2010年07月21日
【ネタ満載!】「業界のセオリー」鹿島 宏
ビジネス界に脈々と伝わる先人の知恵 業界のセオリー
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「業界ネタ満載」の1冊。昨日、某カリスマ書店員さんがツイートされていたので、ご存知の方も多いことかと。
現時点でアマゾンのページに情報があまりないので、出版社のサイトから。
その業界では「セオリー」でも、外部の人間からしたら「裏ワザ」的なお話が炸裂しております!「困ったときは動物と子ども」(広告業界)「売れる商品には適量がある」(食品業界)「コンビニおでんは秋に売れる」(コンビニ業界)「アフターフォローは上客を呼ぶ」(保険業界)「出店は競合店の近くがいい」(居酒屋業界)など、さまざまな業界に脈々と伝わる「仕事のセオリー」を1冊の本にまとめました。仕事が煮詰まってどうしようもないとき、確実に数字を取らなくてはならないとき、ピンチを乗り切る必殺技が満載です。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章「なにがなんでも数字が欲しいとき」に効くセオリー
第2章「急いで売り上げを上げたいとき」に効くセオリー
第3章「思うように結果が出ないとき」に効くセオリー
第4章「仕事で失敗したくないとき」に効くセオリー
第5章「どうしてもアイデアが浮かばないとき」に効くセオリー
第6章「予算がないとき」に効くセオリー
第7章「顧客の気持ちをつかみたいとき」に効くセオリー
第8章「人間関係に疲れたとき」に効くセオリー
第9章「揺るぎない自信を持ちたいとき」に効くセオリー
第10章「プロフェッショナルになりたいとき」に効くセオリー
【ポイント】
■困ったときは動物と子ども…広告業界広告業界には「困った時は動物と子ども」という通説があって、「どうしても成功させたいときには、動物と子どもを使うといい」と信じられています。
海外でも「3Bの法則」といって、「美人(Beauty)、赤ちゃん(Baby)、動物(Beast) 」が視覚的な訴求力を上げる3大要素だとする説もあるくらいですから、その効果は折り紙つきといえそうです。
■要約できない脚本にヒットなし…映画業界
例えば、映画『風と共に去りぬ』は、「金持ちの家に生まれた勝ち気な娘が、南北戦争下の激動の時代を生き抜くなかで成長していく物語」となります。
英語では「20ワード」で言えるようにしますが、日本語ならば「70〜80文字」が適切でしょう。ヒット作はすべて、短い言葉で魅力を脱明できる、強いコンセプトを持っているものなのです。
■混んできたら、BGMのテンポをあげろ…外食業界
BGMのテンポとお客の回転率は比例します。
したがって回転寿司店や喫茶店のオーナーは、店内が混み始めるとBGMのテンポを早くして回転を促します。
一方、できるだけ長くお客を売り場に滞留させたいスーパーマーケットなどのBGMは、ゆったりしたテンポの曲が流れていることが多いのです。
■あいさつには名前をつけろ…接客業
花販売の有名チェーンで聞いた話です。
バツグンの成績を上げている販売員がいて、さっそくその理由を探るリサーチが行われました。するとその販売員は、こう答えたとか。
「簡単なことです。私はお客様にあいさつするとき、『〇〇さん、おはようございます』とお名前をつけただけです」
■ヤクルトおばさんが「これ、何?」と聞く映画はヒットする…映画業界
映画会社の廊下には、新作映画のポスターがズラッと張ってあるものですが、ヤクルトおばさんが「この映画、何?」と聞いてきた作品は、ヒットすることが多いのだそうです。(中略)
さほど映画に詳しくない人の意見は貴重です。昔段それほど映画を観に行かない人が興味を持った作品は、メガヒットにつながる可能性を秘めているのです。
■緑と紫のオモチャは売れない…玩具メーカー
色には寒暖がありますが、寒暖どちらにも感じられる色を「中性色」としします。緑と紫はその代表的な色ですが、子どもの目には魅力のない色に映るのでしょう。緑と紫のオモチャはヒットしないというのが業界では定説です。
■送料無料はネットで刺さるキーワード…ネット通販業界
産経新聞社が発行する「夕刊フジ」の公式サイト「zakzak」が行ったアンケートによると、「ネットショッピングでつい釣られてしまう宣伝文句」で、最も多かった回答は「送料無料」だったそうです。
■地下と2階で女性客を獲得せよ…外食業界
定食チェーンは安さが魅力ですが、雑然とした雰囲気があり、女性が入りづらいイメージがありました。しかし、「大戸屋」は、地下や2階の地代の安さを利用して、広い空間を確保することでテーブルの間隔をあけ、ゆとりのある雰囲気で女性客を獲得したというわけです。
■お久しぶりですね、は三流…バーテンダー
優秀なバーテンダーは、長い間こなかったお客に対して「お久しぶりです」とは言いません。これは、しばらく店に顔を出さなかったことを負い目に感じさせないためです。あたかも毎日きているかのように「いらっしゃいませ」「こんにちは」というのが、お客への気遣いなのだとか。
【感想】
◆他にも付箋を貼った部分はたくさんあったのですが、キリがないのでこの辺で。とにかく200もの「ネタ」の多さにはヤラレました。
本書の「はじめに」によると、「20年以上の取材で得た1万件を超える取材ノート」の中から、「200を厳選して1冊の本にした」とのこと。
私もそれなりにビジネス書を読み漁っているので、知識として知っているものも結構ありましたが、さすがに200も繰り出されると、ついて行けませぬw
◆対象となっている業界も様々で、当然、上記で挙げた以外の業界も沢山ありました。
そういえば「出版業界」のネタも5つほどあったのですが、なまじ私が近いところ(?)にいるせいか、今回は全て割愛しておりますw
ただ、ご自分のいる業界の話よりも、「他業界の話」を応用する方が、良いアイデアになりそうなヨカン。
それこそ、先日この本でも登場した「水平移動」ですよ。
耳かきエステはなぜ儲かるのか?: 成功する「超ニッチビジネス」のカラクリ (講談社BIZ)
参考記事:【起業のヒント】「耳かきエステはなぜ儲かるのか?」鬼頭宏昌(2010年07月19日)
◆なお、今回選んだ項目は、比較的本書の前半部分に固まっており、これは目次を見てもお分かりのように、「マーケティング」や「セールス」といった、私好みのジャンルだから。
逆に8章以降は「マネジメント」的なものが多いので、私はスルー気味でしたが、ネタのクオリティ的には遜色ないと思います。
「準備のないところに、チャンスはこない…舞台俳優」なんて、素晴らしい心構えではないか、と。
「部屋が汚いと運気が下がる…占い業界」というのは、見てみぬフリ(ry
◆本書は、読者の「知識レベル」と、今いる「ポジション」如何によっては、非常に有益になったり、そうでもなかったりしそう。
ネタも一般的なものから、取材でしか得られないであろうものまで、玉石混交です。
ただ、アイデアというのはよく言われるように、単独で生まれるものではなく、事前にストックされた知識同士がミックスして生まれたりするもの。
一見何に役立つかわからないような他業界の雑学的な知識を、本書で仕入れて寝かしておくと、後で大きなリターンになって帰ってくるかもしれませぬw
小ネタ好きなら見逃せない1冊!
ビジネス界に脈々と伝わる先人の知恵 業界のセオリー
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【ネタ満載】「仕掛力」村松美尚(2009年03月03日)
【編集後記】
◆某リアル書店で平積みになっていたご本。なぜか好かれる人の話し方 なぜか嫌われる人の話し方 (ディスカヴァー携書)
結構前の本なのですが、ウチのブログでは受けそうなw
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