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2009年11月20日

【ライティング】「書いて稼ぐ技術」永江 朗


書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)
永江 朗
平凡社
売り上げランキング: 3907


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、以前「<不良>のための文章術」を取り上げたことのある永江 朗さんの「フリーライター推奨本」

参考記事:【文章術】「<不良>のための文章術」永江 朗(2008年12月17日)

「文章書き方指南」というよりは、ライターという職業のキャリア関係のお話が中心でした。

アマゾンの内容紹介から。

ライターは名乗れば誰でもなれるが、それで食べていけるかが肝心。小説家や評論家になるための踏み台? 印税生活なんて幻想? 「文筆生活」を夢見る人におくる実践的キャリアデザイン術。

自分自身、一時期紙媒体で記事を書いて原稿料を頂いていたことがあるだけに、非常に興味深く読むことが出来ましたし、また「メモ術」「読書術」「質問術」といった、「知的生産術」は、一般ビジネスパーソンの皆さんにもお役に立つはず!


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【目次】

Part1 書いて生きるということ

 1.不況だからこそフリーライター
 2.ライター業の手始め
 3.人生設計をどう立てるか ほか

Part2 読み書きのしかた

 4.永江式発想術
5.取材のABC
6.ライターは読者の代行業である

Part3 世渡りのしかた

7.業界を渡る、世間を渡る
8.お金の話
9.リスク管理術

あとがき


【ポイント】

■「やりたいこと」より「できること」

 大切なのは、「やりたいこと」より「やれること」、「できること」です。いまできることをやればいい。手持ちの札だけで勝負する。いちばん堅実で間違えないやりかたです。やれることをやりながら、少しずつやれることを増やしていけばいい。


■出版社に営業する

 編集者はライターの営業をよく断りますが、新しい才能を常に求めているのも事実です。「書き手はじゅうぶん間に合っています」ということはありません。たとえ「とりあえず間に合っている」状態であっても、現在の書き手よりも素晴らしい書き手が現れたら、あっさりとそちらに乗り換えます。それが出版という世界の非常さです。


■得意分野をつくっておく

専門分野とまではいわないけれども、得意分野をつくっておくことです。その分野の仕事を重点的にするうちに、ある時点からは意識しなくても自然と情報が集まってくるようになり、人脈なども広がっていきます。編集者に「このジャンルならあの人」と認識されれば、営業しなくても仕事の依頼がくるようになります。


■メモ術に決定的なものはない

 どんなメモ術も、それぞれ一長一短があります。完璧なものはありません。ビジネス書売り場にあるメモ術の本は、どれも「これぞ決定的な方法」というふうに謳っていますが、残念ながらそうじゃない。(中略)

 私がたどりついた結論は、最初から、メモ術は不完全であり、いつか飽きると思いながら使う、ということです。今はたまたま最良に見えるけれども、来年は飽きているかもしれない。飽きたらかえればいいじゃないか、と気楽にやればいいのです。


■企画書はシンプル・イズ・ベスト

 企画書はシンプル・イズ・ベストです。簡単なのが一番よろしい。ある出版社の企画会議は、タイトル案と著者名だけで行うそうです。その会社の社長の自論は、読者にとって情報は書名と著者名しかない、だから書名と著者名で伝わらない企画はダメだ、というもの。


■検索エンジンは下位にあるものに注意する

 もうひとつは、上位に出てくるサイトだけでなく、できるだけ下位にあるものにも目を通すようにすることです。検索エンジンは基本的に参照者の数が多いほど重要だ、というロジックでつくられています。しかし、参照者の数が多いということは、それだけすでに知っている人が多い情報だということであり、情報の希少性は薄れます。フリーライターにとっては、あまりおいしくない情報だということになります。


■第一章がだめな本は、全部だめ

 前書き、後書きを読んで、とても興味を引かれるようだったら第一章を読みます。たいていの著者は第一章から書き始めます。書き始めはだれでも悩みます。どんな文体で、どんなリズムで、どんなふうに書いていこうか、と。書いては消し、書いては消し。そうやって書かれた第一章は力がこもってます。第一章がだめな本は、第二章以降もだめです。


