2010年02月25日
【脳】「脳にいい本だけを読みなさい!」森 健
脳にいい本だけを読みなさい!― 「脳の本」数千冊の結論 (Kobunsha Business)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、文字通り『「脳の本」のガイドブック』。大ヒットを記録した「脳を活かす勉強法」を初めとして、「脳」とタイトルに入った本を著者の森さんが検証した結果が凝縮された1冊です。
アマゾンの内容紹介から。
当ブログでご紹介した本も多数登場しておりました!もう迷わない、脳本カオスの道案内!----なぜこんなに多くの「脳の本」が出ているのか? これら「脳の本」の中身は科学的な内容が担保されたものか? そんな疑問から、気鋭の著者が店頭にあふれる「脳の本」を買い集め、各方面を取材し、考察して書き上げた「脳の本」の決定版。登場する「脳の本」の著者80人以上、「知っておくべき『脳の本』101冊」の書評を収録。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
■第1章:さながら「脳の本」まつり
■第2章:「脳の本」の歴史と経緯
■第3章:あふれる「脳の本」の中身
■第4章:いきすぎた「脳の本」への警鐘
■第5章:「脳の本」とどうつきあうべきか
【ポイント】
■1990年代初期までの「脳の本」は教科書的な内容が中心だった「脳」と名のつく本の発行数も年間150冊未満であり、多くは医学書や専門書だった。脳に興味を持つ一般人はさほど多くなかった。
■流れを変えた『脳内革命』
同書の売れ行きは大変なもので、記録にしてじつに410万部。(中略)
この本が読者の心をがっちりと捉えた勘所は一言で代弁できる。
物事を前向きに明るく考えれば、よい人生になりますよ、という話だ。当たり前と言えば当たり前の処世訓だが、その拠って立つところが脳という医学的なスタンスだったため、当時としては非常に斬新に受け取られたのである。
■評価の高い池谷裕二氏
特筆すべきは、池谷氏の著作については同じ研究者の間でも非常に評価が高いということだ。
たとえば今回の取材でも、理化学研究所のある研究者が「普段の研究活動がありながら、よくあれだけの(質の高い)本が出せていると感心する」と手放しで讃えていた。
■「茂木さんが伝える」ことに意味がある本
脳科学への言及を期待し、脳科学者としての実績からつくられた本というより、茂木健一郎という才能豊かなキャラクターをあてこんでつくられた。そんな本が多いのだ。厳しい言い方をすれば、ただ「テレビに出ている脳の文化人」という枠組みでつくられた本。
■タイトルに「脳」と付いている翻訳本にも、脳とは関係ない作品も
翻訳書の原題を見ると、さらにそれは明白で、『「デキる人」の脳』の原題は『The Secret Code Of Success』(成功への秘密コード)、『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』の原題は『Happy For No Reason』(幸せに理由なんていらない)、『億万長者脳』の原題は『I Can Make You Rich』(儲けさせてあげよう)。もともと脳とはまったく関係のないものばかりだった。
■「確信犯」?苫米地英人氏
「実際、ビジネス啓発という分野の書籍は、読者にとって実用的に役立ってなんぼのものなのね。だから、そこはビジネスとして確信犯で書いている。僕の読者もそれはわかってくれていると思う」(苫米地英人氏談)
■「脳の本」の5つのタイプ
●脳化学系
●生き方・自己啓発系
●タイトル系
●体験系
●疑似科学系
(詳細は本書を)
■川島隆太氏の「脳トレ」の問題点
簡潔にまとめよう。高齢者の認知症改善プログラムとしての「読み書き計算」はある程度効果があるとひとまず言ってよいとしよう。だが、健常な大人や子どもが書籍やゲームの「脳トレ」をやることで、果たして「脳は鍛えられる」のか。
■「脳」の何がわかっていて何がわかっていないのかを確認したい向きに適した本『つぎはぎだらけの脳と心』
認知科学や心理学系の研究者と異なり、基本的に神経科学の立場で見ているため、議論がほとんど客観性に基づいており、明晰に読める(おまけに著者の遊び心も随所に垣間見える)。
【感想】
