2010年06月13日
【アマゾン攻略法】「私にはもう出版社はいらない」は業界関係者必読な件
私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、出版業界に携わる方なら「必読」の1冊。タイトルからして、てっきり「ライティングネタ」かと思いきや、現時点では完全に「マーケティングネタ」のご本でした。
しかも、原書のタイトルをご覧いただければお分かりのように、目指すはアマゾンのみ。
本をアマゾンで売るためのノウハウが満載でした!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
特別寄稿 ITジャーナリスト 佐々木俊尚
第1章 アマゾンでセルフパブリッシング事始
◇セルフパブリッシングにぴったりな書店 アマゾン・コム
◇オンデマンド印刷(Prind On Demand)
◇セルフパブリッシングのルートを決める ほか
第2章 アマゾンで売れる本を作るには
◇どんな本にするか――企画の立てかた――
◇セルフパブリッシングを成功させる秘訣
◇市場調査 ほか
第3章 アマゾンにアクセスする
◇アカウントの開設
◇アマゾンの最新情報を逃さないために
◇アマゾンとのコンタクト ほか
第4章 アマゾンでのマーケティング
◇掲載ページを見てみよう
◇ディスカウントの仕組み
◇ASIN――アマゾンの独自コード ほか
第5章 アマゾンをモニターするには
◇在庫状況に注目する
◇ランキングに注目する
◇検索結果に注目する ほか
第6章 アマゾンで買ってもらうには
◇販路を分散しないこと
◇アソシエイトの利用
◇リンク表記を学ぶ
第7章 アマゾン向けの改訂
◇本に磨きをかける
◇中身を改訂する
第8章 アマゾンで世界を目指す
◇アマゾングループで本を売る
◇各国のアマゾンサイト向けに最適化する
◇世界のアマゾンにアクセスする ほか
付録1:セルフパブリッシングTips集
◇アマゾンでのエチケット
◇復刻版の出版
◇掲載の停止 ほか
付録2:セールス・ランク・エクスプレスの使い方
訳者あとがき
【ポイント】
■1.副題を極める◆本のタイトルは出版の際の悩みどころの1つですが、本書によれば、関連検索等でヒットさせるために、副題にキーワードを埋め込むのが良いのだそう。
しかもやたらと長いタイトルは、それだけで目立つわけですから、副次効果もアリ。
本書で事例として出てくる、著者の別の本のサブタイトルをご覧いただければお分かりのように、確かにやたらと長いですw普通の書き手は、長たらしくて格好悪いタイトルはみっともないと考える。上手い文章の書き方として彼らが教わってきたことと、長たらしいタイトルは相反するから。でも格好悪くてけっこう。その分こちらのビジネス・チャンスが増えるというものだ。
果たして「和書」でそこまで意識して付けられた副題はあったのかどうか…?
■2.表紙画像にもひと工夫
◆アマゾンの書影として掲載されるのは、「書籍の表紙」ではなく、「表紙の画像」。
確かに著者の本の書影はほとんど「正方形」です。表紙画像に実際の表紙を使う必然性はない。実際の表紙よりもシンプルでインパクトのある、切手大というアマゾンでの表示サイズに最適化させた画像にしてもいい。
日本のアマゾンが、実際の本の表紙と違う画像が掲載できるかは分からないのですが、試してみる価値はあるかも。
■3.タグの活用
◆私は使ったことはないのですが、アマゾンのページにはタグも表示されています。
そのためには、タグは他のカスタマーも使うような「一般的で短いもの」が吉。タグづけの際は、タグの目的を忘れないこと。書籍の内容を「説明する」のではなく、類書と共有できるタグをできるだけ多くつけるのが目的だ。そうすることで、カスタマーがほかの書籍を見たり買ったりしたときに、自著が表示・推薦される確率が高くなる。
これは試してみる価値はあるかと。
■4.競合商品に注目する
◆「競合商品」とは本書の著者が付けた名前で、これは日本のアマゾンの言うところの「この商品を見た後に買っているのは?」のこと。
たまに勘違いされている方がいるのですが、あそこに表示されるパーセントは、ページを開いた人の何パーセントが買っているか、ということではなく「実際に何かを買った人」のうちに占める割合になります。
具体的なチェック項目等(競合商品情報での順位の上げ方もアリ)は本書をお読み頂きたく。書籍の詳細ぺージを閲覧しても、何も買わない人も多くいるだろう。だからこれらの数字からわかるのは、ぺージを閲覧した人のうちの自著を購入した人の割合ではない。この数字からわかるのは、自著の詳細ぺージが類書のそれと比べてどれほどのマーケティング効果を発揮しているかである。
■5.著者作成のツールを活用する
◆本書では何度か、著者作成のアマゾンのチェックツールが登場しており、「英語版だけでしょ?」と思ってたら、日本語にも対応していました(左上に出ている書影は、どの本を検索してもデフォルトで出てくる著者広告)。
具体的な使い方等は、やはり本書をご覧頂くとして、上記「競合商品」のチェックに便利な感じですね。
【感想】
◆ネタバレの問題もあるので、かなり軽めにご紹介して参りました。他にもアマゾンの機能として目に付く「よく一緒に購入されている商品」「この商品を買った人はこんな商品も買っています」「リストマニア」などについても言及アリ。
さらには、私たちが「アマゾンキャンペーン」と呼んでいる販促方法についても触れられているのですが、意外なほど(?)ネガティブだったりして、この辺も興味深かったです。
一方で、インセンティブを与えてカスタマーレビューを募って叩かれたこともあったりして、ありとあらゆる手をつくしているのがよく分かりました。
著者自身がここまでやっているケースもあまりないと思われ。
◆その反面、元々のテーマである「セルフパブリッシング」については、かなり細かく書かれているものの、なまじ米国の事情(利用業者等)に最適化されているため、正直、現時点で日本でそのまま活用するのはかなり難しいような。
また、副題に「キンドル」とあって、一見電子書籍ネタのように見えますが、書かれていることの多くは、キンドル出現前からある「POD」(プリントオンデマンド)のお話です。
…ぶっちゃけ私は、「キンドル」と並んであったので「iPad」と空目したんですがw
そういう意味では、本書はこと日本においては「書き手(もしくはそのタマゴ)」よりかは「売り手」向けの本なのだと思います。
◆もちろん、現時点で書き手である方が、アマゾンでのマーケティングを目的として、本書を読まれるのは大いに「アリ」。
マーケティングを出版社に任せきりにするよりは、自分自身がデータと向き合うことも、今後の創作活動にもプラスでしょうし。
私自身も、ある程度はアマゾンを使ったマーケティングに関して知識があると思っていましたが、本書に学ぶ点は思ったよりも多かったです(マジで)。
これはもう、業界関係者は必読でしょう!
私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~
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【編集後記】
ブログだけでなく、リアルで会った小飼 弾さんにオススメされたのがこちら。日本語作文術 (中公新書)
結構「耳イタイ」内容みたいだったので、実はスルーしてたんですがw
ご声援ありがとうございました!
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ドキドキしながら読みそうです。
スイマセン、レス漏れしてました!!
齊藤さんも、アマゾンで本を売られてるのですから、この本買う価値大だと思いますよ〜。
私も色々と勉強になりました!