2010年01月22日
【生き方】「オーガニック革命」高城 剛
オーガニック革命 (集英社新書 526B)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、『サバイバル時代の海外旅行術』の印象も強烈だった、「ハイパークリエーター」、高城剛さんの最新作。今回のテーマは、一見「食生活」のようで、実はもっと奥深いところまで踏み込んでいる力作です。
アマゾンの内容紹介から。
かつて短期間とはいえイギリスにホームスティしていた自分としては、その現状にビックリでした。クリエイター・高城剛は、金融危機の渦中にあったロンドンで、一つのムーブメントに出会う。かつてこの街の路上からパンクやニューウェーブが生まれたように、21世紀のロンドンの路上からは「オーガニック」というムーブメントが広がっていた。それは単なる健康食ブームではなく、20世紀的資本主義からの解放を希求する「運動」だ。オーガニックという価値観をキーワードに、21世紀を生き抜くためのライフスタイルを探る。
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【目次】
第1章 21世紀のオーガニック・ロンドン
真のグローバリゼーションとは“リキッド化”した世界である
「ハイパー・ノマド」の時代
ポスト・デジタルとしての「オーガニック」 ほか
第2章 オーガニックへ至る道―イギリス“金融帝国”の狂騒と凋落
流動性都市ロンドン
たった10年で20世紀を駆け抜けたイギリス
1997年までのイギリスは19世紀だった!? ほか
第3章 オーガニック・ライフ実践編
日本の“オーガニック”は本当のオーガニックではない
思想にこだわるイギリス人、行為にこだわる日本人
「○○バーガー」がニュースになるのは日本だけ? ほか
【ポイント】
■真のグローバリゼーションとは"リキッド化"した世界である僕は、世界はより「リキッド化」に向かうのではないかと考えている。世界は小さく平らでありながらも、一極構造から多極構造になり、常に流動的な柔らかいブロックに向かう(=リキッド化)のではないだろうか。
■「ハイパー・ノマド」の時代
つまり、自分の人生をうかうか他人(=国や政府)に預けてはいけない時代になったのだ。では、そんな時代をどうやってサヴァイヴすればいいのか?
まずは「水・食料」「資源・エネルギー」「外交」「娯楽」の4つを最低限、個人で確保すべきということだ。
■王室も実践するオーガニック
イギリスのオーガニック・ムーブメントが面白いのは、王室をはじめサーの称号を持つようなアッパー・クラスの人々が発信する運動と、ワーキング・クラスの人々がストリートから発信する運動が出会って、あたらしい流れが生まれたところにある。
■ロンドン市の自動車政策
また、金融危機以降、街の光景が微妙に変わったことに気づく。それまでは、見たこともないスーパーカーや高級車がずらり並んでいた高級住宅街では、小型のハイブリッドカーや電気自動車、自転車が目立つようになった。その理由は、バブルがはじけたことに加え、ロンドン市の政策によるところも大きい。ロンドンでガソリン車を持っていると、毎月2万円以上の税金(混雑税)を支払わなければならないのだが、電気自動車となると、それが無料になるのだ。
■1997年までのイギリスは19世紀だった!?
前項でも述べたように、僕の持論では、イギリスの20世紀は1997年にはじまり、2008年に終わりを告げた。それは言い換えると、イギリスにおいては1997年まで19世紀が続いていた、ということだ。なぜなら第2次世界大戦後、アメリカやヨーロッパ諸国、そして日本が次々に高度経済成長を遂げ、アメリカ流の資本主義、つまり20世紀を謳歌していたころ、イギリスはその恩恵をほとんど受けることなく、長引く不況にあえいでいたのだから。
■テレビやウェブでの情報収集の問題点
「よくわからない」と人任せにした瞬間、あっという間にババをつかまされる、わかりやすい時代。それは、時代や事象を自分の目で確かめ正しく考える人と、テレビやウェブでの情報収集を中心としている人との間に、埋めようのない情報格差が生まれはじめている、ということだ。
■日本の有機農業が広がらない理由
まず、「労力がかかるわりには、利益が薄い」という問題だ。農薬や化学肥料をなるべく使わない農業は、大量生産ができず、当然ながらコストがかさむ。しかし、価格設定を高めにすれば消費者がついてこない。(中略)
そして、農協というシステムの問題。農協には、農家に農薬や化学肥料を売って利益を得ている側面がある。(中略)
そして、これが最大の原因とも言えるが、オーガニックに対する消費者の意識の低さが挙げられる。「安全でいいものなら割高でも購入する」と本気で考える日本人が、いったいどれくらいの割合でいるのだろうか?
