2010年03月17日
【脳力UP!】「脳力育成HACKS!」に学ぶ7つのポイント
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【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨年『HEALTH HACKS!』で、ビジネスパーソンの間に「健康本ブーム」を巻き起こした川田浩志先生の最新作、『ドクター由美の脳力育成HACKS!』。本書は「健康本」の延長にあるものの、前著と異なり、特に「脳」にフォーカスされているのが特徴です。
ただし、川田先生は医学博士だけあってこんなこだわりが。
本の作り自体は「読みやすい物語形式」なのに、美人ドクターの由美さんが、コテコテの「科学的脳力開発」を主人公にレクチャーしてくれるという、目からウロコの1冊。この際にいちばん大切なポイントとなったのが、エビデンス、つまり、しっかりとした科学的根拠のある脳力向上方法をチョイスするということでした。
今回は、この中から特にポイントを7つ選んでみました!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
はじめに ~脳は変わります
Chapter 1 プロローグ「脳は育てるもの」
Chapter 2 スタートライン「脳を知る」
遺伝は頭のデキを左右するのか?
あなたが自分の脳力を向上できる科学的根拠 ~脳の3つのポテンシャル~
Chapter 3 ホップ「脳を育てる準備をする」
脳に良い肥料を与える
脳の環境を整える
脳を上手に寝かせる
Chapter 4 ステップ「脳を育てる」
ソンな思考を軌道修正する
勉強脳を育てる
サビない脳にする
Part5 ジャンプ 「脳を活かす」
ストレスに勝つ
仕事を征する
幸せになる
Part6 エピローグ
あとがき
【ポイント】
★今回は引用のほとんどが、ドクター由美の発言部分になりますので、その旨ご了承下さい。■1.脳細胞は生涯にわたり新たに作り出される
◆かつては脳細胞は死滅することはあれど、再生することはない、と言われていました。
しかし最近になってそれが覆されたのだとか。
つまり、「自分次第で自分の新しい脳細胞を増やすことが可能」ということ。1980年代以降になって、成熟したトリやネズミの脳でも、新しい神経細胞が作り出されているがわかり、ついに20世紀の終わりになって、成人の脳の海馬という記憶に大変重要な場所でも、神経幹細胞から神経細胞が新たに作り出されていることが確かめられたのよ。
ただし、そのためには、脳に「良い環境」等を与える必要があります。
本書では、「栄養」「睡眠」「運動」等々の側面から言及しており、下記でも一部ご紹介していこうかと。
■2.脳は自分が望むように変えられる
◆脳の情報処理能力はシナプスが形成されるほど向上すると考えられています。
そして、シナプス形成は人それぞれ、脳の用いている部分で顕著に見られるそう。
私自身も、税理士試験の勉強中は、脳の特定の部分(おそらく文章を丸暗記する箇所)が発達していたヨカン。何も楽器の演奏だけじゃないわ。さまざまな職業に就いている人々が、それぞれの脳の変化を起こしていると考えられるわ。たとえば、タクシー運転手の海馬の形は、他の職業の人と違っているの。
もっとも今は、試験終了後のあまりの変わり具合に、病院に行こうと思ったくらい全くダメですがw
■3.脳科学ダイエット3か条
◆メタボは体だけの問題ではなく、脳内で活性酸素やフリーラジカルなどの、いわゆる酸化ストレスの発生を助長して神経を傷害すると考えられています。
そこで本書で提言されているのが「脳科学ダイエット3か条」。
ここだけ見ると「え?」となりますよね(私もなりました)?(1)規則正しく食べないこと
(2)みんなで食べないこと
(3)量より種類を多くしないこと
ネタバレ自重して、2番目の「みんなで食べないこと」だけご紹介しておくと、要はヒトは集団で食べると、つい食べ過ぎてしまうから。
