2010年01月05日
【勉強法】「実力がワンランクアップするヒント集」から選んだ10のポイント
【本の概要】
◆新年早々、「勉強ネタ」のスゴ本に出くわしたのでご紹介。お馴染み齋藤 孝さんのご本ということで、多作な著者さんが苦手な方だと警戒しそうですが、これがまたどうしてかなり濃い内容でした。
ぶっちゃけ付箋貼りすぎて収拾がついてない状態と言いますかw
その中でも特に43個もある「勉強戦術のヒント集」は、当ブログの読者さんなら垂涎モノのコンテンツだと思われますので、そこに絞って取り上げてみます!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
序章 勉強しているのに、なぜ身につかないのか?
第1章 大切なことを瞬時につかむ勉強法
第2章 地アタマを鍛え身体に染み込む勉強法
第3章 人格を磨く勉強法
第4章 実力がワンランクアップするヒント集
終章 直感力で本質をわしづかみ
【ポイント】
■1.「場所ごと記憶」する◆私も税理士試験勉強中にやっていた方法。
私の場合はさらに、齋藤先生とは違って、できるだけ多色を用いて、「色と場所」で覚えていました。基本書にもれなく必要情報を集積させたら、今度はこれに書かれた内容を、場所ごと記憶します。ページのどのあたりに何が書かれていたか、例えば右下には注釈があった、左上に図があったといった具合に、写真を撮るように記憶すると、体系的に覚えられます。
ただし、色以前に「場所ごと記憶するやり方」という方法自体、当時の勉強仲間の話を聞いても「向き不向き」があるようですが。
■2.「往復」をくり返し、理解する
◆私が丸暗記でやっていたような「同じところを繰り返す」のではないのがミソ。
……ひたすら理論テキストを丸暗記していたのが受験長期化の原因だったか?人間の脳は、揺り戻すときに理解度が深まるので、教科書から参考書、または問題集へと何度も往復すると、定着しやすい。例えば、世界史ならば、教科書、用語集、重要用語問題集をクロスさせる要領です。
■3.「なぜ間違えたか」を人に説明
◆私も「間違いノート」なら作ったのですが。
「間違いノート」と「他人に説明」という勉強法はよく目にしますが、両者を合わせた、というのを見たのは実は初めてかも。解けなかった問題は、なぜ解けなかったかを明らかにする必要があります。間違いの原因を書き込み、それを人に説明できたなら、問題点がはっきり意識化できます。
■4.「考えすぎない」、5分考えてもわからなかったら答えを見る
◆大昔に「スーパーエリートの受験術」でこのやり方を知った時は、マジで「目からウロコが落ちた」ものです。
類書でも言われていることですが、時間は有限である以上、必要以上に考えても無駄だという割り切りが必要ですね。自分がわからない問題を知るために、まず1回、軽く解いてみます。その時、わからない問題を考えすぎないのがポイントで、目安として5分考えてもできなかったら、答えを見てしまいます。そこで、なぜ気づかなかったか、わからなかったかということを書き出し、時間をおいて、もう1回解いてみます。
■5.「解説が分厚い」問題集を選べ
◆これは類書でも目にしますが、大事なので。
解答の切り離しが難しいものならば、2冊買うのが正解ですね。問題集選びで大切なのは、いかに解答が詳しく解説されているかを見ることです。かつ、解答が切り離し可能な別冊になっているものが使いやすい。それが分厚ければ、答えの解き方が丁寧に書かれているはず。
■6.間違いの質を見抜く
◆問題集に書き込む際にも、間違いノートを作る際にも関係するお話。
私は「間違いノート派」だったのですが、その辺の色分けはその時の気分でやっていたかもw……って、それが敗因ですね、分かりますw問題を解いた後は、必ず自分のミスを分析します。初歩的なケアレスミスは青色ボールペンで、根本的に理解できていなかったものは赤、いつもの自分の弱点は緑で囲うなどして、ミスの種類を色分けします。すると、間違いの質が明確になってきて、修正作業がはかどります。
■7.「30分×3回」が1セット
◆休憩はどうなの、と思うんですがw
……小学生にも劣る自分。人間90分同じテンションでいるのは難しいけれど、30分なら集中できるので、それを3回やって90分でひと区切り。さらにそれを3セットというふうに、30分を味方につけて身体化します。これを続けて、休日に10時間勉強できるようになった小学生もいます。
