スポンサーリンク

       

2010年02月20日

【生産性UP】野村総合研究所に学ぶ「紙をなくすためのコツ」6つ




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、野村総合研究所(NRI)が2005年から2008年にかけて行った業務改善の記録を記した本、「野村総合研究所はこうして紙を無くした! 」

オフィスレイアウト等の「オフィス改善」に関するお話もあるものの、やはり気になるのは、タイトルにもある「オフィスから紙をなくす」ことでしょう。

そこで今回は、その部分にフォーカスして、ポイントを6つご紹介してみます。

本書を読んで、昨日さっそくファイル数冊分処分してみましたよw ←簡単に影響受け杉


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!





【本書が参考になる人】

◆本書の「はじめに」の最後に「少なくとも、つぎのような点に心当たりのあるオフィスであれば、きっと何かの参考になるはずだ」とあったので、ご紹介しておきます。

1.自分の机の上に、ここ1週間以内に使用していない書類がある。
2.地震がきても、机の足元に隠れることができない。
3.周囲を見回すと、紙の山がある。
4.オフィスの壁には必ずキャビネットが置かれている。
5.業務文書を捨てる基準が明確でない、気軽に捨てる環境がない。
6.机の島に必ずプリンターがある。
7.会議の資料準備に5分以上かかる。
8.同じ会議の参加者が各自同じ資料を持っている。
9.個人が自分のパーソナルコンピュータにファイルを保存している。
10.オフィスの環境改善をしたいと思っているが、抵抗勢力がいる。


…ひとつも当てはまらないオフィスなんてないような???


【目次】

第一章 どうすれば紙を減らしていけるのか

 紙がオフィスに溢れる理由
 気がつけば年間一億枚を超えていた
 単なるペーパーレスだけでは解決しない

第二章 ノンペーパーは仕事場の何を変えていくのか

 ノンペーパーでワークスタイルを変える
 ファイルメーターを用いた目に見える改善
 フリーアドレスではなくフリーレイアウト/

第三章 ノンぺーパー推進Tips

 ノンペーパー推進活動の実際
 誰でもできるオフィスのファイルメーター調査
 紙を劇的に減らすには紙を置く場所を決める

【特別インタビュー】
目指したのはNRI流業務改革
藤沼彰久(株式会社野村総合研究所 代表取締役会長兼社長)

第四章 情報共有化のためのIT活用

 ノンペーパーからワークスタイルイノベーションへ
 人と人を結びつけるIT技術への取り組み──SNS
 人と人とを結び付けるIT技術への取り組み──『ちえのわ』

第五章 推進組織の作り方

 つながりがワークスタイルイノベーション生み出す
 競争意識の醸成が成功のカギ
 問題意識をつなげることの重要性


【ポイント】

■1.どんぶりで紙の補充をしない

◆そもそもNRIでは、取引先の業者が直接在庫の減り具合を見て、キャビネに紙を納品していたのだそう。

それをやめて、代わりに各現場の担当者が必要な量を発注窓口に申告するように変更。

これは、もちろん現場に適正在庫を行ってほしいという考えと同時に、取引先が勝手に在庫を積み増すことや納品のために自由に出入りする慣習もやめさせるという、オフィスセキュリティからの考えでもあった。

自動納品であれば、「在庫切れ」という事態は免れることができるものの、「どれくらい紙を使っているのか」という現状把握すら難しいです。

やがてこうした管理により、NRIが年間1億枚を超える紙購入者であることがわかり、逆に大量一括発注をすることにより、価格交渉もできるようになったのだとか。

「自動納品」なんて、よほど大きなところでないとやってないとは思いますが、とにかく「紙を入り口(仕入)で抑える」のは大事かと。


■2.まずはキャビネに入っている紙を仕分けする

◆今流行りの(?)「仕分け」ですw

まずは「必要に応じてすぐに閲覧する資料」

これは顧客や社内外から問い合わせがあった際に、「現物が必要なもの」であり、こういった資料は手元に残さざるを得ません。

次に「翌日対応で間に合うもの」

これは、「遠隔地の倉庫に保管」します。

この時点でオフィスの紙は、かなり減ったハズ。


◆また、「プロジェクト共用資料」のようなものは、プロジェクトとしての共用キャビネットを用意して、各人が同じ資料を保有しないよう留意します。

同じように、個人の蔵書も共用の会議室の本棚に置くことにより、NRIでは各人の専門分野や興味の領域をお互いに知るようになったそう。

紙を減らす作業の過程で、「情報の共有化」という副産物が生まれたわけですね。


■3.電子データ化はシンプルに

◆段ボールで溜め込んだような資料を、スキャンして電子データにする際に、NRIではこうしていました。

箱の中の紙資料やファイルの束をまるごと取り込んで、大まかにタイトルをつける。そして、箱ごとにフォルダをつくっておくのである。

確かに一つひとつにタイトルを付けたりする手間を考えれば、この方法はかなりシンプルです。

もちろん、その段ボールの持ち主でないと、何がどこにあるのか等はわかりませんけど、そもそもこうした形で電子データ化したものの多くは、実際に使うことはほとんどないのが普通。

「万が一の保険」としてスキャンするなら、これでも十分ですね。


■4.ホチキスやクリップ止めしてあっても廃棄できる仕組みを作る

◆セキュリティの問題から、シュレッダーを使われている方は多いと思いますが、大量の紙を処理するのは、結構時間がかかるもの。

また、書類がホチキスやクリップで止まっていると、それらを外すのがまた手間だったりします。

そこでNRIではこうしました。

 鍵のかかるポストを設置し、その中身は産業廃棄物として1回で熱処理される仕組みを、ビル管理会社の協力を得て作ったのである。(中略)
多少のホチキスやクリップなどが残っていても問題なく炉で処理できるため、シュレッダーに比べても、はるかに簡便に捨てることができるようになった。


