2010年03月26日
【起業心得】「会社のつくり方」成毛 眞
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、元マイクロソフト株式会社社長として知られる、成毛 眞さんの起業本。先月初めに、堀江貴文さんのブログの売上ランキング(1月7位)で発見し、思わず買ってしまいましたw
装丁は日経文庫(一応新書です)らしく地味ですが、中身はしっかり「成毛さん風味」。
サブタイトルの『成毛流「起業心得」』は伊達じゃありません!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
社長とは何かを考えておく
失敗したときの心構え
二〇代で会社をつくる
三〇代で会社をつくる
四〇代で会社をつくる
五〇代以上で会社をつくる
事業計画をつくる
会社設立の準備をする
社員を雇う
資金を調達する
辞表を提出する
会社の初日
マーケティングは二日目から
最初の一カ月
最初の一年
創業して一年後
【ポイント】
■自分の理想とする経営者を目標とすることは危険自分がどのような経営者になりたいかという発想が会社を危険に晒すのです。逆に自分がつくった会社がどのような経営者を必要としているかということを考えてみるようにしてください。そして、そのような経営者になれるように努力することです。
■社長とは孤独な職業
たとえ最良のパートナーを持っても社長とは孤独な職業です。独立心が旺盛な人にしか社長という職業はお勧めできません。「自分を愛してくれる人はいなくていいけれど、誰からも嫌われたくない人」と「一人でも自分を愛してくれる人がいれば、それ以外の人から嫌われても我慢できる人」の2種類のタイプで分けると、後者が社長候補になります。
■責任感の強すぎる人は社長に向かない
利害関係者に対する誠意ある対応は、会社の取引実績として信用を高めるためにも不可欠です。しかし実際には、会社がうまくいかなくなってきたとき、問題を全て抱え込んで最悪の結果を招いてしまうのも、責任感が強すぎるタイプの社長なのです。
■自信のはかりかた
自信について一つ申し上げておきたいのですが、売上金額の大きさや大規模なプロジェクトに関わった経験は、自信を裏付ける指標としてはあまり当てにならない、ということです。過去の自分の実績が会社の「カネ」と「看板」があってこそのものであれば、まったく違う環境で同じ成果が挙げられるとは限らないからです。むしろ、どれだけ人の役に立ってきたか、という実感のほうが指標としてはよほど正確ではないでしょうか。
■ニッチ戦略でいこう
30代で起業するなら、自分が勤務している会社が所属している業界のニッチをねらうのが一つの手です。というのも、ニッチは現場に日々ふれあい、業界の将来への野望を持つ人だけに見えてくる市場だからです。つまり、30代こそ、ニッチ発見の一番近くにいる世代なのです。
■女性こそ起業すべき
男性の場合、「キャッシュフローよりも利益」に目を向ける傾向があるようです。(中略)
それに対し女性は、キャッシュフローに注視して仕事を進めている人が多いようなのです。儲かっているか否かよりも、手元資金が多いことを良しとする傾向が強い。あまりいい表現ではありませんが、経営が「丼勘定」なのです。そして、だからこそ会社をつくって成功する確率が高いのです。
■パートナーの探し方
私の経験では飲み仲間からパートナーを探し出しました。冗談に思われるかもしれませんが、事実なのです。私の会社では事実上3人いる副社長、それぞれ45歳、40歳、34歳ですが、人事の常道から外れたきっかけで会社に参加することになりました。
■「仕組み」にどれだけ時間を割いているかが重要
本当の意味で優秀な社長とは、名著『ビジョナリー・カンパニー』にもありますが、「時を告げるのではなく、時計を作る」ことが大事なのです。つまり、カリスマ経営もいいが、どうすれば会社が永続的に継続するか、ということを立ち上げ当初から真摯に考えている創業者のいる会社ほど、結果として優れた会社になると同書は述べています。自分が目立つだけでなく、社員が継続的に自社で働き続けるための「仕組み」にどれだけ時間を割いているか、が重要なのです。
■悪名も知名度
企業は生きているとか存在しているということをいかに知らせるかが重要なのです。企業だけでなく、社長についても同様です。重要なのは、自分がどんなにいい人かを相手に売り込むことではありません。自分が存在しているということを売り込むことのほうがはるかに難しく、かつ重要なのです。
【感想】
◆つい最近、起業に関して、いくつか面白いエントリーがあがっていました。若者に起業を勧める嘘つきな大人たち : ひろゆき@オープンSNS
どんだけマッチョじゃないと起業できないんだ、日本は。 - My Life in MIT Sloan
実は本書も買ったのは、冒頭で触れたように先月初めだったのですが、なまじ新しい本ではないので後回しにしていた所、これらエントリーに刺激されて、今般読んでみた次第です。
これら2つのエントリーは、外部要因というか、自分の「周り」のお話なんですけど、本書はモロに「内部要因」のお話。
自分がどうしたいのか、自分に「社長」が勤まるのか、胸に手を当てて考えながら読むべき1冊です。
◆その内容も、今まで当ブログでご紹介してきたどの起業本とも異なっており、かなり独特。
特に、テクニカルな話ではない「心構え」「考え方」の部分が異色と言えるのではないか、と。
表現はアレですが、「アフターファイブにお酒飲みながら、メンターに教えを乞う」といった感じ。
そう言えば成毛さん、先日、「突発Twitterオフ」告知されてましたっけw
Twitter / 成毛 眞: 明日の夜ヒマなんですが、都内でボクのフォロワーのオフ ...
きっとその場でも、こんな感じの語り口だったんじゃないでしょうか。
◆また、ハッとしたのが、第2章でいきなり「失敗したときの心構え」と題して、「会社のたたみ方」まで指導してくれているところ。
なるほど、「撤退ライン」まで意識した上で、参入しないといけないわけですね。険しい山に登るのならば、下山のルート確保は必須です。会社を始める前に、会社をたたむということについて整理しておきましょう。
もちろん、それ以降は「起業のいろは」がビッシリ。
続く3章〜6章における「年代別の起業法」のように、かなり細かい部分まで丁寧に解説して下さっています。
非常に読みやすい文章(成毛さんの書く文章は皆そう)と相まって、思わず「うんうん」とうなずきながら読んでしまいましたよ。
◆もちろん、本書が出てから4年超経ってますし、経済情勢も当時とは違います。
ただ、時が流れても変わらない「起業マインド」が本書には込められています。
起業する気のない人が、本書を読んで起業することはおそらくないでしょうけど、「起業を志している人」が、本書に背中を押されて、「一歩踏み出す」ことは十分あるかと。
やみくもに起業を推奨していない分、成毛さんの言葉には重みがありました。
起業を志すなら、一読を激オススメ!
成毛 眞 (4) |
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【編集後記】
◆私はまだ「アバター」を映画館で観てないんですが、早くも続編の予告が!……なんか違うw
ご声援ありがとうございました!
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確かに良い本だと思います。
コメントありがとうございます。
おっと、ベスト10の中の1冊ということは、かなり評価されてらっしゃるということですよね!
確かに私もこの本、未だ通用する良書だと感じました。
それにしても成毛さん、文章うまいわ…。