2010年04月21日
【効率化】「テンプレート仕事術」信太 明
テンプレート仕事術 ―日常業務の75%を自動化する
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、久々の「仕事術系」のご本。著者の信太さん(「シダさん」とお読みするそう)は、2005年に自社(アウンコンサルティング株式会社)を東証マザーズにて上場させていらっしゃるのですが、その背景にあったのが、本書で展開されている「業務効率化=テンプレート化」。
代表取締役だけあって、テンプレート化の対象も、単なるデスクワークのみならず、会社の業務全般に渡っているのが見事です。
全部はムリですが、私もさっそく取り入れたいものがありました!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
まえがき
PART 1 テンプレート仕事術のススメ
第1章 なぜ仕事にテンプレート化が必要なのか?
テンプレートとは? テンプレート仕事術とは?
テンプレート化のメリット(1)「効率性」
テンプレート化のメリット(2)「生産性」 ほか
第2章 仕事をテンプレート化する方法
テンプレート仕事術を継続させるヒント
テンプレート化は時間の費用対効果が抜群
目的のないテンプレート化は長続きしない ほか
PART 2 テンプレート活用例
第3章 メール・連絡でのテンプレート
定型書式を使い回して文書作成の時間を削減する
イベントの事前準備&情報共有はこれで万全
メールの使い方でビジネスパーソンの可処分時間は大きく変わる ほか
第4章 営業・商談でのテンプレート
電話でアポイントメントが取れる可能性が高まるテンプレート
アドリブや経験に頼らない電話対応スクリプト
初回訪問前に確認しておくチェックリスト ほか
第5章 ビジネスの基礎スキル向上テンプレート
スケジュールは「アウトルック」で一元管理
気になる新聞・雑誌記事は即日データベース化
iPhoneのメモ帳機能でアイデアを蓄積 ほか
第6章 マネジメントのテンプレート
会社のコミュニケーションを活用化させるテンプレート
社員のやる気をアップさせるモチベーションテンプレート
組織的な残業撲滅テンプレート ほか
あとがき
【ポイント】
■本当に自分がやるべき仕事、期待されている仕事に集中する科学的な根拠があるわけではなく、あくまで私の経験に基づく感触なので恐縮ですが、私は「仕事」「時間」「テンプレート」について、次のようなな考えを持っています。
仕事の75%は、その人が付加価値を生めないルーチンワークであり、残りの25%が、ルーチンワークではできない、その人が付加価値を生む業務である
■一般的に仕事は「定型」「非定型」と「属人」「非属人」の2軸によって分けることができる
●「定型」「非属人」
●「定型」「属人」「定型」「非属人」的な仕事は、「誰でもできる仕事」「誰がやっても同じ成果しか出ない仕事」と言うことができます。(中略)
そこでカを発揮するのがテンプレート。たとえば「電話を受けたら次のことを最低限確認する。(1)相手の氏名、(2)要件、(3)電話番号、(4)折り返しの電話の有無……」といったチェックリストを受話器に貼っておけば、滞りなく仕事を進めることが可能です。
●「非定型」「属人」次に「定型」「属人」の象限にある仕事とは、営業活動など、基本的にやるべきアクションは一定でありながら、その人の能力や個性によって成果のバラツキがでる仕事です。(中略)
この象限でも、テンプレートが威力を発揮します。つまり、営業の成績優秀者の行動特性やセールストークをテンプレート化し、他の者にマネさせることで、全員の成績を底上げできることが期待できます。
これはたとえば、複雑に入り組んだコンサルティング業務や、新規企画の立案など、難易度の高い仕事です。(中略)
しかし、全部は無理でも、部分的にはテンプレート化することが可能です。そしてそれが大変な効果を発揮するのです。(後略)
■テンプレー卜仕事術の擬似体験ができるショートカット
以前、アウンコンサルテイングの社員の中の、その達人クラスの人間が、30分かかる書類をを5分で作るという趣旨の取材を受けたのですが、見事達成していました。彼はエクセルでの表作成にも、ショートカットををフル活用。罫線を引くにも、ショートカットだけで済ませてしまいます。30分かかるはずの書類が5分で作れたわけですから、達人クラスの仕事効率は常人の6倍と言えるかもしれません。
■目的のないテンプレート化は長続きしない
目的は何だって構いません。目的があること自体が大事なのです。
目的がある、ということは、現状から何かを変えようとしていることに他なりません。逆に言うと、具体的な目的がないということは、心のどこかで、現状維持でいいと思っているのです。現状維持でいいと思っている人が、テンプレート仕事術を取り入れることは至難の業でしょう。
■定型書式は上書きではなくテンプレートで