◆結構ブログでも「脳の本」をご紹介してきた私にとっては、興味深い内容でした。特に昨今は「脳の本」はブームであり、何でもかんでも「脳」と付ければいい、的な風潮を感じてらした方も多いと思います。
上記ポイントでも挙げたように、翻訳本の元ネタは「全然脳とは関係ないタイトル」だったりしますしw
他にも単なる「処世訓」と「脳ネタ」とどこが違うの?という指摘も「確かにw」。
自分自身、「勉強本」も好きな関係上、「脳ネタ」というのは、一種の「お墨付き」のように感じている部分もありました。
◆本書の中で特にページを割いて扱われているのが、川島隆太氏と茂木健一郎氏のお二人。
詳しくは本書を読んで頂くとして、お二人とも「功」「罪」両方ともあるのだな、と改めて納得。
といいつつも、私自身は実はお二人とも「全然作品を読んだことがない」(「脳トレ」もしたことがない)ので、コメントしにくかったりします。
特に茂木センセイの作品は、むしろ本書を読んで「表現力」とか「自分の言葉への落とし込み」が気になっているというw
いくら「脳」を謳っていたとしても、凡庸な才能ではあそこまでは売れません罠。
◆また、本書の読みどころの一つが、各ページ下部に掲載された『知っておきべき「脳の本」101冊リスト』です。
脳に関する本について、それぞれ130字ほどにコンパクトにまとまっており、お買い物の際には非常に参考になること必至。
ただし、「知っておくべき」本であって、必ずしも「買うべき本」ではないのでご注意をw
知っている作品が結構ありましたが、中には全くのノーマークだったスゴ本らしきものもあり、お買い物リストに入れときました。
「脳の本」を3冊以上買ったことのある方なら、正直この部分だけでも、本書を買う価値があると思われ。
◆本書を読んで思ったのが、色々な立場の方がいて、色々な考えがあるのだな、ということ(ある意味当たり前ですが)。
脳科学者という立場の方からしてみたら、昨今の量産される脳の本のブームに一言言っておきたいこともあるでしょうし、苫米地先生のように、専門家なのに確信犯の方もおられます。
一方でビジネス書・実用書好きの読者(含む"私"w)の方のように、「役に立てばいい」という方も当然います。
本書の「おわりに」に、著者の森さんのこんな言葉がありました。
本書を読んで、自分なりのスタンスを確立しておきたいものです。たしかになかには、いい加減な「脳の本」もあるだろう。エセ科学もあるかもしれない。だが、その真贋を見極める知性を涵養しているのもまた、私たち読者の脳なのだ。
「脳の本」を買う前に、まずチェックしておきたい1冊!
脳にいい本だけを読みなさい!― 「脳の本」数千冊の結論 (Kobunsha Business)
【関連記事&書籍】
◆当ブログで過去ご紹介した「脳の本」の一部とその記事を列挙しておきます。それにしてもこれでも「一部」ですからね〜。
ノア・セント・ジョン, 本田 直之 (6) |
参考記事:【本田式】『「デキる人」の脳』ノア・セント・ジョン (著), 本田 直之 (翻訳)(2009年07月15日)
神田 昌典 (77) |
参考記事:【スゴ本】「全脳思考」神田昌典(2009年06月17日)
参考記事:【脳科学】「最新脳科学で読み解く 脳のしくみ」サンドラ・アーモット,サム・ワン(2009年05月02日)
参考記事:【脳】「記憶力をのばしたい!」キャスリン・ジェイコブソン・ミラン(2008年07月23日)
参考記事:【実践!】「脳が教える! 1つの習慣」ロバート・マウラー(著),本田直之(監修)(2008年07月06日)
林 成之 (26) |
参考記事:【スポーツ脳】「<勝負脳>の鍛え方 」林 成之(2007年10月19日)
築山 節 (123) |
参考記事:「脳が冴える15の習慣」築山 節(2006年11月18日)
池谷 裕二 (81) |
参考記事:「記憶力を強くする」 池谷裕二(著)(2005年03月15日)
【編集後記】
◆ちょっと気になる本。ビジネス人生論 なぜ、泣ける男は成功できるのか?
「涙は心の汗だ!」というのは、ある一定年齢以上のオサーンじゃないとわからないかもw
ご声援ありがとうございました!
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コメントありがとうございます。
お仕事の関係上、きっとお役にたつと思いますよ!
今後ともよろしくお願いします。