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2010年02月15日

【企み系?】「感動させる技術」内藤誼人




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、心理学者・内藤誼人さんの最新刊。

正直、多作な作家さんですので、ちょっと敬遠気味だったのですが、「タイトルでヤラれ」ましたw

アマゾンの内容紹介から。

ロングセラー『すごい!ホメ方』や『「人たらし」のブラック心理術』『レジ待ちの行列、進むのが早いのはどちらか』などのベストセラーで知られる著者が、ビジネスや恋愛、セールス、面接、会議、交渉ごとなどの場で活用できる「最強の“泣かせ”テクニック」を大公開。人の心を自然に動かしてしまう泣かせ方、感動のさせ方……その実践的なノウハウがわかりやすく網羅された一冊。

まさに「企み系」の方なら要チェック

ベクトルは違うと思うんですが、当ブログではお馴染みの大石哲之さんも、たまたま昨夜、Twitterで「人を感動させることができるやつが、次の時代にいちばん儲けられるはずだ」と言われてますしねw


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【目次】

第1章 人を感動させる禁断の心理テクニック―てっとり早く相手をありがたがらせる方法

 「過去と現実のギャップ」を強調する
 特別な人扱いをしてあげる ほか

第2章 相手を泣かせる“ネタ”の上手な見つけ方―労せずに敵が折れてくれる“ちょっとした仕掛け”

 「貧乏」をネタにする
 あえて「病気」を話題にする ほか

第3章 「親切な心」で人を感動させる心理操作術―相手との親密度を増し、距離を深める絶対法則

 「思いやりのあるウソ」をつく
 「気配り能力」を磨く ほか

第4章 「思いっきり泣ける話」をさりげなく仕立てる技術―人を必要以上に魅了する「会話力」の磨き方
 
 “先を読む力”で感動させる
 相手の「共感」を誘う ほか

第5章 どんな人でも確実に泣かせる心理技法―心から信頼されてしまう「イメージ操作」の極意

 “隠す”ことによって感動を誘う
 落ち込んでいるタイミングで励ます ほか


【ポイント】

■1.「過去と現実のギャップ」を強調する

◆これは現在おかれた悲惨な状況を強調するためのテクニック。

 人を感動させたいなら、まず輝かしい過去を披露するとよいでしょう。
 それから、ゆっくりと悲惨な現状の自分について述べればよいのです。

とりあえず「同情してもらう」タイプのお話で使えそうです。

ビジネス書では逆に、「どん底から這い上がる」パターンが多いですけど、これも同じ「過去と現実のギャップ」でしょうね。


■2.悲観的な人には、物事を明るく考えるように仕向ける

◆心理学的には「逆転移」と言うそう。

 相手が悲観的なことを口にするたびに、「いや、私はそう思わないよ!」と、打ち消してあげればよいのです。そうすると相手は、自分の目が開かれたように感じて、「あ、そういう考え方もあるわけか」と納得してくれます。そして、そういうアドバイスをしてきたあなたに感謝するようになるでしょう。

実際にそれで内藤先生も女性の患者さんから好意をもたれたりするそう。

この場合「ガンバレ」じゃなくて「大丈夫だよ」というのがキモかと。


■3.同じセリフを何度も繰り返す

◆特に「名前」は効果的なのだとか。

 手紙を書くときなどは、相手の名前を、何度も挿入すると感動的な仕上がりになります。(中略)

 同じセリフを繰り返す手法は、とても簡単にできるわりに、その効果は非常に高いと思います。だれでもすぐできるのに、意外なほどに感動的なのです。

「あさみかわいいよあさみ」ですね、分かりますw ←違


■4.あえて「病気」を話題にする

「ベタ」ですが、内藤先生も『「病気」を話題にすれば、それだけで涙を誘うこともできる』と。

 「避けえないこと」に関して、私たちは無常や諦念を感じます。ですから、不治の病のお話や、死に直面した人のお話は、心を打つのです。とにかく悲しくなるのです。

内藤先生によれば、「泣かせる話のほぼ8割以上」が、病気関連と言っても過言ではない、とのこと。

お馴染み、「エースを狙え」でも、宗方コーチの闘病と死が大きなポイントとなっていましたし。



■5.広告心理学の「3B理論」を意識する

◆視聴者ウケし、視聴者の注意を引くのに便利な対象というのが、

「美女(Beauty)」「子ども(Baby)」「動物(Beast)」

の3つ。

人を感動させるときに、小道具としてペットや動物に登場してもらうのも、いいアイデアです。『南極物語』にしても、『忠犬ハチ公』にしても、大変泣ける映画ですし。

それを言うなら、『フランダースの犬』子ども(ネロ)まで死んでしまう最強コンボかと。

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              ノ    ,人,.ヘ、 j~゙`´ ̄,イ
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          ! ヽ/   l    `-'=イ /  ,!
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           l        l      jノ
    r'⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ ⌒ 、
   (   パトラッシュ、疲れたろう。ぼくも疲れたんだ。   )
    !        何だかとても眠いんだ。         !
   (         パトラッシュ・・・・・・・・          )
    、_,. 、_,.、_,.、_,.、_,.、_,.、_,.、_,.、_,.、_,.、_,.、ノ


