2010年01月02日
【思考整理】「ワクワク会議」堀 公俊
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【本の概要】
今日ご紹介するのは、某リアル書店で大量に仕入れられており、前々から気になっていた作品。基本的に会議をやらない仕事なんで、会議系の本は読まない私なんですが、手に取ってみて、「これは会議以外にも使える!」と購入した次第。
タイトルにある「ワクワク」は「枠」にかけており、「フレームワーク」が今イチ使いこなせない、という方なら、きっと役に立つハズ。
もちろん、会議でも効果は十二分にあると思いますが、個人レベルでも「使える」1冊です!
【目次】
はじめに
序章 ワクワク会議の七つ道具
1 1本の線が会議を劇的に変えた!
2 なぜ議論がかみ合わないのか? ほか
第1の道具 2分割......シンプルに考えたいときに
1 白黒、はっきりさせてよ
2 どうやって決着をつけるか ほか
第2の道具 Tの字......異なる視点を統合したいときに
1 反省しても直らない......
2 なぜ同じ過ちを何度も繰り返すのか? ほか
第3の道具 ツリー......網羅的に考えたいときに
1 それで、本当に大丈夫?
2 大きいところからザックリと ほか
第4の道具 田の字......優先順位をつけたいときに
1 重要なことに集中しよう
2 モグラ叩きは貧乏ヒマなし ほか
第5の道具 時系列......順序立てて考えたいとき
1 ビジョンを絵空事にするな
2 時間は流れる、因果は巡る ほか
第6の道具 マンダラ......自由に発想したいときに
1 アイデアが10倍飛び出す!
2 近きは寄せて、遠きは離して ほか
第7の道具 3つの輪......バランスよく考えたいときに
1 3点セット好きの日本人
2 輪の重なりが関係を表す ほか
終章 もっとワクワクしよう!
1 変幻自在に姿を変える
2 いいとこ取りの合体技 ほか
おわりに/参考文献
【ポイント】
■必ず用意すべきポストイットの強粘着タイプワクワク会議では、"名刺サイズ以上"の大きめの付箋を使います。できれば、糊が強いタイプがお勧め。普通のタイプは、ホワイトボードに貼りつきにくく、枯葉のようにハラハラと落ちてしまいます。

