2010年09月03日
【オススメ!】『3分でわかる問題解決の基本』大石哲之
3分でわかる問題解決の基本
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「本が出たらノータイムで買う!」とハナから決めている、数少ない作家さんの一人、大石哲之さんの最新作。「ノータイム」とか言いつつ、本が出たのを知ったのが、発売日という不甲斐なさでございます(サーセン)。
「問題解決」に関する本は、今までも数多く出ていますが、本書の特長はその「分かりやすさ」。
この手の本を初めて読む方でも、すんなり頭に入ると思われ。
これって、結構スゴイことでは?
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
大石さんのブログ記事から引用しました(記事には全部掲載されています)。Part 1 問題を正しく捉える10のコツ
[1] 答えのない問題の答えを出す力
[2] トヨタのA3文書に学ぶ問題解決の4ステップ
[3] 「問題」とはあるべき姿とのギャップ ほか
Part 2 問題の本当の原因を見つける10のコツ
[1] 最初から「アイデア」をだしてはいけない
[2] 犯人に最短でたどり着く仮説思考
[3] 問題の幹だけを掘り下げる重点思考 ほか
Part 3 正しく問題を分析し、意思決定につなげる9のコツ
[1] 仮説を検証する調査・分析の意味
[2] 調査・分析は意思決定に使うもの
[3] データ・情報の5段階を意識せよ ほか
Part 4 解決アイデアを広げ、実行につなげる9のコツ
[1] 話をふくらませながら打ち手を考える
[2] 打ち手を精査して、優先順位をつける
[3] 選択と集中が必要な本当の理由 ほか
【ポイント】
■1.問題を正しく捉えられない2つの罠問題を正しく捉えられないのは、2つの罠にハマっているからです。
1つは「あるべき姿が見えない」ために、何がギャップなのかさっぱり方向性が見えないというものです。もう1つが「あるべき姿が間違っている」ため、間違った方向の解決策に懸命に取り組んでしまう場合です。
■2.「問題」と「現象」を区別する
「あなたがいま問題だと思っていることはなんですか? なんでもいいのでいくつか挙げてみてください」
これは、採用の面接でよく使われる質問です。
どのように答えたら良いでしようか?
「過疎や地球温暖化が問題だと思います」
これは典型的なダメな解答ですね。過疎や地球温暖化というのは、一見すると「問題」であるように見えますが、実は単なる「現象」に過ぎません。現象を指摘して、それは問題であると捉える人が非常に多いのです。
■3.表の相関関係に惑わされず、裏の因果関係に目を向けよ
物事の関係を捉えるとき、私たちは、目に見える、いわば氷山の上に出ている部分の関係性だけを捉えて、関係がありそうだ、相関があるといったように考えてしまい、解決策も氷山の上の出来事に対して打ち手を考えてしまいます。
しかし、大事なのは、氷山の下に隠れている本当の因果関係なのです。(中略)
もう1つ他の例を挙げてみます。(中略)
「みかんの出荷量」と「インフルエンザの患者数」です。これをグラフ化してみると、みごとに関係性があるように見えます。(中略)
本当の因果関係は、氷山の下に隠れていて見えなくなっています。この場合はなんでしょうか?(ネタバレ自重?)
■4.いきなり解決策を出さず、原因の深掘りから考える
「胃が痛い」という患者が、来院したとします。この患者に対して、なんら検査せず、「胃薬」「痛み止め」を出して「リラックスのすすめ」をしたらどうでしょう。とんでもないヤプ医者です。
これが、「解決策から考える」ということと同義だということは、わかってもらえますか?(中略)
医者の例でいうと実にバカバカしい話ですが、ビジネスにおいては、問題の原因を突き止めようとせず、その場限りの解決策をたくさん並べて、号令をかけるといった手法は当たり前のように使われています。
■5.問題の原因を人のせいにするな
問題の原因を調べていくときに、陥ってしまいがちな罠に「問題を人に帰結させてしまう」ということがあります。
たとえば、「顧客満足度が低い」「クレームが連発している」といった問題に対して、「社員の意識改革が必要だ。徹底した顧客志向マインドを取り入れる」ということが解決策として第一に挙がるというものです。(中略)
どんな問題でも、人に帰結させようとすれば、人に帰結させられるのです。人の問題に帰結させてしまうと、その時点で「思考停止」に陥ってしまいます。
■6.分析を行なう際には、なるべく定量データを使うべき
調査・分析をする場合は、インタビュー・ヒアリングではなく、定量データを集計すべきです。定量データとは、つまり営業の訪問回数や、病院ごとの薬剤の処方数といった、誤魔化しようも、動かしようもないデータのことです。
このようなデータを使った事実を突きつけられると、どんな人も反論のしようがありません。
■7.「天気図」だけの分析をしない
予報士は、天気図を読み上げるのが仕事ではなく、その天気図を見て「予報」という「解釈」を引き出すからこそ意味があるのです。(中略)
私はこれまで、コンサルタントとして企業の社内文書や社内会議での報告書を、多数読む機会がありました。その中で「調査・分析結果」として大々的に書かれているものを見ると、そのほとんどが「天気図だけ」であることが多く、愕然とします。
典型的なものは、たとえば支店別の売上の比較グラフが出ていて、「支店別の実績を見るとバラバラで、営業の底上げをする必要がある」といった結論が書かれているものです。グラフを見たら誰でもわかる話です。(中略)
Dataを集めて、並べただけや、グラフ化しただけのものは分析ではありません。そのグラフから単に読み取れることをコメントしたものも、分析ではありません。
■8.「選択と集中」が必要な本当の理由
選択と集中が必要な最大の理由は「リソース(資源)には限りがあるから」ということです。リソースとは、簡単にいってしまえば、人・モノ・カネです。
人が無限に存在して、モノも無限にあって、お金もたくさんあれば、好きなだけやってしまえばいいのです。(中略)
それでも、無限に人・モノ・カネがあったとしても、時間だけはどうにもなりません。すべてを一瞬で行なうことはできないわけですから。
