2010年03月10日
【睡眠ハック】『脳に効く「睡眠学」』に学ぶ7つのポイント
脳に効く「睡眠学」 角川SSC新書
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、医学博士で日本睡眠学会理事でもある宮崎総一郎先生のご本、『脳に効く「睡眠学」』。当ブログでも以前、「4時間半熟睡法」や、週刊東洋経済の睡眠特集号が人気でしたから興味のある方も多いことと思います。
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本書は、これらに負けず劣らず「睡眠」に関するノウハウが満載!
章立てや内容を見ても「睡眠ハック」と呼びたい位の充実ぶりです。
そこで今回は本書の中から、興味深いポイントを7つご紹介してみようかと。
【目次】
序章 睡眠学の知恵とはなにか
第1章 ビジネスシーンで役立つ睡眠の知識
1.英会話や資格の勉強を頭に定着させる眠り方
2.徹夜作業では、30分でも眠った方がいい
3.出張やゴルフで朝早く起きるコツ ほか
第2章 日常生活を充実させる睡眠の知識
1.睡眠と健康のためには明るすぎる部屋は「×」
2.「電気毛布」など暖房器具を科学的に使いこなす
3.目がさえて眠れない夜を作らない生活術 ほか
第3章 7つの習慣が眠りの質を高める
1.「眠る時間」より「起きる時間」にこだわる
2.部屋のカーテンを10センチ開けて眠る
3.朝食と昼食を1日のスケジュールから外さない ほか
第4章 「眠りの病」に関する知識
レム睡眠行動障害
ナルコレプシー
睡眠時無呼吸症候群 ほか
終章 睡眠と社会
【ポイント】
■1.記憶は眠りを定着させるが、寝る時間も大事◆寝ることによる記憶の定着は、かつては「外部からの刺激が少ないから」と言われていましたが、近年になって記憶の消失を抑えるだけでなく、記憶を向上させる効果があることもわかってきました。
本書で紹介されているのが、「24個の単語の学習」を行い、「睡眠と記憶の関係」を調べた実験。
ちなみに、もっと遅い時間帯で同じ実験をしたところ、睡眠を取っても取らなくても、数値はほとんど変わりませんでした(具体的な数値等は本書をご参照のこと)。前半の実験では、24の単語を夜の10時15分から11時00分まで学習しました。どれくらい覚えているか記憶をチェックして、成績が基準の60%に達した時点で学習するのをやめました。そして3時間半後の午前2時にふたたびテストを行い、記憶がどれだけ伸びているかを調べました。「睡眠」と書かれている棒グラフは、学習してからふたたびテストを行う間、睡眠をとっていたグループで、「覚醒」は起きていたグループです。
睡眠をとったグループは記憶が32.4%も向上していました。
要は、「記憶に眠りは大事だけど、寝る時間も重要」ということのようです。
■2.完徹より、30分でも睡眠を
◆「成長ホルモン」は、子どもの成長のみならず、大人にとっては「傷ついた組織を回復させる疲労効果」をも持ちます。
そしてその分泌は「人が眠りに入った直後」の深い眠りに入った時間帯がピークなのだそう。
つまり、この「最初の眠り」が疲労回復には重要である、と。
お仕事内容によっては、明け方まで働かれている方もいらっしゃるとは思いますが、可能であれば、とにかく「少しでもいいから寝る」ようにして下さい。ですから、「今夜は少ししか眠れそうもないから、このまま朝まで起きていよう」と考えるのは間違いです。眠らなければ身体に大きな負担を残すことになります。たとえ少しの時間帯でも、眠れるのなら眠るべきなのです。
■3.日曜の午後の仮眠で、週明けにスッキリとした頭に
◆月曜の朝、なんとなく寝たりないのは、日曜の夜に寝るのが遅いから。
そしてそうなってしまうのも、週末の朝、いつもの時間に起きないため、睡眠リズムが崩れてしまっているからです。
そんな時頼りになるのが「日曜の午後の仮眠」。
私の場合、週末の朝は、子どもたちに叩き起こされるので、あまり関係ないのですがwもし、日曜の昼間に眠くなったら、午後2時〜4時の間に15分〜20分の軽い仮眠をとるのが良いでしょう。この時間帯は1日の体内リズムの中で軽い眠気が訪れる時間帯です。この軽い眠気を利用して脳をリフレッシュすれば、本格的な眠気が訪れる夜の時間までを快適に起きて過ごすことができるので、夜、睡眠に入りやすくなります。
なお、この「午後2時〜4時」というのは、「生体リズム」によって刻まれた眠気を生じる時間帯なので、夜勤や徹夜にそなえる仮眠を行う際にも適しているそうです。
■4.コーヒー等のカフェインは、眠りの「質」にも影響する
◆「眠気を覚ます」効果のあるカフェインは、当然のように眠りの質にまで影響を及ぼします。
本書に掲載された実験結果によると、「浅い眠りが増える」だけでなく、「深い眠りが訪れる回数が減っている」ことが明らかに。
ならばいつコーヒーを飲めばよいのか?
いくらなんでも夕方からアウトというのはちとキツイですね。身体が眠りの準備に入っていく夕方は、コーヒーを飲むことをひかえて、睡眠にそなえることが大切です。
カフェインには利尿作用もありますから、夜中にトイレに立つことにもつながってしまいます。
ちなみに、同じコーヒーでも、専門店のコーヒーは、家庭用インスタントコーヒーの倍近くカフェインを含有しているそうなので、夕食後のコーヒーを飲む際にはご留意を。
■5.明るすぎる部屋は「×」
◆人はメラトニンというホルモン物質が分泌されると眠くなり、そのメラトニンは光の刺激を受けていると分泌が抑制され、暗くなると分泌されます。
つまり、よく眠りたいなら、夜、あまり明るい光を浴びないことが大事。
また、その部屋の明かりも、白色の蛍光灯より、だいだい色の電球(白熱灯のことだと思われ)の方が、波長の関係からメラトニンの分泌には良いそう。本来、夜は暗いものでした。「晴れた日の満月の夜」でも、わずかに0.2ルクスしかありません。現代は夜があまりに明るくなりすぎたのです。
ちなみに、私が照度計で計測したところ、夜7時のスーパーマーケットで1800ルクス、夜11時のコンビニエンスストアで1600ルクスの明るさがありました。
メラトニンの分泌を活発にして、自然に睡眠に入っていくためには、まずは、明るすぎる夜の部屋を、少し暗くすることを心がけましょう。
まぁいくら部屋の明かりを暗くしても、寝る直前までパソコンやっていたら、ディスプレイの光が問題なんですが。←自分のことw
■6.夜に体温を上げない
◆冬山で遭難した人が眠気に襲われることからも分かるように、体温が下がると眠くなります。
逆に、夜に体温を上げてしまうと、寝付けない原因となる可能性大。
まずは「食事」。
眠くなる夜の時間帯には、生体リズムによって体温が下がり始めていますから、それまでに夕食を済ませておくことが理想です。夜遅くに食事をすると、せっかく下がり始めている体温を、もう1度上げてしまうことになり、眠ろうとする体のメカニズムを狂わせてしまうことになるからです。
◆そして意外なのが、「運動」。
食後の軽い運動程度なら心地よい疲労で睡眠にも良いのですが、遅い時間帯でのフィットネスジムは体温を上昇させるため、寝つきが悪くなるハメに。
夜に運動される方は、できるだけ早い時間帯(眠気が低い5〜8時が良い)になさってください。身体は疲れるかもしれませんが、ジムから帰宅してすぐにベッドに横たわったとしても、体温が下がって眠気が訪れるまでに時間がかかってしまい、眠り始める時間が遅くなってしまいます。
■7.部屋のカーテンを10センチ開けて眠る
◆ここで言うカーテンとは、遮光カーテンのこと。
実は遮光カーテンを使っている方の方が、寝起きが悪い人が多いのだそう。
これには、朝の光が関係しています。
そこで本書で提案されているのが、朝の光が届くように「カーテンを10センチでも開けて眠る」こと。目を閉じて眠っていても人は光を感じることができます。光の刺激が脳内に伝わると交感神経が刺激され、呼吸器系、循環器系、消化器系の臓器が動き始めて体温も上昇しはじめます。(中略)
光の刺激によって体が起きる準備を始めるため、心地良い目覚めが得られるのです。
実際、睡眠外来の患者さんの中でも、遮光カーテンをやめて、睡眠が改善された人もいるのだとか。
私は逆に、受験生時代に「光が入ってくるから睡眠が浅い」のだと思って、遮光カーテン(それも一番光を通さない1級)を使い続けていたのですが、それが逆にいけなかったのかも!?