■網羅的に考えたければ「ツリー」を使う
「ツリー」の最大の良さ。視点や切り口のヌケモレがチェックできることです。 (中略)
「ツリー」だと、個々の意見の位置づけやレベルも一目で分かります。かみ合わせがしやすくなります。
■自分の口癖で考え方が分かる
会議なんかで「そもそも……」なんてよく言う方、たいていはトップダウン型です。理念や目標といっ大所高所の話から具体的な話に進めていく、いわば演繹的な考え方です。(中略)
かたや、「とりあえず……」という発言をよくする人、大抵はボトムアップ型です。いま現実に起こっていることから、原理原則を導き出す、いわば帰納的な考え方です。
■両者のやり方の違い
●トップダウン型
●ボトムアップ型・モレやダブリをつくらない
・各階層の粒の大きさ(レベル感)を合わせる
・2〜4つに分けていく
●理想的な方法思いつくまま全部出しちゃうのです。それこそ、とりあえず。(中略)
とにかく出しちゃいましょう。出して全体像を把握してから考えるというのが、とりあえず派の基本戦略ですから。
両方やればいいんですよ。両方から、1往復。
トップダウンでつくり始めたら、それがうまくできているかをボトムアップでチェックする。うまく収まらないなら、もう1度トップからやり直す。なかでも最初の1,2段目の切り口を思い切って変えてみることです。
■万能選手な「田の字」
●ペイオフマトリクス
●重要度/緊急度マトリクス(詳細略)タテは効果の軸です。効果が大きい⇔小さい、となります。ヨコは実行しやすさの軸です。簡単にできる⇔難しい、となります。
●ポジショニングマップ(軸はケースバイケース)
●SWOT
今度は軸を立てるのではなく、表として使います。左上から強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)です。この頭文字をとって、SWOTと呼びます。(中略)
ここからがSWOTの面白いところ。内部資源(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を突き合わせて、どんな手が打てるのかを考えます。
■切れ味のよい軸を探す
軸には切れ味があります。出されたアイデアや課題がバランスよく分けられるのが、キレ味のよい軸です。
逆にいえば、せっかく切ったのに、同じところにアイデアが固まっていたのでは、切った意味がない。たとえば「ポジショニングマップ」をつくるときに、機能と価格の2軸にすると、商品がほとんど斜めに並んでしまいます。キレ味が悪いのです。もう1度、キレ味のよい軸で切り直しましょう。
■途中でも道具を気にせず取り替える
例をひとつあげましょう。「ツリー」をつくっていると、中断あたりに同じ項目が並ぶことが時々あります。顧客を、第1段では大人と子どもに分け、第2段ではそれぞれ男と女に分けるといったように。これでもMECEになっていますが、なんかおマヌケな感じがしますよね。
そういうときは、「田の字」に変換してみてください。タテ軸に大人か子どもか、ヨコ軸に男か女か。四字熟語でいれば老若男女です。どうですか、ずいぶん、スッキリしましたよね。
■どのワクを使うべきか?
●分からないときは「マンダラ」から始めよ
●迷ったら「ツリー」をつくることを考えよどんな切り口を立てればよいのか分からないんだったら、みんなの意見の中から切り口を探すしかありません。それには、「マンダラ」しかない。
「ツリー」はテーマを選ばない上に、どんな人の頭にもスッと入るからです。(中略)
しかもツリーがよいのは、他のワクに簡単に転換できること。
切り口が2つしか出なかった……「2分割」に転換できませんか。3つ出てきた……「Tの字」や「3つの輪」が使えませんかね。重複するものが出てくるときは、「田の字」にするという話、さっきしましたよね。あまりに複雑になってきたら、「時系列」を使うことを考えてみるといいかもしれませんよ。
【感想】
◆目次に「7つの道具」なんてある割には、「ツリー」と「田の字」の2つしかご紹介していないようなw目次の大見出しを拾っていただければわかるのですが、一応ここでまとめておきます。
「ツリー」と「田の字」にフォーカスしたのは、本書に『「ツリー」と「田の字」の2つを覚えておけば、とりあえず、かなりのテーマは乗り切れます』とあったから。2分割:シンプルに考えたいときに
Tの字:異なる視点を統合したいときに
ツリー:網羅的に考えたいときに
田の字:優先順位をつけたいときに
時系列:順序立てて考えたいとき
マンダラ:自由に発想したいときに
3つの輪:バランスよく考えたいときに
それと同時に、図を作成する際に、色々と迷う点が多いと思われるのも、この2つだと思います。
◆特に「田の字」における「軸の切り方」は結構難しいのではないか、と。
私自身、当ブログでご紹介した書籍を用いた「モテ本マトリックス」を作ろうと思いつつ、未だできないのもそれが原因だったりします。
上記で触れたように、「せっかく切ったのに、同じところにアイデアが固まっていたのでは、切った意味がない」ワケですから、できるだけ4象限がうまく活きるようなものを作らなくては。
具体的には「ナンパ本」がうまくバラけないんですよね……。
◆同様に
とありましたが、例えば先日ご紹介した「ファストファッション戦争」では、書籍内に登場するブランドをマッピングしたものが収録されていました。「ポジショニングマップ」をつくるときに、機能と価格の2軸にすると、商品がほとんど斜めに並んでしまいます。

このマップですとヨコ軸が「低価格⇔高価格」、タテ軸が「トレンド⇔ベーシック」となっており、上手い具合にバラけています。
ちなみに、ABCDの4つのブランドには「ユニクロ」「無印良品」「アバクロ」「H&M」のどれかが該当していますので、ちょっと考えてみてくださいw
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参考記事:そろそろユニクロ以外のファストファッションについてもひと言言っておくか(2009年12月28日)
◆また終章では、著者が依頼を受けて行う「組織活性化のワークショップ」や「問題解決型のワークショップ」における、それぞれの時系列でのアクションに対応する「ワク(道具)」が紹介されていて、これも参考になりました。
あらかじめ決めておかずに自然の流れに任せるやり方もあるそうなのですが、「一定の時間にそれなりのところまで持っていくには、段取りを組んだ方が速い」よう。
そしてやはり、こういったフレームワークを使いこなすには「場数を踏む」ことが重要らしいので、本書を読んで、まずは基礎知識を吸収しておいていただければ幸いです。
私も今年は、少なくとも「ツリー」と「田の字」の2つは使いこなせるようになりたいものだな、と。
新年早々、お役立ちな本を紹介してみましたw
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【関連記事】
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【社長の切り札】『「社長力」養成講座』小宮一慶(2009年03月18日)
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【編集後記】
◆この休みに、子ども達と水道橋の「おもちゃ王国」に行ったのですが、そこでウチのムスコが大はまりだったのがこのおもちゃ。![]() |
大昔から「黒ひげ危機一髪」はあったと思うんですが、この製品の面白いのは、飛び出す直前に樽がビリビリ震えるところ。
しかも飛び出さない時にも、たまにビリビリするので、初期製品のように剣を刺して一瞬でオワリというわけではなく、ドキドキ感が何度か味わえるという。
ムスコと二人で30分くらい熱中してやってますたw

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