■6.「取り返しがつかない後悔」について話す

◆これは特に、現在「相手と連絡が取れない」等の状況だとより一層重みが増します。

 取り返しがつかず、本人をひどく後悔させる話は、いつでも泣けるお話になります。
 失言などは、まさにその最たるもので、一度口から出た言葉は絶対に戻すことはできません。ですから、失言にまつわる泣ける話は、予想外にたくさんあるのではないでしょうか。

本書でも、「ささいなことから母親に「死ね!」と言ってしまって、直後に母親が事故で亡くなってしまう」、というお話が収録されていました。

確かに主人公は一生後悔して生きていくのだろうな、とたやすく想像できるわけで、これはかなりインパクト大


■7.冷たくしてから、親切にする

◆心理学的には「ゲイン・ロス効果」と呼ばれるそう。

 私たちは、いったん冷たくされてから、温かいことをされると、その温かさをより強く感じる傾向があります。(中略)
 この効果は、実験的にも確認されていまして、イリノイ大学のジェラルド・クロア博士の行った実験によると、最初に冷たい対応をとられてから温かくされると、最初からずっと温かい対応を受けつづけた場合よりも、相手を好きになってしまうことが確認されています。

まさに「ツンデレ」w

ありがちなのが、ぶっきらぼうで人付き合いが苦手そうに見えた相手が、実は心優しかった、というパターンかと。


【感想】

◆本書は、各実例(お話)ごとに、そこで用いられている「感動のパターン」を抽出し、「心理学的な分析を加える」、という構成。

基本的に私たちは「泣ける話」「感動する話」が好きですから、内藤さんという「心理学者」を担ぎ出して、こういう考察を加えて、ノウハウ本としてビジネス書にする、というアイデアが個人的にはツボでした。

ただ、自分で「企み系」とか言っておきながら、いざこうして、本書のような「パターン分析」をしている本を読んでしまうと、良心の呵責がw

おそらく、こうした「舞台裏」的な話が好きではない方や、「純粋にお話を読んで泣きたい」という方には、本書は薦められないかと。

そもそも心理テクニックが36も詰め込まれている関係上、1つ1つの事例のお話も短めですし、私も各事例の話に「のめり込む」までには至りませんでした。


◆ただ、現実問題として、こういったテクニックを意識した上で作られた「コンテンツ」はもちろんのこと、「セールスの勧誘」等があるのも事実です。

前者はさておき、後者は場合によっては「経済的不利益」を被りかねません。

金銭が絡むお話で、本書に出てきたようなパターンがあったら、一応注意された方が良いかも。

まぁ、そうしたテクニックを駆使するような方は、「ハマりやすい相手」を選んでいると思うので、「注意しても難しい」可能性はありますが。


◆もっとも、「スピーチ」「挨拶」等で、「泣かせる」とまではいかなくとも、「相手の心に残る話」ができれば、それに越したことはありません。

そういう意味では、職場での人間関係というか「マネジメント」に悩む方には、本書のテクニックは、何らかのヒントになると思います。

そしてもちろん、「女性を口説く時」に使えるものも、なくはなく…w

上記ポイントの2以外にも、応用できそうなモノはいくつかありました(詳細は本書をw)。


◆一方、感動させたり、泣かせたり、というのは「人を動かす」にも大きな力を発揮しますが、ひとつ見逃せないのが、「泣くことによって実力がアップする」というお話。

そのことを知ったのは、かつて読んだこの本ででした。


参考記事:【感動】「ココロでわかると必ず人は伸びる」木下晴弘(2007年08月15日)

「叱って泣かせる」のとは違って、「感動させて泣かせる」というのは、「子育てにも使える」、ということで、なかなか奥が深いな、と。


色々な意味で応用が効きそうな1冊w



【関連記事】

【スゴ本】「影響力の武器 実践編」がやっぱりスゴかった件(2009年06月10日)

【人心掌握】有吉弘行の人心掌握術がスゴすぐる件(2009年04月18日)

【感動再び!】「涙の数だけ大きくなれる!」木下晴弘(2008年09月15日)

【感動!】「最後の授業」ランディ・パウシュ(2008年06月16日)

【感動】「ココロでわかると必ず人は伸びる」木下晴弘(2007年08月15日)


【編集後記】

◆今日発売の週刊東洋経済2/10号は、メディア関係者は必読でしょう。


特集タイトルも「再生か破滅か 新聞・テレビ断末魔」と過激です!


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