_| ̄|○ ガックシ
■8.「学習強化月間」は春
◆別に社会人の方であれば、この1月からでも良いと思われ。
資格試験等の専門学校の勉強の場合、予習よりも「復習重視」だったりするのですが、最初に予習だけ済ませておいて、日々の勉強は復習重視、というのも良さそうな。私が勧めたいのは、新年度で勉強する内容を、3月に全て予習してしまう方法です。自主トレキャンプのように、とにかく毎日はりきって、1年分を終わらせます。すると、4月からの1年間、高いところから見下ろすかの如く、余裕を持ってのぞめるのです。この自主トレは、私自身が学生時代にやってきて、実に効果的な方法でした。
■9.ワントラック・リピート音楽の効果
◆私は本を読むときに、英語の歌(という言い方もどうかと思いますがw)を聞くと集中できます。
ワントラックではないものの、以前joyさんのブログの記事で見つけたこのCDが気になっておりました。特殊な聴き方ですが、ちょっとお勧めなのが、ワントラック・リピート法です。同じ曲を延々と繰り返し聴くうちに、ある種の瞑想状態に近づいて、ものすごく集中できることがわかりました。これは、もともと呼吸法でつかんだ感覚ですが、瞑想状態のゾーンに入ると、リラックスしているけれど、頭はすっきりと集中できるのです。
Immrama Institute (13) |
Immrama Institute (26) |
上記記事でも
って書かれてましたし。集中力を要する作業を日々要求されている方は試してみる価値があると思います。
受験生、イメージストリーマー、フォトリーダーには激オススメです!
■10.頭のいいノートのとり方
◆私はただひたすらメモるか、セミナー等だとマインドマップにしちゃうのですが。
一時期話題になった「キレイかどうか」は関係ない模様wノートをとる作業は、メモや板書を引き写す作業とはまるで違い、先生が語ったことを、構造化することです。これができるようになると、頭が整理された状態で、人の話を聞くことができます。やり方としては、先生の話をひたすら書いて、家でまとめ直すのがいいと思います。話を図化しながら整理して、知識の位置づけを行います。これは、先生の作業を反復することになりますし、書くことで知識を定着させる効果もあります。
【感想】
◆こんな感じで、普通の勉強本だったら、1項目で2ページくらい使っちゃうところを、逆にサクサクと「1ページに2項目」くらいに凝縮してしまったのが、このヒント集。全体でも20ページちょっとしかありません。
もっとも、やるべき勉強内容、または受験する試験等が決まっており、「後はやるだけ」の方なら、この20ページちょっとのためだけでも、本書を買う価値はあるハズ。
◆ところが本書の本当のキモは、そこに至るまでの1〜3章にある、と言っても過言ではありません。
タイトルには「知的勉強法」とありますが、実はそれぞれの章において、「レファレンス勉強法」「キーワード勉強法」「境界線勉強法」といった、それぞれ独立した勉強の方法がひたすら解説されているという充実ぶり。
折角なので、いくつかご紹介してみようかと。
●「主文作成」勉強法
●キーワード勉強法英語に限らず、どの教科においても、この「主文(前後の文章の中で中心となる文章:smooth注)を作る」ということは、非常に重要なポイントです。(中略)
わからない単語があったとしたら、まずその単語を括弧でくくって隔離してしまいます。それを抜かして、まず訳文の骨格を作ります。それで、わからない言葉が形容詞なら、形容詞の入る位置にカタカナ英語のまま入れておけばいいのです。これなら全体を崩すことはありません。
ここまで書いてきて「こちらをテーマに記事を書けばよかったか?」とちょっと後悔してみたりw自分でキーワードを選び、最重要と思うものは赤で、まあまあ重要なのは青で、ちょっとおもしろそうな言葉は緑で、といった具合に3つに色分けして囲っていきます。そのキーワードを矢印で結んでみたりして、文章自体を図のようにしていきますと、文章のつながりがよくわかってきます。(中略)
さらにキーワードとキーワードの連関を説明していく訓練をします。簡単なのは、先ほどの3色のキーワードのうち、青色のキーワードを使って赤色のキーワードを説明するやり方です。
