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2010年08月17日

【オススメ】『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』が面白かった件


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つながり 社会的ネットワークの驚くべき力


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「社会的ネットワーク」に関する興味深い1冊。

すでに土井英司さんのメルマガでも取り上げられていたので、ご存知の方も多いことかと。

アマゾンの内容紹介から。
肥満も性感染症も笑いもすべて伝染す(うつ)る!?
ハーヴァード大学医学部・教養学部教授とカリフォルニア大学の政治学者が提示する、クラウド時代の社会的ネットワークの姿!
デジタルであれアナログであれ、人と人とのつながりのなかでしか人間は生きていかれないのだ……
本書のもとになる論文が発表されるや、全米で話題沸騰した評判の一冊、ついに邦訳!
ネタ的にかなり面白くて、思わず付箋を貼りまくってしまいました。

つながり






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【目次】

第1章 真っ只中で

第2章 あなたが笑えば世界も笑う

第3章 ともにいる者を愛す

第4章 あなたも痛いが私も痛い

第5章 お金の行方

第6章 政治的につながって

第7章 人間が持って生まれたもの

第8章 おびただしいつながり

第9章 全体は偉大なり

【ポイント】

■1.隔たりは六次であっても、影響は三次まで
私たちのあらゆる言動は、さざ波を立てるようにネットワークを進んでいき、友人(一次)、友人の友人(二次)、さらに友人の友人の友人(三次)にまで影響を及ぽすケースが多い。だが、その影響力は徐々に弱まり、三次の隔たりの位置に存在する社会的な限界を超えると、目立った効果はなくなってしまう。


■2.人は他人の感情に感化される
 いくつもの実験から次のことが明らかになっている。人びとは、数秒から数週間の時間枠で、他人が示す感情の状態に「感化」されるのだ。大学の新入生を無作為に選び、やや元気のないルームメイトと同室にすると、三ヵ月のあいだにどんどん元気をなくしていった。


■3.幸福になるためには、幸福な友人を持つ
私たちの発見によれば、ある人が幸福な友人を持つと、その人が幸福になる可能性は約9%増大する。不幸な友人を持った場合は、幸福になる可能性が約7%減少する。(中略)

だが、友人の感情の状態まで考慮に入れると、より多くの友人を持つだけでは十分でないことがわかる。より幸福な友人を持つことが、私たち自身の感情を健やかに保つカギなのである。


■4.結婚による恩恵は男性の方が多い
結婚する予定の男女一万組を無作為に選び、数年にわたる追跡調査によってどちらがいつ死んだかを突き止められるとしてみよう。すると、結婚生活によって男性の寿命は7年延び、女性の寿命は2年延びることが統計分析からわかる。ほとんどの医療よりも大きな恩恵があるのだ。


■5.肥満の伝染の仕方にも違いがある
 友人同士の絆の性質によって違いが出ることを、まさに私たちは発見した。たがいに認め合う友人が肥満になると、自分が肥満になるリスクも3倍近くになる。しかも、たがいに認め合う友人の持つ影響力は、友人だと思われている(だが自分は相手を友人だと思っていない)人の2倍になる。最後に、友人だと思われている人は、相手を友人だと思っていないなら、相手から何の影響も受けない。


■6.大企業が1社潰れると、つながっているほかの企業までリスクにさらされる
著名投資家のウォーレン・バフェットは、2009年の株主宛年次書簡で、企業破綻のドミノ倒し的な本質についてこう述べている。「災難に遭うまいとする(市場)参加者は、性病を避けようとする人と同じ問題に直面します。……つまり、誰と寝るかということだけでなく、その人がほかの誰と寝ているかが問題なのです」。まさに、二者関係を超える拡大が問題なのだ。


■7.ネットワークの構造における種を超えた共通性
ファウストらが気づいたのは、優れた予測をするには、動物種の別よりもネットワーク内の関係のタイプのほうがはるかに重要だということだった。たとえば、毛づくろいの関係は、どの種でもきわめて似通っているように思えた。実際、アメリカの上院議員のネットワーク構造を最もうまく予測するモデルは、雌牛の「社会的舐め行動」のネットワークだったのだ。


【感想】

◆冒頭の画像でお分かりのように、本書は結構厚い(408ページ)ので、いつもよりちょっとだけ多めにピックアップしてみましたw

それでも前提説明等が長くなってしまうネタは割愛せざるをえず、非常に心残りだったり。

本書を手に取られたら、読んで頂きたいのが第8章の冒頭から語られる、オンラインゲーム『ワールド・オブ・ウォークラフト』で起きた「腐血病」という伝染病のクダリ。

この伝染病が予想に反して、爆発的に感染していくさまは、まさに「現代におけるネットワーク」そのものではないか、と。

何でも、この一件の詳細な研究が、その後医学雑誌で発表されたとかで、将来的にはバーチャルの伝染病で、現実の伝染病のシミュレーションができるようになるかもしれません。


