2009年12月26日
意外と知られていない「グーグル時代の情報整理術」のテクニック10選
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【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、既に聖幸さんがご紹介済みの情報整理術の本。失読症のgoogle元最高情報責任者が教える『グーグル時代の情報整理術』:俺と100冊の成功本
私も本書は1週間ほど前の注目本の記事の初っ端で取り上げており、しかもその時点で購入済みだったのに、完全に出遅れますた。
そこで今回は、この中から特にピンと来た、著者の「整理術の原則」を簡単にご紹介してみようかと。
なお、タイトルはもちろん(?)ホッテントリメーカー作ですw
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
1 自分を客観的に見つめ直す
第1章 自らの脳を探る旅
第2章 どうしようもなく間違った現代社会の仕組みと向き合う
第3章 自らの制約と向き合う ほか
2 新時代の整理術を身に付ける
第5章 検索が重要なワケ
第6章 検索技術をマスターする
第7章 情報を目立たせるには ほか
3 大小さまざまな困難に打ち克つ
第12章 注意の散漫をなくし、仕事に集中する方法
第13章 仕事とプライベートを融合させる方法
第14章 想定外の出来事に対処する ほか
エピローグ 考えるな、滑れ!
筆者のお勧めツール
訳者あとがき
【整理術の原則】
■1.なるべく早く、頭の中から情報を追い出そう◆私たちが何かに気が付いた場合、その情報は短期記憶に移動します。
そしてそこで、その情報が自分にとって重要か否かを判断するのですが、問題は短期記憶できる容量に限界があること。
やたらと溜め込もうとすると、かえってダメということのよう。短期記憶には、最大で9個の情報しか保持できない。そこで、私の整理術の原則その2。
なるべく早く、頭の中から情報を追い出そう。
これは、整理術の本の著者の多くが唱えている。いったん頭を空っぽにしなければ、短期記憶は情報であふれ返り、本当に覚えたいことを忘れてしまう。
■2."ながら作業"は一般的に効率を低下させる
◆これに関しては、先日ご紹介したこちらの本でも「マルチタスクの弊害」といった形で言及されていたかと。
エドワード・M・ハロウェル, 田口 未和 ¥ 1,680 |
参考記事:【時間術】「ビジネスパーソンの時間割」に学ぶ7つの処方箋(2009年12月07日)
かつてグーグル社では、「ノートパソコンを開いたまま会議に参加する」という習慣があった(皆忙しいため)のですが、逆に効率を低下させていることが判明すると、一部の会議では「ノートパソコン禁止」となったのだとか。
これは私見ですけど、脳梁が女性に比べて細い男性の方が、人の話を聞きながら何かするのが苦手な感じがw(私は全くダメです)
■3.何かを記憶する場合、物語は大きな助けとなる
◆本書のこの例で「なるほど」と思ったのですが、例えば「最後に、レストランで注文した料理と違う品が出てきたのはいつか?」と問われると、その出来事を「物語形式」で思い出す人が多いのだそう。
同様に、ある事実を思い出すには、「そのときに何をしていたのか」を思い出すのが効果的。
そこで一ひねり。
ここまで来ると、むしろ記憶術に近いですけど。「物語を使って覚える場合は、情報を記憶する前に、そのデータをあとでどう利用するかを考えよう。そして、あとで思い出しやすい形式で、情報を物語に組み込もう」
■4.知識は力ならず、知識の共有こそ力なり
◆私の得意な「他力本願」(?)。
最近ではTwitterがその役割を担っている感じがします。仕事であれプライベートであれ、知識をため込むのではなく共有することで、はるかに効率を上げ、ストレスを減らすことができる。考えてみれば、「三人寄れば文殊の知恵」といわれるくらいなのだから、部屋中の人々と知識を共有すれば、全員で実現できないことなどほとんどないはずだ。
■5.思い込みの制約ではなく、現時的な制約をくぐり抜ける術を身に付けよう
◆例えば9時5時の勤務体制も、工場のラインの人なら「現実的な制約」ですが、人によっては必ずしも9時5時にいる必要がないにもかかわらず、「思い込みによって」職場にいたりします。
・・・自営業の私もそうですね、ってスイマセン、嘘つきました。9時までに事務所に来てません。
このブログの記事の長さも1/3くらいにしてもいいんじゃないか、と思いつつ、思い込みの制約で、今回もいつも通りになりそうなwどのような制約であっても、真っ先にしなければならないのは、制約を把握することだ。何分間かかけて、あなたの生産性を低下させ、整理を阻害している制約を思い浮かべ、書き出してほしい。次に、見つけた制約が現実的な制約なのか、思い込みの制約なのかを判別してほしい。やってみると分かるが、なかなか一筋縄ではいかない。
■6.大きなかたまりを、小さなかたまりに分けよう