◆当時と違って、現在はこの手のサービスは普通に提供されています。

私が吉澤さんに教えてもらって利用しているのがコチラ。

<クロネコヤマト 機密文書リサイクルサービス>



段ボールが一杯になったら連絡して、処分してもらうだけなので、簡単です。


■5.「誰がどれくらい紙を使ったか」を明らかにする

◆どんどん紙を捨てても、その先からプリントアウトしていては意味がありません。

そこでNRIでは、誰がどのくらい紙を使ったかがわかる認証システムのある複合機を導入

 認証システムによってプリントジョブは個人に結びつけられるようになる。
 誰が何枚出力したのかが明確になる。その結果、不用意な出力で無駄なプリントをしないように意識するようにもなっていく。また、誤った出力指示をしてしまった場合に途中で取り消せることも無駄をなくすために役立った。

なお、導入の際、入館証のカードを流用することができるようにしたため、カードの2枚持ちの煩わしさや、セキュリティの事故のリスクも低減させることができたそう。

小規模な会社や個人事業レベルではこのようなシステムは難しいかもしれませんが、「誰がどのくらい使ったか」を見える化することは大事だと思われ。


■6.「ノンペーパー会議4原則」を徹底する

◆紙を大量に使うと言えば、やはり「会議」

NRIでは、「ノンペーパー会議4原則」を徹底。

詳細は本書をご覧頂くとして、その4つの原則をご紹介しておきます。

1.事前にアジェンダを設定する。
2.事前に会議資料を配布する。
3.議事進行に合わせて、議事録を作成(共有)する。
4.会議終了後、決めたことや修正事項をまとめた議事録を、参加者・関係者に速やかに送付する。

なお、会議ではプロジェクタを2面用意して、1面に資料を投影しながら、もう1面でリアルタイムで議事録を作成するのだそう。

最近は、このようなやり方を目にすることが多いですが、5年近く前から取り組んでいた、というのは当時としては先進だったかと。


【感想】

◆そもそも、NRIのノンペーパー推進運動は、当時、就任2年目だった藤沼社長の号令によるもの。

それは単なる紙の削減だけでなく、最終的には「仕事の生産性アップ」を目的とするものでした。

ですから、本書においては「ノートPCの活用」「フリーアドレス」「フリーレイアウト」といった取り組みについても言及されています。

まるっきり、今流行の「ノマドスタイル」を先取りしてたと言えそうな。


◆ちなみに、藤沼社長はノンペーパー推進運動のお手本を倉重英樹氏に求め、この本を推奨していたのだとか。


上記の倉重氏のウィキペディアの記述読むと、1994年時点で「フリーアドレス」とか「一人一台のノートPC」なんてことやられてたんですね。

これはこの本も買っとかなければ…。


◆また、紙を使わないことは、当然ですが「経費の削減」にもつながります。

それは、上記で挙げた「紙の一括発注」による「紙代」のようなものだけでなく、むしろトナー代が大きかったとのこと。

特に、会議の資料で使うような「カラードキュメント」の値段は半端なく、10人程度の会議の20ページ程の資料にかかる費用が1万円を超えたりするのだとか。

それは、「ノンペーパー会議」を推進するのもわかります罠。


◆私の場合、本業が本業だけに、「使うか使わないかわからない書類を何年も保存する」必要があったりするのですが、それでも本書におけるTIPSは参考になりました。

とりあえず、「法的に保存義務がない書類」は仕分けした上でバンバン捨てることに決定。

雑誌や新聞の切り抜きも、これでパパパとスキャンして、と。


参考記事:【動画アリ】DR-150で、溜まったセミナー資料をスキャンしてみました(2009年12月06日)

すぐに完璧を目指すのではなく、「毎日少しずつ減らす」ことを実践します!


紙を減らしたい、なくしたい方なら必読!



【関連記事】

【整理術】「ダンドリ・整理術 モノグサ私の方法」から学んだ7つのポイント(2010年02月13日)

【超仕事術?】「仕事するのにオフィスはいらない」佐々木俊尚(2009年07月20日)

【整理術】「整理HACKS!」小山龍介(2009年06月29日)

【仕組み】『「仕組み」整理術』泉 正人(2008年09月29日)

【超】『超「超」整理法』野口悠紀雄(2008年09月25日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。


タイトルが秀逸ではないかと。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




                               
この記事へのコメント
               
おもしろそうな本ですね。

ちなみに「そうか、・・・・」の本のタイトルは、私は城山三郎氏の『そうか、もう君はいないのか』を連想しました。
Posted by レバレッジ君 at 2010年02月20日 16:02
               
初めまして。^^

とりあえず、「法的に保存義務がない書類」は仕分けした上でバンバン捨てることに決定。

→そうですね。士業の場合、逆に

基準があって良いのかなと感じました。
Posted by SSS at 2010年02月20日 17:58
               
>レバレッジ君

この本、組織ぐるみでやったお話だけあって、かなり徹底してました(汗)。
個人レベルでどこまで実現できるか難しいところですが、参考にはなるかと。

>SSSさん

はじめまして!
コメントありがとうございます。

法的な義務のある書類は当然なんですが、それ以外でも「あった方が後々安心」みたいな書類が多すぎるんですよね〜。
結局リスクを負う勇気がないんですけど(涙)。

今後ともよろしくお願いします!

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年02月21日 01:57