2010年03月18日
【再びオススメ】「試験勉強の技術―東大・司法試験に一発合格」柴田孝之
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「東大法学部卒」「司法試験合格」というキャリアの柴田孝之先生の勉強本。本書は、以前ご紹介した「司法試験超人気講師が教える試験勉強の技術―あらゆる試験に強くなる82のヒント」の増補改訂バージョン、ということになっています。
参考記事:【オススメ!】「司法試験超人気講師が教える試験勉強の技術」柴田孝之(2008年11月10日)
確かに、ヒントの数が、「82⇒91」に増加。
さらに巻末には「Q&A集」を追加。
ページ数も「222ページから310ページ」に増量された力作です!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1部 これからの勉強法
試験勉強法とは何か
あなたは何をどう勉強すべきか
試験勉強の方法 ほか
第2部 試験勉強の技術
合格するための3つの力
知識の習得〜暗記の技術
知識の習得〜理解の技術 ほか
第3部 スクールの選び方と勉強の進め方
スクールの選び方
スクールでの勉強の進め方
第4部 勉強にくじけないために
柴田式自己コントロール法
付録 現役中高生500人に聞きました―「質問してみたいことは?」への回答
【ポイント】
■多くの勉強法の本の問題点試験勉強とは、試験で合格するため、必要な能力を合格レベルにまで引き上げる訓練です。具体的には、出題される科目について、出題可能性が高い知識を覚え、理論を理解した上で、出題が予想される問題に対応する訓練をすることが試験勉強となります。これに対し、勉強時間をいつやるかとか、試験勉強の時間の作り方などは、勉強をしやすくするためのTipsに過ぎません。
多くの勉強法の本は、試験勉強法とTipsを特に区別しないで、交互に述べられています。要するに情報の整理がされていないのです。
■もうできることは勉強しない
試験勉強をするには、自分が足りないものだけを鍛えなければなりません。いくら試験に出ることでも、自分に既に身についたことならば、繰り返し勉強しても、能力は上がりません。(中略)
以上から、試験勉強とは、(1)試験合格に要求された能力をまんべんなく身につけるため、(2)自分が身についていないことだけを勉強するという、両方の条件を満たしていなければならないことが分かります。
■試験には精神論も方法論も必要
努力はガソリンで、よい方法論は最新のエコカーです。ガソリンを入れないと、エコカーは全く走りません。一方で、ガソリンを燃費が悪く、性能も悪い車に入れても、ガソリンばかり使うだけで、全く遠くには行けません。
■スケジュールは時間制限の枠から
まず、スケジュールを立てるには、勉強量から決めてはなりません。そういうスケジュールはまずこなすことはできません。先に自分がどのくらいの勉強時間が取れるかから考えます。絶対に動かすことのできない、時間制限の枠を先に作るのです。(中略)
勉強時間は1日単位で考えてはいけません。たとえば、1週間で、24時間勉強するというように、1週間単位で考えます。
■速読法は試験直前に生きてくる
最も有効なのは、試験前に知識をおさらいすることです。試験直前ならば、出題科目の理解は進んでいるはずです。だから、理解力がネックとなって読み取る速度が落ちたりはしません。早く内容を読むことができた方が、全体を何度も複数することができます。速読を使わないときに比べ、断然有利になるわけです。
■暗記の真実
暗記をするための方法・工夫はたくさんあるように見えます。しかし、本当のところを言えば、誰もが実行できて、すぐにものが覚えられるような絶対的かつ革新的な方法はありません。(中略)
つまり知識を暗記するためには、手間がかかることは初めから分かっているのです。だから、正しい暗記をする姿勢としては、暗記を後回しにすることをやめるということになります。なるべく早く暗記をする作業に取りかかるべきです。
■理解とは知識と知識の関連性が分かったとき
よく理解も暗記することと同じだと言う人がいますが、それは誤りです。2つの知識を覚えただけでは理解したという気に人はなりません。(中略)
理解するというのは、知識と知識の間に関連性があることを実感する必要があります。こういう心の動きがあって初めて理解したといえるのです。
■合格するためには必要十分の実力をつけるつもりで
ラクラク試験に合格できるだけの力をつけるつもりで初めて確実に試験合格するものです。当日風邪を引いても眠れなくても、合格点が取れるような能力をつけなければならないと決心してください。
よく「試験の最後まで集中力が続きません。どうすればよいのでしょうか」という質問があります。集中力が続かないのなら、集中しなくても問題が解けるぐらい能力を高めてくださいということになります。
