2010年09月28日
【若き日のジョブズ】『ジョブズはなぜ、「石ころ」から成功者になれたのか?』桑原晃弥
(注:現時点でアマゾンに書影がないので、自前のをw)
ジョブズはなぜ、「石ころ」から成功者になれたのか?―31歳までに必ずやったこと、絶対やらなかったこと (リュウ・ブックスアステ新書 98)
著者は、以前『スティーブ・ジョブズ名語録』を当ブログでもご紹介させて頂いた桑原晃弥さんです。
巻末の参考書籍を見ると、今まで出版されているジョブズに関する本14冊と雑誌の記事20弱が掲載されており、ジョブズファンなら既知の内容も多いかと思われ。
ただし、本書の特徴として、サブタイトルにもあるように、「若き日のジョブズ」にフォーカスされており、現在の「成功者としてのジョブズ」と見比べると、なかなか面白かったです。
いつも応援ありがとうございます!
ジョブズはなぜ、「石ころ」から成功者になれたのか?―31歳までに必ずやったこと、絶対やらなかったこと (リュウ・ブックスアステ新書 98)
【本の概要】
◆今日お送りするのは、お馴染みアップルのスティーブ・ジョブズに関する1冊。著者は、以前『スティーブ・ジョブズ名語録』を当ブログでもご紹介させて頂いた桑原晃弥さんです。
巻末の参考書籍を見ると、今まで出版されているジョブズに関する本14冊と雑誌の記事20弱が掲載されており、ジョブズファンなら既知の内容も多いかと思われ。
ただし、本書の特徴として、サブタイトルにもあるように、「若き日のジョブズ」にフォーカスされており、現在の「成功者としてのジョブズ」と見比べると、なかなか面白かったです。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
はじめに
ジョブズ全史
第1章*まだ夢が白紙なら?
自分を探す前に、自分をショーウィンドウに飾れ
1 やりたいことをやるのが最高の成功法
2 「たかが外見」で中身の評価は一変する
3 トップになりたければトップのように振る舞え ほか
第2章*まだ半人前扱いなら?
常識を覚えるょりもちノーの言い方を覚えろ
1 信念のノーは迷いのイエスにまさる
2 「都で二番」より「村で一番」にまずなろう
3 常識を無視するから戦術なのだ ほか
第3章*まだチームが組めないなら?
成長には親友をつくれ、成功には戦友をつのれ
1 核となる仲間のつくり方――ジョブズの組織術
2 人を戦闘能力で選ぶ――ジョブズの成長術
3 一流人を右腕にする法――ジョブズの口説き術 ほか
第4章*まだ貧乏なら?
「貯めてから」ではなく、他人の金を使って進む
1 うまく借りることはうまく生きることだ
2 お金を求めすぎないほうがお金は儲けやすい
3 お金がお金を呼ぴ始める時 ほか
第5章*まだ売りものがないなら?
真似するのでなく、うまく盗むことで独創する
1 他人の脳の盗み方
2 「なにもつくらないのにすべてをつくる」方法
3 「すごいね」から「ものすごい!」へと進化する ほか
第6章*まだ弱点だらけなら?
