2010年05月29日
【知的生産】『一瞬で伝える「わかりやすさ」の技術』齋藤 孝
一瞬で伝える「わかりやすさ」の技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、おなじみ齋藤 孝先生の現時点での最新刊(数日内に新刊が出ますがw)。実際、齋藤先生は、著作がやたらと多いのですが、ビジネススキルに関してだけなら、実は思ったほど多くなく、かつ、中身がテクニカルでネタが多いのが特徴かと。
アマゾンの内容紹介から。
なるほど確かにネタ満載でした。上司への面倒な話も、ぶ厚い資料の要約も、1分で終わらせる。
「1分分割法」「3秒ルール」「要点仕分け」
「カオスマップ」「ここが違うよシート」
「疑問三銃士」「三点倒立文章法」......
自分の考えが一瞬でまとまる!
気持ちいいほど会話が進む!!
パッと結果を出す19のテクニックを伝授。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
STEP1 かいつまんで話をまとめる3つの手法
1 話は暗記せずに「構造化」する
2 あっという間に要点を整理するワザ
3 ポイントが一瞬でわかる「図化」
STEP2 大事な話に時間をかけない5つの手法
1 話は3つの「問い」から始める
2 大事な話を後回しにしないコツ
3 具体化で「わかった感」を演出する ほか
STEP3 自分の考えを紙一枚で伝える3つの手法
1 思考プロセスを記録する
2 ホップ・ステップ・ジャンプ思考術
3 相手を唸らせる「シート式」アウトプット法
STEP4 気持ちいいほど会話が進む4つの手法
1 まずは"場"を味方につける
2 相手のキャラクターを掴む
3 「NO」を伝えるテクニック ほか
STEP5 文章力が驚くほどつく4つの手法
1 読む気にさせる文章の書き方
2 タイトルで「おや?」を誘う
3 文章とは読者への"プレゼント" ほか
【ポイント】
■事前の"要点仕分け"が場を制すたとえば会議のテーマやプロジェクトは、いくつかの要点に分類できるはずだ。これらについて、あらかじめ「(1)すでによく調べてある、または一家言ある」「(2)調査が途中で、まだ曖昧なところがある」「(3)まったくノータッチ」の大きく三つに仕分けてしまうのである。
その上で、(1)について聞かれれば堂々と答え、(2)(3)ならその旨を正直に述べればよい。(中略)
誰でもすべてを把握することは不可能だ。重要なのは、わかることとわからないことの境界線をクリアにすることなのである。
■箇条書きの基本的な3つのルール
●1つの項目の長さを1〜2行にする
●具体性を追求する
●課題を提示する (詳細は本書を)
■資料の「見せどころ」を手書きで示す
概して活字の資料というものは、見やすい反面、作成者の主体性や"熱さ"を感じさせない。どれほど労力をかけて作成されていても、パッと見た時点では平板な印象が拭えないのである。(中略)
その点、活字の中に手書きの部分があれぱ、必然的に目立つし、"熱さ"も伝わる。いわば"魂"が吹き込まれるから、伝えたいことも一目瞭然になるはずだ。なぜ、これほど簡単なことを実践する人が少ないのか、私には不思議にさえ思える。
■企画書や提案書にも「?」を活用する
たとえば何かのイべントを企画し、「どうすれば客が集まるか?」を大テーマとする会議を開いたとする。そのとき、「会場は〇〇でいいのか?」「プログラムに〇〇を加えてはどうか?」「告知の媒体は〇〇だけでいいのか?」といった三つの小さな問いがA4一枚にまとめて書いてあったとしたら、出席者はどれほど助かるだろう。それぞれの間いについて集中的に協議して結論が出れば、集客の問題も解決するのではないだろろうか。
■いい質問とは「具体的」かつ「本質的」
これをもっと明確にするために、縦軸を「具体的」(上がプラス)、横軸を「本質的」(右がプラス)とする座標軸を描いてみていただきたい。このうち右上の部分(第一象限)に当てはまる質問が、具体的かつ本質的でもっとも優れていることになる。相手も「よくぞ聞いてくれた」と思うだろう。
ところが実際には、左上(第二象限)の「具体的だが非本質的な質問」や右下(第四象限)の「本質的だが抽象的」に該当する質問が多いのではないだろうか。
■すべては「すごい」と「違う」で説明できる
結論から先に述べれば、私はたったニつの方法、さらにいえばたったニパターンの紙があれば、世の中のあらゆるモノや現象は説明できると思っている。その一枚を「すごいよ!シート」といい、もう一枚を「ここが違うよシート」という。