…お昼は「一人でコンビニ飯」の漏れ大勝利?←違うwみんなで食べると、一人で食べるときよりも60%も食べる量が増えてしまうというショッキングな研究結果が報告されているわ。
■4.騒音対策で脳を守る
◆騒音は単にうるさいだけではなく、脳にかなり深刻なダメージを与える可能性があることがわかってきたのだそう。
実は我が家もムスメが生まれた当時は、バス通りに直に面していたのですが、その後かなり奥まったところに引越し、そのせいか、ムスメの夜泣きが治まった記憶が。たとえば飛行機の慢性的な騒音が、子どもの読解力や出来事に対する記憶力に影響を与えるという研究報告があるわ。(中略)
子どもだけでなく、大人の大脳聴覚野も障害されるという研究結果も最近報告されているわ。
本書では、集中したい時の対策として、ノイズリダクション機能付きヘッドフォンが紹介されていました。
■5.「眠りは脳のためにある」と知る
◆感覚的に、「寝ないと脳に悪影響がある」と納得はしておりますが、本書でもしっかり書かれていました。
一昨日、夕食後2時間仮眠をとって、明け方3時間しか寝てない漏れ涙目。現に睡眠不足になったり、深い眠りを妨げられて断続的な睡眠しかとれていなかったりすると、海馬での脳細胞の新生が低下することがわかっているの。
うーん、もうちょっとブログ短めにして、とっとと寝るべきのようですwそれから、眠りが深くなったときに現れるノンレム睡眠は、脳の可塑性を促進したり、記憶を強化したり、視覚野などの大脳皮質の発達に重要だということもわかっているわ
この辺は先日ご紹介した本もご参考に。
参考記事:【睡眠ハック】『脳に効く「睡眠学」』に学ぶ7つのポイント(2010年03月10日)
■6.気分不一致効果でネガティブな気分を断ち切る
◆ネガティブな気分や性格を変えるための「科学的根拠」のある方法は2つあり、そのうちの1つが「気分不一致効果」。
今度ネガティブになりそうになったら、「輝かしい日々」を思い出してみます(そんなのあったっけかw?)。たとえば、ネガティブな気分のときに、そういう自分の気分に気づいて、あえてポジティブ記憶を想起するようにしてみると、ネガティブ気分が緩和されるのよ。このことは科学的にも証明されていて、それを気分不一致効果っていうの。
■7.適度な有酸運動は脳に効く
◆基本的に有酸素運動は、生体にとっては有害である「フリーラジカル」を発生させます。
ただし、「適度の酸化ストレス」なら、それが発生することにより、かえって生体は脳内の抗酸化を増加させるのだそう。
かれこれ10年どころか20年近くまともな運動をしていない私の脳はどうなっていることやらwその結果、酸化ストレスの除去が通常よりも促進されるようになるっていうわけ。そのうえ、神経細胞の遺伝子修復酵素も増加させるわ。
さらに有酸素運動によって血管壁では一酸化窒素が発生するのだけど、これも適量であれば抗酸化的に作用するし、血流も増加させるので、トータルには脳細胞の機能維持にむしろ非常にプラスになる、というわけなのよ。
なお、本書の別のページでは、「運動がうつなどの気分障害の予防や軽減にも威力を発揮する」という記述もありました。
【感想】
◆簡単にまとめてしまいましたが、実は本書は付箋貼りまくり。物語形式ということで、あまりコンテンツを詰め込めないかと思いきや、「先生」と「生徒」という関係なので、無理なく多くのノウハウが収録されています。
その物語も、決して突拍子もない展開にはならず、主人公がドクター由美に研究室で習ったことを会社や自宅で実践して、徐々に効果が出てくる、という極めて自然な流れ。
川田先生にこんな才能があったとは(失礼)w
◆そのノウハウも、冒頭で触れたように、「エビデンスがあるもののみ」というこだわりがスゴイです。
そのことに関して、本書のあとがきには、こんな一節が。
