2010年04月08日
【シマウマ型?】「プレイングマネジャーの教科書」田島弓子
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、一昨年"骨太な仕事本"を出された田島弓子さんの最新作。かつて某MS社において、個人とグループでそれぞれ社長賞を獲ったという田島さんの今回のご本のテーマは、「プレイングマネジャー」の働き方。
と言っても、ガツガツのマネジメント論ではなく、上司や部下とのコミュニケーションにも軸足を置いているのが特徴ではないか、と。
そろそろ部下を持つようになった方なら、要チェックです!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
はじめに
1.気が弱い人ほど「課長業」はうまくいく!
やりたくない・自信がない・やる気がない。"3ない上司"ほど、マネジャーの素質あり
持つべきは、引っ張るリーダーシップよりも、"回す"マネジャーシップ
プレイングマネジャー経験は、自己成長の"ステージ2" ほか
2.5秒でできるコミュニケーション!「初期投資ゼロ」の即効フレーズ
「おはよう!」―あいさつは、部下からではなく上司から
「最近どう?」―部下に「いつでも話に来てくれていいよ」という"空気"を作る
「今はダメだけど、15時からなら5分とれるよ」―手が離せないときでも、「話を聞く用意はある」と伝える ほか
3.コミュニケーションを仕組み化する
コミュニケーションのための手帳術(1)―コミュニケーションTO DOリストを作る
コミュニケーションのための手帳術(2)―「部下のための30分」もスケジューリングする
コミュニケーションのための手帳術(3)―部下のデッドラインも手帳に書く ほか
4.クセモノ&苦手な人対策「問題解決コミュニケーション」
伝書バト部下を育てるのは、「解きほぐし」コミュニケーション
プライドの剣には、ロジックの盾で返す
年上の部下とうまくやる「マイルドな理詰め」 ほか
5.プレイングマネジャーのためのトラブル時のFAQ
クレームが熱いうちに部下を叱る
日常の"ゆるみ"をトラブルに育てない方法
時には"あえて"キレてみせる ほか
COLUMN 外資系企業のコミュニケーションのツボ
おわりに
【ポイント】
■上司とは部下に対し、指導よりフォローに注力すべき私たちは仕事に取り組む中で直面する経験を通して多くを学びます。つまり部下が失敗したとき、自らの失敗経験を活かして適切な「フォロー」ができる上司のほうが、結果的に部下の成長を促すことができるのです。
■部下の再現性を促す台詞「どうしてお客さまはウンと言ってくれたの?」
部下がどのような工夫をしたか、それに対して顧客がどう反応したか、最後の詰めにどんな言葉を添えたのかなどを、話してもらいます。(中略)
部下自身は上司に報告することで業務プロセスが整理され、そこからノウハウを抽出するので再現性にもつながります。同じやり方で、今度は別の顧客にアプローチできるのです。
苦労の自覚なく、単なるラッキーで成功してしまった部下には、特に意識してこの即効フレーズを使いましょう。
■ほめ言葉とお礼は二段活用で完結する
何かをお願いしたのなら、「ありがとうございます」とお礼を言うのはあたりまえのこと。突発事項に対応してもらったり、難しい案件を解決してくれたのであれば、そこに間髪を入れずに「Eさん、さすがですね」と、相手の力を称えるほめ言葉を添えることです。
■ゴールのあとの「ねぎらい」も仕組み化
大切なのは、期日どおりに提出させることだけが上司の"ゴール"ではないということです。期日どおりに出した部下をねぎらってこそ、上司の仕事を果たしたことになります。(中略)
「ねぎらい」とは「ほめる」とは異なり、提出物のクオリティにではなく、提出したという行為そのものに向けたものです。こう考えれば、成果を出しても出さなくても「ねぎらう」と決めてしまえば、習慣として身につきやすいのです。
■どんなに忙しくても「話しかけないでオーラ」だけは出さない
上司たるもの、どんなに忙しくても、「話しかけないでオーラ」だけは出さないことです。
これを出すと、部下は本当に声をかけることはできません。(中略)
プレイングマネジャーは自分の仕事で必死な部分もあるため、自分は部下だけではなく上司でもある、という観点を忘れがちです。
どんなに自分が忙しくとも、部下はあなたからのアドバイスを求めています。
■やりにくい相手には「不甲斐ないほど」下手に出る