この両者に大きな違いはない。前者は、対象のモノや現象について「すごい」と思えるポイントを三つ書き込む。そして後者は、同じくモノや現象について、類似する他の対象とどう違うか、やはり三つのポイントを書く。
■「話すように書く」ではダメ
「話す」ということには、さまざまなオプションが付く。声の調子や強弱、イントネーション、身振り手振りなど、話の内容に応じて脚色が可能だ。だからディテール(細部)が暖昧であっても、極端にいえば単語を羅列するだけでも、ある程度は相手に伝えることができる。世に流行する「一発ギヤグ」などはその典型だろう。
一方、「書く」場合はそうはいかない。オプションが存在しない分、すべてを文字で表現しなければならない。そこに求められるのは、話の論理的な組み立てであり、ディテールである。
■「問い」を中心に文章を構成していく
私がここまで"問い"にこだわるのは、ひとえに読者の興味を惹くためでもある。"問い"のない文章は、なかなか読む気になれない。まして森羅万象のブログ群の中から自分のぺージを選び、読んでもらうためには、いわゆる"つかみ"が欠かせないのである。
そのプロセスでは、強引な辻褄合わせが必要な場面も出てくるかもしれない。我田引水的な論理の構築も必要だろう。その無茶な感じがまた、読者を楽しませるコツである。
【感想】
◆実は上記ポイントで、私が一番「ナルホド」と思ったのが、「いい質問とは」のくだり。本書では四象限の表で解説されていましたので、ここでも簡単に再現w
目指すは右上の第一象限の「いい質問」です。
具体的
│
具体的だが │ いい質問
核心に迫らない質問 │
非 2 │1 本
本 ←―――――――――+―――――――――→質
質 3 │4 的 最悪な質問 │ 本質的だが
│ 漠然とした質問
│
抽象的
◆さらに、ここでの具体例として、プロ野球における、こんなヒーローインタビューが挙げられています。
曰く、「休日は何をしていますか?」と尋ねるのが左上の第二象限、「あなたにとって野球とは?」と尋ねるのが右下の第四象限とのこと。
これは確かに「あるある!」ですね。
ただ、プロ野球に限らず、サッカー等でも、たまに第三象限の「最悪の質問」があったような気も。
◆また、本書で何度か出てくるのが、話や文章に「問い」を織り込むということ。
問いがあることで、人は意識を払い、惹きつけられます。
さらにその「?」が「!」に変わる瞬間で得られる快感も見逃せないところ。
確一時期(今でもですか)、本のタイトルにも疑問形が多かったですし、はてなブックマークの人気記事でも、疑問形を目にすることは多いです。
これは、ブログを書く私たちも意識しておいて損はないでしょう。
◆そのブログで言うなら、本書の第5章「文章力が驚くほどつく4つの手法」は、ブロガーなら要チェック!
もちろん、ブログライティングについてのみ書かれているわけではないのですが、タイトルやテーマ、さらには写真の活用等、私も参考にしたい点がいくつかありました。
何でも、齋藤先生の大学の授業では、学生の書くエッセイに、お互い「現金で評価」させたことがあるのだそう。
結局のところ、プロの書き手のみならず、私たち素人も独りよがりにならずに「常に読者を意識する」のが大事なんですね。
◆齋藤先生は、本書と同じ大和書房さんから、昨年『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』という知的生産術のご本を出されており、この本も齋藤先生の著作の中では、かなり「ビジネスパーソン向け」の作品でした。
本書も同様に知的生産術の本なのですが、より「テクニカル」な感じ。
なお、第3章の「自分の考えを紙一枚で伝える3つの手法」では、「カオスマップ」や「ホップ・ステップ・ジャンプマップ」といった興味深いテクがあったのですが、これらは本書内にあるように図解を用いないと解説が難しいので、ここでは割愛しております(スイマセン)。
まぁ、全部で「19のテクニック」があるわけですから、1つでも2つでもモノにして、私もこのブログの記事の長さを短くしたいな、とw
物事の"本質"を突きたいなら読むべし!
一瞬で伝える「わかりやすさ」の技術
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【編集後記】
◆先日、顧問先からの帰り道に、秋葉原の某大型リアル書店で展開されていたのがこの本。ずっと彼女がいないあなたへ
結構前の本ですし、「なぜ今頃?」、と疑問に思ったワタクシ。
ご声援ありがとうございました!
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