2009年12月22日
【勉強】「コンサルタントの勉強法」野口吉昭
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、一連のPHP新書の「コンサルタント」シリーズでヒットを飛ばされた野口吉昭さんの最新刊。タイトルで「勉強法」とあるものの、俗に言う広義の勉強法であり、当ブログお得意の(?)試験突破を目的とした「ガチな勉強本」ではありません。
その分、あまり期待しないで読んだのですが、これがどうして付箋貼りまくり。
今まで読んだ広義の勉強本の中でも1,2を争う濃さではないか、と。
【目次】
第1章 プロならば「勉強させていただきます」はNGワード―コンサルタントにとって勉強とは何か
第2章 まず長所を伸ばし、次に弱点を補え
第3章 勉強ができる人とは、仕組みと環境づくりができる人
第4章 点・線・面を意識すると、勉強は深みを増す
第5章 知識を認識、見識へと高めるための勉強法
第6章 野口式スピード読書術のススメ
【ポイント】
■「知識」「認識」から「見識」へと勉強ステージを上げていく要するに「知識」とは、そのことについて知っている、つまり人から与えられた情報ではなく自分のものにしているというレベルである。これが「認識」になると、その知識の本質を理解し、自分なりに意味づけることや価値づけることができるようになる。そして「見識」とは、ある物事に対してしっかりとした鑑識眼を持ち、ぶれない軸を持って見通すことができる力のことである。
■得意なことから、好きなことからはじめたほうが勉強は長続きする
人がもっとも意欲を持って勉強に取り組むのは、will(したい)、must(すべき)、can(できる)の3つの条件がそろっているときである。(中略)
このcanとwillがそろっているもののなかから、mustの重要性や緊急性が高いテーマを勉強テーマとして選べば、長続きする確率はかなり高いし、深い知的好奇心や探究心を持って取り組むことができるはずだ。
■1冊のテキストがマイルストーンの役割を果たしてくれる
知識の習得と実践を繰り返すなかで、1冊の本をテキストとして読み直す。すると最初は理解できなかった部分が理解できるようになり、ピンとこなかった部分についても読んで閃くようになる。つまり、1冊のテキストを基準にして、自分がどこまで成長しているか(何がわかり、何がわからないか)を測ること(見える化)ができるようになるわけだ。
■スクールでは知識ではなく、合格までの勉強の仕方を学ぶ
予備校や資格スクールは、勉強を教わる場ではなく、勉強の仕方を教えてくれる場として活用するべきである。また勉強を教えるのではなく、勉強の仕方を教えようとしている教師に師事するべきである。
■良質な雑誌を定期購読して視野を拡げる
これはビル・ゲイツも言ってることだが、定期購読のいいところは雑多な情報が勝手に自分のなかに入ってくることだ。これがもし直接書店に行ったり、キオスクで気がついた際にのみ雑誌を選ぶとなると、どうしても興味のある特集記事が載っている雑誌しか買わなくなる。つまり情報の視野が狭くなる。
■情報には「点の情報」「線の情報」「面の情報」がある
出版物でいえば、新聞は「点」であり、雑誌は「線」であり、書籍は「面」である。営業マンでいえば、日々の営業情報や顧客情報は「点」であり、週報や月報は「線」であり、中期営業戦略は「面」である。(中略)
人は頭のなかに1度面ができあがると、点や線の情報が新たに入ってきたときに、その情報が全体のなかでどのような位置づけや価値を持つのか、面のなかに落とし込んで判断することが可能になる。そして、その「面の質」がどんどん上がっていくのだ。
■"新聞"ではなく"本"を読め
情報ゼロ、知識ゼロのビジネスパーソンが勉強を始めるのなら、点の情報を収集するよりも、まずは面の情報を仕入れいることに力を注いだほうがいい。つまり出版物でいえば、新聞(点の情報)よりも書籍(面の情報)を読むべきである。「社会人になったのだから、日経新聞を読もう」と考えるのではなく、日経新聞を理解し、自分のビジネスマップの1つにするためにも「本を読もう」と考えるべきなのである。
■コンセプト思考とゼロベース思考で、知識を認識や見識に高める
●コンセプト思考
ここでいうコンセプトとは、「概念」ではなく「本質」という意味である。
「モーツァルトってどんな人?」
「iPhoneの魅力は?」
「民主党の弱点は?」
こうした質問をだれかからされたときに、ひと言で答えることができ、しかもその答えが本質を突いている。こういう答えができる人が、コンセプト思考が身についている人であるといえる。
●ゼロベース思考
「この延長線上に答えはない」と直観したときに、自分が設定したフレームワークを一度ゼロベースに引き戻す。そしてそれまで自分が執着してきたフレームワークとは、まったく違う観点からフレームワークを再構築し、もう1度本質をつかむ作業に取り組むのである。これがゼロベース思考である。
