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2010年06月03日

【クチコミ】「WOMマーケティング入門」で面白かった8つの事例


WOMマーケティング入門
WOMマーケティング入門

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「クチコミ」マーケティングに関するスゴ本

タイトルの「WOM(ワム)」というのは、「Word Of Mouth」の略で、まさにクチコミのことですね。

序文でセス・ゴーティンガイ・カワサキが激賞しているので、原本の方をアマゾンで確認してみたら、かなりの高評価でした。

アマゾンの内容紹介から。

誰もがクチコミで買う時代の新しいマーケティング・バイブル。お金をかけずに、誰でも、すぐに、実践できる。どうしたらネットでもリアルでも話題にしてもらえるのか?世界的第一人者によるWOMマーケティングの正しいルールとテクニック。

本書は翻訳本らしく事例が豊富なので、その中から「ナルホド!」と思ったものを8つ選んでみました!


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【目次】

本書の価値はどこにあるか セス・ゴーディン
私が選ぶトップ10 ガイ・カワサキ

はじめに ひとりでもできる最強のマーケティング

I基礎理論編
第1章 WOMマーケティングとは何か?
第2章 絶対に知っておくべき六つのこと
◆WOMマーケティング・マニフェスト

II実践・応用編
第3章 「五つのT」を実行に移す
第4章 話題にしてくれる人のつかみ方
第5章 話題提供のテクニック
第6章 メッセージを広めるツールを使いこなす
第7章 うまく会話に加わるコツ
第8章 世間の声をキャッチすべき理由

まとめ 誰にでもできて効果抜群の16策


【ナルホドな8つの事例】

■1.革張りの椅子のある靴磨きのスタンド

ニューヨークには、おそらく何百という靴磨きのスタンドがあるが、誰もがこぞって行くのは、グランド・セントラル駅構内のエディーズだ。ここには、大きくて最高に座り心地のいい年代物の赤い革張りの椅子があり、その椅子に座ると、一日の終わりの数分を王様のような実に快適な気分で過ごせる。かくして、「数あるスタンドを通り過ぎてでも行くだけの価値がある」というクチコミが広がったのだ。


■2.ゼブラボールペンF-301

 話題になるのに、複雑な機能も高い価格設定も必要ない。たとえば、ゼブラのF-301というニドルのボールぺンは、一見どこにでもある代物だが、これが実に優れている。技術的には他と大差ないが、デザインのよさ、ステンレス製のボデイ、そしてなめらかな書き心地について、つい誰かに話したくなるのだ。実際、膨大な量のクチコミが広まり、数多くの愛用者が生まれた。

■3.ラスベガスのウィンホテル

 ウィンホテルが豪華なカジノ付きホテルをラスべガスにオープンしたとき、一番重要なトーカー(クチコミを広めてくれる人)として頼りにしたのが街のタクシー運転手だった。観光客が、食事やギャンブル、買い物の場所を尋ねるのは誰か。タクシー運転手である。そう思いたったホテルは、正式オープンの前に、運転手たちを無料で招待し、施設を自由に使わせた。その後、タクシー運転手が観光客にどのホテルを勧めたかは言うまでもない。


■4.防錆潤滑剤WD-40のファンクラブ

 防錆潤滑剤こすら、ファンクラブが存在する。防錆潤滑剤WD-40の公認ファンクラブは、目をみはるものがある。会員になると、お役立ち情報満載の会員限定サイトへアクセスできるほか、会員証が発行され、週刊メールマガジンが配信される。WD-40のスクリーンセーバーやダウンロードして遊べるゲームもある。さらには、会員のなかから同社の名誉役員まで選出されている。


■5.ギフトカタログ レッドエンべロープのギフトボックス

 オンラインでギフトカタログを販売するレッドエンべロープのカタログは、他のカタログよりも明らかに優れているとまでは言いがたい。(中略)
 だが、同社にはとっておきのトピックがある。ここのカタログに載っている商品は、すべて大きなリボンのかけられた鮮やかな真紅のギフトボックスに入って届くのだ。受け取った人は、このギフトボックスのことを話題にせずにはいられない(品物よりも箱が話題になる)。


■6.ポットべリー・サンドイッチ・ワークスの看板

 シカゴを中心にレストランチェーンを展開するポットべリー・サンドイッチ・ワークスは、建築現場の足場に囲まれた状態で新店舗をオープンした。同じビルのほかの店は、工事中だと誤解されないよう、普通に「営業中!」の看板を出していた。だがポットべリーはこの状態をチャンスととらえ、こんな看板を掲げた。「こんなところに、工事現場に見せかけたサンドイッチレストランが!」。この看板を見て、どれほど多くの人が同僚に話し、ランチを食べに行ったことか。


■7.セス・ゴーディンの「The Big Moo」の販促手法

セス・ゴーディンは、彼が編集したTheBigMoo (『常識破りの組織に変える 33人の否常識』きこ書房)が刊行される直前、一冊ニドルという破格の値段で発売前バージョンを販売した。ただし、購入の最低ロットは50冊。彼は、「トーカーとなってくれる人に手渡してくれそうな人」に声をかけた。この発売前プロモーションで得た収益はすぺてチャリテイに寄付されたが、ゴーディンの知りうる最高のトーカー200名の手に一万部が渡った。

常識破りの組織に変える 33人の否常識
常識破りの組織に変える 33人の否常識

参考記事:【脱常識】「33人の否常識」セス・ゴーディン他(2008年02月07日)


■8.本書の著者・セルノヴィッツ氏の作るネームタグ

 私はこの10年、誰かから名刺をもらうたびに、その裏に私の会社のロゴを貼り、ラミネー卜加工してネームタグにしたうえで、その相手に贈っている。このネームタグをスーツケースやブリーフケースに付けている人は、5000人はくだらないだろう。タグを付けた人同士が会えば、私の会社のことを話題にしてくれる。かなりの数のクチコミだ。


