2009年11月24日
【速習】「頭がよくなる魔法の速習法」園 善博
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、かつては勝間和代さんのフォトリーディングの講師だったことで知られる園善博さんの最新刊。前作でも、ご自身が提案されている速読法である「速習術」のコンテンツを開示していましたが、本書はそれをさらに細かく展開。
さらに、読むだけでなく「学習に活かす」ところまで踏み込んだ内容となっています。
前作をお読みの方でも、「一読の価値アリ」だと思われ。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 最強の勉強法「速習法」とは何か
1 速習法は、「知識の定着」にもっとも適した方法
2 速習法は、脳科学と認知心理学に基づく勉強法
3 すでに持っている知識の量が、学びの深さと速さを決める ほか
第2章 「速習脳」のつくり方(1)目的を明確化する「プリペアードマインド」
1 「何のために本を読むのか」を明確にする
2 本を読む前に「プリペアードマインド」をセットする
3 「目的」と「報酬」が決まれば、処理能力が上がる ほか
第3章 「速習脳」のつくり方(2)これから読む本の下見をする「プライミング」
1 「プライミング効果」を利用すれば、本は速く読める
2 「プリペアードマインド」と「プライミング効果」を使って読む
3 プライミングの具体的なかけ方 ほか
第4章 年間500冊を可能にする速習法という魔法
1 速習法は、「3つの方法」を使い分ける勉強法
2 勉強の第1歩は「概要を把握する」こと
3 スキミング・リーディングで概要把握 ほか
第5章 速習法が120%生きる記憶定着テクニック
1 わずか4時間で、覚えたことの半分を忘れてしまう
2 「頭」と「体」の両方で学んだほうが、思い出しやすい
3 分けて読む「分散型読書法」で記憶の定着を図る ほか
【ポイント】
■速習法の目的は「本の内容を理解して、記憶を定着させること」私の読書スキルが「速読」ではなく「速習」なのは、「知識を定着させる=知識を身につける」ための勉強法であり、また、「誰にでも身につくスキル」だからです。
つまり、読書スキルが身につき、習慣となり、その結果、実際に役立つ知識が身につく。だから「速習法」なのです。
■「知らないことは何か」を明確にする
「既有知識がまったくない」のであれば、入門書からコツコツ勉強していくのが最善策です。
けれど、ある程度既有知識を持っている分野であれば、事前に、「既有知識をどれだけ持っているのか」を確認するのが得策だと思います。(中略)
つまり、知識をインプットする前に、一度アウトプットして、「現時点での自分の実力」を測っておく。そうすれば、勉強をするうえでの「重点箇所」が見えてくると思います。
■勉強を始める前や本を読む前にプリペアードマインド(準備された心)をセットする
【プリペアードマインドを設定するための4項目】
(1)目的(目的と報酬)
(2)条件(環境と能力)
(3)欲求
(4)イメージ
わかりやすくいうと、
「目的を明確にして、それを達成するための条件を整えるとともに、達成したいという欲求を強く持ち、うまくいった自分をイメージする」
ということになります。
■本をいきなり読みはじめるのではなく、まずパラパラとめくってみる
私たちの脳は、一瞬でも見聞きした情報を「プライミング記憶」として記録しています(無意識のうちに記録した情報なので、半永久的に、記憶として残るわけではありません)。
ということは、本を読む前に、ページをパラパラとめくり、「目的」とかかわりのあるキーワード(先行刺激)をあらかじめ見つけておくようにすれば、プライミング効果をさらに引き出すことができます。
■使い分けるべき、速習法の3つの方法
●「スキミング・リーディング」(概要把握)
●「ターゲット・リーディング」(詳細把握)
●「トレーシング・リーディング」(通読)
「速習法」は、この3つの読み方を、「既有知識」(すでに持っている知識)の量や目的に応じて使い分けるのがポイントです。
■知っている知識がなければ、大まかなところからはじめる
「既有知識」がないときは、専門用語を知らなくても読める「入門レベルの本」から読みはじめるようにして、その分野の「概要を把握」しなければなりません。
速習法は「知識を積み上げていく学習法」ですから、積み上げていくための基礎をつくっておく必要があるわけです(認知心理学における「トップダウン処理」)。
■「概要把握」は「体制化」しながら行うとよい