■質問はたくさん考える

 1時間の取材で質問できるのはせいぜい10個が限度でしょう。
 しかし質問は100個考えます(200個でも300個でもいい)。そこから絞り込んで30個にし、さらに10個に絞り込みます(そして予備に5〜6個をとっておきます)。
 最初から10個しか考えないと、つまらない質問ばかり10個になります。100個考えた中から10個選んだのであれば、それは精鋭の10個です。10個のいい質問をするためには100個の質問を考えなければならない。


■フリーライターの質問術は『敏感力』

あたりまえのことを異常と感じ、自明なことをあえて問い直す。まずは過敏になることです。さらにいうならフリーライターにとって「当たり前」や「当然」は禁句です。「当たり前」「当然」「自然なこと」といった瞬間、思考停止に陥ってしまいます。


■批評術について

ライターは読者の代行業である、という考え方からすると、書評もCD評も映画評も、忙しい読者に代わって本を読み、CDを聴き、映画を見る、ということが基本姿勢になります。(中略)

その本の内容だけかいつまんで紹介すればそれでいい、という考え方もありますが、それだけでは書評としては足りないと私は思います。書評にはバイヤーズ・ガイドとしての側面があります。買うべきかどうなのか。1500円を払う価値があるのかどうか。
 そのためには、その本、その作品の位置づけが必要になります。


【感想】

◆ここらでPart2が終わり、次からPart3の「世渡りのしかた」が始まるのですが、分量的にもこの辺がリミットかな、と。

実は、この後から「出版業界」の特徴やら「原稿料」「印税」といった生々しい話も出てきます。

ただ逆に、当ブログに多くいらっしゃる業界関係者の皆様におかれましては、よくご存知のことだと思われますので、思いっきりカットw

関係者以外のライターor著者に憧れる方は、本書をご覧下さいマセ。


◆一方、メインで取り上げた「知的生産術」関係のお話は、「実際にライターになりたいか」は別としても、参考になりました。

某出版社の企画書は「タイトル案と著者名だけ」というのも、いかにもな感じ(どこかは存じませんが)。

消費者の視点から逆算すれば、「さもありなん」なのですが、「良いものを作る」ことに燃えてしまうと(「良いもの」を目指すのは当然なのですが)、作り手側としては納得しにくいかと。

実際、翻訳書だと「タイトルもっと工夫してくれたらなー」ということもままあります。


◆本書で永江さんは、出版社への売り込みをまず推奨していますが、今だったらやはり「ブログを書く」のも一つの手。

たとえば、私が愛読している雑誌『SPA!』でビジネス本大賞の選者になられている内藤務さんは、戦略的にブログを運営して、その座を射止めてらっしゃいます。

週刊SPA!さんから取材を受けるようになった経緯:ビジネス本マニアックス−働くひとのためのスキルアップ ビジネス書エトセトラ−

記事の中で「SEOも意識していた」とあって、それゆえはてなダイアリーを選んだ、というのも納得。

そういえば、ブログタイトルも「ビジネス本」「ビジネス書」と両方入っていて、どちらで検索かかっても該当する仕様ですね。


◆なお、永江さんの単行本デビュー作は、「ヴィレッジヴァンガード」の初期の頃を描いたこちらの本です。

永江 朗 ¥ 2,310

書店経営者に読んで欲しくて書いた、というだけあって、出版業界ではこの本を知る人も多く、その点でもライターとして活動しやすかったそう。

その後も「出版業界」に関する著書を多く出されてますし、完全に、上記ポイントにもあった「得意分野」とされていますね。


◆私は個人的には、永江さんの文体というか、語り口が好きで、ついつい読んでしまっております。

あとがきを読むと、本書では「あえて」書き方指南はできるだけされなかったそうですが、いつもながらの軽妙なスタイルは、真似してみたいところ。

実際に「副業」と言えるほどの収入を、ライターとして得るのは難しいですが、私もいつかお呼びがかかるように精進しなくては。


いつかは「書いて稼ぎたい」アナタにオススメ!

書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)
永江 朗
平凡社
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【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)


【編集後記】

◆そういえば、今度出たアソシエも副業特集でしたね。

日経ビジネス Associe (アソシエ) 2009年 12/1号 [雑誌]
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2009年 12/1号 [雑誌]

アソシエにしては、珍しいテーマではないか、と。


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