■必要な参考書を選ぶには質問を1つ用意する
まず、自分にとって、その時点で一番悩んでいる質問を1つ用意します。その上で書店に行き、質問の答えを参考書の中から探します。そのときに(1)索引などがついていて、分からないことが探しやすいか、(2)どの参考書が一番うまく自分の質問に答えているか、の2点をチェックします。また、質問を探す過程で本文の分かりやすさなどもあわせて検討するとなおよいでしょう。こうして自分で考えて使いやすい参考書を探すのです。
■勉強はつまらないもの
本書で推奨している試験勉強は、「教養」のための勉強とは違い、嫌でも能力を高めるためにしなければならない「強要」の勉強です。(中略)
勉強がつまらないと感じるのは恥ずかしくも何ともありません。
その代わり、勉強がつまらないのは勉強を怠る理由にもなりません。そんなことは分かった上で勉強を始めたはずです。勉強がつまらなく感じたら、当たり前だと簡単に考えてください。
【感想】
◆前作が出たのは2001年秋なのですが、冒頭で触れたように、当ブログでは2008年秋に前作をご紹介しています。その時もそれなりにお買い上げ頂いているので、本書との違いを簡単に。
まずは初っ端に「試験勉強法とは何か」という章が追加され、2001年から今までの「勉強本の流れ」を踏まえた上での、本書の位置づけが明確にされています。
私もよく「狭義の勉強本」(受験用)、「広義の勉強本」(その他一般用)という言い方をしているのですが、「試験合格のためか否か」というのは、結構大事なポイントだと思われ。
問題は、ある程度見栄えのいい経歴を持った著者が、「教養本」に近い本を書いたとしても、売る際には「何らかの試験に合格できる」ようなニュアンスに加工されていることかと。
◆たとえば、巻末の「Q&A」のところで、このようなものが。
なんと「身も蓋もない」お言葉wQ 勉強を好きになるには?
A こういう質問が出てくるのは、よく勉強法の本で、勉強は楽しいだとか、好きになれば勉強ができるようになるとかいうものがありますが、その影響でしょうか。確かに勉強を好きになれば、勉強がたくさんできて、成績も上がると思いがちです。
ただ、結論としては、勉強を好きになる必要がないというのが答えになります。このため、好きになる方法を説明するのは無意味です。
さらに回答の後半ではこんな発言も。
私も「税理士試験の勉強が好きになったことはなかった」ですし、この意見には同意。勉強法の本を書く人の中には、勉強が好きな人が多いといえます。そう言う人が、勉強を好きになれとか、無理なことを主張するから、読者は困ってしまいます。しかも、勉強が好きな人が取る勉強法は、勉強そのものが目的なので、特に効率的でもない。それでまた読者が惑わされると。そういう結果、出版された勉強法の本はたくさんあるようですので、受験生は注意をする必要があります。
結局、何らかの試験を受ける予定のない人は、どんな勉強本を読んでも問題ないのですが、「受験するなら読む勉強本に注意せよ」と言うことですね。
◆それ以外は章としての追加はなく、「ヒント」と呼ばれる小見出しレベルの単元が、従来の章に1〜3個程度追加。
また、元からある「ヒント」については、丸っきり以前と同じケースと、アップデートされているもの(例えば前作時は「エコカー」自体がなかったw)とがありますが、全体的にはそれほど変わってない感じです。
ただ、巻末の「Q&A」は、中高生からの質問とはいえ、意外とタメになる話が多々ありました(科目ごとの勉強法等は別として)。
とは言え、前作を持っている方が、この巻末のためだけに買い直すのが正解かどうかは、ちょっと微妙ですがw
◆そもそも本書は、「試験勉強の技術」という、ガチなテーマですから、「何となく勉強してみたい」という方には、オーバースペック。
逆に、「何らかの試験を受ける」という方なら、「オススメの内容」だと思います。
特に資格試験を受ける方なら、「専門学校との付き合い方」が勝敗を分けることもあるので、本書の第3部の「スクールの選び方と勉強の進め方」はマスト。
私ももうちょっと考えて、学校や先生を決めるべきだったと、今さら思ってみたり。←遅すぎ
真っ向勝負の「ハードコア」な勉強本です!
柴田 孝之 (2) |
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【編集後記】
◆今日の本と同じ、ダイヤモンド社さんの勉強本なのですが、なかなかリアル書店でチェックできないのがこちら。松原 一樹 (9) |
大学受験がメインの本みたいなので、ご紹介は難しいかもしれませんが。
ご声援ありがとうございました!
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