【感想】

◆上記を事例だけで固めてしまったので、それ以外の点で大事なものをいくつか。

まずは、「WOMマーケティングの5つのT」

これはクチコミを広めるための基本事項であり、以下の5つになります。

1.トーカー:誰が話題にしてくれるか
2.トピック:何を話題にしてもらうか
3.ツール:どうすればメッセージが広まりやすくなるか
4.テイキング・パート:どうすれば会話に加わることができるか
5.卜ラッキング:世間では何と言われているか


セルノヴィッツ氏によると、クチコミの成功例を何百と検証したところ、どの場合も必ずこの5つが考慮されていたそう。

私が取り上げた事例は、ネタ的に面白いものを選んだため、上記のうちの1と2ばかりですが、本書には3〜5までの事例ももちろん収録されています。


◆最近「Twitterを使えば何でも上手くいく」的なニュアンスの本やエントリーを見かけないこともないのですが、Twitterも上記で言うなら「ツール」の1つに過ぎません。

むしろ、本書を読んでそれ以外の部分を固めた上でTwitter本を読むほうが、よほど効果的ではないか、と。

…と言いつつ、本書にはブログやメルマガは登場するものの、残念ながらTwitterは出てこないんですけどねw

ただ本書には、「クチコミについての基本的な考え方」が十二分に述べられているので、「RTされるような話題をどう作るか」「Twitterで炎上しかかった場合にどう鎮火するか」といったようなことには対応可能だと思われ。


◆その「話題作り」でオススメなのがこちらの本。

外食の天才が教える発想の魔術
外食の天才が教える発想の魔術

ご存じない方は下記参考記事を是非ご覧頂きたいのですが、とにかく、「30近い店を立ち上げ、全国展開されたレストランコンセプトが6つもある」というロマーノ氏のアイデア量産ぶりには驚愕しました。

調理の様子自体が見世物である「オープンキッチン」も、元々はこのロマーノ氏の発案らしいですし。

ネットがない時代に「純粋なクチコミ」だけでここまで話題にできたのですから、今だったらとんでもないことになりそうな…。

参考記事:【オススメ!】「外食の天才が教える発想の魔術」フィル・ロマーノ(2008年03月20日)


◆こんな話をしていると「外食だから話題にしやすい」と思われそうですが、一見地味な自社サービスや製品でも、クチコミを作ることは可能です。

私もびっくりしたのが、上記事例で挙げた「防錆潤滑剤のファンクラブ」

「防錆潤滑剤のスクリーンセーバー」って何デスカ??

それでも「無理」と言われるなら、事例の最後の「ネームタグ」みたいなものはどうでしょう?

結局、その気になれば何だってできちゃうんですよね。


これはもうオススメせざるを得ません!

WOMマーケティング入門
WOMマーケティング入門


【関連記事】

【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件(2008年11月25日)

【オススメ!】「外食の天才が教える発想の魔術」フィル・ロマーノ(2008年03月20日)

【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル(2007年07月18日)

「クチコミの技術」コグレマサト,いしたにまさき(2007年03月28日)

「クチコミュニティ・マーケティング」日野佳恵子(著)(2006年09月08日)


【編集後記】

◆今日ご紹介した本のアマゾンのページで見つけたのがこの本。

200メートルの行列ができる繁盛店はこうつくる! (DO BOOKS)
200メートルの行列ができる繁盛店はこうつくる! (DO BOOKS)

この本もクチコミ系として面白そうなんで、チェックしてみたいな、と。


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この記事へのコメント
               
私、海と月社の松井義弘と申します。
いつもブログ楽しく読ませていただいております。
このたびは弊社新刊『WOMマーケティング入門』をご紹介いただき誠にありがとうございました。
出版側の人間ながら、非常に面白く読ませていただきました。お褒めのお言葉も頂き、刊行して良かったという思いです。
また、Twitterに絡んでの部分は、まさに私どもの考えを酌んでいただけて、本当に感謝の念でいっぱいです。担当編集者や翻訳者の花塚さんにも早速報告させていただきました。

今後も刊行点数は少ないかもしれませんが、良書を刊行できるように努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

このたびは本当にありがとうございました。
Posted by 有限会社海と月社 松井義弘 at 2010年06月03日 14:12
               
「世界一わかりやすい速読の教科書」という本が売れているみたいですが、このブログでは取り上げないのですか?
速聴のCDがついているとか。
速聴が効果があるのか?知りたいです。
誰か、試してくれないかな?
Posted by K at 2010年06月03日 19:36
               
>有限会社海と月社 松井義弘 様

コメントありがとうございます。
ご本、大変面白かったです。
当ブログの読者さんの属性と一致しているかは微妙なのですが、マーケティング部門に関係される方なら必読の内容だと思いました。

今後とも宜しくお願いします。

>Kさん

その本の著者である斉藤先生の速読本は、すでに2冊ご紹介しているので、速読に関してはおそらくかぶるだろうと思っております。

また、速聴に関しては、私自身は「時間短縮」以上の効果はないであろう(ただし、短縮した分繰り返せるので、記憶にのこりやすいだろう)というスタンスでおります。

もちろん、速聴したテキストは繰り返し読んだのと同じ効果があるので、読む際には恐ろしく速く読めますが、じゃあ全ての本を全部高速音声化するのか、といったらできないわけですから。

私は税理士試験の受験勉強に、覚えたい理論を朗読して高速化し、繰り返し聴いたことはありますが、それと一般的な読書の速聴とは分けて考えています。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年06月04日 03:36