概要把握するときは、情報を整理しながら勉強すると効果的です。(中略)
やみくもに暗記するよりも、情報を、関連性のあるまとまりに分け、整理し、構造的に記憶するほうが、学習効果が高くなるのです。
認知心理学では「関連性のあるまとまりに分け、整理する」作業のことを「体制化」と呼んでいます。
■スキミング・リーディング ステップ1 「目次」を読む
目次は、頭から読むのではなく、「はじめに章タイトルをすべて読み、次に中見出しをすべて読み、最後に小見出しを全て読む」という順番で読みます。そのほうが概要把握につながるからです。
■仕事の資料を読むときも「ターゲット・リーディング」は有効
受講生の藤野緋沙子さんは、「時間のかかる仕事をするときは、まずスキミング・リーディングで全体感をつかみ、ポイントをピックアップ。そしてそのポイントをもとに『問題解決のための仮説』を立て、ターゲット・リーディング。すると、読み進めるほどに解決策が拾えるようになる」といいます。
■「視覚記憶」を鍛える
一般的に私たちは、「聴覚記憶」のほうが使い慣れているため、視覚から入った情報を内言語化し、「聴覚記憶」に置き換えてから覚えています。その分、「視覚記憶」が弱くなっているので、勉強の合間に、「視覚記憶」を強くするトレーニングをするとよいでしょう。「視覚記憶」が強くなれば、映像として覚えておくことができるので、「エピソード記憶」を鍛えることにもつながります。
【感想】
◆当初はいわゆる「速読の本」だと思って読み始めたのですが、想像以上に「記憶・勉強」寄りに仕上がっているので、ちょっとビックリしました。正直、雑誌等で言うところの「勉強本」(私は「広義の意味での勉強本」と呼んでいます)より、よほど勉強に役に立つ感じ。
その辺が、この「速習法」が、単なる「速読術」ではない、とされているゆえんなのかもしれません(フォトリーも「情報処理術」ですが)。
また、具体的な談話はないものの、脳科学者である池谷裕二さんほか、多くの専門家に脳科学・心理学でのアドバイスを受けたとのことで、本書内にも脳科学・認知心理学の用語も多数散見されています(「視覚記憶」と「聴覚記憶」のお話とかは、私は初耳でした)。
◆そして、おそらく速習法の基本的なメソッド自体は、前作と変わっていないハズなのですが、とにかく、本として結構作りこまれており、増加したページ数以上に、情報量がかなり増えた印象があります。
「『体制化』したノートのサンプル」や「『プリペアードマインド シート』」を初めとした、図やイラストの使い方もさることながら、個人的に嬉しかったのが、ページの端っこが章ごとにラベルのように色分けされていること。
こんな感じで自分がどの部分を読んでいるのかが視覚的に分かるというw
上記ポイントでも「目次を読む」というのがありましたが、本書はきれいに「章タイトル」「中見出し」「小見出し」が「階層化」されており、この本自体が「速習法のテキスト」としても使える仕様ですね。
◆なお、速習法のやり方自体は、意外と「王道系」というか、「目に焼き付けましょう」とかはないですw
「3つの読み方」(「スキミング・リーディング」「ターゲット・リーディング」「トレーシング・リーディング」)の「使い分け」についても納得(詳細は本書を)。
上記ポイントで事例があったように、実際の仕事にも活かせます。
私自身も、仕事で税法の専門書等を読む際には、本書で言うところの「ターゲット・リーディング」(のようなものw)をやっているつもりですし。
◆さて、実際に速読の教室等を運営されている方の速読本ですと、「続きは教室で」となりそうな気がします(私だけ?)が、本書は突っ込んだ内容になっており、勘がいい方だったら本書だけでもかなりマスターできそうなヨカン。
前作より、パワーアップした、という印象は、両書を読まれた方なら、同意してくださるかと。
ただし、速習法のコンテンツが変わったわけではないので、前作をお持ちの方は、書店で確認して納得されてからの方が良いかも。
もちろん、前作をお読みでなければ、無条件でオススメ!
情報処理能力がアップすることウケアイです!
園 善博 ¥ 1,365 |
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「速読勉強術」宇都出雅巳(2007年02月03日)
【編集後記】
◆昨日のアマゾンアタック。成毛 眞 ¥ 1,500 |
ホリエモンが薦めていた(?)ので、ついw
てか、成毛さんの「5%ルール」、テラコワス!
ご声援ありがとうございました!
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