よく過去の書類を更新して新規の書類を作成している方を見受けます。しかし、過去の上書きだと、誤った情報が記載されている場合、そこを更新し忘れたがために書類にミスが残る恐れがあります。テンプレートを作成して、空欄を空けておくほうが、必ず書くべき事もはっきりし、誤記入の恐れがなくなります。
■メールの送信ボタンは爆弾スイッチ
ビジネスパーソンなら誰しも、一度はメールでの失態くらい経験しているのではないでしょうか。私も御多分に洩れません。そして、私用ならまだしも、ビジネス上でメールのコミュニケーションミスをしてしまうと、とりかえしのつかないことにもなりかねません。
そこでアウンコンサルティングでは左の図のような「メールチェックシート」を、社員にテンプレートとして支給しています。お客様宛のメールや、全社一斉メールなど、慎重を期す場合のメール送信時には、このチェックリストを確認するよう徹底しています。
そのテンプレートの最後には、こう書かれています。
「全社宛、お客様への送信ボタンは、爆弾のスイッチだと思え!」
■年賀状は出さずに、春、夏、冬に定期的にハガキを送る
できるだけ印象に残るよう、出すタイミングも、ハガキのデザインも工夫します。ハガキを捨てさせないということは、つまリアウンコンサルティングを忘れさせないということです。
すると、有り難いことに、お客様の紹介や雑誌取材など、年20件ほど新しいお話をいただけるのです。つまり、年3回のハガキは、立派な営業ツールというわけですね。
定型書式と、定期的に手紙を出すという仕事の仕組み。この2つのテンプレートを組み合わせることで、自動的に、時間もかけずに、お客様への不義理を防げます。しかも運がよければ、仕事まで新しくいただけることがあるのです。
■電話応対スクリプトでアポを取る
スクリプトとは、いわば台本のようなもの。手紙の文例と同じようなテンプレートです。
アウンコンサルティングでは、このスクリプトを用意して、電話口でどう話すか、あらかじめ紙に書き出しておくのです。(中略)
スクリプトを用意しておけば、何の不安もありません。その場で言葉を考える手間もなく、焦らず余裕をもって臨めます。書いてある文言をただ読み上げればいいだけなのですから。
【感想】
◆冒頭で、「デスクワークのみならず」と書いておきながら、結局個人的な嗜好から、選んだのはデスクワーク系中心でスイマセン。目次にもあるように、4章では「営業・商談」、6章では「マネジメント」と、あまりマニュアル系の類書では見ないテーマでのテンプレートが取り上げられていました。
上記ポイントの最後にご紹介した「電話応対スクリプト」も、実物はこんな感じで、フローチャートのよう。
あまり電話営業を受けるのが好きではないのでアレですけど、ここまでテンプレ化されていれば、それはバイトでも活躍できます罠。
◆定型書類でのミスの件も、私はズバリ思い当たるフシが!
その原因は指摘のあったように、まさに「上書き」によるもの。
同様にメールでも、とある顧問先に毎月同じ時期に出す連絡メールを、前月分をリバイスしてやっていて、タイトルをそのまま出してしまったこともありました。
これはもう「テンプレ化」と「チェックリスト」のダブルで対応しなくては。
◆なお、テンプレートとは直接関係ないのですが、本書には信太さんの英語勉強法についても触れられていました。
特徴的だったのが、「マインドコントロール」で、「モチベーションのあげ方」で、「英語を話せるとどれだけ楽しくなるか」を脳裏に刷り込ませるのだそう。
そして、オススメされていたのが次の2冊。
メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法 (幻冬舎文庫)
英語をやっていて、本当によかった。―吉越流ビジネスマンのための英語塾 (WAC BUNKO)
吉越さんの本は、つい最近某ベストセラー作家さんにも薦められたところなんですが、私自身が英語を使う予定がないもので。←言い訳星人
◆今回は最低限しか紹介できませんでしたが、本書はさまざまなテンプレートが収録されており、それらを自分なりに取り入れることができれば、元は取れると思います。
もっとも、こういったテンプレ化やマニュアル化が得意でない方や、「自分の仕事は特殊なのでテンプレ化は不可能」と思ってらしゃる方も多そうな。
ただ、後者のようなケースも、本人がそう思っているだけで、実際にはマレであることを、複数の「マニュアル化の達人」から聞きましたw
そして前者の方にとっては、本書は事例プラス新しいテンプレの作り方まで指導してくれるのがありがたいところかと。
まずは1つでも実践してみてその効果を体感すべし!
テンプレート仕事術 ―日常業務の75%を自動化する
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【編集後記】
◆当ブログ的には分かりませんが、この本は売れそうなヨカン! ←無責任発言w年収100万円減でも一生豊かに暮らす方法
是非リアル書店でチェックしてみたいな、と。
ご声援ありがとうございました!
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