■1日で30冊を読む野口式スピード読書術
本を読んでいるあいだに気になるキーワードやセンテンスが出てきたら、赤ボールペンで該当箇所にどんどんマルをつけていく。(中略)
次に私は、A3やB4サイズの大きめの紙を用意して、マルで囲んだキーワードや書き込みを1つ1つ本から紙に転記していく。(中略)
そして「キーワード集」をつくったら、今度はそのキーワードをロジックツリーやマインドマップやフレームワークに落とし込み、整理していく作業に入る。
【感想】
◆ポイントとしてピックアップする部分は、基本的に数行で収まるところが中心なため、ネタ的に美味しくてもカットしてしまったところがいくつかありました。その中の1つが「情報収集のための行動の3つのフェーズ」というお話。
これはまず、それぞれのフェーズについて、雑誌の定期購読のように、自ら能動的に行動しなくても自然と情報が入ってくる状態を「行動0」、書店やキオスクに足を運んで書籍や雑誌を購入したり、ウェブで検索するのを「行動1」、話題のスポットを直接訪ねて行ったり、キーマンに会ったり、セミナーを受けるのを「行動2」と仮に名付けたとします。
この場合において、行動1や行動2をより実りあるものにする場合、「日ごろから行動0によって、情報が自然に入ってくる仕組みを作っているかどうか」がカギになる、ということ。
◆例えば、何かしらの企画等を立てる場合でも、行動0が全くないと、いきなり行動1から始めなくてはならず、必然的に収集できる情報や獲得できる知識は、かなり浅く狭く限定されてしまうことになります。
本書では、野口さんの行動0のうち「定期購読している雑誌」が11誌ほど紹介されているのですが、ここでは割愛(詳細は本書にて)。つまり行動0によって、日頃から情報収集をしておくことで、行動1や行動2へとつながるヒントが、比較的容易に見つかるのだ。すると先手先手で行動1や行動2を起こせるため、仕込みに時間をかけることができ、得られる情報や知識も広く深いものとなるわけだ。そして当然アウトプットも変わってくる。
◆割愛ついでに(?)ご紹介しておくと、本書には野口さん(&会社のスタッフ)選の、「ビジネスパーソンの必読書ランキング」が掲載されており、4ページほどにビッシリと164冊もの書籍が挙げられています。
さすがにコンサルタントさんだけあって、「なるほど」と思わせられるラインナップ。
中には「え? これも?」と思う作品もあったりして、これだけでブログ記事が1本書けそうな感じですw
◆ちなみに、第4位にランキングされている、私自身以前から気になっていたこの本。
ページ数も500ページあって、一筋縄ではいかないと思っていたところ、こんな本を発見。
グローバルタスクフォース ¥ 1,890 |
言い訳が多彩杉ワロタwww本書は、ポーター教授の名著『競争の戦略』を、「読みたい!でも難しいので読めない」「一度読もうとしたが挫折した」「そのうちに読もうと思っている」「読む必要性は感じているが、現在は部屋の飾りとなっている」方々に救いの手を差しのべる一冊です。
でもこの本も330ページもあるんですよね・・・。
◆また、第6章では「野口式スピード読書術」が疲労されているのも見逃せないところ。
私が激プッシュしている大石哲之さんの「ロジカルシンキング・リーディング」では、「同じ分野の本を10冊読む」だったところが、こちらは「30冊」ですよ。
上記ポイントにもあったように「キーワード」や「センテンス」がまとめられたものの実例が掲載されていますので、気になる方は本書の180〜181ページをご覧下さい。
「読書」を情報収集のための「手段」として捉えると、ここまで効率化できるという良い例だと思います。
◆私は野口さんのご本を読むのは初めてなので分からなかったのですが、本書でも触れられているように、テーマ的に過去の著作と一部かぶるところがある模様(「知識」「認識」「見識」等)。
それでも全体的なクオリティを考えると、なかなかコストパフォーマンスは高いのではないか、と。
コンサルタントさんが自己啓発系の本を書かれると、ある程度色合いが似てくるのかもしれませんが、勝間さんの「フレームワーク本」に近い感じ(あんなに図はないですが)。
少なくとも私にとっては買ってよかった1冊です。
「広義の勉強法の本」としては、かなりオススメ!
野口 吉昭 ¥ 1,050 |
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【編集後記】
◆上記の「ビジネスパーソンの必読書ランキング」の中に積読状態の本を何冊か発見しました。そのうちの1冊がこちら。
年末年始に読みたいと思う反面、保育園がない分、いつもより時間はキチキチなんですがー。
ご声援ありがとうございました!
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