失敗に学ぶのもいいが、失敗を忘れるのはもっといい
1 なにをいわれても平気な人の考え方
2 自信作が売れない時の対処法
3 行儀のよさは必ずプラスとは限らない ほか
おわりに・参考文献
【ポイント】
■1.「できること」より「目ざすこと」を語ろうジョブズとともにリサの事業計画を策定したトリップ・ホーキンズは、アップルが成功した理由を「自分たちがしていることこを心から信じていたからだ。お金のためにではなく、世界を変えるために仕事をしていた」と分析している。
信じ込ませたのは、もちろんジョブズだ。
ホーキンズは続ける。「スティーブは『宇宙に衝撃を与えるほどのものをつくろう」とよくいっていた。そんなばかなと思う。でも、スティーブには、恐ろしいほどのカリスマ性がある。彼がなにかを信じると、障害が一掃されてしまうのだ」と。
■2.望みを叶えるには手段を選ばない
ジョブズはアタリ社の拒否的な雰囲気など気にもせず、すごいスピードで自己アピールを始めた。ヒューレット・パッカード社の計算機「HP35」をストップウォッチくらいの大きさに変えることができると大ボラを吹いた。ヒューレット・パッカード社で働いていたという大嘘もほのめかした。
アメリカ人の就職活動に際しての職務経歴は、たいてい120%くらいに上乗せされているが、ジョブズの自己アピールは、少なくとも200%には誇張されていただろう。
それでもアルコーンは感心して、細かく身元調査もせずに、1時間5ドルの技術助手として採用した。ジョブズに、内にみなぎるエネルギーや、なにかを成し遂げるカのようなものがきらめくのを感じたからである。
■3.限界を上回る仕事のやり方
ジョブズは部下に平気でノーをいうし、ノーは断固として受け付けない。それは混乱も招くが、よい結果をもたらすことも多い。その理由を、最初のマッキントッシュができる数週間前に、29歳のジョブズがこう説明している。
「本当にいいもの以外にはつねにロを出し続けた。人がすぐれた仕事をできないのは、たいていの場合、彼らがそう期待されていないからだ。だれも本気で彼らの頑張りを期待していないし、『これがここのやり方なんだ』といってくれる人もいない。でも、そのお膳立てさえしてやれば、みんな自分で思ってた限界を上回る仕事ができるんだ」
■4.限界は100人まで
ジョブズの役割はよりすぐりのメンバーのための場所をつくり、社内のほかの人間を排除し、寄せつけないことだった。もしそこに世界のトップレべルでない人材がいたとすれば、さっさと退場してもらうしかなかった。
あるいは、どうしてもほしい人材がいて、そのために100人を超えるなら、そうではない人間に出ていってもらうしかなかった。
こうした姿勢を、ジョブズは今も変えていない。
ジョブズは社内の重要人物100人を選んで「アップル100」という会議を定期的に開催しているという。この100人には、自分の計画を突っ込んで話す。
ただし、その100人は、必ずしも組織図上の重要人物ではない。「船が沈みかけた時に、救命ボートにいっしょに乗せたい」エリートを指している。
■5.アップルIIから「拉致」されたハーツフェルド
「すぐに」は本当にすぐだった。その日の夕方にジョブズはまたやってきて、「いい知らせがある。今からマックチームで働くことになった」といった。
ハーツフェルドはすごいと思ったが、「やりかけの仕事をすませて翌週から行きます」と常識的に応じた。だが、ジョブズは性急だった。
「だめだ。そんなことで時間を浪費するんじゃない。アップルIIはあと2、3年で終わりだ。マッキントッシュがアッププルの将来を担っている。君は今すぐにその仕事に取りかかるんだ」というなり、彼のパソコンの電源を引っこ抜き、「いっしょに来るんだ。新しいデスクに案内する」と叫び、ハーツフェルドとパソコンを車に乗せてしまった。
■6.厚かましいまでの強引さで迫る
ホームブリュー・コンピュータクラブで、ジョブズとアップルに興味を持ったテレルは、ジョブズに「またな」と声をかけて別れている。単なる軽い挨拶だ。
ところが、ジョブズは翌日、テレルをオフィスに訪ね、こういった。「やあ。また、ということできました」と。たったこれだけのことがアップルIの大量受注につながり、アップルの創設につながるのである。
こんな小差が、成功するかしないかの大差なのだ。
■7.アイデアを吸収し、それを製品に変える
ジョブズには、盗んだアイデアを革命的なものに仕上げるカがあったといわざるを得ない。実際、ジョブズがつくり出した製品は、パロアルト研究所の製品「アルト」より、ラスキンが構想していたコンピュータより、はるかにすぐれたものに仕上がっていた。
それがジョブズの「盗み」の特長だ。
ジョン・スカリーは、こうしたジョブズの資質を、発明家トーマス・エジソンに比していた。「私は質のよいスポンジにすぎません。アイデアを吸収し、使えるようにしただけです」とはエジソンの言葉だ。アイデアを吸収し、それを製品に変えていく能力の高さは、ジョブズも同様だった。
■8.恥らうことなく豹変する
ジョブズは、最初はマックを「こんなものはダメだ」と潰しにかかったのだが、ある時期に「すごいものになるかもしれない」と感じ、その瞬間に態度を豹変させている。プロジェクトを自分のものとするためにあらゆる手段を使ったのだ。
ジョブズは失敗に学んだり、失敗して反省したりするタイプではない。失敗だとわかった時点で態度を豹変させ、目的達成に向けて適進する。まして金の卵を発見したら、それまでのいきがかりはすべて棚に上げて、恥じることがない。
後年、ジョブズはiPodやiTunesで音楽の聞き方を一変させるが、当初から音楽ビジネスに関心を持っていたわけではない。ただ、ある時こう思ったのだという。「絶好の機会を見落としていた。これから必死になって追いつかなきやいけない」と。
【感想】
◆いかがだったでしょうか?まぁ結局のところ、「ジョブズは若い頃からジョブズだった」ということなんでしょうか?