具体的に「どれがどれ」、というのは以前読んだこの本でなんとなくわかったかもwいくら世界を股にかけて活躍されているような有名な方が、ご本人で試して効果があると言っている魅力的な脳トレの方法でも、私は決して試してきませんでした。それがどんなに素晴らしい人であっても、その人の個人的な経験や見解で良し悪しを判断された方法は、エビデンスとしては最も低いレベルのものしか持ち合わせていないと科学的には評価されるのです。巷にあふれている、さまざまな脳に関する書籍のうちの多くにも、同様の理由から手を出してきませんでした(もちろん素晴らしい書籍も、また多いのですが)。
森 健 (2) |
参考記事:【脳】「脳にいい本だけを読みなさい!」森 健(2010年02月25日)
そして本書の巻末には8ページに渡って、論文等参考資料の一覧が掲載されています(しかも非常に小さな字のw)。
◆また、「脳」と言えば、やはり「勉強法」。
本書では、今まで類書でも言及されていた「脳の仕組みに基づく勉強法」について、やはりエビデンスのあるもののみ収録しています。
例えば「五感を使って記憶する」というのも、専門用語では「分散記憶システム」といって、効果があるものだそう。
効果がある「理由」を知らなくても、今までやってきてはいましたが、いざこうして「理由」を説明してもらえると、今まで以上に効果が出てきそうです。←プラシーボwこの分散記憶システムをフル活用するほど、つまり、いろいろな情報を組み合わせて記憶するほどいいの。それぞれの情報に関わる脳の記憶部分がシナプスを形成し、互いに連絡を取り合って記憶を強固にするから。
◆本書は、現時点で明らかにされている脳の研究結果に基づいて書かれているため、「かっ飛んだテクニック」(「●聴で脳力アップ」等)が得られるわけではありません。
ただ、「正しい脳の仕組み」を知ることにより、それに沿った脳力開発を行うという意味では、むしろ「ナチュラル」なやり方だと思いますし、効果も期待できそう。
なお、ポイントでは挙げませんでしたが、「脳科学的」に見た「幸せになる方法」も必見です!
こんな時代だからこそ、本書で触れられたやり方で「幸せ」になりたいな、と(詳細は本書にてw)。
本気で脳力アップしたい方にオススメ!
【関連記事】
【健康】「HEALTH HACKS! ビジネスパーソンのためのサバイバル健康投資術」川田浩志(2009年02月14日)【脳】「脳にいい本だけを読みなさい!」森 健(2010年02月25日)
【脳科学】「最新脳科学で読み解く 脳のしくみ」サンドラ・アーモット,サム・ワン(2009年05月02日)
【脳】「記憶力をのばしたい!」キャスリン・ジェイコブソン・ミラン(2008年07月23日)
「脳が冴える15の習慣」築山 節(2006年11月18日)
「記憶力を強くする」 池谷裕二(著)(2005年03月15日)
【編集後記】
◆新たなマインドマップのオフィシャル本が登場。著者のうちのお一人は、私が勉強法を研究している過程でお知り合いになった松岡克政(まつかつ)さん。
今見たら、5年近く前にブログにコメントしてましたw
この本も当然要チェックで!
ご声援ありがとうございました!
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出遅れてしまいましたが、早速読んで脳を育成させたいと思います。ぜひ運動もご一緒に(笑)。
この本読んじゃうと、巷にあふれるエビデンス無しの脳の本を買うのに、ちょっと抵抗が出てきちゃいますw
今日も書店で面白そうな脳の本があったのに、スルーしてしまいますた。
そして運動に関しては、職場から自宅までたまに歩くのでご勘弁をー。
昨夜もバスが終わってたので、15分以上かけて歩いて帰りました。
ご紹介、ありがとうございました!
っていうか、お返事遅くなりました(笑)。
それにしてもすごい量の発信ですね。
恐れ入ります。
またどこかで接点が出来ることを楽しみにしています!
松岡克政(まつかつ)
こちらこそ、レスが遅くなってスイマセンでした(汗)。
発信量に関しては、引っ込みが付かなくなっている面もありまして(汗)。
徐々に短めにしようかと思ってるんですがw
また機会がありましたら!