■「○○バーガー」がニュースになるのは日本だけ?
それでは、海外では事情が違うのはなぜか? 答えは、そんな情報をニュースとして報じたら、国民からテレビ局に抗議の電話が殺到してしまうからである。つまり、スポンサーよりも、世論からの圧力の方が強くなっている、ということだろう。
「身体に害のあるジャンクフードについて公共の電波を使って宣伝まがいの報道をするなんてとんでもない!」。いまや世界全体が、そういう認識を持ちはじめているのである。
■オーガニックは21世紀の社交術
これからは「どこの野菜がおいしかった」とか「どこのオーガニック・レストランが最高だった」という情報を持っている方が女の子は喜ぶし、あえて男性目線で言えば、確実にモテる。実際、海外で日本のマクロビオティックの話などをすると、みな興味津々で「どこでおいしい玄米が手に入るのか教えて」とメールアドレスを教えてくれる女の子も多い。
【感想】
◆冒頭で触れたように、私は一時期イギリスの南端の方に短期間(3ヶ月ほど)ホームステイしており、私にとっての「イギリスのイメージ」は、ほとんどその当時のままだったりします。ですから相変わらず「料理はまずい」ですし、バブルで物価が上昇しまくったことも、間接的にメディアでしか知りません。
ところが、一昨年のリーマンショックで事態はさらに一転し、今のロンドンのブームは「オーガニック」である、と。
要は「グローバリゼーション」や「行き過ぎた資本主義」の反動のようなものらしいです。
◆特に「食」に関して言うなら、あの「狂牛病問題」も大きな理由のよう。
「感染した牛から製造した肉骨粉を牛にエサとして食べさせたこと」が感染拡大の有力な原因となった際には、オーガニック牛乳が大人気だったとか。
ちなみに、当時イギリスにいた私は、献血してはいけないみたいですし(参考:1980年から1996年の間に英国に1日以上滞在された方からの献血見合わせ措置に関するQ&A:厚生労働省)。
またロンドンでは、鶏肉に関しても、「フリーレンジ」という、「鶏を屋外の自由に動き回れる環境で飼育された鶏」であるかどうかの表記が一般的になっているのだとか。
仰るとおり。日本では、鶏の"産地"は書いてあっても"育ち方"を表記する習慣はない。でも本当に重要なのは、その鶏が皿にのって出てくるまで、どんな風に扱われていたか、ではないのだろうか。
◆本書では、高城さんオススメのロンドンのレストランやファーマーズ・マーケットが紹介されてますが、その辺は活用できる方も少ないでしょうから割愛。
日本の方(といっても東京ですがw)では、この辺りが。
何でも、お客さんには「きれいでセンスのいい子が多い」とのことなので、興味のある方は是非w
いずれにせよ、私のように「お昼はコンビニ弁当」なんてのは、問題外です罠。
◆本書は「オーガニック」メインテーマということで、「食」に関するお話が確かに多いのですが、その中にも上記で挙げたポイントのように、「ライフスタイル」や「考え方」に関する指摘も多々。
実際に東京がロンドンのようになるのかは別としても、世界を自らの目で見て、体験している高城さんのアンテナには、学ぶべき点は多いと思います。
最近、めっきり出不精になっている私には耳痛いお言葉。我々はメディアを鵜呑みにするのでもなく、モニターの画面を眺めるでもなく、もっと世界の事実と向き合わなければならない。できれば、自分自身の目と足で。
とりあえず、今度どなたかとランチをする際には、上記のカフェにでも行ってみようかと。←ミーハーw
時代の流れを見据えた1冊!
オーガニック革命 (集英社新書 526B)
【関連記事】
【ハイパーノマド】今さらですが「サバイバル時代の海外旅行術 」が面白かった件(2009年09月21日)「ヤバいぜっ!デジタル日本―ハイブリッド・スタイルのススメ」高城 剛(著)(2006年06月20日)
【編集後記】
◆ちょっと気になる本。著者は、あのGEのジャック・ウェルチの奥さん。
出版社のサイトによると、自己啓発でも、キャリアとかタイムマネジメント系の本のような感じですね。
ご声援ありがとうございました!
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これからは、それじゃいけないみたいですよ!
…と、人のことを棚に上げて言ってみるテストw