上記では、当時「ポン」というビデオゲームが大ヒットしたアタリに大ボラ吹いて潜り込む話が出てきますが、その時が19歳。
また、取り上げなかったものの、ハイスクール時代には、授業で必要な部品をバローズ社(現ユニシス)の本社にコレクトコールで電話をし、送ってもらうよう頼んだりしています。
「コレクトコールは相手に失礼だ」とたしなめた先生に対し、ジョブズは「僕には電話代なんてないけれど、あっちはたくさんお金を持っている」と反論したのだとか。
いやはや、さすがですw
◆また、最後に取り上げた「豹変する」というのも大昔からだったよう。
この辺はフツウの人だったら「前こう言ったから」と躊躇するところ、まったくそんな気配すらないのがスゴイです。
私たちの周りでも、「言ってることがコロコロ変わる」ことで部下に迷惑をかけている上司というのもいるとは思うんですが、ジョブズの場合は「正しい」と判断した場合の見切りの早さが尋常ではありません。
それで「どのツラ下げて!」と周りからツッコミが入らないのは、若くして人を使う立場にいたからかもしれませんが。
◆なお、優秀な人材を将棋のコマのように入れ替えて使っていたジョブズですが、ピクサーだけは違っています。
他のスタジオでさえ、通常は必要な人材をフリーランスで雇用するのに、監督も脚本家もスタッフも全て給料制の社員なのだそう。
そもそも見切りが早いはずのジョブズが、『トイ・ストーリー』がヒットするまでの約10年間、大赤字のピクサーに自己資金を投下し続けたのも、異例と言えば異例。
ある意味ジョブズらしくない(?)ピクサー絡みの部分は、機会があれば別途掘り下げてみたいな、と。
ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたか
◆冒頭でも触れたように、本書に収録されている内容の多くは、ジョブズのファンの方なら、知っているものだと思います。
ただ、思ったよりも個々のエピソードが掘り下げられており、実際に「誰が何を言ったか」レベルで、具体的な社員名まで書かれていたりするのは収穫でした。
例えば、ジョブズは多くの人を追い出したり、自分自身もアップルを追い出されたりしていますが、当事者以外がどう思っていたか、という点については、私は本書で初めて知ったことも多かったです。
……ここまでジョブズを追いながら、相変わらずアップル製品は1つも持ってないのは置いといてw
ジョブズが気になる方なら、押さえておくべき1冊!
ジョブズはなぜ、「石ころ」から成功者になれたのか?―31歳までに必ずやったこと、絶対やらなかったこと (リュウ・ブックスアステ新書 98)
【関連記事】
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【Apple】「スティーブ・ジョブズ神の交渉力」竹内一正(2008年05月28日)
ジャック・ウェルチの「私なら、こうする!」(2007年05月11日)
【編集後記】
◆最近、きわどいタイトルや書影の本(例えばこんなのw)を読むことが多く、「本にカバーをかけてもらわない主義」の私でも、ブックカバーを検討した方がいいかな、と思っております。そこでこんな製品を。
いや、もちろん、そういう本を読まなきゃいい、って話もあるんですがw
ご声援ありがとうございました!
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