2010年01月20日
【視点】『楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方』仲山進也
楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方
【本の概要】
今日ご紹介するのは、「楽天市場」内にある、出店者向け教育機関「楽天大学」の学長である仲山進也さんの処女作。タイトルからして「ネットショップ向けノウハウ」のようですがあにはからんや。
豊富な事例を交えながら、ビジネスに必要な「物の考え方」について解説してくれているというユニークな1冊です。
デスクワーク中心で、「モノを買ってもらうとはどういうことか」が今ひとつピンと来ない方には「目からウロコ」かも。
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【目次】
START 視点獲得─「視点」というアイテムを手に入れる
【視点1】気づき力をアップする「視点」という視点
1 価値伝達─今ある価値をうまく伝えることで伸びる
【視点2】伝達力がアップする「わかりやすさ」の視点
【視点3】人が思わず動きたくなる「ベネフィット」の視点
【視点4】相手の吸収力を高める「設問」の視点
2 価値創造─新たな価値を創り出すことで伸びる
【視点5】アイデアが溢れ出てくる「発想」の視点
【視点6】強みを活かして価値を生み出す「とんがり」の視点
3 チーム化─チームが強くなることで伸びる
【視点7】自分も相手も強くなる「1・1」の視点
【視点8】自走型の姿勢を育む「アシスト」の視点
4 志・理念─時代の潮流を見据えつつ志を練ることで伸びる
【視点9】変化の激しい時代を楽しむ「予見」の視点
【視点10】思わずクチコミしたくなる「感動」の視点
GOAL 成長法則─五つの壁を突破して伸びる
【ポイント】
■広義の視点の中に、「視点・視野・視座」という3つの要素がある●視点
●視野「目のつけどころ」が「視点」になります。対象となるものの「どこを見るか」です。
●視座これは「どこまで見えるか」です。見えている範囲。視野は、視点が決まれば自動的・物理的に決まります。
「どこから見るか」です。「立場」と同じ意味(立っているか座っているかの違い)。
■視点の種類を増やす方法「因数分解」
実は、「売上をアップさせるには」と考えるのが間違いのモトなのです。
なぜなら、「売上」という1つの視点しかないから、考える切り口が1つしかないので、アイデアが偏ってしまう可能性があるわけです。
そこで登場するのが、「因数分解」です。
「売上=集客×接客」とすることで、考える切り口が2つに増えます。そうすれば、「あ、集客のアイデアを考えるのを忘れてた」ということがなくなるのです。
■コストはお金だけではない(5大コスト)
●お金(経済的コスト)
●時間(時間的コスト)
●労力・手間(肉体的コスト)
●考えること(頭脳的コスト)
●気を遣うこと(精神的コスト)
コストの視点が「お金」しかない人にとっては、「まったく同じ商品を、わざわざ値段が高いほうのお店で買う」という購買行動は、理解できないはずです。
それに対して、コストを5つの視点で考えられるようになると、価格を下げる以外にもお客さんにとってのコストを下げる方法が思いつくようになり、「安売りだけが策じゃないな」ということが見えてくるようになります。つまり、安売りに依存しなくてすむようになるのです。
■「アウトプットを前提」にすると、インプットの入りがよくなる
「次のメルマガに何を書く?」というお題を常に自分に問いかけているから、気づきのアンテナ(ネタ目)に情報がひっかかってくるということです。メルマガを出すと決めているからこそ、書くべきネタが見えてくるのです。
■キャッチコピーは4象限で考える
ヨコ軸の視点は「つかみの型」。「興味関心の重なり合い型(新聞の見出し型)」と「ギャップ型(週刊誌の見出し型)」に分かれます。
タテ軸の視点は「伝え方の型」。「ハッピー型(ポジティブ型)」と「ダメ出し型(ネガティブ型)」に分かれます。(詳細は本書を)
■「世界に一つだけの花」のメッセージの解釈
みんなと同じ分野でナンバーワンになろうとする必要はないんだよ。自分のオンリーワンの強みを磨いて、ある分野でナンバーワンになるくらいに突き抜ければ、真のオンリーワン(リアルオンリーワン)になってハッピーになれるよ。
と考えるのがよいと思うわけです。ナンバーワンを突き抜けて、オンリーワンになるということです。
■問題が起きたときのマジックワード「それはちょうどいい!」
一般的に、人は問題が発生すると解決しようとします。すなわち、マイナスをゼロに戻すにはどうしたらよいか、と考えがち。
これに対して、「それはちょうどいい!」に続いて出てくる言葉は、
・起こった問題を受け入れた上で
・マイナスをゼロに戻すのではなく
・プラスに持っていくにはどうしたらよいか
を考えるような内容になります。
■自走をアシストする3つのポイント
1.正解はないことを教える(正解より回答)
2.魚の観察のしかたを教える(視点とあてはめ)
3.安全な"転び方"を教える(量稽古)
(詳細は本書を)
【感想】
◆実際に手にとって頂ければわかるのですが、本書はデザインというかレイアウトが良く、非常に読みやすい作りになっています。挿入されている図も「勝間本」的なベクトルで、ポイント高しw
ただ、中身が良く作りこまれているが故に、部分部分を抜き出すのがいつもより難しかった感じが。
ホントなら他にもご紹介したい項目が多々あったのですが、前提がないと分かりにくかったり、ボリュームが多かったりしたものは全て割愛しております(サーセン)。
◆冒頭で「ユニーク」と表現したのは、特に本書のポジショニングに関してのこと。
今まで、ネットショップ関係の本もご紹介したことが何度かありましたが、そのほとんどが「ノウハウ中心」の内容でした。
もちろん、「売上を上げたい」というニーズに応えるためですから、当然と言えば当然。
一方本書は、事例こそネットショップ中心ですが、「ノウハウ」の話はほとんど出てきませんし、その応用範囲はもっと幅広いものであると言えます。
◆そもそも基本的に当ブログの読者さんが求めるものは、「スキルアップ系コンテンツ」が中心なため、「マーケティング」や「セールス」といったジャンルは苦戦気味。
しかし、これからの時代、私たち一人ひとりに求められるものは、「情報処理能力」よりは「利益を生み出すチカラ」のような気がします。
かといって、いきなり個別事例でノウハウを押し付けられても困る、という方も多いかと。
その点本書は、「売上の因数分解」のお話のように、さりげなくコンサルチックなネタも登場していたり、「戦術」の前提となる「考え方」中心なので、受け入れやすいのではないでしょうか?
◆本書は「視点」にこだわって書かれていますが、帯にもあるように著者の仲山さんは「3万店舗以上の事例」を体験しているワケですから、見えるモノが私たちと違うのはある意味当然です。
私自身も、桁は小さいものの、毎日ブログの数字(アクセスや売上等)を見続けてきた結果、始めた当初とは違った景色が見えるようになりましたし。
ところで、ふと思ったのですが、書評系のブログをやってらして、なかなか売上が伸びない方も、本書を読めば何か得るところがあるかもしれません。
とはいえ、本書から得られるモノは「魚そのもの(具体的なノウハウ)」ではありませんので、あしからずw
脳に汗かく必要性を感じた1冊!
楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方
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【編集後記】
◆「視点」という意味では、この本もありましたね。山田 真哉 (7) |
そう言えば、どちらもサンマークさんだw
ご声援ありがとうございました!
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