リソースの制限があるから、効果が高いものから優先順位をつけて実行する必要があるのです。これが選択と集中をすべき理由です。
【感想】
◆他にもまだまだご紹介したい部分はあるのですが、ただでさえ今回は引用部分が多いので、この辺で。引用部分もですが、「中略」もかなり多くて申し訳ございません。
と言うのも、本書では多くの部分において、説明しようとする内容に対して、まず、その「ビジネスシーンでの具体例」があって、それとは別に、理解を促すための「身の回りでの具体例」がある、という構成になっているため、つぎはぎにならざるを得ませんでした。
ただ、そうやって身の回りの具体例があることにより、「腑に落ちまくり」だったのも事実。
自分が会社員時代に問題を解決しようとした際には、上記のポイント4のように、解決のためのアイデア出しから始めていたことを思い出して、なるほど「ヤブ医者」だったな、とw
◆また、資料に関しても、グラフを使って作ったことは当然あったものの、ポイント7と同じで「天気図」レベルで止まっていた気が。
しかも、地域別に数字を並べて、「どこそこ頑張れ!」で終わらせてしまうという、ポイント5の「問題を人に帰結させる」ミスまで上乗せしていたかも。
本書を読んで、いかに自分が「問題を解決できていなかったか」が分かりました。
今から●十年前に、この本を読んでいれば(遠い目)。
◆なお、今回は割愛しまくりでしたが、お馴染みのMECEやロジックツリーの作り方、各種分析ツール(バリューチューン分析、パイプライン分析等々)の使い方、アイデア出しの方法等、実際に問題を解決するための戦術も盛りだくさん。
今まで本で読んで分かっていたつもりのものでも、あらためて理解が深まりました。
ちなみに、問題解決というより、ネタ出しとして面白かったのが、JAH法で本のタイトルを考える、というお話。
これ、編集者や著者さんなら、使ってみても面白いんじゃないでしょうか?
◆本書は、本当はものすごく深いお話を、非常にシンプルに分かりやすく書いてくれている点で、地味ですがスゴイ本だと思います。
タイトルの「3分で分かる」というのも、あながち外れてはいないかと。
私のように、問題解決の初歩レベルでつまづいている人なら一読をオススメ。
とりあえず、私はもう1回最初から読んでみるつもりでおります。
これはオススメせざるを得ませぬ!
3分でわかる問題解決の基本
【関連書籍】
◆大石さんの過去の著作をここでご紹介。3分でわかる ロジカル・シンキングの基本
◆ブログではご紹介してませんが、かつて雑誌『宝島』の連載の初っ端で取り上げさせて頂きました。
分かりやすさで言ったら、この本もオススメ!
過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題
◆上の本に比べると、ちょっと難しいですが、フェルミ推定を含む「問題へのアプローチ法」が解説されています。
この本を読んで、私は初めてフェルミ推定の意義が理解できました。
参考記事:【論理的思考】「過去問で鍛える地頭力」大石哲之(2009年07月02日)
ロジカルシンキング・リーディング
◆「アウトプット前提」の「コンサルタント的読書術」とでも呼ぶべき1冊。
本書は、マジで目からウロコが落ちました。
参考記事:すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選(2009年09月04日)
【関連記事】
【必読】『問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門』横田尚哉(2010年08月18日)【面白】『頭がよくなる「経済学思考」の技術 』木暮太一(2010年06月07日)
【問題解決】『勝間和代のビジネス思考力養成セミナー[基礎力養成編]』(2010年05月21日)
【問題解決】「デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方」ティム・ブラウン(2010年04月29日)
【勉強】「コンサルタントの勉強法」野口吉昭(2009年12月22日)
【解決力】『ビジネスマンのための「解決力」養成講座』小宮一慶(2008年06月20日)
【編集後記】
◆どこかで聞いたようなタイトルですがw「影響言語」で人を動かす
翻訳本ですし、ちょっと気になるので、これもチェックしておきます。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
この記事へのコメント
はじめまして。
極めて素晴らしい勉強意欲にいつも励まされております。
私も本田さんの本を読み、自分の仕事に役立てております。
この本は読書会で紹介をされて、読みました。
http://jikotoushichanple.blog107.fc2.com/
やはり自分の頭で考えて、解決策を練りだす力を身に着けたいと思います。
それにしてもものすごい読書量×アウトプッ見習いたいです。
Posted by 自己投資 at 2010年09月08日 19:53
>自己投資さん
はじめまして。
コメントありがとうございます!
おっと、この本もう読まれましたか。
大石さんの本はハズレ知らずなんで、お勧めですね〜。
私の場合、今はビジネス書を読んでブログを書くのが「趣味」なので、いいんですが、こういうのって好きじゃないと続かないのかな、と思ってます(笑)。
今後ともよろしくお願いします!
はじめまして。
コメントありがとうございます!
おっと、この本もう読まれましたか。
大石さんの本はハズレ知らずなんで、お勧めですね〜。
私の場合、今はビジネス書を読んでブログを書くのが「趣味」なので、いいんですが、こういうのって好きじゃないと続かないのかな、と思ってます(笑)。
今後ともよろしくお願いします!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年09月09日 07:51
当ブログの一番人気!
9月26日まで
9月16日までのところ一部延長中
9月26日まで
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです