2010年03月08日
【プレゼン】「世界最強のプレゼン術」ジェリー・ワイズマン
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【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、久々のプレゼン本。装丁はちょっと煽り系なので、引いちゃいましたが、中身は正攻法なのでご安心をw
アマゾンの内容紹介から。
その分析ですが、文章だけでなく特設サイト(要パスワード)で、実際にその動画を閲覧できるのが大きな特徴となっています。「ストーリー作りのための7つのステップ」「聞き手に感情移入させる方法」「効果的なプレゼンツール」など、アメリカの企業家が必ず学ぶプレゼン術を、世界最強のスピーキング・コーチがやさしく解説!「歴史に残る名演説」の動画分析は必見。
今回は、ポイントとして7つ選んでみましたので、ご覧下さいマセ。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
■日本語版への序文
パワー・プレゼンターへの道
■イントロダクション
■プレゼンテーションでIPOの価値が決まる
■第1章 身ぶりは言葉より語る
■第2章 聞き手に感情移入してもらうには
■第3章 なぜ緊張してしまうのか
■第4章 ストーリーを七つのステップで準備する
■第5章 あなたもパワー・プレゼンターになれる。カリスマ性はいらない
■第6章 プレゼンテーションを心理的にコントロールする。緊張をほぐそう
■第7章 ボディランゲージの活用法
■第8章 話のリズムをコントロールする
■第9章 名プレゼンターのテクニック
■第10章 バラク・オバマから学ぶ
■第11章 視覚のシンクロ効果
■第12章 Graphics and Narrative スライドを言葉でナビゲーションする
■第13章 パワー・プレゼンテーション・ピラミッド
■第14章 終わりに。最後は最初で締めくくる
【ポイント】
■1.声に出して練習する◆プレゼンは、事前にリハーサルを行うのは当然として、その際大事なのが「本番と同じように大きな声を出して練習する」こと。
なお、「声を出せ」とは言っているものの、これは「丸暗記をせよ」と言っているワケではないことに注意。しかし、プレセンターやスピーカーは声に出して練習するのをなぜか渋る。退屈だとかつまらないとか、時間の無駄だと思いこみ、最も効果的なテクニックの1つを、最も活用されないテクニックの1つにしてしまうのだ。プレゼンテーションの内容をコントロールする絶好の機会を失ってしまうのだ。
要は、「話の流れを身につける」のが目的のよう。実のところ、丸暗記は逆効果だ。覚えたはずの言葉がもし出てこなかったら、プレゼンテーションはバラバラになってしまうだろう。
■2.自分について考えるのではなく、相手がどう思うか考える
◆プレゼンをする人は、通常、「聴衆が私を見ている」「注目されている」「うまくやらなくちゃ」と考えており、こういった意識は聴衆の面前で話す恐怖心をあおるだけになってしまいます。
そこで、この自意識にブレーキをかけるためには「意識を変える必要」が。
本書の中では、この「あなたのことを考える」というのは、何度も強調されているので、是非とも身につけたいところです。自分について考えるのではなく、「皆さんがどう思うか」と考えるように意識を変えよう。聴衆はどんな反応をしているだろうかと。視点を自分から聞き手に移そう。この転換によって、あなたの不安は和らぎ、プレゼンテーションやスピーチの効果が高まるのは確実だ。これがプレゼンテーションを心理的にコントロールするエッセンスだ。
■3.「アイコンタクト」ではなく「アイ・コネクト」する
◆プレゼンの最中、聴衆の誰かとアイコンタクトをする、というTIPSを読んだ記憶がありますが、本書で提言されているのは、「アイ・コネクト」。
具体的なやり方は、「聴衆の一人から他の誰かに視線を移し、移した人と目線があったらうなずく」というもの。あなたが誰かと会話をする時は、その人があなたを認識し反応を返したと感じるまで、その人を見続けよう。つながりを感じ、つながる瞬間を感じ、その人の目をまっすぐに見る。そして、誠意のつながりを築こう。
おそらく、目線があった聴衆もつられてうなずくかと。
■4.手を差し伸べる
◆日本人にはなかなかできないテクニックかも。
これはプレゼンターにとっては、心地よくないかもしれませんが、逆に聴衆から見れば、安心しているように見えるのだそう。ジェスチャーの中に手を差し伸べることを加えよう。ある時は左手を差し伸べ、ある時は右手を差し伸べる。たまには両手を差し伸べる。時には「このように収益が上がっていくのです」と言いながら手で上を指し、「このようにコストを削減していくのです」と言いながら下を指す。腕を大きく広げながら、「これは世界的なチャンスです」と言い、数えあげながら指を鳴らす。
また、手を聴衆の方に差し出すと、その動きで胸が張り、肺に空気が入ることによって、呼吸が活発になり、声に活気が出るという利点もあります。
とはいえ、この手のアクションは、自然にできるようになるにはかなり練習や経験が必要な予感。
■5.フレーズの合間に間合いを入れる
◆間合いを取ることの利点は、本書では10個も上げられていますので、そこからいくつかご紹介。
・プレゼンターに考える余裕ができる
・聴衆が話の内容を消化する
・「えー」といった不要な言葉がなくなる
・知覚神経の負荷過剰を抑える
・話のテンポをコントロールする
この中でも特に、「えー」と言うのは、プレゼンではご法度なのだとか。
その点、間合いを作って息を吸えば、「えー」と言わないで済むので、それだけでも間合いを取る価値があるかと。プレゼンテーションで、「えー」や「あー」は絶対に言ってはいけない。プレゼンテーション業界では、こうした言葉は憎むべき罪のように扱われる。
■6.スライドは読み上げずに、タイトルのキーワードを言い換える
◆結構スライドを読み上げるスピーチやプレゼンは多いと思うのですが、これもバッサリ。
ならばどうするか?聴衆は「自分で読めるのに」、「時間の無駄だ」と苛立つに決まっている。(中略)
また、スライドを読み上げるのは、杖を必要としていると言うのと同じだ。準備を十分にしていないか、スライドの内容を把握していないという印象を与える。
要は、「そのまま読むことだけは避けねばならない」ようです。その代わりにスライドのタイトルのキーワードを言い換え、類義語を使い、言葉を並列しよう。聞き手はたやすくその言い換えを受け入れる。それから(棒グラフや円グラフや箇条書きについて)、他の言葉をプラスしよう。
■7.スクリーンは左手側に置く
◆プレゼンのツールについてもいくつかアドバイスがありましたが、これだけは一応挙げておきたく。
本書では、アル・ゴアと、ロス・ペローのテレビ討論において、ゴアのグラフボードが左手側にあることを指摘。世界の多くの人たちは文字を左から右に読む。左手側にスクリーンを置いてプレゼンテーションをすると、聴衆はあなたを見てから新しいスライドへと視線を移す。よく慣れていて快適に感じる動きだ。(中略)
スクリーンが左手側にあれば、ジャスチャーをしたり聴衆に手を差し伸べたりする時には右手を主に使い、握手の仕草もできる。スクリーンを指す時には左手を使うことができる。
グラフボードがこのように置かれたのは偶然ではない。番組の最初でラリー・キングが討論のルールを説明している。
副大統領は正しい場所を選び、「無駄を省けば効果的に伝わる」という原則で作ったグラフボードを、より読みやすく示すことができた。誰がどちらに座るかをコインを投げて決めました。副大統領が勝ち、内側に座ることを選びました。
なるほど、そこまで考えて席取りまでするのがかの国なのですな。
【感想】
◆話をわかりやすくするために、すぐ上の画像は、冒頭で触れた特設サイトから持ってきました。同じもの(この討論会を放送した「ラリー・キング・ライブ」)がYouTubeにもあるのですが、ファイルが8つに分かれていて、探すのがまんどくさかったという。
実際、本書で取り上げたスピーチ等は、有名なものが多いので、探せばYouTubeにあると思います。
ただ、特設サイトですと、必要なものだけこんな風にサムネイルで表示してくれているので、快適なんですよねw
◆上記ポイントでは、全体的なテクニック等について言及していますが、本書の9章、10章では、名プレゼンター達のテクニックを分析。
9章に登場するのは、レーガン大統領、ウィンストン・チャーチル、マーティン・ルーサー・キング牧師等々。
そして10章ではバラク・オバマ現大統領だけにフォーカスしています。
ちなみに、私は不勉強だったので知りませんでしたが、オバマ大統領のスピーチは、レーガン氏の影響を強く受けているのだそう。
実際、本書を通じても、レーガン氏が最も多く取り上げられていました。
◆さて、そのレーガン氏の演説で本書(並びに特設サイト)で取り上げられているものの1つが、1988年8月15日の共和党全国大会でのもの。
大統領のバトンを後継者の副大統領のジョージ・H・W・ブッシュに渡した時の演説です。
特設サイトの動画は使えないので、YouTubeから持ってまいりましたw
えらい長いんで、本書でフォーカスしている部分に飛んでもらうとして。
YouTube - Republican National Convention: President Reagan's Address at the RNC - 8/15/88
35分40秒あたりで、ちょっとした間を置くんですよ。
いやー、さすが役者ですなー(こまかい分析は本書参照のこと)wここでレーガンが話を区切り、目をしばたたかせ、口をきゅっと結んだ。それが劇的な効果を生んだ。そして、彼はふっと口をあけ、例のごとく明るく笑った。
◆また、本書の特徴の1つが「ダメな演説の例」も取り上げられているところかと。
上記のロス・ペロー氏のプレゼンも「イカン」ところがいくつもあるのですが、そういう点も具体的に挙げ連ねているのがスゴイです。
あのオバマ大統領でさえ、大統領候補時代に1度ダメな演説(討論)をして、マケイン氏に差を詰められたことがある、というのはちょっと意外でした。
もっともオバマ大統領も、元クラスメートの話によると、「雄弁に話す才能は、明らかに政治家になってから身につけたもの」なのだそう。
そう、本書曰く、「オバマ大統領の熱狂的な反応を呼び起こした数々の振る舞いは、私たちにも身につけることができる」のだとか。
名演説をかましたいなら(?)、必読!
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【編集後記】
◆ウチではご紹介できなさそうですが、面白そうなんで読んでみたい1冊。これまたアマゾンでの評価がすこぶる高いんですよね…。
ご声援ありがとうございました!
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