2010年06月27日
【自分軸の大切さ】『「思考軸」をつくれ』出口治明
「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ライフネット生命株式会社社長の出口治明さんの最新刊。下記記事にもあるように、あの論客で知られる切込隊長が一目置いた御仁ですから、随分前から本書には期待していたわけでして。
ライフネット生命というより、出口社長というオヤジが凄かった (前ふり): 切込隊長BLOG(ブログ) Lead‐off man's Blog
そしてその期待を裏切ることなく、本書では出口さん流の「ものの見方・考え方」が明らかに。
10年、20年経っても廃れない、「本質的な思考法」が本書にはあります!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
はじめに 私が「0.1% 」に賭けられた理由
序章 ベンチャー生保の立ち上げにかけた想い
第1章 5つの「思考軸」と大切にすべきこと
第2章 森を見る「タテヨコ思考」のすすめ
第3章 「多様なインプット」で直感と論理を磨く
第4章「違った人」をいかすリーダーシップ
第5章「勝率100% 」の真っ向勝負
第6章 私たちが、いまいるところ
おわりに 「悔いなし、遺産なし」―― 自分の頭で考え続ける
出口治明はパンクである― 取材者からのメッセージ
「軸づくり」に役立つ本一覧(歴史を中心にした20冊)
【ポイント】
■直感にしたがって間違えない直感というのは、その計算のプロセスを自分でも意識できないほどのスピードで「脳をフル回転させて得たアウトプット」であり、言語化はできなくても、単に直情的に行動するのとはまったく違う性格のものなのです。そして、この直感は「ストックしてある知識や情報=インプット」の量が多ければ多いほどその精度が上がります。
■猛スピードで考え、次々と試行錯誤を繰り返す
私は、自分の部下には「小さなことでもすぐにどうするかを決めて早く行動を起こせ」と日ごろから言っています。判断に迷っている場合は「仮決め」でいいから、とにかく一旦結論を出す。決めてしまうことが重要なのです。(中略)
極端な言い方をすれば、迷ったらコインを放り投げてその表裏で判断をしてもかまわないのです。そんな決め方であっても、何もしないでぐずぐずしているより、ものごとは間違いなくよい方向に進むはずです。そうやって仕事や意思決定のスピードを上げていくと単位時間内にできることが増えていきます。つまり生産性が上がるのです。
■自分の軸をつくる「タテヨコ思考」
「昔の人はどうやって乗り越えてきたのだろう」というタテ思考、「ほかの国ではどのようになっているのか」というヨコ思考。思考をタテに掘り、ヨコに広げていくことが、自分なりの軸を築き、磨き上げるもっとも確実な方法です。(中略)
人間という生きものは、そう賢いものでも変わるものでもないのですから、自分がいま問題にしていることに対する答えやそれに近いものをもっている人は、タテヨコに広く視野をもって探せば、必ずどこかに見つかるはずなのです。
■インプットの「絶対量」を増やす
私のインプッ卜方法は「最初は自分で選ばず、とにかく大量に取り込む」というものです。自分に役に立つ情報だけを抽出することができればそれに越したことはありませんが、そんな芸当が最初からできるわけがありません。それであれば、自分のアンテナにかすったものはとりあえず片っ端からインプットする、と決めてかかるのです。
■「人から何かを得る」のはインプットを増やす最高の手段
「会いたいと思った人にはすぐに会いにいく」「食事やお酒に誘われたら誰であろうと断らない」「呼ばれたらどこにでも行く」というのがいまも私のモットーであり、皆さんにもお薦めしたいことです。苦手なタイプの人からの誘いに応じるのは多少気が重いかもしれませんが、一見とっつきにくそうな人であっても話してみると意外な情報をもっていたり、新鮮な刺激を与えてくれたりすることがよくあります。だから、「誘いにはとりあえずのってみること」を基本にしましょう。行ってみて面白くなければ「ちょっと、明日の朝が早いので」などといって帰ればよいのですから。
■最後は「楽しい」会社が勝つ
すべての情報がオープンになるこれからの時代、「完全に他社と差別化した商品・サービス」などあり得ません。すべての情報が公開され、同じ商品をつくろうと思えばつくれる時代になってきます。世の中に本当にユニークなものなどどこにもない、となったときに、最後の勝負を決めるのは人と組織風土です。「朝会社に行くのが楽しい」とスタッフがニコニコ出社してくる会社であれば、絶対に他社に負けることはないと信じています。
■どんな仕事でもやり方しだいで面白くなる