◆なお、カーテンを開けて眠ることができない住環境の場合は、「タイマーをセットして、徐々に明るくなる照明器具を使うとよい」そう。
本書内では具体的な商品名は挙げられていませんが、こんなのですね。
サンライズクロック (2) |
バイオブライト (4) |
【感想】
◆「睡眠ハック」とばかりに、ノウハウ系のポイントばかり紹介しましたが、本書は「睡眠不足のもたらす問題点」についても言及しています。たとえば「心臓病」。
夜勤等を含む「交代勤務」は、就寝時間が不規則になり、良い睡眠が取れないのですが、「交代勤務」と「心臓病リスク」との間には、その期間が長いほど因果関係があることがわかっているそう。
さらに、「睡眠不足は糖尿病とも深い関係がある」という指摘もアリ。
…と、今この記事の下書きを真夜中に書いている自分としても、何とかしなければいかんと思った次第。
◆また本書は、ただ単に「睡眠に関する知識を羅列」しているのではなく、目次の大見出しを見ても分かるように、「想定読者に必要と思われるコンテンツを列挙」しているのが特徴かと。
第1章は「ビジネスシーンで役立つ睡眠の知識」であり、それに続く小見出しも、目次の3項目以外では
『5.徹夜作業や夜勤で眠くならないための昼寝術』
『7.就寝前の飲酒は「寝つき」は良いが「寝ざめ」は悪い』
『9.朝、すっきりと目覚めるアラーム時刻の設定法』
と言った興味深いものが並びます。
第2章の「日常生活を充実させる睡眠の知識」でも、上記で挙げなかったものとして
『2.「電気毛布」など暖房寝具を科学的に使いこなす』
『4.深い眠りを作り出す食事術』
なんて、目次を立ち読みしたら、そこから開きたくなるような面白ネタがあるワケでして。
まぁ、この辺りが気になる方は、本書を実際にご覧いただければ幸いです。
◆同様に、第3章の「7つの習慣が眠りの質を高める」からは、2番目の「部屋のカーテンを10センチ開けて眠る」というのをご紹介しましたが、それ以外については本書にて。
「7つの習慣」といったフレーズもそうですが、この3章までは、非常に「ビジネス書」というか、「自己啓発系」の本を意識したような作りなので、当ブログの読者さんにとっては「ツボ」だと思います。
逆に4章は、ページ数は少ないものの、ちょっと難しめの「眠りの病」のお話が。
それまでの部分とはテイストが違うので、ひょっとしたら、宮崎先生のお得意な分野はこの辺なのかもしれません。
◆という訳で。
本書は、新書の割には(?)図やグラフも多く、読みやすかったです。
さらには、上記で触れたように「ビジネス書仕様」なのも有難い限り。
テーマ的に、類書とコンテンツが被るのはしょうがないので、むしろこうした切り口で書かれた健康本なら、ビジネスパーソンとも親和性が高いハズ。
タイトルは地味ですが、意外な掘り出しモノだったかと。
「質の良い睡眠」を取りたい方にオススメ!
【関連記事】
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【健康】「HEALTH HACKS! ビジネスパーソンのためのサバイバル健康投資術」川田浩志(2009年02月14日)
【編集後記】
◆昨日予約本の記事でご紹介した柴田先生の本に、書影が入りました。いよいよ発売ですね!
ご声援ありがとうございました!
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5時半にセットしてますけど、
4時台か5時に目覚めることが多いです。笑
ときどきですが、
ライトが明るくなっていくタイミングで、
朝日が昇ってくるような感覚の夢を見ながら目覚めることがあります。そういうときが一番すっきり起きれているような気がします。
コメントありがとうございます。
おぉ!グッドスリープライトお使いですか!
…って、あれ?そんなに早く目覚めるということは、光が関係ないような(汗)?
でも、その「ときどき」のタイミングこそが、きっと太古の人類が毎日味わっていたことなんでしょうね、きっと。
ヨメが許してくれたら、ウチでも買いたいです!
はじめまして。
コメントありがとうございます。
私自身は、資格試験の受験生時代に短時間睡眠に挑戦して打ち破れたのですが(笑)、今現在、連続して4時間半寝られることは滅多にありません。
昼寝等合わせても、1日5時間ちょっとなので、かえって今の方が短時間睡眠の気がw