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2010年07月07日

【注目!】マルコム・グラッドウェル新作『THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”』がいよいよ発売!




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、マルコム・グラッドウェルの最新作、『THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎』

彼が専属ライターを務めてきた『ニューヨーカー』誌で発表した記事の中から、特に気に入っているものを選んだ傑作選の第1部になります(今後、2,3部が刊行予定)。

ちなみに今回のテーマは、「マイナーな世界の天才たち」

天才と言っても、アインシュタインやウィンストン・チャーチル、あるいはネルソン・マンデラといった世界の偉大な設計者たちではない。万能野菜カッターを開発・販売するロン・ポピールや、ヘアカラー商品の画期的なコピーを生み出したシャーリー・ポリコフなどである。

いずれもグラッドウェルらしい視点から選ばれた、ユニークな「天才」たちが描かれており、ファンでなくとも楽しめること請け合いです。

個人的には、ハードカバーなのに1500円しない点に惹かれてたりw


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【目次】

第1章 TVショッピングの王様   
アメリカのキッチンを征服した男

第2章 ケチャップの謎 
マスタードは十種類以上、なのにケチャップは、なぜ同じ味?

第3章 ブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学
ナシーム・タレブが壊滅的損失の不可避性(ブラックスワン)を投資戦略に転換させるまで

第4章 本当の髪の色    
ヘアカラーと戦後アメリカの隠れた歴史

第5章 ジョン・ロックの誤解
避妊薬(ピル)の開発者が女性の健康について知らなかったこと

第6章 犬は何を見たのか?
カリスマ調教師 シーザー・ミランの“神業”


【ポイント】

■「実演販売人は立派な役者になれるが、役者を連れてきても立派な実演販売ができるとは限らない

 実演販売人は拍手をさせて、そのうえお金も出させなけれぱならない。実演販売の世界で言うところの。「転回」――エンターテイナーからビジネスマンへと変わる、危険で決定的な瞬間――をうまくやり遂げなければならない。(中略)

 愉快そうにアーノルドが当時を振り返る。
「やつらは『なぜだ? あんたはスライサーの使い方だってよく知らなかったのに』と言うんだ。『でも、私は君たちよりずっとよく知ってることがあるよ』と言うと、『それはなんだ?』と訊いてきた。だから言ってやったよ。『お金の払わせ方だ』って。それこそがすべての商売の秘訣だよ」


■主役(スター)になるようにデザインされていたショータイム・ロティスリー

当初の設計からロンが譲らなかったのは、扉は透明なガラスでなけれぱならず、しかも、できるだけ内部に光が差しこむよう斜めに傾いているべきであり、チキンや七面鳥やべビーバックリブが回転している様子が常に確認できなければならない――という点だった。(中略)

なぜならショータイム・ロティスリーのデザインはあらゆる点で、性能の透明性と優秀性を証明できるものでなければならないからだ。ステージで商品がきちんと見えれぱ見えるほど、実演販売人は「転回」をうまく迎えられ、お金も要求しやすくなる。


■ハインツのケチャップの美味しさの秘密

 ハインツが作り出したのは、その5つの原始的なボタンを押す調味料だった。まず舌の先で甘味と塩味を感じ、酸味を最も感じる舌の脇を通り、奥に移って旨味と苦味を誘い、味の五重奏を奏でる。これほど味覚のスペクトルを持つ商品が、スーパーマーケットの棚に、はたしてあとどのくらい並んでいるだろう?


■タレブと「ブラックスワン」

 タレブは、18世紀のスコットランドの哲学者デイヴィッド・ヒュームを好んで引用する。
「白い白鳥をどれほど多く見たとしても、すべての白鳥が白いという結論は導けない。だが、たった一羽の黒い白鳥(ブラックスワン)を見れぱ、その結論の誤りを証明するには充分である」
 LTCMは、ロシアのブラックスワンを見たことがなかったために、ロシアにはブラックスワンが存在しないと思いこんだ。いっぽうのタレブはもっぱらブラックスワンの存在を、つまり市場を一掃するような予期せぬ事象の可能性を前提とした投資哲学を構築してきた。


■ロレアルのヘアカラーのコピー「私にはその価値があるから」

 もともと、このコマーシャルの持つ力は、プレファレンスがナイスンイージーよりも10セントも高いことをさりげなく正当化するところにあると考えられていた。だがすぐに、最後の一行が重要であることが明らかになった。(中略)

 1997年、ロレアル社はそのフレーズを企業全体のスローガンにした。驚くべきことに、アメリカ女性の71%がこのフレーズをロレアル社のものだと判別できる。ブランドネームならともかく、スローガンとしては前例のない認知度の高さだろう。


■ドゴン族の女性は、総計して生涯に100回ほどしか生理がないが、現代の西洋の女性は、生涯に平均して350〜400回の生理がある

 ストラスマンをはじめ、進化医学(病気の遠因を進化の過程から考察する。ダーウィン医学とも呼ばれる)の分野の研究者にとって、生涯の生理回数が100回から400回へと増えたことは、とても大きな意味を持つ。進化によって、かつて必ずしも対処するよう設計されていなかった変化やストレスに、現代女性の身体が曝されている――という意味だからだ。


