2010年03月20日
【コンサル流】「時間をかけない! 情報整理術」佐々木直彦
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【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、あの「プロデュース能力」の著者である、佐々木直彦さんの最新作。お読み頂いた方はご存知のように「プロデュース能力」は他に類を見ない作品でしたが、今回のテーマは巷に溢れる(?)「情報整理術」。
ただし、あの佐々木さんの書かれる本ですから、普通の情報整理術とは一味違います。
その秘訣は「成果を出しながら情報整理をやる」という方法にアリ!?

【目次】
はじめに
第1章 情報整理は、成果を出すプロセスのなかでやれ
1 「ホンモノの情報」の生みだし方
2 感情が情報整理に大切な二つの理由
3 「感情フィルター」の磨き方
第2章 収集整理術 ――大量の情報をミニマムに集約する方法とは
1 情報は一冊のノートにまとまらない
2 メディア別インプット法
3 最強の情報源「人」からの収集法
第3章 思考整理術 ――いかにして「自分の解」を創りだすか
1 「見返し」のマジック
2 コンセプトワークの思考法
第4章 伝達整理術 ――人を動かすアウトプットの方法とは
1 シンプル化の技法
2 ビジュアルの工夫は無限
3 「感動」が「行動」へのスイッチ
【ポイント】
■情報整理には2種類あるA/美しく機能的にストックする情報整理
B/思考を整理して行動につなげる情報整理
Aは情報整理の基本であり、捨て方、バックアップのとり方を含めて、たくさんの整理の達人がノウハウを提供してきました。(中略)
Bは問題を解決するため、何かを創造するために必要となる思考を見える化し、行動を促進する情報整理です。
情報を集めながら整理する。情報整理しながら思考する。そして思考によって生みだした新たな情報を行動を生かすために整理する。そうやって、未来のイメージをどんどんと具体的なものにし、現実に近づけていくという、いわば動態的な情報整理だといえます。
■「ホンモノの情報」だけに絞る
「ホンモノの情報」とは、その人だけが持っている情報、その人の感情と思考のフィルターを通して整理された情報。
その人だけがもっている情報チャンネルを通して入ってくる情報は「ホンモノの情報」になります。また、「フツウの情報」も、その人の感情と思考のフィルターを通して独自の整理をされれば「ホンモノの情報」になりえます。
■「整理する情報はミニマムに、触れる情報はマックスに」を実現する「感情フィルター」
情報に触れて「感じる」時間は、ごくわずかです。新聞でいえば、見出しを読む数秒。記事まで読んでも数分でしょう。その数秒、数分で自分にとって重要な情報かどうかを判断するためには「考える」ではなく「感じる」ことが大事になるのです。(中略)
「感情フィルター」に情報を通してみて、ビビッと何かを感じるかどうか。何も感じなければ、それは現段階ではとくに必要な情報ではないと判断して捨てます。
■4色ボールペンで本に書き込む理由
あとから読み返したときに、すぐにポイントとなる場所を探せるということが1つ。効率的に重要なポイントが頭に入ります。
もう1つは、その色や線、文字によって最初の読んだときの自分を再現できるということです。
線一つとっても、薄く引いているときもあれば、二度も三度も折り返して引いているときもあります。それだけでも、初読のときにどう感じたのかが伝わってきます。
■「まったく知識のない業界分野について短時間でトータルに知るとき」の本の選び方
1.概要と最低限の知識が理解できる入門書
2.見てわかるビジュアル本(たとえば時際の金型の写真や構造図)が多数掲載されている本
3.働く現場、働く人のことがわかる本
4.もっとも定番となっている本
5.最新の業界潮流がわかる本
■相手から「ホンモノの情報」を聞き出すための2つの方法
●仮説を話す
●人生の話を聞く仮説は、相手の感情フィルターをくすぐります。
仮説が、相手が日頃感じ考えていることに近ければ、「そうそう、そうなんだよ」という共感からブレーキが外れ、相手の話が始まります。
仮説が、相手の感じ考えていることと違えば、「何を的外れなことを言ってるんだ、こいつは!」という反感が芽生えます。
人生の話は、相手にとってあまり聞かれたことがない話です。だからこそ、じつは話したい人がおおいのです。