◆なお、ネットワークに関する本としては、当ブログでは、こちらの2冊をご紹介しております。

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新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

参考記事:【マインドマップ書評】「新ネットワーク思考」 アルバート=ラズロ・バラバシ(著)(2005年07月26日)

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複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線

参考記事:「複雑な世界、単純な法則」 マーク・ブキャナン (著) 阪本芳久 (訳)(2005年06月21日)

いずれも「良書」なのですが、その後の研究成果や実社会との関連性を加味しているのが、本書の強み。

上記のオンラインゲームの話もそうですし、他にも「六次の隔たり」は有名でしたが、「影響力は三次まで」というのは、本書で初めて知りました。


◆そして、これからの時代の「人とのつきあい」「人脈」に関しては、本書を読んで考えておくべきかと。

よく言われているように、私たちは「似たもの同士」でかたまり易い傾向にあります。

そのネットワーク如何によっては「幸福」にもなるし、「肥満体型」にもなる。

そして、つながりが多いほど、「富」も集まってくる、と。

だからといって、Twitterでむやみにフォロワーを増やしたり、Facebookで友だちを増やしまくるのはどうかとは思いますが。

そもそも「友人だと思ってない」人からは、何も影響を受けないみたいですし。


◆当ブログの傾向として、「ノウハウ系」の本は人気がありますし、私自身、そういった本は調子よくサクサク読めます。

一方、本書のように「知的好奇心」を刺激するタイプの本は、「具体的に得られるモノ」が見えにくいせいか、ブログでの反応もそれほどでもないですし、私も読むのに結構時間がかかりました。

ただ、マーケティングやSNS等のWebサービスに携わる方は、本書はマストでしょう。

それと、「人脈」に関心がある方も読んで損はないと思われ。


もちろん、私のように「ただ単に面白い本が読みたい!」という方にもオススメです!

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つながり 社会的ネットワークの驚くべき力


【関連記事】

【マインドマップ書評】「新ネットワーク思考」 アルバート=ラズロ・バラバシ(著)(2005年07月26日)

「複雑な世界、単純な法則」 マーク・ブキャナン (著) 阪本芳久 (訳)(2005年06月21日)

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【非Twitter本】「ツイッターノミクス」に学ぶソーシャル・メディアの4つのポイント(2010年03月13日)


【編集後記】

◆今日発売のアソシエは、「読書術」の特集です!

B003XROT40
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2010年 9/7号 [雑誌]

これも当然「マスト」でしょう!


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つながり 社会的ネットワークの驚くべき力作者: ニコラス・A・クリスタキス出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/07/22メディア: 単行本 人間のネットワークに関する最新の研究をわかりやすく書いた一冊。 人間がどのように他人とつながりを持つのか?他人とつながりを持
婚活をはじめる前に読むべき一冊:つながり 社会的ネットワークの驚くべき力【本読みの記録】at 2012年05月16日 23:09
                               
この記事へのコメント
               
「ただ単に面白い本が読みたい!」派として本書は気になっている一冊でした。
(厚さに手控えさせられていましたが・苦笑)

smoothさんが取り上げているネタも、オンライン・ゲームの話も興味深いですね。
購買リストが増える増える……(笑)
いつもありがとうございます!
Posted by Taka@中小企業診断士(業務休止中) at 2010年08月17日 07:37
               
>Takaさん

お!やはりこの本気になってましたかw
確かにページ数が多い上に、しっかりしたハードカバーですから、厚いですよね〜。

ネタはそれぞれ面白いです。
この手の本がお好きな方なら、激オススメ。
でも、普通の職種の方だと、ビジネスに即使えるというワケではないので、その点はご留意下さいマセ。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年08月18日 02:54
               
第3時の隔たりの法則ですよね。クーリエジャポンの特集の記事で読みました!!
すごい法則ですよね!!
Posted by タカダヨシヒコ at 2010年08月21日 17:06
               
>タカダヨシヒコさん

コメントありがとうございます。
6次の方はかなり有名ですが、3次の方は、私はこの本を読むまで知りませんでした。
生活していく上でも、ぜひ意識していたいと思います。

今後ともよろしくお願いします!


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年08月22日 09:55