■犬のカリスマ調教師、シーザー・ミランの秘密はフレージングにあった

 もしあなたが何か重要なことを主張したいとき、滑らかな動作で一気に片手を振り降ろしたとする。このとき、あなたの動作は「あなたの主張したい点が相手にどう解釈されるか」に大きな影響を与えている。理想的なのは、あなたの腕が流れの決まった強力な動き――カが加速し、決まった場所でぴたりと止まる――によって振り降ろされ、同時に頭と肩も下がるという、姿勢とジェスチャーが一致した動作である。(中略)

 姿勢とジェスチャーの組み合わせはフレージングと呼ぱれ、コミュニケーション能力に優れた人間は、伝えたい意図とフレージングが一致しており、何かを強調するためには、流れの決まった強力な身体動作が必要であることをよく理解している。
 そしてブラッドレーにとって、シーザーは素晴らしい「フレージングの持ち主」なのだ。


【感想】

◆M・グラッドウェルの過去の著作と違い、本書(並びにそれに続く2冊)は、1つのテーマを掘り下げたものではなく、多様な記事を集めたものであり、各章ごとに独立した内容となっています。

それだけに、どの章から読んでも楽しめる反面、統一感はそれほど期待できません(当たり前)。

もっとも、文芸の作家さんの短編集を考えれば、ごく自然なことであり、あとのポイントは「どんなタイトルをつけるか」(どのお話が代表作なのか)ということかと。

本書では、第2章の「ケチャップの謎」が選ばれていますが、ちなみに原書では、第6章が使われています。

What the Dog Saw
What the Dog Saw


◆本書の物語に共通している点を挙げるとしたら、描かれている物語の主人公たちの経験を、グラッドウェル自身が「追体験」しようとしていることかと。

例えば本書の第6章について、グラッドウェルはこう述べています。

6章では、「ドッグ・ウィスパー」(犬に囁く者)と呼ばれるシーザー・ミランを紹介する。ミランは手で触れるだけで、獰猛で問題を抱えた犬をなだめることができる。そのとき、ミランの頭にはどんな働きが起きているのだろうか? その疑問に触発されてこの記事を書くことにしたのだが、半分ほど書いたところで、私はさらに興味深い疑問に気づいた。それではミランがその魔法を施しているとき、犬の頭の中では何が起きているのだろう?
 それこそが私たちが知りたいことだ。――そのとき犬は何を見たのか?




◆上記のシーザー・ミランのように、テレビに登場しているケースもありますが、基本的に本書に登場するのは、冒頭でも触れたように、「マイナーな世界」にいる人ばかりです。

ナシーム・ニコラス・タレブも、『ブラック・スワン』を出版したのは、本書収録の記事が『ニューヨーカー』に掲載された数年後でした。

グラッドウェルは言います。

 私が何か物語を見つけたいときは、トップに君臨する人間からは取りかからない。現場から探す。実際に作業を行っているのは現場で働く人間だからだ。

確かに、「事件=物語」現場で起こってますね!


◆とはいえ、本書を単なる「ドキュメンタリー」で終わらせていないのは、やはりグラッドウェルの「物語を見出す視点」によるところが大きいと思われ。

第1章に登場する、実演販売人の一人、アーノルド・モリスは、ニュージャージー州にある自宅のキッチンで、グラッドウェルにパフォーマンスを披露したのだそう。

「さあ、いらっしゃい。本日、みなさんにご紹介するのは、これまで見たこともない素晴らしいスライスマシンですよ」。こんな具合にはじまり、バーベキュースパイスの箱を小道具に使った。「さあ、ご注目!」。そして、その箱を、まるでティファニーの花瓶のように優雅に持ち上げたのである。
 バーベキュースパイスの箱をティファニーの花瓶のように持ち上げた!?
 そこに物語が見つかる。ニュージャージー州の誰かのキッチンで――。

めくるめく「グラッドウェル・ワールド」へようこそ。


とりあえず、広告関係者の方はマストな1冊です!

マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”


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『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』 マルコム・グラッドウェル (著)(2006年03月01日)

【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件(2008年11月25日)


【編集後記】

◆先日、土井英司さんがメルマガで紹介されていたこちらの本。

〜Twitter、Ustream.TV、Facebookなど、ソーシャルメディアで世界一成功した男〜ゲイリーの稼ぎ方(ソーシャルメディア時代の生き方・考え方)
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この本が、今日明日(7月7日&8日)の2日間アマゾンキャンペーンを行うのだそう。

『ゲイリーの稼ぎ方』アマゾンキャンペーン!!期間限定・豪華特典プレゼントキャンペーン!

自分自身、Twitterも、Ustreamも、Facebookも使いこなせていないので、非常に気になるところです…。


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この記事へのコメント
               
smoothさん、おはようございます。
昨日たまたまリアル書店でこの本を買ったんですよ〜。びっくり。
ということをお伝えしたくてコメントしました(笑)。
これで予習はカンペキなのでさっそく読みたいと思います!
Posted by ニャロメ at 2010年07月07日 09:24
               
>ニャロメさん

おっと!もうお買い上げ頂いていましたか!
やはりグラッドウェルは押さえておかないといけない著者の一人ですよね〜。
個人的には早く続きというか、第2&3部も読みたいっす!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年07月08日 01:33