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2010年05月21日

【問題解決】『勝間和代のビジネス思考力養成セミナー[基礎力養成編]』


勝間和代のビジネス思考力養成セミナー[基礎力養成編]
勝間和代のビジネス思考力養成セミナー[基礎力養成編]

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、勝間和代さん久々のビジネススキル本

しかも勝間さんお得意の「フレームワークネタ」ですから、当ブログとしても取り上げないわけには参りません。

アマゾンの内容紹介から。

<勝間式・問題解決アタマの作り方、教えます!>
ビジネスは問題解決の連続です。
ですから、ビジネス思考力の基礎体力をつけ、問題解決の基本を学べば、何があっても効率的に対応し、安定した実績を出せるようになります。

本書は、「勝間さんにビジネス思考の基礎を学びたい!」という声にお応えして開催されたセミナーを元にした1冊。
勝間さんを家庭教師になったかのように、問題解決のためのロジカルシンキングの学ぶことができるでしょう。

確かに「誌上セミナー」的な、分かりやすい1冊でした!


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【目次】

Mission1 ビジネス思考力とは何か?

Mission2 ビジネス思考のキモ、MECEをマスターせよ

Mission3 練習問題でMECEに慣れよ

Mission4 ロジックツリーで論理的に分解せよ

Mission5 情報を集めて仮説を検証せよ

Mission6 集めたデータを分析せよ

Mission7 分析をまとめてプレゼンせよ

ビジネス思考力養成セレクション


【ポイント】

■仮説を日常生活に取り入れる

 理系の方はよくご存じだと思いますが、実験をするときには、必ず仮説を立てて実験をし、仮説を検証します。物事を考えるときも同様です。
 しかし、「仮説」という言葉をすでに日常会話で使っている人は、私の経験では10人に1人もいません。
 そこで、お勧めしたいのは、「仮説」という言葉を口癖にして日常会話で使うことです。これが、最初の目標です。


■「自社の売上が下がっているので、なんとかして売上を上げよう」としうのは「コインの裏返し」にすぎない

 売上が下がっているときに「なぜ下がっているのか」の分析を行わず、「わかった。売上を上げよう、全チーム5%増しの目標設定でがんばろう」といって長時間労働をする……。ありがちな話です。

 しかし、このような目標設定は「利益率を無視した無理な売上獲得」や「キャンぺーンによる需要の先食い」などにつながってしまいます。
 それに、焦点が定まらない「無意味なガンバリズム」を招くだけです。問題解決ではなく「がんばっている」ことが自己目的化してしまうのです。


■MECEを作る方法(抜粋):

 1)「要素分解」する
 2)「時系列」にステップ分けする
 3)「反対・対照概念」を組み合わせる
 4)「かけ算」にする

まずは、1)要素分解 2)時系列 3)反対・対照概念 4)かけ算 この順番に考えていくことをお勧めしたいと思います。
 ただし、番号が後ろのものほど、MECEの完成度は上がっていきます。ですので、まずは一番簡単な1)で分解してみて、その後2)、3)、4)の方法で順に分解してみましょう。練習では出来る限り3)か4)を目指してください。


■「Aさん(32才男性IT企業勤務)はどうすれば結婚できるか」という課題を考える

「マーケティングの4P」で仮説を立てる

 価格(Price) :
 Aさんに敷居が高い印象かあるのでは?

 製品(Product) :
 Aさんに出会いの妨げになる要素はないか?

 流通(Place) :
 出会いかある場所に行っているか?
 別チャネル(友だちの紹介など)を活用すぺきでは?

 販売促進(Promotion) :
 自己PRが出会いを妨けてはいないか?


■分析力で差がつく時代

誰でも平等に情報にアクセスできるようになった結果、何が生まれたかというと、分析力の違いによる新たな格差です。
 同じデータを前にしても、そこから何を見いだすかは、人によって異なります。これだけいい情報が手に入るようになっても、いい仮説を証明できる人と、宝の持ち腐れになる人に分かれてしまうというわけです。
 つまり、情報入手そのもののハードルが下がった分、付加価値は、独自の情報源から、分析方法・視点へと変化しているのです。


■政府統計は宝の山

 だいたいの日常的なことについての仮説は、政府統計で証明できます。考えてみれば当たり前で、もともと国が政策を作るために調査をしているわけですから、私たちの日常生活はだいたい網羅されているはずなのです。


■データがなければ、なんとしても収集方法を見つけ出す

 実際に、ある缶コーヒーの開発にあたっては、2〜30人のスタッフが、それぞれ本当に自販機の横に何週間も立ち、どういう年齢層のどういう人が何時に買いに来るかというデータをとりました。
 そして、そのデータに基づき、会社の思っている顧客層と実際に缶コーヒーを買っている顧客層が全然違うということを証明し、その結果、味や缶のデザイン、広告に起用するキャラクターなど、イメージを全部ガラッと変えて、シェアを大幅に上げたというケースがあります。


■相関分析は使い方を間違えると間違った結論を導いてしまう危険性がある

 以前、テレビの視聴習慣の調査をしたことがありました。その結果は驚くべきことに「テレビの視聴時間」と「年収」には相関がある、つまり「テレビを見る人ほど年収が高い」という仮説が証明されそうになったのです。

