをするべきで、性質や内容的に同じことをしてはいけません。
 新聞を読むというのも、基本的には情報を頭に入れるという勉強と同じ性質の作業なので、前に勉強した内容と干渉し合って記憶の妨げになることがあります。むしろ音楽を聴いた方がいいし、散歩や運動は最適です。


■5.ロキ・メソッド(ジャーニー法)のスリーステップ
 第1段階では、自分の親しみやすい場所を決めます(たとえば自宅や学校など)。そしてその場所の構成部分(ポイント)をいくつか選び出し、移動の順番(ルート)を決めます。そしてそれを覚えます。
 第2段階は勉強です。学習内容を頭の中でイメージして、先ほどのルート上のポイントにーつずつ置いていきます。
 第3段階は勉強とは関係なく、ただそれを思い出すことです。ロキ・メソッドで覚えたことを思い出すには、頭の中で先ほどのポイントをひとつひとつ訪ね、それぞれ何を置いたのかを思い出します。


■6.脳を発達させる「ジャグリング」
 記憶カアップのための7つの要素でも触れましたが(第1章)、記憶カを抜群に高めるには右脳・左脳両方を最適の状態で使う必要があり、そのためには右脳と左脳の間で素早く正しい伝達がおこなわれなければなりません。まさにこの右脳・左脳間のコミュニケーションと情報伝達の活性化にはジャグリングがいいのです。ジャグリングをうまくおこなうためには両方の脳が共に動いていなければならないからです。


■7.語学の2つの学習タイプ

●オーディオマティックタイプの特徴
 オーディオマティックタイプは情報を「自動的=オートマティック」に「音=オーディオ」として捉えます。歌であれ方言であれ詩であれスローガンであれ外国語であれ、意識せずにただ常に繰り返して聞くことによって言葉が頭の中に入り、情報は音として音を司る脳の領域に記録され、その記録は簡単に再生することができます。
●論理知覚タイブの特徴
 論理知覚タイプはオーディオマティックタイプに比べ言語習得で大変な思いをします。このタイプにとって勉強とは論理と知覚の作業に他ならず、意識して勉強しなければなりません。きちんと理解できても、考込まずに即座に記憶したことを使えるようになるまでには時間がかかります(ですからこのタイプは外国語で作文が書けても、話せるようになるにはまだまだ時間がかかります)。


【感想】

◆具体的な記憶テクニックとして、上記で「ロキ・メソッド」をご紹介しましたが、カールステン博士は覚える対象によって、他にもいくつか使い分けています。

まず、ゼロから99までの数字を、何らかのイメージとして覚える「数字イメージ変換」

私たちも年号の暗記等によく使う「語呂合わせ」

そして、覚える対象に論理的なものを見つけ出す「ロゴモニック」(博士が作った「ロジック」と「ネモニック(記憶術)」の合成語)などなど。


◆ただ、いずれの方法にせよ、「覚えられるかどうか」もさることながら、「覚える内容を適切に加工できるかどうか」がキモなような。

自分自身が、基本的にほとんど加工しないで「丸暗記」で何でも覚えて乗り切ってきただけに、この辺のテクニックについては、なかなか手放しでは推奨しにくいと言いますか。

もちろん語呂合わせについては、自分で作れなくとも、昔から誰かが作ったものが大抵あるので、それを覚えれば良かったのですが(他力本願w)。

そこで私は、この手の「世界チャンピオン」たちの記憶術の本を読むときには、具体的な方法よりも、それ以前の「考え方」の部分を参考にしております。


◆例えば、上記ポイントの2番目の「準備運動」や、7番目の「語学の2つの学習タイプ」(本書内では判定テストもあります)等々。

さらに直接的な記憶術ではないものの、本書の特徴とも言えるのが、第4章を丸々費やしている「ジャグリング」

実際に大学での研究成果も出ているとのことなので、下手な「脳トレ」よりは、効果がありそうです。

ここではご紹介しませんでしたが、図解付きでかなり踏み込んで解説されていますので、興味のある方は要チェックで。


◆本書は200ページ弱と薄いわりには、ノウハウが結構詰め込まれていると思います。

また、方法論だけでなく、第5章では「歴史」「化学」「地理」等の学校の勉強における、博士の記憶術の具体的なやり方を伝授しているのも有難いところ。

必ずしも資格試験向けではないのですが、覚える内容いかんによっては、応用も可能かと。

勝手なイメージかもしれませんが、ドイツ人の著者が書いただけあって、愚直に取り組めば、きっと効果があると思われ。


記憶に悩む方なら、一読の価値アリ!

記憶力世界チャンピオンカールステン博士の頭がよくなる勉強法―単語・歴史・公式・数字がすばやく覚えられる驚異のテクニック
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【編集後記】

◆記憶力世界選手権大会のチャンピオンと言えば、この方を忘れるわけには参りません。

試験にパスする画期的テクニック―記憶力の世界チャンピオンが明かす18の秘訣
試験にパスする画期的テクニック―記憶力の世界チャンピオンが明かす18の秘訣

過去8回優勝しているというドミニク・オブライエン氏のこの本も、いつかご紹介しなくては、と思っております。


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