◆私はよく「狭義の勉強本」(ガチに試験を受けるための本)と「広義の勉強本」(自己啓発的に広く学ぶ本)を区別しており、基本的に、何かしらの試験を受けない人が「狭義の勉強本」を読んでも活用しきれないし、逆に試験を受ける人は「広義の勉強本」では合格は難しい、と思っております。
つまり、全方位的に使える勉強本というのは、なかなかない、ということ。
しかしこの本は、「自己投資として学ぶ方」と「資格試験を受ける方」の、どちらにとっても極めて有益。
私は齋藤先生の著作をカバーしきれていないので、コンテンツがかぶっている可能性はありますが、それでもこの1冊でおそらく十分だと思われ。
◆本書のおわりには、さらにこの本のコンテンツを活用すべく、齋藤先生のこんなお話が。
本書にはそれこそ齋藤先生の提案する勉強法が山ほど出てきますので、自分に合うものを選んで組み合わせたり、改良して、「自分のワザ」にすれば良いということ。勉強においてもっとも大切なこと、そして勉強の最大の果実であり、世の中に出ても役立つこと、それは、勉強法を工夫する習慣です。(中略)
丸暗記が得意な人はそれを拡大してワザにすればいいし、ノートが性に合うならそれを武器にすればいい。人との対話を方法化してもいい。
要は、ワザを3つほど組み合わせて、自分の勉強法をつくることです。そうして「学びのスタイル」をものにした時、生きるスタイルの柱もできてきます。
私も今から試験を受ける予定はありませんが、日々の学習に活かしていきたいと思います。
新書の勉強本としては、個人的には今までのベストではないか、と。
これは激オススメせざるを得ませぬ!
齋藤 孝 (4) |
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【編集後記】
◆小さい画像だと良く見えないかもしれませんが、山田真哉さんの新刊です。山田さんというと、どうしても会計ネタが続いて、当ブログとしては扱いにくかったのですが、これは面白そう。あのミリオンセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者・山田真哉氏が、2年ぶりに書き下ろした新刊、ついに登場です!
公認会計士という本業の傍ら、テレビのコメンテーターや新聞・雑誌連載で活躍中の山田氏の、斬新な観察眼はどこから来るのか。
「分析の6つのモノサシ」「5つの3秒テクニック」「山田式『黒十字アイデア法』」など、20年間の試行錯誤のなかで培われたテクニックとパターンを初公開!
3つマネれば、仕事が、そして人生が劇的に変わる「着目のワザ」。今日の会議から使えます!
ご声援ありがとうございました!
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ちょうど「読む・書く・話す」の方を遅ればせながら読んだところで、多作すぎる齋藤先生を芋づる式読書するのはしんどいなと思っていたところだったので。
それなのに、smoothさんのスゴ本激オススメのお言葉…。
三色ボールペン方式が身につかず遠のいていた齋藤先生ですが、もう1冊芋づるでいってみることにします。
アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
私の場合、ずい分前に見かけて、気になる本として記事にしたにも関わらず、今まで読まなかったのが悔やまれます。
記事にしたヒント集以外だけでも、1本楽勝で記事が書けるくらい濃いコンテンツなんで、買っても損はしない1冊だと思いますよ〜。
毎回為になる書評ありがとうございます!!
正直、書評だけでお腹いっぱいなんですが(笑)
応援の意味も込めてアマゾン見てみます。
そういえば僕も先輩から勧められて三色ボールペン方式を読んだんですが、身につきませんでした。
3色ボールペン自体は便利で愛用してますが。。。
コメントありがとうございます!
私の記事、確かに長いんですが、「買わなくていい」とならないように、ネタバレには十分気をつけております(出版社さんにとってもご迷惑なんで)。
3色ボールペンに限らず、勉強法って、合う、合わないがあると思うんですよね。
その辺、こういう本でネタを仕入れて、実際に試してみるのがいいんじゃないかと思っています。
私自身の「超多色式」も、対象を色付きで記憶するタイプにはフィットする(私はそれ以外のやり方で覚えられません)のですが、同じやり方でやっている人見たことなかったですし。