2010年05月12日
【質問力】「脳を丸裸にする質問力」増田剛己
脳を丸裸にする質問力 (アスキー新書 153)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ビジネスでも日常生活でも役に立つ「質問」をテーマとした新書。著者の増田剛己さんは、フリーライターとして多くの雑誌媒体で活躍された経歴の持ち主で、本書でもその時の経験が多くの事例として活かされていました。
現時点でアマゾンに情報がないので、出版社のサイトから。
論理的というより、実戦的な1冊です!「質問することは褒めること」「相づちも質問の一つ」・・・どんな相手でも思わずホンネをしゃべってしまう究極の訊く技術とは?のべ2万人にインタビューして培った"最強の質問力"のノウハウを公開!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 仕事の壁を超える質問力
質問する仕事の前はニートだった
「週刊ポスト」の記者となった
初めての取材でした質問 ほか
第2章 絶対にしゃべらない相手をしやべらせる
コミュニケーションはいい質問から始まる
「間接的に褒める」という質問
最強の質問力は「質問しない」こと ほか
第3章 相手が思わずホンネを話す質問力
ウソをつく人は質問の先を読んでいる
名人に学ぶ質問力
相手の思考のリズムをつかむ ほか
第4章 相手に"Yes"と言わせる質問力
人は質問するために生まれてきた
約束時間に早く行くと質問力に幅が出る
質問に答えてくれない人 ほか
第5章 相手をその気にさせる質間力
質間に「答え」はいらない
質問されるのが苦手な人は外堀から攻める
嗜好にまつわる質問は選択肢を与える ほか
【ポイント】
■雑談のフリをして、いちばん聞きたかったことを聞くこのやり方は私もよく利用した。ポイントは、最初の時点で話を振っておくことだ。ちらりとサインを送っておく。先方は、相手はこれを聞きたいのだなということを印象づけておくことだ。さらに、その問題については、しつこく聞かず、次の質問をする。
そして、最後にICレコーダーを止め、挨拶をしてメモ帳などを鞄にしまうのである。そのとき、「そういえば」といった切り出しで再び質問をしてみよう、かなりの確率で、その話をしてくれるのだ。
■質問で「間接的に褒める」
質間によっては相手を褒めるという効果がある。これは直接褒めるよりも効果的なことが多い。
「その服いいですねえ」
とただ単純に褒めた場合、おべっかだと思われることもあるかもしれない。ところが、
「その服、どこで買ったんですか?」
というような質問は、その裏側に、いい服だ、自分も欲しいというような情報が隠されている。直接褒めているわけではないが、相手はいい気持ちになる。
■等価交換の法則にもとづく質問
これは、週刊誌時代、先輩記者が教えてくれた手法であるが、こちらが欲しいと思っている情報と同程度かそれ以上の情報を相手に渡すことで、得られる情報もある。とにかく自分の知っているレア情報を相手にどんどん与える。表に出せなかった面白い情報を与えることで、相手も同等かそれ以上の情報をくれるという等価交換の法則だ。
相手の性格にもよるが、この手法はけっこう有効だった。
■相手が質問しないことは、聞かれたくないこと
たとえば、本当の初対面で、相手の仕事もわからないような場合、普通なら、
「何をやってらっしやるんですか?」
というようなことを聞いてくるはずだ。ところが、それを聞いてこないということは、自分もそれに触れられたくない職業なのかもしれない。質問は「振り」だと考え、相手の質問の範囲内で話を展開することが望ましい。
■相手の思考のリズムをつかむ
自分が取材されるようになったことで、うまい質問者とそうでない質問者がよくわかるようになってきた。うまい質問者は相手の思考のリズムにあわせてうまく質問ができるということであろう。思考のリズムが表れるのは話す言葉の速度である。
ゆっくり話す人には、できるだけゆっくり質問したい。また、その逆に早口の人へは早口で質問をしたい。そうすると、会話のリズムが生まれてくるのである。
■質問にはその順序等、組み立てが重要
質問と会話は違う。質問の大きな目的の一つは情報を引き出すための方法なのだ。水といっしよで情報も高いところから低いほうへ流れていく。だから、スムーズに相手から話を聞き出すためにはどういう順序で質間をしていくかという組み立てがが必要だ。
それゆえ相手の話に対して「あ、それ知ってますよ」とこちらの知識をひけらかしてはダメだし、ウォーミングアップの質問からいきなりカの入った肝の質問にジヤンプするようなことがあってはいけない。
■名前で呼ぶと質問は届きやすい
〇〇さん、という具合に名前を呼んで質問することは、相手のこちらに対する親近感を高めるのだ。ただ、
「△△についてどう思われますか?」
と聞くよりも、
「〇〇さんは、△△についてどう思われますか?」
と聞いたほうが、相手は真剣にそれについて考えてくれるものである。
【感想】
◆増田さんは、主に取材する側だった故、本書も基本的には質問する側からのお話がメイン。ただ、仕事をこなす過程において、後に取材されるようになったことで、その考え方も表裏両面から捉えられているように思えます。
つまり、「質問される側はこう感じているのだから、こう質問した方が良い」という風に、相手の側に立って考えられるようになったということ。
取材される前は、様々な失敗(?)や先輩からのアドバイスによって、そのスキルを高められたようですが。
◆私もここ数年、マスメディアから何度か取材をして頂くことがありました。
とはいえ、今考えると自分が喋ることに必死で、取材して下さった方々には申し訳ないのですが、相手のスキルやテクニックについては全然記憶にございません。
それどころか、話が思わぬ方向に脱線してしまったこともあったような。
一応私も、相手の「取材の落とし所」を探ったり、「ストレートに聞いて」、私とそのメディアと読者の皆さんが満足できるように尽力したつもりではおりました。
しかし本書を読むと、取材された方に、うまく乗せられていただけだったのだと今さら思ってみたり。
◆ポイントの最初の話は、本書でも触れられているのですが、実は『刑事コロンボ』と同じ手法です。
帰り際に「もう1つだけいいですか?」と振り返って質問するコロンボをテレビで観て、子ども心に「忘れそうになるくらいなら最初に聞けばいいのに」と思った記憶がw
当たり前ですが、あれは完全な「作戦」だったんですよね。
しばらく観てませんが、今観たら、新しい発見がありそうな…。
刑事コロンボ完全版 DVD-SET 1 【ユニバーサルTVシリーズ スペシャル・プライス】
というか、今の若い人にとっては「古畑任三郎」の方がピンと来るのかも!?
◆また、「間接的に褒める」というのは、モテテクでも登場しますし、「等価交換の質問」というのは、私もオフレコで「ぶっちゃけトーク」していて経験アリ。
さらに、夜遊びしていた頃は自分の職業(税理士)を伏せていたので、確かに「誰にも職業を聞いたことがなかった」です。
そう考えると、ここで挙げたポイントの多くが、私にとって納得できるものであり、断片的に経験していたことと言えそうな。
そして今回、書籍の形で整理してもらって、改めて腑に落ちた次第です。
このスキルをオン・オフ両方で活用しちゃって下さいw
脳を丸裸にする質問力 (アスキー新書 153)
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【編集後記】
◆私にしては珍しく(?)、ストーリー物を購入。運命のボタン (ハヤカワ文庫NV)
キャメロン・ディアス主演で今上映中の映画「運命のボタン」の原作を含む短編集です。
本書で17ページほどの短編を映画ではどう膨らませたのやら?
ご声援ありがとうございました!
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