 しかし、これは間違った結論でした。テレビをよく見る層は年齢が高く、年齢が高いほど年収が高いので、こうした結果になったのです。つまり「年収の高さ」と「テレビ視聴時間の長さ」は、共に「年齢が高い」という原因の結果に過ぎなかったのです。


【感想】

◆本書はページ数こそ少ないものの、それを感じさせない「中身の濃さ」でした。

もちろん、あくまで「基礎力養成講座」であって、本書を読むだけで「ビジネス思考力」が身に付くわけではないとは思います。

とはいえ、私のような素人が陥りがちな「過ちの例」や、ユニークな「問題解決例」(「Aさんの婚活」)等を収録しており、そのおかげもあって最後まで飽きずに読了。

特に、そのAさんの話を読んだときには、「すわ!『勝間和代のフレームワーク恋愛術』か?」とビビリましたよw


◆ちなみに本書は、帯に記載があるように、勝間さんのオーディオブック「問題解決力を極める ロジカルシンキング講座」の「基礎力養成講座」の書籍化とのこと。

テキストのサンプルを見る限り、事例も同じようですし、6000円超のテキストのキモを、こうして普通の本として読める(しかも図解やレイアウト等は定評のある「ディスカヴァークオリティ」)のは、結構お得だと思います。

私は、オーディオブックはあまり積極的に取り組んではいないのですが、本書を読んで興味を持たれた方は、オーディオブックの方にトライしてもよいかもしれません。

…いえ、オーディオブックって、「付箋が貼れない」ので、ブログで紹介しようとすると、いちいちストップして書き起こししなくてはならず、結構大変なんですよ〜。


◆なお、上記では割愛しましたが、巻末には「ビジネス思考力養成セレクション」と題して、オススメ本の掲載もアリ。

一応、当ブログでも取り上げている3冊のみ、ここではご紹介しておきます。

イノベーション・シンキング
イノベーション・シンキング

参考記事:【水平思考】「イノベーション・シンキング」ポール・スローン(2007年08月25日)


勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践
勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践

参考記事:【強力!】「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」勝間和代(2008年06月15日)


ブレイン・ティーザー ビジネス頭を創る100の難問
ブレイン・ティーザー ビジネス頭を創る100の難問

参考記事:【パズル】「ブレイン・ティーザー ビジネス頭を創る100の難問」ジョン・ケイドー (著), 勝間 和代 (監修)(2008年10月19日)

後は「お楽しみ」ということで。


◆一方、私個人としては、こんな本をオススメしておきたいですね。

「情報創造」の技術 (光文社新書)
「情報創造」の技術 (光文社新書)

⇒先日ご紹介したばかりのご本ですが、「仮説立てまくり」なところと、「政府統計使いまくり」なところが、本書とリンクしています。

参考記事:【ヤバ本】『「情報創造」の技術』三浦 展(2010年05月19日)


過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題
過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題

⇒本書を読んで、私は初めて「フェルミ推定」のスゴさがわかったというくらいのオススメ本

参考記事:【論理的思考】「過去問で鍛える地頭力」大石哲之(2009年07月02日)


◆しいて本書の難点を挙げるとしたら、「横書き」なところかな、と。

この辺は、理解しやすいように、本書は図表やグラフが豊富なこともあるので、致し方ないのかも。

あと、マジビジシリーズお約束のイラストの顔が、本書ではおそらく勝間さんの似顔絵(服に「K」って入ってるしw)なんでしょうけど、微妙なのもご愛嬌。

そういう細かいことを気にしなければ、「問題解決力を学ぶよい入門書」だと思います。


シリーズの次の作品が楽しみです!←早杉w

勝間和代のビジネス思考力養成セミナー[基礎力養成編]
勝間和代のビジネス思考力養成セミナー[基礎力養成編]


【関連記事】

【問題解決】「デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方」ティム・ブラウン(2010年04月29日)

覚えておくと便利な「フレームワーク仕事術」のウラワザ(2010年01月08日)

【勉強】「コンサルタントの勉強法」野口吉昭(2009年12月22日)

すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選(2009年09月04日)

【解決力】『ビジネスマンのための「解決力」養成講座』小宮一慶(2008年06月20日)


【編集後記】

「出逢いの大学」の千葉智之さんの新刊がいよいよ本日発売!

やる気の大学
やる気の大学

…最近、本業も忙しいのに、「要チェック本」だらけで、ヘロヘロです。


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この記事へのコメント
               
早速購入しました〜!!
Aさんの結婚をロジックツリーで考えるのはビビりました!結婚するのも戦略が必要なんですね(汗)私も参考にしなければ(笑)
Posted by MISHIA at 2010年05月23日 00:07
               
>MISHIAさん

ご無沙汰です〜。
おお!購入されましたか!

Aさんのお話は、さすがだと思いましたよ。
具体例なら他にもあるでしょうに、よりによって婚活を持ってくるとはw
いずれ、本当に勝間さんが本を出しそうな気がしないでもなく…。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年05月23日 01:34