仕事には必ず目的があることを理解し、まずはその目的を考え、次にその目的を達成するためのいちばんよい方法は何かを考えるようにすれば、仕事は自ずと楽しくなると思います。そして「この仕事はこうやるのがべスト」という方法を考えついたら、昔の人やほかの人はどうやっているのかを比べてみる。前任者のやり方を聞いて自分の考えたやり方のほうが優れていると思ったら、何だか勝ったような気がして嬉しかったものです。
【感想】
◆上記ポイントでは、できるだけ当ブログ的にしっくり来るものを選んでみました。ただ、その結果、出口さんの「個性」というか「異質さ」は表現しきれなかった気が。
なんたって、冒頭の切込隊長の記事では、隊長のこんな発言もあったくらいですから。
隊長の記事内でリンクが貼られている広告記事は、あくまで「保険」というテーマに沿ったものである以上、致し方ない部分はあるのですが、当ブログではおなじみの小飼 弾さんに匹敵する知性・感性を、出口さんはお持ちのよう。生保業界の運用とかには興味があるけど生命保険には何の関心もなく必要も感じていなかった私が、一番興味を持ったのは、他ならぬこのオヤジの知性と使命感にありました。というか、otsuneやdankogaiや真性引き篭もりほかネットで際立つヤバい知性や感性の持ち主に比較して劣らぬどころか鬼の如く熟成されたバランス感覚というものがあって震撼しました。
申し訳ないけど、私程度では出口社長という人間の凄さを引き出す対談はできないし、伝えられないと思います。
◆そのバックボーンとなっているのが、「大量のインプット」。
出口さんもいわゆる「本の虫」で、小・中学校では学校の図書室にある本はほとんど読んでしまったのだとか。
読書術等については触れられていないものの、巻末には『「軸づくり」に役立つ本一覧(歴史を中心にした20冊)』が挙げられています。
ただ、私を含め(?)、一般的なビジネス書好きだと、必ずしも歴史関係には食指が伸びない傾向にあるような(私だけ?)。
◆とはいえ、上記ポイントで登場した「タテヨコ思考」を身につけるためには、実は歴史の勉強が必須です。
歴史書でタテ掘りをし、さらにヨコに広げるためには、世界にも目を向ける、と。
今回はその「タテヨコ思考」の事例は挙げませんでしたが、面白いものがいくつもありました。
例えば、「タテ思考」の例として登場していたのが、『「北京の空は汚い」は本当か』。
これは、2008年のオリンピック開催時に、大気汚染が問題となった北京と、同じくオリンピックの行われた1964年の東京と比べたらどうなのか?、というものです。
結論は本書でご確認いただくとして、なるほど、歴史小説を読むのとは違い、「昔の事実」から学ぶ点は多々あるな、と思った次第。
◆さらには、切込隊長も指摘されていた、出口さんの「使命感」。
ご自身の会社のみならず、この日本全体を変えようとされているのが本書の節々にも感じられました。
そして本書の最後には、取材・構成を担当された山口雅之さんの「取材者からのメッセージ」という章があり、そこには出口さんのこんな言葉が。
うーん、まさに「有限実行」の人!「人は真っ当なことを、真っ当にやるべきです。それができないなら、できる世の中にすればいいんですよ」
ただの自己啓発書とはひと味違い、読めばアツくなること必至です!
「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由
【出版記念セミナーのお知らせ】
◆本書の発売を記念して、出口さんの出版記念セミナーが行われます。Eijipress blog ? ライフネット生命社長出口さんの出版記念セミナー、申込み殺到中!
申し込みページを見る限りは、まだ締め切られていないようなので、気になる方はお早めにお申し込みを。日 時: 2010年7月9日(金) 19:00-21:00(開場18:30)
参加費: 無料
定 員: 200名(先着順とさせていただきます)
会 場: グロービス経営大学院 東京校
〒102-0084
東京都千代田区二番町5-1 住友不動産麹町ビル
なお、申し込みの締め切りは7月2日(金)だそうです!
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【仕事観】「いい仕事ができる人の考え方」村山 昇(2009年04月06日)
【処世術】「認められる力 会社で成功する理論と実践」太田 肇(2009年02月26日)
【編集後記】
◆昨日の「気になる本特集」では挙げ損ねましたが、この本も「怖いもの見たさ」(?)でチェックしたい今日この頃wプラス思考をやめれば人生はうまくいく マイナス思考法講座
土井さんもメルマガで取り上げてらっしゃったので、クオリティ的には大丈夫なはずw
ご声援ありがとうございました!
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