◆何かに行き詰ったら、細分化してひとつずつ取り組むとうまくいく、というのは類書でも良く見るお話です。
この方法のおかげで、著者は大学の成績は悪くなかったそう。この原則を実践するために、まずは情報が「無視できる情報」なのか「あとで必要になる情報」なのかを見分けるクセを付けよう。次に、「あとで必要な情報」をさらにふたつのグループに分ける。「物理的または電子的に保管してあとで参照する情報」と「脳に記憶すべき情報」だ。情報を記憶しやすいように、物語を作ったり、目的を関連付けたりして、情報に文脈を持たせよう。
そして社会に出た後も、同じような方法で書籍、記事、メールの情報をえり分けてきたわけです。
具体的なツール(Gmail、Googleカレンダー等)の使い方等は第9章、第10章に詳しいのですがここでは割愛。
■7.完璧な整理術などない
◆訳者あとがきでも触れられているように、この考え方が、本書が最も類書と違うところかも。
そして、本書の8章以降で展開されるツールについてもこのような記述が。目標は、完璧な整理術を築くことではない。それは不可能だからだ。重要なのは、その方法の限界を把握し、それをうまくくぐり抜ける方法を見つけ出すことだ。
なお、その第8章とは「紙とデジタルの使い分け」。ここでも、案内役になるのは「目的」だ。目的は、情報の保存方法や整理方法を決める助けになる。私は、利用するツールを決めるとき、情報の目的に関して次のように自問している。なぜその情報は必要なのか? いつ、どこで、どのように使う可能性があるか? いつまで保存しておけばよいか? 私以外にその情報を利用する人は?
具体的な紙情報(記事、明細書、法的文書等)それぞれにおける、紙とデジタルの使い分けについて言及されているのですが、これも長くなりますので、詳細は本書でご確認を。
【感想】
◆私が今まで読んできた整理術の本の多くが、技術論と言うか、テクニックやツールの話が多かったと思います。しかし本書は、前半部分が考え方というか、「これって、情報整理?」的な内容で、正直面食らいました。
ただしこれは、著者が自分が失読症であるがゆえに、認知科学を極め、たどり着けた結果だったという。
今回、上記で列挙した原則も、その流れに沿うものです。私は社会構造の大半が人間の脳の仕組みと矛盾していることに気付いた。これこそが、自分自身や情報の整理整頓を困難にしている大きな要因なのだ。
◆もちろん、上記で触れたようにGmailやGoogleカレンダーを中心とした、ツールの使い方もびっしり書かれているのですが、「それってポジショントークでしょ?」と言われるのを気にしているのか、いちいち他者製品(アウトルック等)にも言及しているのはご愛嬌w
全体を通して図やイラストもなくひたすら文字が詰まってますので、Gmail、Googleカレンダーあたりは、全くの初心者の方だと分かりにくいかもしれません(新書だからしょうがないのですが)。
個人的には、元々Gmailが「社内のメールを簡単に検索できる方法」として開発された、というのが興味深かったです。
また、メールを開いた状態で、「そのままそのメールの発信元をキーにしたフィルターが作れる」というのは、今まで知りませんでした(←私だけ?)。
◆他にも、合間合間にコラム(?)が挿入されており、これもなかなか面白いものが多かったです。
その中で紹介したいのが「子どもの学習効率を高めるのは」というもの。
全部は抜ききれませんのでタイトルだけ。
ウチのムスメも来年から小学校なので、参考にしてみたいな、と。・物語を利用する
・繰り返しを利用する
・優先順位を付ける
・限界を知る
◆本書は聖幸さんも言われているように、「350ページ超のボリュームで1365円とかなり割安感」があります。
ただ、「文字だらけの新書」で350ページ超を読むのは結構大変かもw
私は他の本と平行して読んだとはいえ、余裕で3日以上かかりました。
前半の考えさせられるパートも踏まえて、「骨のあるハック本」がお好きな方にお勧めしておきたいところです。
やはり翻訳本は濃いですわw
【関連記事】
【超仕事術?】「仕事するのにオフィスはいらない」佐々木俊尚(2009年07月20日)【整理術】「整理HACKS!」小山龍介(2009年06月29日)
【情報処理】「情報力」橋本大也(2009年01月19日)
【仕組み】『「仕組み」整理術』泉 正人(2008年09月29日)
【超】『超「超」整理法』野口悠紀雄(2008年09月25日)
【編集後記】
◆sotacafeさんがつぶやいていて気になった本。かなり凝った仕掛け絵本のよう。
アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ, 池澤夏樹 ¥ 4,998 |
誰かにプレゼントする機会があれば是非!
ご声援ありがとうございました!
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僕のブログちょっと気分がいされると思いますが、
書いてます♪またのぞきに来ますね。