ビジネスコミュニケーションとは自分の言いたいことを伝えるためのツールではなく、あくまで仕事の目標達成のためのツールです。
そう考えれば、不甲斐ないコミュニケーションとは、むずかしい相手に納得してもらうための一手段。これによって、あなた自身が不甲斐なくなることもなければ、プライドが損なわれることもありません。むしろ「人を巻き込んで結果を出せる人」という評価を得るでしょう。
■上司への提案は「タイミングがすべて」
上司だって自分の仕事に集中したいときもあります。そんなときに部下が急に席に乗り込んで行っても、上司は身を入れて部下の話を聞くことができないでしょう。自分の仕事も緊急事態、ついつい感情的になってしまうことも致し方のないことです。
つまり、上司へのアプローチはタイミングが命。上司に限らず提案を通したいのであれば、相手のベストタイミングを狙っていくことが成功のキーといえます。
■上司に叱られたあとは、すぐ"謝り直し"に行く
自分が上司になってわかったことですが、部下を叱ったあと「あんなに叱ってヘコんでないかな」と、一番心配しているのは上司です。そうかといって、叱った手前、自分から優しく話しかけるのも気まずい。そんなときに、部下のほうから謝ってきてくれたら「思ったより冷静だった」と安心します。(中略)
大切なのは叱られっぱなしにしないこと。「謝り直し」をし、上司・部下ともに、いったんラクになることです。
【感想】
◆本書では、強いリーダーシップを発揮するマネジャーを「ライオン型」、気弱なマネジャーを「シマウマ型」と分類し、従来のマネジャー像とは違う「シマウマ型」でのマネジメントを伝授しています。というのも、田島さん自身が「シマウマ型マネジャー」だったから。
うーん、ハワイでサーフィンなさっている話などを聞くにつけ、田島さんはむしろ肉食系だと思ってましたが、意外や意外。一見、おとなしい草食系に見えるけれども、チーム内で何が起こっているかを敏感に察知。主張するのは苦手でしたが、お互いの言い分をよく聞いて、対立した意見をまとめたり、上司と部下の間に入ったり……。シマウマ型マネジャー特有の「調整力」を発揮し、チームをまとめていくことに成功したのです。
もっとも天下のマイクロソフトさんだったら、田島さん以上にアクの強いメンバーが揃っていても不思議ではないかも。
◆そんな「シマウマ型マネジャー」候補にとっては、第2章の『「初期投資ゼロ」の即効フレーズ』18個が活躍してくれそうです。
上記ポイントでは2つだけしかご紹介しておりませんが、他にも「なるほど!」というものが多々。
もちろん、そのフレーズをそのまま使うだけでなく、「なぜそのフレーズが効果的なのか」を本書を読んで納得して頂きたく。
私の場合、マネジャーになる前に脱サラしてしまったので、実際に悩んだことはないのですが、「若手が何を考えているのかわからない」という30代、40代の方は多いのだとか。
◆特に「ゆとり社員」と呼ばれる世代の特徴の1つが「叱られることに慣れていない」こと。
こちらとしては叱ったつもりではなくとも、部下は叱られたと感じてしまうことがあるのだそう。
そんな時に使いたいフレーズが「どうしたの? あなたらしくもない」。
な、なるほど。これは文字どおり、相手を肯定しながら失敗を指摘する、極めてコミュニケーション力の高い言葉です。「あなたの実力はわかっているし、信頼もしている。それなのに失敗したのはどうして?」というメッセージがこの一言にこめられています。
私なんぞ、ムスメをガンガン叱っているのですが、やはりヒトサマのお子さん(=部下)だとそういうわけにはいかないんでしょうね。
◆そして本書でも強調されているのが「仕組み化」の重要性。
一般的な事務作業等を仕組み化している方は多いのですが、これを「部下とのコミュニケーションでも行え」、と。
本書にあるように、手帳やパソコン上のスケジュール等を最適化し、部下とのコミュニケーションを密にできれば、確かに頼れるシマウマ型マネジャーになれそうです。
なお、巻末のコラムはご自身が外資でなくとも、外資系のビジネスパーソンと付き合いがあるのなら必読かとw
プレイングマネジャーなら読んでおきたい1冊!
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【編集後記】
◆実は本日、田島さんのご主人の本田直之さんもご本を出されています。まさに夫婦競演w
ご声援ありがとうございました!
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