■情報が「タンスの肥やし」になっていないか
情報にも同じことがいえます。大切な情報だからといって、しまいこんでしまうと、その存在すらも忘れてしまうのです。
その存在を忘れないためには、あまり時間をおかずに何度も何度も「目にする」必要があります。
■「ひらめき」を生む「見返し」
「ひらめき」ですから、それは突然やってきます。(中略)
しかし、なぜひらめくかといえば、そのことが常に頭の片隅にあるから。
裏を返せば、常に無意識に意識している状態をつくっておくことができれば、「ひらめき」が生まれる可能性が高まります。ノートや手帳を何度も見返すことで、この状態をつくることができるのです。
■資料の正三角形を右に約30度傾ける
これで見た目は、不安定な三角形になります。と同時に、空間に浮いている幹事になったとおもいませんか。PDCサイクルのような回転系だと、実際に回っているような「動き」を感じることができるかもしれません。
【感想】
◆上記で挙げたポイントでもお分かりのように、本書のコンテンツは、従来の「情報整理」の枠組みからはみ出た(?)内容となっています。本書では、『「ホンモノの情報」を創りだす情報整理』には、次の3つの重要な行為がある、と指摘。
やはり、一般的な(ポイントの冒頭の「A」の)情報整理とはかなり異なっているかと。それは「収集」「思考」「伝達」の3つです。
(1)(収集)現場から情報を取り、自分の感情も重視して整理する
(2)(思考)自分自身で考えて、情報の意味をより深く整理する
(3)(伝達)強い伝達力をもった表現を創りだすために整理する
◆そしてキーワードとなっているのが、私は初めて聞いた「感情フィルター」。
「ビビッと何か感じるかどうか」という表現からは、むしろ「第1感」に近い印象が。
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参考記事:『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』 マルコム・グラッドウェル (著)(2006年03月01日)
この「感情フィルター」は「整理」ではなく「処理」に用いるようなのですが、それって今皆さんがTwitterでやっていることに近いのかも。
◆4章では、サブタイトルに「人を動かすアウトプットの方法とは」とあるように、プレゼンを意識した「資料作成」について述べられています。
今回、「情報整理」と言うにはちとどうかと思ったので、割愛してしまった小見出しをいくつかご紹介。
ビジョナリーにはじめ、ロジカルに終われ
肝心の中身は、論理と物語で整理しろ
「パステル系に転ばせる」とは?
メリハリは「つけない」から始める
プレゼン本とかお好きな方は、むしろこの章の方が響くかも。
◆佐々木さんは、今から十数年前には新聞五紙をとり、雑誌も三誌以上年間購読し、仕事に関連するテーマの記事を切り抜いて、スクラップブックを作成していたそうです。
ところが1年ほど経ってから気がついたのが、「使った記憶がほとんどない」ということ。
私も「いつ使うか分からない」ものの、捨てるに忍びない雑誌の特集記事をスキャンしていますが、「確かにまだ使ったことがない」です。情報は使ってナンボ。使わなければ、ただのゴミを集めているのと同じだということを、整然と並んだスクラップブックから、私はこのとき学びました。
こんなかつての佐々木さんや、私のような状態に陥っている人にとっては、本書は考え方を変えるきっかけとなるかも。
「情報は使ってナンボ」と思い知らされる1冊!
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『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』 マルコム・グラッドウェル (著)(2006年03月01日)
【編集後記】
◆かつて私がこのブログで、本の紹介マインドマップを描きまくっていた頃、主に使っていたのがフリーソフトの「FreeMind」。そのFreeMindを使った「仕事術本」が登場したようです。
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私も実は、未だに(iMindMapあるのに)使うことがありますw

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